( ^ω^)俺がブーンを育てるようです
- 178: 1 ◆bAt3E3sVXo :2007/09/05(水) 22:54:31.57 ID:GOvFBF080
幼き嫁は、不思議なやつだった。
明るくて、活発で、暴力的で、でも少し優しくて。
イジメによって傷ついていた俺の心は、幼き嫁の登場によって段々癒されていった。
幼き嫁が転入してきてから一ヶ月、あれからイジメは無くなったけど、相変わらず友達はいない。
あ、忘れてた。
幼き嫁が、一番の友達だ。
- 183: 1 ◆bAt3E3sVXo :2007/09/05(水) 22:58:14.36 ID:GOvFBF080
幼き嫁 「今日さー、あんたの家遊びにいっていい?」
1 「え、なんでだよ?」
幼き嫁 「だってぇ〜、外で遊ぶの暑いし〜」
1 「……」
1 (こいつも、あの女のような奴じゃないよな)
1 (でも、そんな保証はどこにもないし……)
幼き嫁 「もう! すぐ決めなさいよ! 私が決める、今日押しかけるねwwww」
1 「……」
1 「ちょwwwww」
- 188: 1 ◆bAt3E3sVXo :2007/09/05(水) 23:02:56.94 ID:GOvFBF080
――家
1 「ここが俺の家」
幼き嫁 「始まりの村の一番最初に立ってるキャラのセリフみたいねwwww」
1 「う、うるせー」
幼き嫁 「あははwww」
ガチャ
1 「ただいまー」
幼き嫁 「おじゃまします!」
母 「お帰り〜って、あらwwww 1が女の子をwwwww」
1 「な、なんだよ!」
- 191: 1 ◆bAt3E3sVXo :2007/09/05(水) 23:06:40.90 ID:GOvFBF080
1 「さ、俺の部屋行くから」
母 「はいはい。煎餅もってくわね」
幼き嫁 「ありがとうございます」
母 「あらあら、いいのよ」
1 「じゃあ、行くわ」
タッタッタッタ……
1 「ごめんな、変な母親で」
幼き嫁 「こんな可愛い女の子連れてきたら、和泉ママでも騒ぎ出すわよwwww」
1 「調子に乗らないwwwww」
幼き嫁 「あははwwww」
- 193: 1 ◆bAt3E3sVXo :2007/09/05(水) 23:10:50.99 ID:GOvFBF080
1 「俺の部屋、なんにもないだろ?」
幼き嫁 「えー、いっぱいあるじゃない。この機械はなに?」
1 「それ、スーファミ。それも知らないのか?」
幼き嫁 「うん。田舎に住んでたから。ちょっとやってみていい?」
1 「いいよー」
幼き嫁 「やったー!」
幼き嫁 「ところで、どうやったら動くの?」
1 「そこからかよ……」
- 197: 1 ◆bAt3E3sVXo :2007/09/05(水) 23:13:58.09 ID:GOvFBF080
ピコピコ
幼き嫁 「……」
1 「俺、漫画読んでるよ」
ピコピコ
幼き嫁 「うん……」
1 「……」
幼き嫁 「……」
1 「……」
幼き嫁 「あのさぁ」
1 「ん?」
- 199: 1 ◆bAt3E3sVXo :2007/09/05(水) 23:17:44.69 ID:GOvFBF080
ピコピコ
幼き嫁 「あんたって、クラスで私以外に友達いないの?」
1 「……」
ピコピコ
幼き嫁 「初めて会ったとき、泣きながら走ってたよね。イジメかなんか?」
1 「……」
ピコピコ
幼き嫁 「イジメ、か。あんたも情けないね」
1 「な、なんだよ! 軽々しく言うな! お前に俺の気持ちわかるかよ!」
ピコピコ
幼き嫁 「わかるよ。私も前の学校で同じ状況だったし」
1 「え……」
- 202: 1 ◆bAt3E3sVXo :2007/09/05(水) 23:21:11.25 ID:GOvFBF080
ピコピコ
幼き嫁 「だからわかる。あんたの辛い気持ち」
1 「……」
ピコピコ
幼き嫁 「もうひとつわかる。孤独なあんたは、みんなと仲良くなりたいってこと」
幼き嫁 「私がそうだったように、ね」
1 「……別に、友達なんてそんなにいらないよ」
ピコピコ
幼き嫁 「嘘は良くないよ」
1 「嘘じゃないよ」
ピコピコ
幼き嫁 「絶対ウソ。だって……」
- 207: 1 ◆bAt3E3sVXo :2007/09/05(水) 23:25:48.86 ID:GOvFBF080
幼き嫁 「このゲーム。主人公の名前があんたで――」
幼き嫁 「仲間の名前がクラスのやつじゃない」
1 「……!」
幼き嫁 「このメガネが、ネスオ。弁髪が、ジャイマン。女の子が、しづか」
幼き嫁 「友達になりたいから、名前を同じにしたんじゃないの?」
1 「そ、それは……」
幼き嫁 「優柔不断な男って嫌い。はっきり言ってほしいわ」
1 「……友達にはなりたいよ」
幼き嫁 「うん」
1 「でも、無理だよ」
- 210: 1 ◆bAt3E3sVXo :2007/09/05(水) 23:30:12.86 ID:GOvFBF080
幼き嫁 「なんでよ」
1 「だって……みんな僕のこと嫌いだし、話しかけるのも怖い……」
幼き嫁 「ばかーっ!」
ボコッ
1 「いってー……」
幼き嫁 「あんた、そんなんだから友達できないのよ!」
1 「……う、うるせ」
幼き嫁 「どうせ何もしなくせに、勝手にハブられたとか思ってんでしょ!?」
1 「……」
幼き嫁 「どうして何にもしないのよ! あんただってみんなと友達になる権利あるんだから!」
1 「……ウッ」
1 「うっ……うっ……うわあああーん!」
- 214: 1 ◆bAt3E3sVXo :2007/09/05(水) 23:35:20.91 ID:GOvFBF080
幼き嫁 「な、なんで泣くのよ!」
1 「だって、俺……お前の言ってることの通りで……」
幼き嫁 「もう……」
1 「ヒック……ヒック……うえーーーーーーーーーーーーん!」
幼き嫁 「あんた男でしょ! あんたにはハートが足りないのよ! これあげるから、鍛えてきなさい!」
1 「ありがとう……。これ、なに?」
幼き嫁 「私のお気に入りのCD! 聞くと、勇気が出るの! あんたみたいにすぐ泣かなくなるの!」
1 「な、泣いてなんかいないもん!」
幼き嫁 「まあいいから、このCD聞いて、みんなに話しかけてみなさい」
1 「う、うん」
ガチャ
母 「おやつよ〜。って、なんであんた泣いてるの!?まさか……」
母 「△△××!?」
1 (昔の漫画みたいな表現使うなよ……)
- 217: 1 ◆bAt3E3sVXo :2007/09/05(水) 23:39:19.03 ID:GOvFBF080
俺はその晩、幼き嫁から貰ったCDを聞いた。
パッケージには、TOKIOの「ハートを磨くっきゃない」と記されていた。
そしてその歌は――
幼き俺に勇気をつけてくれた。
比喩とかじゃなくて、実感できるパワーが湧いてきたんだ。
俺はその後、何度も何度もこの歌を聴いた。
この歌は――
最高。
- 219: 1 ◆bAt3E3sVXo :2007/09/05(水) 23:44:11.66 ID:GOvFBF080
――翌日、学校
1 「……」
ジャイマン 「ネスオwwww殺すwwwww」
ネスオ 「だから小学生の(ry」
幼きレフト 「人を殺す能力か……そんなものは、この先ずっと存在しないな」
1 「……」
幼き嫁 (あーもう、なにやってんのよ)
幼き嫁 (やっぱり私が助けにはいるしか……あ)
1 「み、みんな!」
ジャイマン 「ん?」
ネスオ 「なんだよ?」
幼きレフト 「みんなって、僕も入ってるのかな?かな?」
- 226: 1 ◆bAt3E3sVXo :2007/09/05(水) 23:48:18.85 ID:GOvFBF080
- 1 「みんなっ……おはよう!」
ジャイマン 「……」
ネスオ 「……」
幼きレフト 「……」
幼き嫁 (……)
ジャイマン 「おっは〜wwwww」
ネスオ 「だからwww 見てる人からすれば古いwwwww」
幼きレフト 「今の流行は、おはよーぐるとだね」
ネスオ 「つまらんwww」
1 「あははwwww」
幼き嫁 (良かったwwwwwwwwwwww)
* * * * *
- 235: 1 ◆bAt3E3sVXo :2007/09/05(水) 23:52:17.67 ID:GOvFBF080
1 「……長い上に、つまらない話だったな。ごめんwwwwww」
( ^ω^) 「……」
1 「まあ、そんなわけでさ。なにが言いたいかって……」
( ^ω^) 「わかったお」
1 「……」
( ^ω^) 「僕も強い心を持って、イジメに立ち向かってほしいってことだお?」
1 「まあ、倒れてそうそう言い辛いけど……そんな感じだ」
( ^ω^) 「……」
1 「……」
- 242: 1 ◆bAt3E3sVXo :2007/09/05(水) 23:56:08.51 ID:GOvFBF080
1 「立ち向かうと言うかさ、もう一度話してみたらどうかな、っと……」
( ^ω^) 「……」
1 「まあブーンの考え次第だよ」
( ^ω^) 「そうかお……でも」
1 「でも?」
( ^ω^) 「まずは家にいたいお」
1 「そうか……」
( ^ω^) 「そんで……」
1 「ん?」
( ^ω^) 「僕にも、もう一回そのCD聞かせてほしいお」
- 244: 1 ◆bAt3E3sVXo :2007/09/05(水) 23:59:36.43 ID:GOvFBF080
1 「てことは……」
(*^ω^) 「すぐにでも学校へ行きたい気分だお!」
1 「そうかwwww」
(*^ω^) 「そうだwwwwwwww」
1 「まあ、あれだな。俺の説得力ってすごくね?」
( ^ω^) 「え?今の回想、お前のヘタレしか見てないけど?」
1 「いや……だって」
( ^ω^) 「全部ママのお陰じゃんか。自重しろよ」
1 「……」
- 249: 1 ◆bAt3E3sVXo :2007/09/06(木) 00:04:52.50 ID:UKNE2kuP0
- 1 「一つ、聞きたいことがあるんだ」
( ^ω^) 「なんだお?」
1 「お前がイジメを受ける原因になったあれ、どうしてお前は自分を犠牲に出来たんだ?」
1 「いっちゃあ悪いが、お前は幼稚園の頃からイジメとかもやってた。悪い意味で、発達してた」
( ^ω^) 「だからこそだお」
1 「どういう意味だ?」
( ^ω^) 「一度、イジメを受けた人は、過去が怖くてイジメに回ることが多いお」
( ^ω^) 「でも僕はイジメる側を経験して、その愚かさもわかってるから……」
1 「そうか……」
( ^ω^) 「だお」
1 「やっぱ俺の息子だな」
( ^ω^) 「それマジで言ってんの?ソースあんならすぐ出せ。 マジなら2ちゃんの総力を挙げ(ry」
- 258: 1 ◆bAt3E3sVXo :2007/09/06(木) 00:13:49.97 ID:UKNE2kuP0
ブーンもなんとか前向きにことを捉えてくれたようで良かった。
後は、学校でひと悶着なければいいのだが……そうもいかないだろう。
それにしてもさぁ、嫁。
とうとう俺と嫁の思い出話をブーンに話しちゃったよ。
ちょっと恥ずかしかったけど……話すことが誇らしくもあった。
子供は親の背中を見て育つなんて言うけどさ、どうだろ? 俺の父親としての背中は。
……まぁきっと、お前からすればまだまだなんだろうな。
でも今日、ほんのちょっとだけど確実に――
俺がブーンを育てている、ということを実感できたよ。
ありがとうな、嫁。
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