( ^ω^)俺がブーンを育てるようです

385: ◆bAt3E3sVXo :2007/10/25(木) 00:36:23.14 ID:BtiIGJkk0

――レストラン

( ^ω^) 「いや〜良かったおwwww」

ξ゚听)ξ 「思わず涙しちゃったわ……」

(・∀・ ) 「やっぱいいね……」

从'ー'从 「さ〜、クリスマスディナーといきますか〜」

( ^ω^) 「ktkr!」

(・∀・ ) 「待ってましたー!」

ξ*゚ー゚)ξ 「……」



386: ◆bAt3E3sVXo :2007/10/25(木) 00:39:12.30 ID:BtiIGJkk0

( ^ω^) 「あー、今日はすごい楽しかったお!」

(・∀・ ) 「ああ」

( ^ω^) 「クリスマスってやっぱ特別なふいんき(←もはや変換できない)があるおね!」

从'ー'从 「……」

( ^ω^) 「今日という日に感謝だお!」

ξ゚听)ξ 「……」

ξ )ξ 「……」



391: ◆bAt3E3sVXo :2007/10/25(木) 00:42:29.11 ID:BtiIGJkk0

( ^ω^) 「みんなどうしたんだお?」

(・∀・ ) 「なあ、ブーン」

( ^ω^) 「お?」

(・∀・ ) 「話を、しないか?」

( ^ω^) 「なんのだお?」

(・∀・ ) 「お前と――ツンのことだ」

( ^ω^) 「……」



397: ◆bAt3E3sVXo :2007/10/25(木) 00:46:42.56 ID:BtiIGJkk0

(・∀・ ) 「実はな、お前が陸上部に入ってから……」

(・∀・ ) 「俺はツンの相談に乗ってやっていた」

( ^ω^) 「……なんでだお?」

(・∀・ ) 「お前が一切ツンのことを顧みなかったからさ」

( ^ω^) 「でもツンは一生懸命応援してくれるって……」

(・∀・ ) 「一人でいる寂しさ、苦しいもんだぜ」

( ^ω^) 「……ツン」

ξ゚听)ξ 「……」



398: ◆bAt3E3sVXo :2007/10/25(木) 00:48:14.64 ID:BtiIGJkk0

(・∀・ ) 「ツン、大体のことは話していいよな?」

ξ゚听)ξ 「……うん」

( ^ω^) 「……」

(・∀・ ) 「ブーン、お前が陸上に専念してからな。ツンは独りだった」

(・∀・ ) 「本当の独りだ。友達もいない、彼氏もいない」

(・∀・ ) 「まあ友達がいないのは、ツンの性格のせいでお前が責任を負っているわけではないんだが」

( ^ω^) 「……そんなことがあったのかお」



402: ◆bAt3E3sVXo :2007/10/25(木) 00:51:23.80 ID:BtiIGJkk0

(・∀・ ) 「相談に乗った俺は、なんとかしてお前の関心をツンに向けさせようとした」

(・∀・ ) 「お前の陸上に対する熱意を知っていながら、な。それは本当にすまなかった」

( ^ω^) 「そんな謝ることではないお……」

(・∀・ ) 「でもやっぱりお前は顧みなかった。それはしょうがないことであり、残念なことでもある」

(・∀・ ) 「それから……お前はツンと接しなくなったな」

( ^ω^) 「……」



405: ◆bAt3E3sVXo :2007/10/25(木) 00:53:43.66 ID:BtiIGJkk0

(・∀・ ) 「ツンはいつも寂しそうな表情で過ごしていたよ。お前が気づいていたかどうかは知らないけど」

(・∀・ ) 「そして俺は、プライベートで渡辺と一緒にツンを励ますことにした」

( ^ω^) 「ずいぶん仲が良い気がしたお」

(・∀・ ) 「ツンは段々元気をだしていったよ。嬉しかった。純粋に、友達として」

(・∀・ ) 「そしてツンは決意していた――お前と別れることを」

(;^ω^) 「……」

ξ )ξ 「……」



413: ◆bAt3E3sVXo :2007/10/25(木) 00:56:29.82 ID:BtiIGJkk0

(・∀・ ) 「ここまでが俺が関知していたこと。あとは知らない。ツンから聞いてくれ」

(;^ω^) 「ツン……」

ξ゚听)ξ 「……ごめんね。ただの恋愛関係で、ここまで大げさにしちゃって」

( ^ω^) 「いや、僕は……」

ξ゚听)ξ 「モララーの言うとおり、私は別れることを決めてた。今日もそのつもりで来たの」

( ^ω^) 「うん……」

ξ゚听)ξ 「だけど、最後のデートだもの。それくらいは最高に楽しもうと思ってた」



417: ◆bAt3E3sVXo :2007/10/25(木) 00:59:14.65 ID:BtiIGJkk0

ξ゚听)ξ 「でも、でもね――それを楽しんでたら――」

ξ;凵G)ξ 「やっぱり気づいたの。私はブーンといるのが一番楽しいんだって」

( ^ω^) 「ツン……」

ξ;凵G)ξ 「でも、違うかもしれない。ただ久しぶりだったからかもしれない。ただクリスマスという雰囲気がそう感じさせたのかもしれない」

ξ;凵G)ξ 「私は――本当にブーンが好きなの?」

( ^ω^) 「……」



425: ◆bAt3E3sVXo :2007/10/25(木) 01:03:14.15 ID:BtiIGJkk0

( ^ω^) 「ツン」

ξ;凵G)ξ 「……」

( ^ω^) 「まず一言、ごめんだお」

( ^ω^) 「今まで気づくことができなくてごめんだお」

ξ;凵G)ξ 「……」

( ^ω^) 「次に一言」

( ^ω^) 「ありがとうだお。僕に今日というチャンスをくれたこと、今日一緒に楽しんでくれたことに」

( ^ω^) 「ありがとうだお」

ξ;凵G)ξ 「……」



429 :まだだ、まだ終わらんよ ◆bAt3E3sVXo :2007/10/25(木) 01:06:02.61 ID:BtiIGJkk0

( ^ω^) 「そして最後に……」

( ^ω^) 「最後に……」

ξ;凵G)ξ 「……」

(  ω ) 「今更こんなこと言って、しらじらしいと思うお」

(  ω ) 「僕は自分で自分を、軽蔑するお」

(  ω ) 「でも言わせてほしいお」

ξ;凵G)ξ 「……」

(  ω ) 「僕は今でも――」



( ;ω;) 「ツンのことが好きですお」

ξ;凵G)ξ 「……」



432: ◆bAt3E3sVXo :2007/10/25(木) 01:08:20.81 ID:BtiIGJkk0

从'ー'从 「はい、そこまで〜。つか、くせぇんだよ!」

( ;ω;) 「お?」

ξ;凵G)ξ 「……」

从'ー'从 「ウソウソw私が昼間言ったこと、覚えてる?」

(・∀・ ) 「サンタからのプレゼントは、一夜限り……か」

从'ー'从 「そう、大正解! さすがモララー君!」

(・∀・ ) 「……それで?」



439: ◆bAt3E3sVXo :2007/10/25(木) 01:10:48.90 ID:BtiIGJkk0

从'ー'从 「サンタからのプレゼントは、一夜限り。その真意はね」

从'ー'从 「クリスマスという、今日一日の雰囲気に気分が高揚して」

从'ー'从 「最高の気分になれる。だけど」

从'ー'从 「クリスマスを過ぎてみれば、どう? その人とずっと一緒にいて楽しい? ずっと一緒に生きていける?」

从'ー'从 「もしかしたら、今のツンちゃんとブーン君の気持ちも」

从'ー'从 「サンタからの一夜限りのプレゼントによるものかもしれない」

从'ー'从 「だから、ね? 長くなっちゃったけど……」



444: ◆bAt3E3sVXo :2007/10/25(木) 01:13:36.97 ID:BtiIGJkk0

从'ー'从 「冷却期間、設けてみないかしら?」

( ^ω^) 「冷却期間……?」

(・∀・ ) 「つまりあれだ。しばらくの間距離をおくんだ」

( ^ω^) 「そんなことしてどうするんだお?」

(・∀・ ) 「お互いの気持ちを確かめ合うんだよ。今日の気持ちが、一夜限りの興奮じゃなかったかどうか」

( ^ω^) 「……」



446: ◆bAt3E3sVXo :2007/10/25(木) 01:16:25.13 ID:BtiIGJkk0

( ^ω^) 「僕は、もう一度チャンスがもらえるならそれで構わないお」

(・∀・ ) 「……ツンは?」

ξ゚听)ξ 「……私も構わないわ」

( ^ω^) 「期間はどれくらいなんだお?」

从'ー'从 「そうねー、三ヶ月ってとこかしら?」

(;^ω^) 「そんなにかお!?」



449: ◆bAt3E3sVXo :2007/10/25(木) 01:18:47.22 ID:BtiIGJkk0

(・∀・ ) 「まあ、妥当なところだよな」

从'ー'从 「それから〜、メール・電話・手紙は一切禁止。学校では不自然じゃない程度に会話してね」

(;^ω^) 「……」

ξ゚听)ξ 「……」

(・∀・ ) 「どうだ、約束できるか?」

( ^ω^) 「……把握だお。ツンは?」

ξ゚听)ξ 「私は――」



453: ◆bAt3E3sVXo :2007/10/25(木) 01:20:15.85 ID:BtiIGJkk0

ξ゚听)ξ 「私は本当の自分の気持ちを確かめたい」

( ^ω^) 「……」

ξ゚听)ξ 「その上で、これからを判断したい」

从'ー'从 「……」

ξ゚听)ξ 「だから――約束するわ」

(・∀・ ) 「決まりだな」

从'ー'从 「だね〜」

( ^ω^) 「ツン、三ヵ月後また会うお」

ξ゚听)ξ 「……そうね」


――こうして、ツンとブーンの長い長い冷却期間が始まった。



454: ◆bAt3E3sVXo :2007/10/25(木) 01:20:43.67 ID:BtiIGJkk0

――1の家

1 「……」

ガチャ

1 「おかえりー!」

( ^ω^) 「お?」

1 「メリークリスマス!!」

( ^ω^) 「……」

1 「……」



456: ◆bAt3E3sVXo :2007/10/25(木) 01:23:40.18 ID:BtiIGJkk0

1 「さーもう日付は変わったけど、気分はクリスマスだね!」

( ^ω^) (トーチャンとカーチャン、今思うとすごく長い冷却期間だお)

1 「ク〜リスマスが今年もやってくる、もう終わっちゃってますってwww」

( ^ω^) 「トーチャン」

1 「ん?」

( ^ω^) 「……」

1 「……」

( ^ω^) 「メリークリスマスwwwww」

1 「ひょっほーwwwww」



460: ◆bAt3E3sVXo :2007/10/25(木) 01:28:10.31 ID:BtiIGJkk0

――学校

( ^ω^)「おいすー」

(・∀・ ) 「よお」

('A`) 「おっす」

( ´∀`) 「おーす」

グミ 「おはよー」

魔(ry 「よう!」



462: ◆bAt3E3sVXo :2007/10/25(木) 01:31:51.13 ID:BtiIGJkk0

ξ゚听)ξ 「……」

( ^ω^) 「……」

ξ゚听)ξ 「……」

(;^ω^) 「……」

ξ゚听)ξ 「おはよ」

(*^ω^) 「おはおー!」



463: ◆bAt3E3sVXo :2007/10/25(木) 01:33:39.43 ID:BtiIGJkk0

( ^ω^) カリカリカリカリ……

1 (ブーン今日も夜遅くまで勉強してるな……)

( ^ω^) (ツンのことがあったからって、決して整体師の夢は諦めないお)

( ^ω^) (もちろん部活だって――)

1 (ココアでも持ってきてやるか……)



466: ◆bAt3E3sVXo :2007/10/25(木) 01:36:56.58 ID:BtiIGJkk0

(゚∈゚*) 「おお、ブーン。最近やけに気合が入ってるな」

(;^ω^) 「はいですお!」

(;´∀`) (ブーンに負けるわけにはいかんモナ)

('A`;) (俺だって、県大会いくんだ!)

川 ゚ -゚) 「……頑張れ」

(;^ω^) (整体師の夢だって、部活だって……)

(;^ω^) (ツンのことがあるからって、おざなりにしちゃいけないお)

(;^ω^) (それをバネにして――全部に全力を尽くすお!)

(;^ω^) (そしたら三ヵ月後……この渡し忘れたクリスマスプレゼントを――)



467: ◆bAt3E3sVXo :2007/10/25(木) 01:38:19.49 ID:BtiIGJkk0

――とある居酒屋

1 「よお」

夜神レフト 「ひさしぶりだな。どうした?」

1 「いやぁ、ちょっと旧友に愚痴をこぼしたい気分でね」

夜神レフト 「……聞いておこうか」



472: ◆bAt3E3sVXo :2007/10/25(木) 01:43:15.25 ID:BtiIGJkk0

1 「子供が小学校にあがったときから、男手一つで育て上げてきた」

1 「ときには俺が未熟だったり、あいつを助けてやれないこともあった」

1 「でもそれでも、なんとか育ててきたんだ」

夜神レフト 「ああ……」

1 「でもな、最近」

1 「あいつ自分でなんでもするようになったんだ」

1 「あいつの目からは感じられる、なにか目標をもった眼差しを」

夜神レフト 「そうか……。彼もだいぶ大人になったんだな」



473: ◆bAt3E3sVXo :2007/10/25(木) 01:46:13.50 ID:BtiIGJkk0

1 「そうだよ。あいつはそのうち、一人でどっかへいっちまうだろう」

1 「きっと、俺の親としての役割はそろそろ終わりに近づいてんだ」

1 「ちくしょう……」

夜神レフト 「ああ、たいした愚痴だな」

夜神レフト 「羨ましいほどの愚痴じゃないか」

1 「……あ?」



474: ◆bAt3E3sVXo :2007/10/25(木) 01:48:28.86 ID:BtiIGJkk0

夜神レフト 「その息子が何で自立できるようになったかわかるか?」

1 「……」

夜神レフト 「そいつを育てたやつのお陰なんだ」

1 「……」

夜神レフト 「だからきっとその子も、君に感謝してる。だから嘆くな、胸を張れよ」

1 「……ちくしょう」

夜神レフト 「嫁さんがなくなってからの、君の苦労はよく知っている」

夜神レフト 「だからそろそろ……自分のために生きてみてはどうかな?」



477: ◆bAt3E3sVXo :2007/10/25(木) 01:51:07.64 ID:BtiIGJkk0

1 「……」

夜神レフト 「……1?」

1 「……ぐがー、ぐがー」

夜神レフト 「やれやれ、酒の回りが早いね」

店の親父 「あんたたち、聞かせるねぇ。その歳になっても良い友達じゃないか」

夜神レフト 「はは、よしてくれ。あ、そうだ」

店の親父 「はい?」

夜神レフト 「飲み代は、こいつにツケておいてくれよーんwwwww」

店の親父 「……」


――寒さに耐え忍びながら、白い吐息を吐きながら

――ブーン達は最後の春を迎える。



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