( ^ω^)俺がブーンを育てるようです

697: ◆bAt3E3sVXo :2007/10/27(土) 03:17:01.41 ID:oOV968LB0

(゚∈゚*) 「結果だけ見れば同じかもしれない」

(゚∈゚*) 「だが次やるときは――」

(゚∈゚*) 「どっちが上になってるか差は歴然だろう」


('A`;) 「ぜー、ぜーっ!」

(;´∀`) 「はっ、はっ、はっ」

――ドクオ・モナー惨敗



674: ◆bAt3E3sVXo :2007/10/27(土) 03:01:09.51 ID:oOV968LB0

――3000M・決勝

( ^д^)9m 「よお」

('A`) 「あ……」

( ^д^)9m 「お前、なかなかいい走りしてるよ」

('A`) 「あ、ありがふぉ」

( ^д^)9m 「このレース、俺についてこいよ」

('A`) 「う、うん……」



699: ◆bAt3E3sVXo :2007/10/27(土) 03:19:42.71 ID:oOV968LB0

――100M・決勝

(;^ω^) 「……」
 _
( ゚∀゚) 「よお」

(;^ω^) 「!! ……ジョルジュ」
 _
( ゚∀゚) 「ひさしぶりじゃねぇか。嬉しいぜ、ここまで来てくれて」

( ^ω^) 「……」



704: ◆bAt3E3sVXo :2007/10/27(土) 03:22:31.91 ID:oOV968LB0
  _
( ゚∀゚) 「なあ、次はどっちが勝つんだろうな?」

( ^ω^) 「……僕だお」
 _
( ゚∀゚) 「いや、俺だね」

( ^ω^) 「じゃあ両者だお」
 _
( ゚∀゚) 「ははっ! ……んなわけねぇよなぁ」

( ^ω^) 「だお」



707: ◆bAt3E3sVXo :2007/10/27(土) 03:24:42.53 ID:oOV968LB0

(´・ω・`) 「どうも、こんにちわ」

(゚∈゚*) 「おお、誰かと思えばジョルジュ君の専属コーチのショボン君じゃないか」

(´・ω・`) 「今日は勉強させてもらいにきました」

(゚∈゚*) 「またまた。そんなこといって勝つつもりのくせに」

(´・ω・`) 「……そうですね。あなたに勝てば、自信になるかもしれない」

(゚∈゚*) 「……」



709: ◆bAt3E3sVXo :2007/10/27(土) 03:26:31.98 ID:oOV968LB0

1 「中学の最後の決勝もね、この二人であったたんだ」

ξ゚听)ξ 「そのときは?」

1 「ブーンが負けた。惜しかった」

ξ゚听)ξ 「……」

1 「今回が最後の勝負になるんじゃないかな」

ξ゚听)ξ 「だとしたら、絶対勝たなきゃだめですね」

1 「……そうだな」



712: ◆bAt3E3sVXo :2007/10/27(土) 03:28:01.80 ID:oOV968LB0

木村 「……」

室犬 「単純に速いほうが勝つ」

ノパ听) 「それだけのはずなのに、奥が深いのが100M走」

('A`) 「……」

川 ゚ -゚) 「ま、私としては最速の男が見れればいいんだがな」



715: ◆bAt3E3sVXo :2007/10/27(土) 03:29:51.79 ID:oOV968LB0

( ^д^)9m 「ブーン……」

(*゚∀゚) 「頑張れー!」

( ´∀`) 「……モナ!」

ミ,,゚Д゚彡 (素人的に考えて、あの二人以外が勝ったらどうする(ry)



718: ◆bAt3E3sVXo :2007/10/27(土) 03:32:25.62 ID:oOV968LB0

( ^ω^) (体がだるいのがなんだお。くらくらするのがなんだお)

( ^ω^) (とりあえずこの勝負だけは全力で走りきるんだお!)
 _
( ゚∀゚) 「さ、いこうや……」

( ^ω^) 「おっおっおw」

パン!

ダッ!!



728: ◆bAt3E3sVXo :2007/10/27(土) 03:35:51.90 ID:oOV968LB0

( ^ω^) 「……!」
  _
( ゚∀゚) 「……!」



(゚∈゚*) 「一つ一つの動作が重なる」

(´・ω・`) 「それだけブーンがジョルジュを意識してたんでしょうね」

(゚∈゚*) 「おや、知ってるのかね?」

(´・ω・`) 「元・後輩です」

(゚∈゚*) 「それは……面白い」



731: ◆bAt3E3sVXo :2007/10/27(土) 03:38:44.66 ID:oOV968LB0

( ^ω^) (あー、相変わらずジョルジュは速いお)
  _
( ゚∀゚) (お前もな)

( ^ω^) (君を初めて見たときから、ずっと君を目標にしてきたお)
  _
( ゚∀゚) (俺だって、お前のことずっとライバルだって思ってきたんだぜ?)

―――風。


川 ゚ -゚) 「あんな楽しそうに走る選手見たことないぞ」

川 ゚ ー゚) 「思わず……こっちまで楽しくなるじゃないか」



734: ◆bAt3E3sVXo :2007/10/27(土) 03:40:43.55 ID:oOV968LB0

( ^ω^) (どうせなら一緒にゴールしたいくらいだおw)
  _
( ゚∀゚) (いや、それはないわ)

( ^ω^) (www まったく、どこまで負けず嫌いなんだお)
  _
( ゚∀゚) (うっせwwww じゃあ、そろそろいくぞ)

( ^ω^) (把握)


――よーい、ドン



738: ◆bAt3E3sVXo :2007/10/27(土) 03:43:12.25 ID:oOV968LB0

('A`) 「こっから更に加速とか……」

1 「ブーン、頑張れ……」

ξ゚听)ξ 「ブーン、頑張って……っ!」


(;^ω^) 「……っ!」
  _
( ゚∀゚) 「……くっ!」



742: ◆bAt3E3sVXo :2007/10/27(土) 03:46:33.25 ID:oOV968LB0

――走る
――抜かす
――並ぶ
――抜かれる
――並ぶ

これこそ、僕たちが求めていたもの。
単純で楽しい、ただの速さ比べ。

でも――
  _
( ゚∀゚) 「最後には技術も必要なんだぜ」

(;^ω^) 「……胸、かお」



744: ◆bAt3E3sVXo :2007/10/27(土) 03:48:54.34 ID:oOV968LB0

多分、それはほんの数cmだったかもしれない。
多分、それはほんのコンマ数秒だったかもしれない。
多分、それはほんの少しの心の差だったかもしれない。

ジョルジュが胸を突き出したぶん、僕は足に力を込め、地を蹴った。

たったそれだけの違い――
多分、それが――

(゚∈゚*) 「ブーンの勝因か……」



750: ◆bAt3E3sVXo :2007/10/27(土) 03:52:25.91 ID:oOV968LB0

(#^ω^) 「うおおおおおおおおおおおおお!!」
  _
( ゚∀゚) 「……まじかよ」

1 「やった! やった!」

ξ;凵G)ξ 「ブーンが勝ったの!? 本当に勝ったの!?」

(´・ω・`) 「……ふっ」



752: ◆bAt3E3sVXo :2007/10/27(土) 03:53:13.83 ID:oOV968LB0

(#^ω^) 「うおおおおおおおおおおおおおお!!」

( ^ω^) 「うお……?」



――ぶ ち っ


―――
――




761: ◆bAt3E3sVXo :2007/10/27(土) 03:58:19.36 ID:oOV968LB0

黒いビジョンから、ゆっくりと白いビジョンに移り変わっていく。
そしてそこに映るのは、みんなの姿。
トーチャン、ツン、ジョルジュ、……今まで出会った人全員だろうか。

みんな微笑ながら、ゆっくりと僕に近づいてくる。
そして手をさし伸ばしてきて――

その瞬間、みんなの足が切断される。
人為的、故意的なものではない。突然、電気のスイッチを切るようにだ。

僕はそれを見て苦しむ。
やめて、やめてくれ。頼むから――




766: ◆bAt3E3sVXo :2007/10/27(土) 04:02:00.41 ID:oOV968LB0

ガバッ

(;^ω^) 「わあああああああああああ!!」

矢部医師 「……」

(;^ω^) 「……」

矢部医師 「やっと起きたでヤンスか」

( ^ω^) 「ここは……?」

矢部医師 「あきる野市民総合病院でヤンス」



769: ◆bAt3E3sVXo :2007/10/27(土) 04:03:55.98 ID:oOV968LB0

( ^ω^) 「なんでここに……?」

矢部医師 「自分の足に聞くでヤンス」

( ^ω^) 「足……?」

矢部医師 「アキレス腱断裂、全治半年でヤンス」

( ^ω^) 「……?」

矢部医師 「筋力が10下がった! 俊敏性が15下がった!」

(;^ω^) 「……」

矢部医師 「嘘でヤンス」



772: ◆bAt3E3sVXo :2007/10/27(土) 04:06:28.08 ID:oOV968LB0

矢部医師 「さ、さっそく面会人が来たでヤンスよ」

( ^ω^) 「……お?」

(゚∈゚*) 「ブーン……」

( ^ω^) 「クックル先生」

(゚∈゚*) 「本当にすまなかった!!」

( ^ω^) 「……え?」



774: ◆bAt3E3sVXo :2007/10/27(土) 04:08:30.89 ID:oOV968LB0

(゚∈゚*) 「俺がマッサージの指導をしておきながら、お前が自分自身に施さないのを見逃していた」

( ^ω^) 「……」

(;∈;*) 「それも原因の一端であることは間違いない。本当にすまなかった」

( ^ω^) 「……いいんですお」

(゚∈゚*) 「?」

( ^ω^) 「先生は、僕にマッサージの仕方を色々と教えてくれたからいいんですお」

(゚∈゚*) 「……」



775: ◆bAt3E3sVXo :2007/10/27(土) 04:09:58.01 ID:oOV968LB0

1 「次、いいですか?」

(゚∈゚*) 「……はい」

( ^ω^) 「トーチャン」

1 「ブーン、ごめんな。お前の家でのあの無茶なさまを知っていながら」

( ^ω^) 「……いいんだお。多分あれをやってなきゃ、今頃後悔していたお」

1 「……」



778: ◆bAt3E3sVXo :2007/10/27(土) 04:12:23.35 ID:oOV968LB0

( ^ω^) 「そのかわりといっちゃなんだけどお」

1 「ん?」

( ^ω^) 「僕の机にしまってある本を、全部もってきてくれんかお?」

1 「あ、ああ」

( ^ω^) 「あと携帯を持ってきてほしいお」

1 「わかった……」

ガチャ



782: ◆bAt3E3sVXo :2007/10/27(土) 04:15:21.04 ID:oOV968LB0

矢部医師 「ブーン君」

( ^ω^) 「お?」

矢部医師 「なんでそんなに落ち着いてるでヤンスか?」

( ^ω^) 「自分のやりたいことは達成できたお。あとは、自分のやるべきことをやるだけですお」

矢部医師 「……?」



785: ◆bAt3E3sVXo :2007/10/27(土) 04:17:02.49 ID:oOV968LB0

それからブーンは、病室で勉強しながら面会人を迎えるという生活を送った。
ジョルジュ君が礼を述べ、涙を浮かべて去っていたらしい。
それから中学時代の先輩、後輩、同級生。高校の友達も来てくれたとか。
ツンちゃんは毎日来てるらしい。モララー君も、この間はお父さんを連れてきたそうだ。

そして、二ヶ月もすると退院の日を迎えた。



789: ◆bAt3E3sVXo :2007/10/27(土) 04:18:58.96 ID:oOV968LB0

( ^ω^) 「おっおっおwww 世間はいつの間にか新学期wwww」

1 「おめぇも明日から学校行くんだぞwwww そろそろ受験の下準備も始まるだろうが」

( ^ω^) 「あー、トーチャン」

1 「ん?」

( ^ω^) 「僕、大学へはいきませんお」

1 「……は?」



792: ◆bAt3E3sVXo :2007/10/27(土) 04:22:21.42 ID:oOV968LB0

1 「だってお前、ずっと勉強してきたじゃないか」

( ^ω^) 「あれは整体師になるための勉強だお」

1 「整体師になる? そんなこと聞いてないぞ!?」

( ^ω^) 「言ってないだけだお」

1 「どっちにしたってお前、専門かなにかはいくんだろ?」

( ^ω^) 「いや、行かないお」



794: ◆bAt3E3sVXo :2007/10/27(土) 04:24:41.77 ID:oOV968LB0

1 「じゃあ、どーすんだよ」

( ^ω^) 「モララーのお父さん、整体師なんだお」

1 「で?」

( ^ω^) 「高校卒業したら、免許を取りつつ弟子入りするんだお」

1 「いや、専門とかいかなきゃ免許は取れないだろ」

( ^ω^) 「整体師は確かにそうだお。でも、マッサージ師の資格は国家資格だから、独学でいけるお」

1 「……」



796: ◆bAt3E3sVXo :2007/10/27(土) 04:26:08.81 ID:oOV968LB0

1 「認めない」

(;^ω^) 「なんでだお!?」

1 「お前もそろそろ自立だ。夢を追いかけるのもいいが、もしその夢を掴むことができなかったらどうする?」

( ^ω^) 「絶対に掴むまで諦めないお」

1 「そうは言ってもな、世の中そんなにうまくいかないんだ。大学で2、3個資格とってからならいいぞ」

( ^ω^) 「今からじゃないと駄目なんだお!!」

1 「なんでだよ!!」



799: ◆bAt3E3sVXo :2007/10/27(土) 04:27:52.67 ID:oOV968LB0

( ^ω^) 「……トーチャンはわからずやだお」

1 「なんとでもいえ、認めないものは認めない」

( ^ω^) 「……」

バタン

1 「……」

1 「なんだってんだ、一体……」



801: ◆bAt3E3sVXo :2007/10/27(土) 04:30:12.44 ID:oOV968LB0

( ^ω^) 「もしもし」

ξ゚听)ξ 「もしもし?」

( ^ω^) 「心中は伝えてきたお」

ξ゚听)ξ 「……そう。どうだった?」

( ^ω^) 「見事に反対されたおwww」

ξ゚听)ξ 「当たり前でしょ、ばか」

( ^ω^) 「でも僕は諦めないお……。今年の春で、VIPの地を離れるお」

ξ゚听)ξ 「……」



806: ◆bAt3E3sVXo :2007/10/27(土) 04:32:06.39 ID:oOV968LB0

俺がブーンの意思を頑なに否定する一方で、ブーンは着々と準備を進めているようだった。
勉強はもちろん、身辺整理、バイトによる金の工面まで始めている。
そこまでして追いたい夢なのか。単に親離れしたいだけのように見える俺は、僻みっぽいのか。

なんにせよ、ブーンは俺から確実に離れていっているようだった。



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