( ^ω^)俺がブーンを育てるようです

441: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/28(火) 21:52:46.08 ID:6Op/uBMC0

初めて「家族」というものを意識した時間だった気がする。
その時間はありえないほど幸せで。楽しくて。ずっと浸かっていたい。

だけど、そんなのは当然叶わないわけで。それは俺もわかってるわけで。
だがらただ願った。

「家族」がこれからもいつも通りの時を送れることを。
ただ、それだけを。

だけど、運命は昔から俺に味方しない。
そんなのはわかっていた。わかっていたはずなのに――

俺は世界中の人々に祈ることしかできなかった。



442: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/28(火) 21:55:39.50 ID:6Op/uBMC0

〜ブーン5歳・秋〜

1 「ふぅ、そろそろ定刻か」

女社員 「1さん、お茶をどうぞ〜。最近、頑張ってますね〜」

1 「あ、ありがとう。別にいつもどおりの俺だよw」

1 (来年ブーンも小学生だしな。頑張らなきゃいかんよwww)

プルルルルr、ガチャ

女社員 「ハロ〜……。ええ、はい。はい。わかりました! 今すぐかわります!」

1 (なんだぁ? 今度は総理大臣がクレームでもつけにきたか?)



443: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/28(火) 21:57:58.23 ID:6Op/uBMC0

女社員 「1さん! 電話です!急いでください!」

1 「な、なに!? どこから?」

女社員 「あきる野総合病院からです! 早く!」

1 「落ち着いて! なんで、俺に電話を?」

女社員 「ああ、もう……! いいですか? あなたの――」



女社員 「奥様が事故に巻き込まれて、重傷なんです!」







――え?



445: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/28(火) 21:59:43.37 ID:6Op/uBMC0

どうやって、あきる野総合病院に向かったのかはわからない。
どうやって、幼稚園にいるブーンを迎えにいったのかも覚えていない。

ただ覚えているのは、息を切らして走っている俺の鼓動。

病院に着くと、嫁は既に手術室に運び込まれていた。



449: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/28(火) 22:01:38.54 ID:6Op/uBMC0

1 「先生!? 妻は、妻は無事なんですか!?」

ダイジョーブ博士 「ミーに任せておけば安心で〜す!」

(;^ω^)「本当にママは助かるのかお!?」

ダイジョーブ博士 「手術の成功率は100%で〜す」



456: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/28(火) 22:05:11.49 ID:6Op/uBMC0

1 「良かった! 本当に大丈夫なんですね……?」

ダイジョーブ博士 「任せておいてくださ〜い」

( ;ω;)「ママ……ママ……」

ダイジョーブ博士 「ユー! 泣かない! ユーのママはミーが助けるから、笑顔で迎えてやりなさ〜い!」

( ^ω^)「……わかったお!」



――院長室

看護士 「院長……。本当にあの方は助かるんですか?」

ダイジョーブ博士 「本当のことを言うと成功率は20%で〜す……」

看護士 「ならっ、なぜっ……!」

ダイジョーブ博士 「ミーは子供の悲しむ姿が嫌いなので〜す……」

看護士 「……」



461: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/28(火) 22:09:25.60 ID:6Op/uBMC0

看護士 「絶対助けましょう……」

ダイジョーブ博士 「もちろんで〜す……」

看護士 「それでは」

ガチャ……

ダイジョーブ博士 (ミーは今とても怖い。手術を失敗したらと思うと……)

ダイジョーブ博士 (勇気がほしい。勇気がほしい)

ダイジョーブ博士 (なんか、>>475の書き込み時間の末尾が、00〜20ならいけそうな気がするね)

ダイジョーブ博士 「はっ、なにを考えてるんだミーは……」


――廊下

1 (頼む、世界中のみんな! 嫁を助けてくれ……)

( ;ω;)(ママを、ママを助けてほしいお……)


―― た の む か ら 嫁 を た す け て く れ !

475: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/28(火) 22:11:22.46 ID:4FUf9qXx0
ksk



490: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/28(火) 22:14:44.69 ID:6Op/uBMC0

ダイジョーブ博士 「なんかだめそうな気がしますね〜。でも行くしかない!」

――そして、手術は始まった



503: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/28(火) 22:19:06.55 ID:6Op/uBMC0

これは後から、執刀した先生から聞いた話だが、すごく大変な手術だったらしい。
何度も何度も、嫁の体にメスを入れて、心臓に電気を流して、人工的な酸素を与えて。
色々と、効果的なものをしたらしい。

その間、嫁は麻酔で、というより意識が無いに近かったから、ほとんど痛みは感じてなかったらしい。
まあ、その医者はすごく良い腕前で、そいつが助けられなければ、誰にも不可能だって言われてて――



そんなのは――
そんなのは――






1 「どうでもいいんだよ……」



548: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/28(火) 22:31:42.27 ID:6Op/uBMC0

1 「助からなきゃ……意味ないんだよ」

1 「くそっ……」

( ^ω^)「……嘘だお?」

ダイジョーブ博士 「残念ながら――力及ばず……」

(♯^ω^)「嘘つくなお! ママは死なないお!」

1 「そうだな、そうだなブーン。今はまだ眠ってるだけだよな……」


――またしても世界は、俺の味方をしてくれなかったようだ





621: 503→548の続き :2007/08/29(水) 09:25:09.15 ID:mJUbvYUe0

――1の家

1 「……」

(;^ω^)「……」

1 「……」

(;^ω^)「……」

1 「……」

(;^ω^)「……トーチャン」

1 「……」

(;^ω^)「……」



625: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/29(水) 09:30:13.64 ID:mJUbvYUe0

1 「……」

( ^ω^)「……」

1 「……」

( ^ω^)(なんとかしないと……今はブーンが頑張らないと)

( ^ω^)(ママが死んだのは……すごく悲しい。でも、僕たちは生きてるんだお)

( ^ω^)(このままだと、トーチャンもいなくなっちゃいそうで……)

1 「……」

( ;ω;)ブワッ 「な、なんか音楽でもかけるお!」


カチッ サー

♪私の〜お墓の〜前で〜 泣 か な い で く だ さ い 〜 !


(;^ω^)「あばばばばば」

1 「……」



626: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/29(水) 09:35:52.50 ID:mJUbvYUe0

カチッ ……シーン

(;^ω^)(なんてこったい\(^0^)/)

1 「……」

(;^ω^)「い、今のは間違いだお! 本当はこっちだお!」

カチッ サー

♪ハートを磨くっきゃない! きれいに磨くっきゃない!今より誰より輝いて射止めてやる〜


(;^ω^)(なんか知らないけど、雰囲気にそぐわないお)

(;^ω^)「ま、また間違えたお! 今、違う曲に……」


1 「……いや、そのままでいい」

(;^ω^)「え?」

1 「……それが聞きたいんだ」

( ^ω^)「……わかったお」



628: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/29(水) 09:44:14.91 ID:mJUbvYUe0

♪やるじゃんなかなかやるじゃん やるじゃんあいつ
 パチパチッと火花飛ばしてみるか
 
 あいつが振り向いたとき 勝負はついた
 恋の始まりとは 知らずに落ちていた

 なんて不思議な目をするんだ Baby
 まるですべて 僕のすべて お見通し

 だけど素敵に優しくって 僕は
 息を 止めたよ

 ハートを磨くっきゃない……


1 「……」

( ^ω^)「……」

1 「……ウッ」

(;^ω^)「ど、どうしたんだお!」



630: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/29(水) 09:52:12.10 ID:mJUbvYUe0
1 「このCDな、嫁からはじめて貰ったやつなんだ……」

( ^ω^)「そうなのかお……」

1 「……」

* * * * *

シクシク ……ヒックッヒック ウエーン

「あんた男でしょ! あんたにはハートが足りないのよ! これあげるから、鍛えてきなさい!」

……ア、アリガトウ

* * * * *

1 「……ふっ」

( ^ω^)「話してくれないのかお?」

1 「話してほしいの?」

( ^ω^)「いや、無理しなくていいよ」

1 「そ、そうか……」



1 (だが断る! って言いたかったのに……)



633: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/29(水) 09:57:21.98 ID:mJUbvYUe0

1 「まあ、いつか話すかもしれないな」

( ^ω^)「……待ってるお」

1 「……うん」

( ^ω^)「それより、やっと元気出てきたお?」

1 「ああ、お陰さまでな」

( ^ω^)「良かったお。僕、トーチャンまでいなくなったら……」

1 「ブーン……」

( ^ω^)「飯をどうすればいいかわからなかったお」

グキュルルルルルル バズーン!

1 「……」

( ^ω^)「早くご飯食べるお」

1 「そ、そうだなw」



635: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/29(水) 10:01:11.51 ID:mJUbvYUe0

1 「ほら、オムライスだ」

( ^ω^)「媚でも売るつもりかお?」

1 「誰に?」

( ^ω^)「いや、気にするなお。いただきま〜すお!」

1 (語尾のせいで、こいつ「マスオ」って言いやがったwwwww)

( ^ω^)「どうかしたかお?」

1 「え〜っ!なんでもないよーっ! ブーンくーんっ!」

( ^ω^)「……」

1 「……」



636: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/29(水) 10:02:44.37 ID:mJUbvYUe0

( ^ω^)モグモグ

1 「……」

( ^ω^)モグモグ

1 「……」

( ^ω^)モグモグ

1 「……うまいか?」

( ^ω^)「もちろんだお!」



637: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/29(水) 10:04:53.03 ID:mJUbvYUe0

1 (オムライスとチャーハンだけは、得意なんだよな……)

1 (嫁……俺はこれからどうすればいいんだろうな)

( ^ω^)「ごちそうさまだお!」

1 「あ、ああ」

( ^ω^)「ブーンはもう、歯を磨いて寝るお!」

1 「そうだな、おやすみ」

( ^ω^)「おやすみだお〜」

パタパタ……



1 「……ふぅ」



639: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/29(水) 10:08:51.64 ID:mJUbvYUe0

……シ〜ン

1 (俺は本当にどうすればいいんだ……)

1 (家事なんてろくにできない、帰りも遅いし)

1 (ブーンは保育園に移すべきなのか)

1 (どこから考えればいいのか)

1 (再婚……。俺には、嫁以外ありえん)

1 (やっと掴んだ幸せだと思ったのに……)

1 「くそっ……」


|ω^)「……」



640: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/29(水) 10:13:29.31 ID:mJUbvYUe0

1 「とりあえず今日は寝るか……」

カチッ ……シ〜ン

ガサガサッ サッ

1 「ん?なんだ?なんか枕元に……」



トーチャンへ

オムライスありがとうだお。
トーチャンの飯なら、我慢してでも毎日食べられるお。
だから、ブーンもいっぱいいっぱいお手伝いするお。

そうすれば、ママもきっとどこかで笑ってみてくれるお。

おやすみお。

                       ブーンより


1 「……」



642: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/29(水) 10:16:54.61 ID:mJUbvYUe0

1 「……」

1 「おい、ブーン」

|ω^)ビクッ

1 「こっちへおいで、ブーン」

パタパタパタ

(;^ω^)「な、なんだお!?」

1 「手紙、ありがとうな」

( ^ω^)「き、気にするなお! こんなの朝飯前だお!」

1 「はははw 今日こそは、一緒の布団で寝ようか?」

( ^ω^)「……トーチャン」

1 「それとも、一人で寝るか」

(*^ω^)「だ、だが断る!」

1 「よし! じゃあ布団に入れ!」



644: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/29(水) 10:20:08.10 ID:mJUbvYUe0

( ^ω^)ヌクヌク

1 ヌクヌク

( ^ω^)ヌクヌク

1 ヌクヌク

( ^ω^)ヌクヌ……プ〜ッ






1 「ちょ、おま!!! くせぇ!!!!!」

ドタドタドタドタ

(;^ω^)「正直すまんかった」



645: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/29(水) 10:26:16.06 ID:mJUbvYUe0
1 「全くも〜」

(;^ω^)「お、おやすみお」

1 「ああ、おやすみ」

スースー スピースピー

1 (ブーンは寝付くのがはええな)

1 (それより……これからは俺が頑張らないと)

1 (俺にはまだブーンがいるんだ。ブーンを守っていかないと)

1 「俺がブーンを育てるんだ。俺の息子なんだから。さ、明日も頑張ろう!」

グガーグガー

スピースピー

グガーグガー

スピー、スピッ……


( ;ω;)「スピッ、スピ〜 ……僕も頑張るお」



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