( ^ω^)は18歳になったようです
- 16: 第九話 :2007/09/06(木) 00:48:28.00 ID:dQUjj5lz0
- 第九話『訪秋』
朱色の空を眺めながら、ボクとジョルジョは公園のベンチに座っていた。
涼しげな風と、少しばかり涼しくなってしまった財布。
それらは、夏の終わりをそっとボクらに告げていた。
( ゚∀゚)「もうすぐ、夏休みも終わっちまうな」
( ^ω^)「……おっ」
夏の終わりを惜しむような呟き。
もうすぐ、終わってしまうのだ。高校最後の夏が。
すこし、寂しいものがあった。
けど、心のどこかで仕方が無いと諦めもしていた。
( ^ω^)「夏休み終わったら、受験が終わるまでこんな風に遊べないお」
( ゚∀゚)「……」
( ^ω^)「ジョルジョ?」
( ゚∀゚)「……ウチのクラスのペニサスって知ってるか?」
( ^ω^)「ペニ……サス……」
ペニスペニスペニス……ちんちん。ω。
思い出した、ちょっと地味なジョルジョのクラスメイトか。
- 18: 第九話 :2007/09/06(木) 00:50:07.14 ID:dQUjj5lz0
( ^ω^)「一応顔は分かるけど、それがどうかしたのかお?」
( ゚∀゚)「お前にだから言うんだからな。他の奴に言うなよ。絶対笑うなよ」
( ^ω^)「前向きに対処するお」
(* ∀ )「俺、夏休み中にエロ本買えたら……あいつに告白するんだ」
(;゚ω゚)「……」
何という事だ。
ジョルジョが口にした言葉は、間違いなく死亡フラグ。
というか、その発言の前半部は少しばかりペニス訂正ペニサスに失礼なんじゃないだろうか。
そういのは普通試合に勝ったらとか、戦争で生き残ったらとか……
あ、後者の死亡臭半端ないな。
( ゚∀゚)「大体、エロ本も買えない奴がさ、告白なんて出来ると思うか?」
(;^ω^)「エロ本買った事も告白したことも無いから分かんないお」
( ゚∀゚)「でさ、思うんだ。好きって気持ちが強いほど、告白する時恥ずかしくなるんじゃないかって」
( ^ω^)「んー……」
( ゚∀゚)「だからさ、せめてエロ本で勢い付けようって、そう思ったんだ俺は」
- 19: 第九話 :2007/09/06(木) 00:51:26.92 ID:dQUjj5lz0
- ジョルジョの気持ちは分かる。
生半可な気持ちじゃない、好きで好きで堪らない人に告白する時は、きっと恥ずかしくて顔が真っ赤になるだろう。
でも、それには恥ずかしいだけじゃなく、色んな感情が混じっているだろう。
ボクが思うに、恥ずかしいと同じくらいに恐怖があると思う。
振られてしまったら、その好きで好きで堪らない感情の行き場がなくなってしまうから。
それは、とても恐ろしくて悲しい事だから。
( ゚∀゚)「マジ、想像だけで顔赤くなるとかどんだけよ」
( ^ω^)「ねえ、ジョルジョ」
( ゚∀゚)「……なんだよ」
( ^ω^)「恐くは、ないかお?」
( ゚∀゚)「振られた場合考えたらめっちゃ恐ええ。でも、どんな結果でも受け入れるさ」
そう言いながらも、ジョルジョは笑っていた。
恐怖は勿論ある筈だ。だが、彼は勇気で克服したのだろう。
黄金の精神を秘めているであろう瞳が、雄弁にそれを物語っていた。
- 21: 第九話 :2007/09/06(木) 00:53:21.25 ID:dQUjj5lz0
( ^ω^)「ジョルジョ、ボクは君が友人である事を誇りに思うお」
( ゚∀゚)「……あんがとよ」
( ^ω^)「お、本屋に行ってるねーちゃんめっちゃ美人だお」
( ゚∀゚)「ナイスおっぱい!」
こうして、ボクらは完全に日が暮れるまで話し続けた。
諸事情により、ジョルジョの時だけエロ本が売り切れれば良いのにと思った。
第九話『副題:他人の惚気話で殺意急上昇』糸冬
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