( ^ω^)は18歳になったようです
- 3: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/11(火) 00:16:07.23 ID:gAEoZg+V0
- 第十壱話『秘匿』
(’A`)「今日は親不知についてやっとくか」
師匠は何の前触れも無く、唐突にそう言った。
( ^ω^)「……?」
( ゚∀゚)「歯とエロ本に何の関係が?」
(’A`)「歯じゃなくてだな……字の如く、エロ本を親の知らぬ存在とする方法だ」
( ゚∀゚)「本の隠し場所なら俺はちゃんと考えてますよー」
(;^ω^)「あ」
ボクは全く考えていなかった。
何故、これほど大切な事を忘れていたのだろう。
エロ本を家族に見られる恐怖。
机の上に置かれていた時の絶望。
夕食時に家族から向けられる憐憫の眼差し。
そして……ボクにその視線を向けた父親はきっとこう言うだろう。
- 5: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/11(火) 00:17:37.95 ID:gAEoZg+V0
「ブーン。お前も、大人になったんだな」
- 6: 第十壱話 :2007/09/11(火) 00:19:44.83 ID:gAEoZg+V0
- (;゚ω゚)「ノォォォォォォフゥゥゥゥゥゥゥチャァァァァァァァ!」
(;゚∀゚)「うおっ!?」
(;’A`)「ちょっ!?」
想像だけで魂が抜けそうになった。
そんな台詞が親の口から出た日には、間違いなくボクは発狂する。
直後、ボクの世界はそこで終わるだろう。
何という理不尽なリスク。何という理不尽な罰。
まるで、本の存在自体が穢れであると言わんばかりだ。
何故に人この様な物を作り出したのだろう。
こんなにも罪深い存在さえ無ければ……
- 9: 第十壱話 :2007/09/11(火) 00:22:02.29 ID:gAEoZg+V0
- 否……罪深い存在だからこそだろう。
罪深く、淫靡。人の業の権化。
雄生命体としての本能を強く刺激する、ネクロノミコンと並ぶ禁断の書物。
其れこそがエロ本なのだ。
そういう存在だからこそ、人は古来から其れに惹かれ、畏れを抱きながらもそれを求めるのだ。性的な意味で。
( ω )「これが……真理……」
(;゚∀゚)「お前、どうかしたのか?」
(’A`)「……悟ったか」
( ;ω;)「頭でなく、心で理解しましたお」
(;゚∀゚)「え?え?マジなんなの!?ねえ!」
何か本題から外れてしまった気がするが、ボクは気にしない事にした。
- 10: 第十壱話 :2007/09/11(火) 00:24:11.03 ID:gAEoZg+V0
〜〜〜
(;゚∀゚)「あ゙ー、きになるぅー」
( ^ω^)「これは自分で気付かなきゃいけない事だお」
('A`)「じゃ、それじゃあボチボチやってくか。まず隠し方な」
(;゚∀゚)「うぅー」
('A`)「言っとくが、ベッドの下、箪笥、引き出し。この三つは見つかる場所TOP3だ」
(;゚∀゚)「ゲェッ!」
(#゚ω゚)「嘘だッ!」
('A`)「ここもな、悪い訳じゃないんだ。ちゃんと整理整頓と掃除やってればの話だが」
(;^ω^)「今日からちゃんと掃除するお」
(;゚∀゚)「俺も……」
そういえば掃除は母親に任せっ放しでここ数年やっていない。
だが、やらねばならない。見つかって自宅から居場所が消えるのは真っ平御免だ。
- 11: 第十壱話 :2007/09/11(火) 00:26:24.97 ID:gAEoZg+V0
(’A`)「一応、お勧めはプラモや靴の空箱。それに、使ってない鞄の中とかか」
(;^ω^)「なっ、そんな手があったなんて……」
(0。゚∀゚)「古いリュックの輝く時代ktkr!」
眼から鱗とはまさにこの事だろう。
空箱は隅に置いておけば問題ないし、鞄もフックに掛けておけば弄られる事もない。
なんという神算鬼謀。恐るべし……いや、さすが師匠と言うところか。
だが、それを実行する前に一つ、大きな問題があった。
- 12: 第十壱話 :2007/09/11(火) 00:28:04.15 ID:gAEoZg+V0
- (;^ω^)「師匠、両方とも部屋に無いですお……」
('A`)「……お前、兄弟とかいるか?」
(;^ω^)「いえ、一人っ子ですお」
('A`)「少年ダディとか部屋に積んでたりするか?」
(;^ω^)「積んでますお」
……この質問は何なのだろうか。
エロ本を隠す事に何の関係があるのか全く分からない。
一体師匠は……
- 14: 第十壱話 :2007/09/11(火) 00:30:09.25 ID:gAEoZg+V0
- ('A`)「じゃあ、それに背表紙を壁に向けて挟め。他に何冊か同じようにすると最高だ」
何を言ってるんだ、正気かこの人は。
エロ本を外気に晒すだと?
そんな触れようと思えば触れる事のできる場所に放置するだと?
冗談は止してくれ。そんなふざけた事を言わないでくれ。
(#^ω^)「そんな事……」
出来る訳が無い。怒りに任せてそう言おうとした時、
(#゚A゚)「出来るんだよッ!」
ボクは鋭い眼光に射抜かれた。
何たる威圧感。何たるプレッシャー。何たる本気を出したっぽい雰囲気。
思わず失禁してしまいそうだ。
これが、師匠の本気状態なのか……
- 15: 第十壱話 :2007/09/11(火) 00:32:18.65 ID:gAEoZg+V0
- (#゚A゚)「外見を隠すのは確かに大事だッ!しかしなッ、それより大事な事があるんだッ!」
(;^ω^)「ゴクッ……」
(;゚∀゚)「ペロッ……」
(#゚A゚)「人にそれを意識させない事だッ!分かるか小童共オォォォォォォォォッ!」
(;゚ω゚)「なんとぉぉぉぉぉぉぉぉっ!」
(;゚∀゚)「ヌァンダットゥエー!」
……なんて人だ。
師匠は、人の意識……そんなものまでも操作しろと言っているのだ。
確かに一流のマジシャンは人の意識を誘導し、観客を魅了する。
けど、ただの高校生であるボクにそれが出来るのか?
エロ本、それのみを求めて突き進んできたボクにそれが出来るのか?
出来る、出来るのだ!
- 16: 第十壱話 :2007/09/11(火) 00:34:18.64 ID:gAEoZg+V0
- 師匠は、ボクらにも出来るからこそ言っている。
そう、不可能ではないッ!
マジシャンのように観客全てを騙す必要など何処にも無い。
騙すべきは……そう、カーチャンただ一人ッ!
ならばやれない事はないッ!
(#゚ω゚)「師匠ッ!やりますッ!」
(#゚A゚)「大事なのは自然さだッ!分かるかブタムシ野郎ッ!?」
(#゚ω゚)「Sir!敢えて乱雑に積む訳ですねッ!Sir!」
(#゚A゚)「YES!ベッドの下に雑誌をデコイとして用意するとより一層YES!」
(;゚∀゚)(……俺、兄貴いるからできねえよ)
ジョルジョはそう言いたかった。
だが、ノリノリな二人を見ていると、そんな事は口が裂けても言えなかった。
誰だって、空気読めない奴と思われるのは嫌なのだから。
- 19: 第十壱話 :2007/09/11(火) 00:36:59.45 ID:gAEoZg+V0
〜〜〜
そして30分後、
'A`「ツマリ……タンコーボンナラ表紙ダケカエルノモ……有効デアッテ……」
そこには輪郭の消えかけた師匠がいた。
きっと、本気状態で体力を使いすぎたのだろう。
まぁ、そんな風に冷静に考えている僕も
ω「……ナル……ホ……ド」
塩をかけたられたらロストしそうな感じになっていたのだが。
第十壱話『副題:兄弟姉妹や空気読まない友人がいる方にはお勧めできない』糸冬
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