( ^ω^)は18歳になったようです

60: 第十六話 :2007/09/11(火) 01:34:49.48 ID:gAEoZg+V0
第十六話『善意』

……人は気分次第で、自分でも訳の分からない事をする。
まぁ、人間なんてそんな物なのかもしれない。そして、僕もそんな人間なのだ。

( ´∀`)「それじゃ十円のおつりモナ。アザッシター」

(*^ω^)「おっおっ」

ボクは少々……いや、相当浮かれていた。
人気の高さ故、発売日に入手する事が困難である「職業・VIPPER。」の新刊。
それが発売日に買えたのだ。浮かれるなという方が無理な話だ。



62: 第十六話 :2007/09/11(火) 01:37:44.00 ID:gAEoZg+V0
( ^ω^)「職Vの新刊マジラッキーだったお」

レジを離れ、入り口へと向かう僕の足取りは軽い。
ここは鼻歌の一つでも歌うべきだろうか?ノンノン、どうせなら熱唱するべきだ。
そんな事を考える僕の魂は現実とお花畑を行ったり来たり。
嬉し過ぎてもうお花畑から戻れなく……

「これ、お願いします」

( ^ω^)「ん?」

その声は、多分ボクの後ろに並んでいた人の声だろう。
きっとその言葉は店員に向けられたものだろう。
どう考えても自分に向けられた物ではない。
なのに、なぜかボクは振り向いた。



63: 第十六話 :2007/09/11(火) 01:40:38.18 ID:gAEoZg+V0
( ^ω^)「……んんー?」

( ´∀`)「はい、ありがとうございますモナ」

振り向いた僕の視線の先にあるのは、前髪を下ろした女の子がレジに差し出した一冊の本。
何の本なのかは分からないが、尻に妙な違和感を覚えた。

( ^ω^)(……アッーなるほど把握)

何と言うか、本能が理解した。
男同士が絡む本がある事は噂に聞いている。そういう本なのか。
世の中色んな性癖の人がいるんだな。などと思いつつ、再び入り口に

( ´∀`)「雑誌一冊で六百七十円モナ」

向かおうとした時、

川д川「はい、丁d……あれっ?」

本を買おうとしていた子が固まった。



64: 第十六話 :2007/09/11(火) 01:42:56.85 ID:gAEoZg+V0
川;゚д川「あっ、あれっ……なんで……?」

( ´∀`)「どうしましたモナ?」

川;゚д川「丁度ポケットに入れといた筈なのに……十円足りない……」

彼女のうろたえ振りで確定した。あの本は間違いなく18禁。
そうでもなければ、わざわざポケットに丁度の小銭を入れる理由が無い。
というか、後ろめたい本でもなければあそこまでうろたえない。
まぁ、運が無いと言うか抜けていると言うか……



65: 第十六話 :2007/09/11(火) 01:44:55.32 ID:gAEoZg+V0
川;д川「あれっ……なんで……なんで……」

( ^ω^)「これ、使っていいお」

川゚д川「え……」

気付いた時には先ほど手渡された硬貨をレジに置いていた。

( ^ω^)「勝手にやった事だから気にしなくていいお」

今のボクにとってこの十円はたかが十円。
しかし、今の彼女にとってこの十円はまさに値千金。
ならば、この十円は彼女の元で輝かせてやるべきだろう。
自分でも良く分からない理論だが、もう十円は置いてしまったのだから仕方ないだろう。
明日は我が身という言葉もあるし、こういう事をするのも悪くないかもしれない。
そう思いながら、ボクは何かを言おうとしていた彼女を尻目に店を出た。



66: 第十六話 :2007/09/11(火) 01:47:03.30 ID:gAEoZg+V0
( ´∀`)「六百七十円丁度モナ。アザッシター」

川д川「……」

(;´∀`)「……お客様?」

川* ー川「……かっこいいじゃん」

(*´∀`)「僕のことモナか?」

川д川「それは無い」



67: 第十六話 :2007/09/11(火) 01:48:57.08 ID:gAEoZg+V0


〜〜〜


('A`)「おせえよ」

(;^ω^)「サーセンwwwwww」

( ゚∀゚)「なんかあったのか?」

(;^ω^)「ちょっとした人助けと言うか何と言うか……」

……その言葉に二人の表情が変わった。



68: 第十六話 :2007/09/11(火) 01:51:06.24 ID:gAEoZg+V0
親友ジョルジョが顕にしたのは

(*゚∀゚)O彡゚「フラグ!フラグ!」

純粋な好奇心。もしくは野次馬根性。
もう一人、師匠であるドクオさんが顕にしたのは

(#'A`)「コイツは臭ェー!フラグの匂いがプンプンするぜェー!」

憎悪と嫉妬の混じった怒りだった。

(;^ω^)「ちょwww何でいきなりフラグになるんだおwwwww」

ボクは確かに人助けをしたと言った。だが、助けた相手が男とも女とも言っていない。
もしかしてアレか、二人はボクがいない間に邪気眼を発現したのか?
なんて事だ。物凄く羨ましいじゃないか。



70: 第十六話 :2007/09/11(火) 01:53:13.47 ID:gAEoZg+V0
( ゚∀゚)「何でって……お前、野郎なんぞ助けねえだろ」

(#'A`)「ちょっとした事なら尚更だコンチキショー!」

何たる名推理……
間違いない、二人の頭脳は江戸川バーローを超えた。

(;^ω^)「それはそうですけど、そんなフラグ立つような大それた事は……」

( ゚∀゚)「因みに何したんだ?」

( ^ω^)「十円見つからなくて半泣きになってた子に、十円あげただけだお」

そう言い終えた時、ボクは確かに聞いた。
限界まで張り詰めた何かが、小気味良く切れた音を。



73: 第十六話 :2007/09/11(火) 01:57:29.27 ID:gAEoZg+V0
(#゚A゚)「手前は氏ねじゃなくて死ねェーッ!」

師匠が、切れた。

(#゚A゚)「手前なんかなぁッ!無双三段でブチ撒けてやんよォー!」

そう叫ぶ師匠の手には妙に長い竹箒。

(;゚∀゚)「落ち着いてください師匠!まだフラグが立ったと決まった訳じゃ……」

(#゚A゚)「でもそんなの関係ねえ!そんなの関係ねえッ!」

(;゚ω゚)「ヒィィィィィィィィィィィッ!」

ああ死んだ。得物は竹箒なれど、繰り出される技は槍技最強。間違いなく死んだ。
迫り来る師匠を見つめながら、ボクはそう思った。



74: 第十六話 :2007/09/11(火) 02:00:45.87 ID:gAEoZg+V0




だが、神はボクを見捨ててはいなかった。





能天気な音と共にボクの頭上に電球が浮かぶ。






75: 第十六話 :2007/09/11(火) 02:02:55.94 ID:gAEoZg+V0

[カウンター]


メメタァッ!( ゚ω゚)三つ)゚A゚#)ヘブァッ!


誰がどう見ても正当防衛。
ボクは何も悪くない。

そしてボクらは地に伏した師匠を置き去りにした。

第十六話『副題:スクエニはロマサガ2を一刻も早くリメイクするべき』糸冬



戻る第十七話