( ^ω^)は18歳になったようです

23: 第十九話 :2007/09/15(土) 00:50:19.80 ID:BUS4TnEB0
第十九話『親心』

('A`)「……」

走馬灯を見る暇も無く、肉体から魂が抜けた。
気付いた時には、崩れ落ちた自分を見下ろしていた。

('A`)「……俺、死んだんだな」

限界まで追い詰められ、勃起したまま倒れた。
最後に乳を触ろうと手を伸ばしてみたものの、腰を引いていた分だけ届かなかった。

('A`)「結局、乳の感触知らないまま死んじまったんだな」

俺がこの世界に生まれた意味はなんだったのだろう。
何かを成した訳でもなく、子を残した訳でもない。
何も残せは……



24: 第十九話 :2007/09/15(土) 00:52:28.68 ID:BUS4TnEB0
('A`)「いや……一つだけあったな」

亡骸を抱きかかえ、俺の為に泣いてくれている二人の弟子。
ブーンにジョルジョ。
こいつらならきっと俺を超えてくれる。
短い間だったが、こいつらといれて良かった。
こいつらはきっと俺の意志を継いでくれる。
ならば、もう未練は無い。

J('ー`)し「アレがドクオの弟子かい?」

('A`)「……俺には過ぎた弟子さ」

J('ー`)し「で、アンタこれからどうするんだい?」

('A`)「どうするもこうするも……」



26: 第十九話 :2007/09/15(土) 00:54:39.78 ID:BUS4TnEB0
……あれ?
ちょっと待って欲しい。
何でカーチャンがここにいる。

(;'A`)「え、ちょ、何でカーチャンがいるんだよ!」

J('∀`)しb「息子のピンチを救いにカーチャンズバッと参上!」

(;'A`)「いや、でもさ、俺死んでるんだぜ?」

J('ー`)し「うるせえ!は!か!た!の!塩!ぶっかけんぞ」

(;'A`)「ガチで酷くね?」

J('ー`)し「さっさ復活しな。念仏5.1ch音量MAXで聞きたいのかい?」

(;'A`)「いや、でも、戻り方が……」



27: 第十九話 :2007/09/15(土) 00:57:09.58 ID:BUS4TnEB0
J('ー`)し「そうかいそうかい、そんなに昔の写真をzipでうpされたいかい」

(;'A`)「わかったから、戻るから……で、どうやって戻るの?」

J('∀`)しb「気合と根性」

(;'A`)「……」

J('ー`)し「それともカント寺院方式がいいかい?99%でロストするけど」

(;'A`)「……頑張ります」

そして、四苦八苦しながらも俺は肉体に戻る事に成功した。

J('ー`)し「……あ、gthmコラVIPにうpしたって言うの忘れてたわ」



28: 第十九話 :2007/09/15(土) 00:59:14.96 ID:BUS4TnEB0


〜〜〜


(’A`)「ん……」

夏特有の熱気を感じながら瞼を開くと、視界は

( ;ω;)「し、師匠!」

( ;∀;)「起きた!師匠が起きた!」

涙でクシャクシャになったブッサイクなツラ×2に埋め尽くされていた。



30: 第十九話 :2007/09/15(土) 01:01:02.62 ID:BUS4TnEB0
(;'A`)「うわぁ……」

何という最悪な目覚め。
というか涙やら鼻水やら垂らすな。
あと顔近づけて叫ぶな。唾が、涎が……

(;'A`)「とりあえずどいてくれ。つかお前ら口臭い!」

( ;ω;)「聞こえないおwwwwwww」

( ;∀;)「だが断るwwwww」

俺の言葉を無視して密着してくる野郎二名。
暑苦しくてたまらなかった。



34: 第十九話 :2007/09/15(土) 01:03:15.52 ID:BUS4TnEB0
(;'A`)「暑いから止めろって」


――でも、


(*;ω;)「いやですおwwwwww」


――俺が生きている事を心から喜んでくれている事、


(*;∀;)「もう二度と離さないwwwwwww」


――それが言葉に出来ない位嬉しくて、


(*'∀`)「師匠の言う事聞けよこの馬鹿弟子どもwwww」


――俺はこいつらを跳ね除ける事なんて出来なかった。



37: 第十九話 :2007/09/15(土) 01:05:53.02 ID:BUS4TnEB0
(;^ω^)「うわっwwwwキモッwwwwwwww」

(;゚∀゚)「師匠の笑顔アウトwwwwww」

(*’A`)「……」

あれ、さっきまでの感動は何処へ?
何で逃げるの?

(*’A`)「まてよー、にげんなよー、つんでれかよー」

(;^ω^)「いやぁぁぁぁぁwwwwwwwwww」

(;゚∀゚)「きもいぃぃぃぃwwwwwwww」

結局その鬼ごっこは二時間ほど続いた。



39: 第十九話 :2007/09/15(土) 01:08:00.39 ID:BUS4TnEB0


〜〜〜


('A`)「で、今更だけど一つ聞きたい」

( ^ω^)「なんですかお?」

( ゚∀゚)「何でも聞いてください!」

('A`)「なんで公園なの?普通病院じゃね?」

(;^ω^)「何たる盲点」

(;゚∀゚)「師匠の鬼才ぶりに全米が震撼した」

(;'A`)「……」

本気で言っているのだろうかこいつらは。
人がぶっ倒れてんのにこのクソ暑い公園のベンチに寝させるとか……



41: 第十九話 :2007/09/15(土) 01:10:04.47 ID:BUS4TnEB0
まぁいいか。
生きてるって素晴らしい!

(’A`)「とりあえず、泣いても笑っても明日が最後だ。悔いは残すなよ」

(;^ω^)「でも……」

(;゚∀゚)「あの人がいるんじゃ……」

あの人……クーさんの事か。
俺が完膚なきまでに叩き潰された光景は、嫌でもこいつらの目に焼きついた事だろう。
こいつらの心に恐怖が生まれるのも無理は無い。



43: 第十九話 :2007/09/15(土) 01:11:54.21 ID:BUS4TnEB0
だが、

('A`)「安心しろ。その点については何の問題もない」

( ^ω^)「……お?」

( ゚∀゚)「……へ?」

('A`)「あの場合、相手が俺の天敵だっただけだ」

同級生且つ片思いの相手。
しかも、知り合いであるが故に保持していた回避不可な追跡能力。
正に最悪の相性。

それは全て、俺に限っての話だ。



45: 第十九話 :2007/09/15(土) 01:14:16.49 ID:BUS4TnEB0
('A`)「お前らとクーさんには何の因果も無い。単なる店員と客だ」

( ^ω^)「なるほど」

( ゚∀゚)「つまり、直に相対しなければ問題ないと」

('A`)「ああ。お前らにわざわざ近づいて来る事も無いだろうしな」

勝てないなら戦わなければいい。そもそも戦う必要など何処にも無い。
俺らにとっての目的は店員に勝つ事ではなく、エロ本を手に入れる事なのだから。



46: 第十九話 :2007/09/15(土) 01:16:00.01 ID:BUS4TnEB0


〜〜〜


空が、朱色に染まる。
今日という日が終わろうとしている。
俺には、最後に伝えなければならない事があった。

('A`)「お前ら、エロ本を買う時の事を考えると恐いか?」

(;^ω^)「……恐いお」

(;゚∀゚)「……かなり」

こいつらの気持ちは痛いほど分かる。
運が悪けりゃ俺みたいな目に逢うし、ましてやこいつらは初心者だ。



49: 第十九話 :2007/09/15(土) 01:19:05.11 ID:BUS4TnEB0
('A`)「でも、wktk感やときめきもあるだろう?」

( ゚∀゚)「はい」

( ^ω^)「おっおっ」

まだ見ぬ存在への期待。それを知りたいと思う気持ち。
エロ本を開いた時に抱くのは喜びか、それとも失望か。
それは誰にも分からない。

('A`)「なら、恐怖も期待も全部ひっくるめて楽しめ」

( ^ω^)「楽しむ……ですかお?」

( ゚∀゚)「恐怖も、期待も……」



50: 第十九話 :2007/09/15(土) 01:21:05.87 ID:BUS4TnEB0
('A`)「ああ。本を買う行為自体を楽しめるようになれば一人前だ」

エロ本を選ぶ時のときめき。

本をレジに持っていくまでのスリル。

店員とのヒリつくような一瞬の心理戦。

買って家に帰るまでのwktk。

そして、開く瞬間の言葉にならない高揚感。

それら全てを、心から楽しんでほしい。

(;゚∀゚)「俺らに、出来るんでしょうか」

(;^ω^)「難しそうだお」

('A`)「できるさ」

出来るに決まっている。
俺が見込んだコイツらに出来ない訳が無い。

('A`)「それが、俺が伝えたかった最後の一つだ」

受け渡すべき技術は全て見せた。伝えたい言葉は全て伝えた。
もう、こいつらに教える事は何もない。俺の役割は終わったんだ。



51: 第十九話 :2007/09/15(土) 01:23:18.64 ID:BUS4TnEB0
だから、

(’A`)「俺の役目はここでおしまい。ここでサヨナラだ」

そう言い残して俺は走り出した。

(;゚∀゚)「……へっ?」

(;^ω^)「ちょ、師匠、待ってくださいお!」

( A )「いやだね!後は自分らで何とかしやがれ!」

唖然とする二人を置いて全力で走る。
何と言われようとも、俺は振り返るつもりなど毛頭無い。
振り返れるはずがなかった。

(;A;)「弟子にこんな面見せれる訳ねーだろーがよー!」

俺は、最後の最後まで師匠として格好を付けたかったんだ。

第十九話『副題:色々とクシャクシャのガビガビ』糸冬



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