( ^ω^)は18歳になったようです

25: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/19(水) 00:52:56.20 ID:6s7dP0060
第二十二話『長岡』

(  ∀ )「…………」

本屋という空間自体の状況を探り、隙を見出す。
五感――そして第六感と呼ばれる感覚すらフル稼動させての知覚。

(; ∀ )「ぐっ……」

限界以上に思考速度を向上させる。
脳の神経が焼き切れかねない速度での情報整理、統合。



27: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/19(水) 00:54:57.08 ID:6s7dP0060
( ゚∀゚)「――――見えた」

口内での呟きと共に、その眼が鋭く輝き……ジョルジョが、動いた。
彼が脳裏に浮かべるは、初めて見た時の師匠の技。
二度と忘れる事はないだであろう、魂に刻まれた姿。

( ゚∀゚)「一つ――」

呟く彼の手が掴むは、ファッション雑誌『メンズVIP』。
今の流行から脱ヲタファッション、女装の方法まで載っているお得な一冊であるが……

この場合、内容は関係ない。
重要なのはエロ本と同等のサイズであるという事。



28: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/19(水) 00:56:55.53 ID:6s7dP0060
( ゚∀゚)「――二つ」

更に掴まれしは三次のエロ本。
その迷いの無さから、前日より目をつけていたであろう事が予想できる。
 
( ゚∀゚)「三つ――――――さぁ、征こうか」

エロ本を内側に、更には僅かに後方にずらし、2冊を片手で掴む。
その間一秒未満。ここ数日、彼が密かに行っていた自室での特訓が功を奏した瞬間だった。



31: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/19(水) 00:58:45.44 ID:6s7dP0060


その歩み、無人の荒野を行くかの如く。


手に持つ本は、誰にも関心を向けられる事無く。


その存在、限りなく自然体。


それが、ジョルジョ長岡の辿り着いた領域。


本屋という空間を完全に理解し、そこにいる人間の意識をずらす。



32: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/19(水) 01:00:56.43 ID:6s7dP0060
その姿を見た彼の友人は、思わず呟いた。


(  ω )「……本屋を歩む者(Book Store Walker)かお……」


自然と口から零れたその言葉は、最大級の賛辞。


その言葉は後に、ジョルジョ長岡、彼の通り名となる。



35: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/19(水) 01:03:11.07 ID:6s7dP0060
――彼は遂に辿り着いた。
最後の場所、レジへと。

( ゚∀゚)「これを、お願いします」

その言葉と共に、裏返された二冊の本がカウンターの上に置かれる。

(;´・ω・`)「――ッ、ありがとうございます」

店員の目の前には絶妙にずらされた二冊の本。
バーコードを通せるかどうかという範囲がギリギリ露出しているずらし具合。
通るのだろうか、自分はコレを通せるのだろうか。と、店員は思った。

(;´・ω・`)「820円が一点――」

店員は心臓の鼓動が高鳴るのを感じた。
目の前の彼は最高のずらしを見せた。
ならば、こちらも最高の通しを見せねばならない。
この店の店長として、最高の技で応えねばならない。

(;´・ω・`)「そして――」



38: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/19(水) 01:04:58.09 ID:6s7dP0060



小さく、電子音が鳴った。



40: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/19(水) 01:07:16.89 ID:6s7dP0060
(;´・ω・`)「740円が一点。二点で1560円になります」

( ゚∀゚)「丁度で。あと、袋をお願いします」

これは伝説の幕開け。
本屋を歩む者の伝説が、今この瞬間始まったのだ。

第二十二話『副題:厨二病具合が足りない』糸冬



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