( ^ω^)は18歳になったようです
- 41: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/19(水) 01:10:04.36 ID:6s7dP0060
- 第二十三話『内藤』
( ^ω^)「……」
( ゚∀゚)「……」
視線の先にはジョルジョ。
彼の手には店員より渡された紙袋。
彼の目が、ボクに告げる。
ねんがんのエロほんをてにいれたぞ!
と。
- 43: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/19(水) 01:12:34.62 ID:6s7dP0060
- ころしてでもうばいとるのは簡単かもしれない。
だが、それはSFC版のみ訂正現実ではやってはいけない事。
それに、こういう物は自分で買ってこそなのだ。
( ゚∀゚)「見せてもらうぜ、お前のクオリティ」
( ^ω^)「……おっ」
ジョルジョは目的の物を手に入れた。
次は、ボクの番だ。
- 45: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/19(水) 01:14:51.28 ID:6s7dP0060
〜〜〜
(;^ω^)「ぐぅ……」
本を、手に取る。
重い。そして、灼熱を感じる。
それは拒絶。
体ではない。心が本を拒絶しているのだ。
心がそれの危険さを知っているが故に、拒絶し、重さと熱を感じさせているのだ。
- 46: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/19(水) 01:18:04.52 ID:6s7dP0060
- (;^ω^)「この……程度ッ!」
それでも耐え、掴む。
しりのあなの広告を外に向け、足を一歩踏み出す。
ボクには師匠やジョルジョの様な優雅且つ自然な動作は不可能だ。
今この時だけは、不器用すぎる自分の体が呪わしく思えてならない。
だが、
(;^ω^)「全部、自分でやらなきゃダメなんだお」
やらねばならないのだ。
全身全霊を以って。己の限りを尽くして。
道を切り開かねばならないのだ。
頼れる者など存在しない。頼ってはいけない。
何かに縋ろうとした時点で己の身に隙が生まれる。
己の力のみで、レジへと向かわねばならないのだ。
- 48: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/19(水) 01:20:26.39 ID:6s7dP0060
- (;^ω^)「あの角を曲がれば……」
あの角を曲がればレジが見える。
そこからは周りを注意しながら一直線に進めばいい。
曲がり角で鉢合わせさえしなければ特には……
(; ω )「……」
本が、僕の手から離れ、床に落ちる。
裏表紙が上になった幸運を喜ぶべきだろうが、そんな余裕など微塵もなかった。
僕の視線が捕らえたのは入り口脇のレジ。
- 50: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/19(水) 01:22:29.80 ID:6s7dP0060
- そのカウンターの奥で腕を組み、仁王立ちする一人の女性の姿。
それは人鬼。
それは悪夢。
それは最強。
川 ゚ -゚)「……」
それは――――師匠を打ち倒せし天敵。
(; ω )「あ……ぐ……」
膝が震え、脳裏にあの光景がフラッシュバックする。
嫌だ。否だ。厭だ。恐い。怖い。やめてくれ。
このままへたり込みたい。逃げ出したい。
本当に、勘弁してくれ。
- 51: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/19(水) 01:24:29.72 ID:6s7dP0060
- 頭で分かっていても、体は動こうとはしない。
刻み込まれた最大級の恐怖が頭を擡げていた。
(; ω )「ハァッ……ハァッ……」
痛いくらいに鼓動を早める心臓。
自然と荒くなる呼吸。
川 ゚ -゚)「……む?」
(; ω )「――――ッ!」
視線が、重なった。
重なってしまった。
相手は完全にこちらの存在に気付いた。
もう……
- 53: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/19(水) 01:26:08.66 ID:6s7dP0060
- 「すいません、店員さん」
僅かに聞こえた声。
それは、今朝聞いたあの子の声。
川д川「ハウルの動く尻ってありますか?」
川 ゚ -゚)「はい。こちらにお持ちしますので、少々お待ち頂けますか?」
川д川「宜しくお願いします」
川 ゚ -゚)「では……モナーさん、レジの方お願いします」
( ´∀`)「おkモナー」
- 55: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/19(水) 01:28:10.96 ID:6s7dP0060
- 師匠が天敵と呼んだあの女性がレジを離れ、コミックコーナーへと姿を消した。
(;^ω^)「……助かったのか……お……」
ギリギリで踏みとどまった。
絶望的な状況が彼女の手によって覆された。
これが、最初にして最後のチャンスだろう。
だが、レジは遥か先。余りに遠い。
そして、時間が足りない。
普通に走った所で、着いた頃には間違いなくあの店員が戻っている。
- 56: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/19(水) 01:29:56.67 ID:6s7dP0060
- 今のボクが出せる速度では到底足りない。もっと速く。
人類史上最速の人間よりも早く。
草原を駆ける四足獣よりも速く。
天翔ける翼を持つ鳥よりも迅く。
鋼鉄の翼と心臓を持つ機械の鳥よりも更に疾く。
肉を持つ存在の限界を超えなければ到底届きはしない。
ならばアレをやるしかない。
かのヒーローが巨悪との死闘の中で閃いた最終奥義。
己の身を火の鳥と化し、回避不能な速度で突貫するあの技。
それしかない。
だが、ヒーローですらアレを繰り出す為には変身し、身体能力を向上させなければならなかった。
それを、生身で出来るのか?それを、生身で耐え切れるのか?
- 58: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/19(水) 01:32:03.20 ID:6s7dP0060
――やれるッ!
――何も問題は無いッ!
――片手、片目、愚息さえッ!それさえ残っていればッ!
- 59: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/19(水) 01:34:58.38 ID:6s7dP0060
- 本を拾い上げ、そっと瞼を閉じる。
( -ω-)「……ぉ……」
そして、両腕を猛禽類の翼の如く横に広げ、全身の筋肉を限界まで引き絞る。
もっとだ、もっと引き絞り、張り詰めろ我が肉体よ。
人の限界を超えなければ神速の極みに到達する事など出来はしない。
( ^ω^)「……おおおぉ……」
心よ尖れ。鏃の如く。刃の切っ先の如く。万物を穿ち貫く螺旋の如く。
そうでなければ耐えられなどしない。
ボクは全てに耐え、全てを乗り越えなければならないのだ。
- 61: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/19(水) 01:36:57.18 ID:6s7dP0060
(#^ω^)「……おおおおおぉ……」
必要なのは自分という存在を知覚する事の出来ない速度。
百という距離を十に。その十を壱に。その壱を限りなく零に近い存在に縮める速度。
通り過ぎた後、暴風によって“何かが通り過ぎた”と、間接的に存在を知らしめる速度。
(# ω )「おおおおおおぉ―――――」
それは刹那の領域に近づく行為。
それは刹那の領域を超える行為。
それは光る疾風を追い越し―――――混ざり、一つになる行為。
- 63: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/19(水) 01:38:58.54 ID:6s7dP0060
(#゚ω゚)「おおおおおおおおおおおおおおぉ―――――ッ!」
ボクが纏うは真紅の炎ではなく、白色の輝き。
そう、人類の英知の結晶、蛍光灯の煌き。
今この瞬間から、本屋の通路という暗黒を切り裂く閃光となろう。
彼女が作ってくれたチャンスを生かす為に――――
- 66: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/19(水) 01:40:56.41 ID:6s7dP0060
(#゚ω゚)「――――ッ」
――それは、息を吸い込んだ瞬間の事だった。
――かちん。という、引き金が引かれた時の様な、少し間の抜けたな音がした。そんな気がした。
――それは、ひゅん。という、弓が放たれた時の様な音だったかも知れない。
――もしかしたら、ビュッ。という、白濁を放った時の様な音だった可能性もある。
――わからない。
――けど、どれであろうと関係ない。
――音がした瞬間、ボクの体は、その場所に存在しなかったのだから。
- 67: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/19(水) 01:42:55.43 ID:6s7dP0060
□⊂二二二(#゚ω゚)二二⊃「 光 の 翼 ァ ――――――――!」
- 71: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/19(水) 01:45:14.62 ID:6s7dP0060
- 誰も、その姿を捉える事など出来なかった。
誰も、その存在に気付く事など出来なかった。
親友でありライバルであるジョルジョ。
彼の目は、その存在を捉える事が出来なかった。
ただ、
(■、■*川「いやぁん!」
(*<○>∀<○>)O彡゚「パンチラ!乳揺れ!」
巻き起こされた暴風によって女性客のスカートが捲れ、乳が揺れた事。
それで辛うじて存在を感じたのみだった。
- 72: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/19(水) 01:48:02.43 ID:6s7dP0060
- そして、弟子の身を案じ、物陰から見守っていたドクオ。
彼でさえ、気付く事が出来なかった。
そう、
J(*'∀`)し「 死 ね ェ ――――――――ッ!」
(;'A`)「アビゴルッ!」
母親に突き飛ばされ、
□⊂二二二(#゚ω゚)二二⊃「 死 ね ェ ――――――――ッ!」
(メ゚A゚)「ゴトラタンッ!」
その身がブーンに弾き飛ばされたその瞬間でさえ。
- 76: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/19(水) 01:49:54.59 ID:6s7dP0060
内藤ホライゾンことブーン。
彼はその瞬間、光と一体になっていたのだ。
第二十三話『副題: 光 の 翼 ァ ――――――――! 』糸冬
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