( ^ω^)が家庭を売るようです

26: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/25(火) 20:05:53.80 ID:yVfKkUwb0





    第1話 「プギャー:上辺」





27: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/25(火) 20:07:52.82 ID:yVfKkUwb0
VIP小学校は、マンモスには程遠い、一学年40人程度の地方校だ。
校風は「明るく元気よく」、実際学校のイベントは他校よりも多い、月に二回は何かしら行われる。

そういった環境の助勢もあり、プギャーは学年を越え、学校中の人気者となっていた。

一日に一度は他学年から2年生の教室へやって来る。
同じ学校の小学五年生に兄のモナーがいるので、殆どは一・三・四年のいずれかだが。

  「おい、プギャーってのはどいつだ?」

( ^Д^)「何?」

  「おお、マジだテレビで見た通りだ!」

  「まんまだなww」

( ^Д^)「プギャー」




クラスでいつもお呼びがかかるのは自分。
小学校低学年ではそれだけでも十分に誇らしく、まるでヒーローのような扱いを受けていた。



28: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/25(火) 20:09:37.09 ID:yVfKkUwb0
他の学年の人から呼ばれる度に、まるでクラスが自身のためにあるかのように感じた。

何をやってもすごいすごいと、もてはやされた。
教師だって常に彼を持ち上げた。


言うまでも無い、それこそがテレビの力なのだ。
大人ですら子供に媚を売るような真似をする。

プギャーという一人の少年の意見は、さり気なくではあるが、確かに漏らす事無く常に尊重された。


( ^Д^)「プギャー」


そうやって本人は笑っていればいいのだ。

少年自身も気付いていた、自分が大切に扱われている事に。
子供は稀に、大人以上に周りを観察している時がある、純粋な好奇心は何よりも強い。

そして彼は笑っていれば良い事を確信したのだ。
そう、親からも常々そう言われていた。



30: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/25(火) 20:11:30.31 ID:yVfKkUwb0
遊ぶ時だって、常に誘われた。
たまにTVカメラが密着する、それが周りは目的だった。

だからプギャーを誘って、いつも遊んでいた。


  「なぁ、明日はどこで遊ぶ?」

( ^Д^)「僕の家来る?」

ある時ふいにそんな事を言ったが、誰一人と芳しい顔はしなかった。

テレビに映れるチャンスだろ。
実際には言わなかったがそういった気遣いがプギャーにはあったのだが。


遊ぶ時も挨拶よりも早く必ず聞かれた、「今日もテレビカメラは無いのか」、と。


テレビカメラなくして自分は期待されていないのだ。
悲しいながらもその事実を認めるしかなかった。

だから遊ぶ時は、テレビカメラに出来る限り一緒に来て欲しいといつも意見している。
大人たちは威勢の良い返事ばかりで、滅多に言葉どおり彼を密着してくれなどしないが。



31: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/25(火) 20:13:19.70 ID:yVfKkUwb0
( ^Д^)「嫌なの?」

家で直接テレビに映れるチャンスを提案したのにどうして皆が渋るのかが分からなかったのだ。

プギャーを誘うのはテレビが目的なんだ。
だったら確実にテレビのある家に来ればいいだろう、当然の意見だった。

しかし、彼には分からぬ葛藤が皆にはあるようだった。


  「いや、家でずっとカメラで見られるのもな……
  それに、プギャーの家ってあのおっかないカーチャンが居るだろ?
  俺やだーいち抜けたー」

  「俺もー」

  「はい、残りはお前だけー、お前一人で言って来いよー」

  「ええ、僕もヤダよ」

( ^Д^)「プギャー」


子供は自分が主体の時には周りに目配りなんてしない。
プギャーだどれだけ傷ついていようと、どれだけ苦しかろうと関係ない。
子供は無邪気に他人を傷つけていく。



33: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/25(火) 20:15:07.64 ID:yVfKkUwb0
しかし一転、子供は受動となった時には大人の想像を遥かに超える気配りがある。
何気ない大人の言動一つ一つまで、数年後まで脳裏に焼き付けられる。
だからこそ、プギャーは常に笑っているのだ。

ξ ゚听)ξ「プギャー、まだアンタは小さいんだから世間体なんて気にしなくてもいいわよ。
  その代わり、常に笑って、周りを気にしないくらいはしゃぎなさい。
  毎日何か起こらないといけないし、元気のいい子供はテレビ映りもいいだろうし」

だからだ。




  「なぁ、ずっと思ってたんだけどさ」

( ^Д^)「ん?」

  「お前ってテレビと一緒だよな、なんかテレビ見ているみたい。
  一人別の場所いるみたいで、なんていうか楽しくない。
  口数少なくてさ、すげー警戒されてる感じ」

  「あるある、なんか相手の反応をすごくみてるよな」


( ^Д^)



34: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/25(火) 20:16:54.20 ID:yVfKkUwb0





ξ ゚听)ξ「プギャー、まだアンタは小さいんだから世間体なんて気にしなくてもいいわよ。
  その代わり、常に笑って、周りを気にしないくらいはしゃぎなさい。
  毎日何か起こらないといけないし、元気のいい子供はテレビ映りもいいだろうし」










35: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/25(火) 20:18:00.08 ID:yVfKkUwb0

( ^Д^)「ただいま」

ξ ゚听)ξ「ああ、ちょうどいいところに来たわ、プギャー」

( ^Д^)「ん?」

ξ ゚听)ξ「買い物行きましょう、お菓子買ってあげるわよ」

( ^Д^)「うん、行く」



ξ ゚听)ξ「じゃあその辺り回っているから。
  100円くらいのものだからね」

( ^Д^)「うん」



( ^Д^)「……これにする」

ξ ゚听)ξ「また何だか体に悪そうなお菓子ね……いいけど。
  それじゃ、レジ行きましょ。
  荷物持ち手伝いなさいよ、お菓子買ってあげたんだから」

( ^Д^)「うん」



37: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/25(火) 20:19:47.24 ID:yVfKkUwb0

ξ ゚听)ξ「ただいまー」

( ^Д^)「ただいま」

ξ ゚听)ξ「ちゃんと靴そろえなさいよ」

( ^Д^)「分かってるよ」


ξ ゚听)ξ「じゃあ、ご飯作るからちょっと手伝ってよ」

( ^Д^)「え……」

ξ ゚听)ξ「え、って何よ、お菓子買ってあげたんだからそれくらいいいでしょ」

( ^Д^)「……」

ξ ゚听)ξ「なに、いいたい事あるなら言いなさい」

( ^Д^)「……めんどくさい」

ξ ゚听)ξ「じゃあ、お菓子返しなさい」

( ^Д^)「……やだ」

ξ ゚听)ξ「じゃあ手伝いなさい、ほら、机拭いて!」

( ^Д^)「……」



38: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/25(火) 20:21:34.09 ID:yVfKkUwb0

ξ ゚听)ξ「みんな揃ったわね、今日はお父さん遅くなるみたいだから先に食べましょうか」

ξ ゚听)ξ( ^Д^)( ´∀`)川 ゚ -゚)(,,゚Д゚)「いただきまーす」


( ^Д^)「……」

( ´∀`)「……」

(,,゚Д゚)「そういえばさー」

ξ ゚听)ξ「ギコ、口の中に物入れたまましゃべらない!」

(,,゚Д゚)「おお。……で、そういえば今日英語の授業でさ、予定だと小テストあったんだけど俺忘れててさ。
  そしたら先生もテストを忘れてんのwww」

( ^Д^)「……」

( ´∀`)「……」

ξ ゚听)ξ「ギコ、次はテストがあること忘れないようにしないとね」

(,,゚Д゚)「……ああ」


( ^Д^)「あ、今週の『VIPり』の時間だ!」

(,,゚Д゚)「おお、早くテレビつけろよ!」



40: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/25(火) 20:23:17.96 ID:yVfKkUwb0



( ´∀`)「あははー、やっぱり今週もモナが一番初めにアップで映るモナ」

( ^Д^)「チビ兄ばっかずるい、いっつも初めじゃん!
  ぼくもアップで面白い顔しているんだけどなー」

( ´∀`)「もう僕がマスコットモナ」

(,,゚Д゚)「んだよ、『俺とオマエが喧嘩』って事は、お前の泣き顔が映るって事だぜ」

( ^Д^)「プギャー」

( ´∀`)「しっとはみにくいモナ」

(#゚Д゚)「んだと?」

ξ#゚听)ξ「はいはい、あんた達食事は静かに食べなさい、何度言えば分かるの!」

( ^ω^)「まったく、静かに食べれないのかお」

(,,゚Д゚)( ´∀`)( ^Д^)「はーい……」


川 ゚ -゚)「……ほら、こぼすなよ」

(*ノωノ)「あぷー!」



42: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/25(火) 20:25:01.80 ID:yVfKkUwb0

( ^Д^)「プギャー」

(,,゚Д゚)「んだよ、おい!」

ξ ゚听)ξ「こらこらアンタ達、何喧嘩してんの!」

(,,゚Д゚)「なんでプギャーだけお菓子買ってもらってんだよ!」

ξ ゚听)ξ「お兄ちゃんでしょ、弟と喧嘩しない!
  プギャーもプギャーよ、お菓子は皆で分けなさい、あたりまえでしょう?」

( ^Д^)「でも……」

ξ ゚听)ξ「でもじゃないわよ、当たり前じゃないそういう気遣いは。
  あんた達もモナーやクーみたいに手がかからないと助かるんだけどねぇ……」

(,,゚Д゚)「だって、コイツ自分だけお菓子持ってるからって『ぷぎゃー』だなんて笑うんだぜ?
  そりゃ怒るよ」

ξ ゚听)ξ「この子は何にも考えていないからね。
  笑ってればいいだなんて思っているのよ、他人を思いやる事も出来ずに。
  本当人をバカにするばっかりでこの子は」


( ^Д^)「……うそつき」

ξ ゚听)ξ「え? なんだって?」



44: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/25(火) 20:26:05.97 ID:yVfKkUwb0





(#^Д^)「うそつき、カーチャンのうそつきッ!!」









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