( ^ω^)が家庭を売るようです

45: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/25(火) 20:27:10.05 ID:yVfKkUwb0





    第2話 「モナー:馬鹿」





47: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/25(火) 20:28:54.72 ID:yVfKkUwb0
総人数が然程多くないために、学校には学年ごとに一クラスしか存在しない。
彼はもともとクラスの盛り上げ役的存在であり、ムードメーカーだった。

月に二回はある数々の学校行事を、常に中心の一人となって躍起に頑張っていた。
だからこそ友達も人一倍多い、信頼も厚い。


( ´∀`)「えっと、それで今週末のイベントの『球技大会』だけど、あと3人足りないモナ」


  「モナー、お前がやれば後二人だぜ?」


( ´∀`)「うん、僕はやるモナ、だから後二人でいいモナ」


クラス代表も推薦で選ばれ、回りへの気遣いも十分。


いつから、どうしてこうなってしまったんだろうか。
彼以外が答えを知っているわけが無い。


( ´∀`)「それじゃ、今回の話し合いはこれで終わりにするモナ」



48: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/25(火) 20:30:39.73 ID:yVfKkUwb0
  「モナー、ご苦労様ー」

彼を冗談交じりに肩や頭をポカポカと叩く。
どうしてこうも遠慮を知らない人間が多いのだろうと考えるも、彼は悪態をつくことなど無い。

本来は違った。

もともとからムードメーカーだった、しかしもっと方向性が違った。

小学生らしく、軽く叩かれたら叩き返して。
嫌だったら止めろよと言って腕を払いのけて。
厄介事があったら友達と押し付け合いながら、笑って、結局供に痛みわけになって。

クラス代表なんて器じゃなかった。
むしろクラス代表のお株を奪うくらいはしゃいでいるのが彼だった。


( ´∀`)「ありがとうだモナ」


いつからこんな笑顔が顔に張り付いてしまったのか、彼をこうも堕落させたのか。
どうして何一つと思いの丈を言葉として発せられなくなったのか。



50: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/25(火) 20:32:24.36 ID:yVfKkUwb0
別に虐められているわけじゃない、しかし分かる。
周りから自分は良いように使われているということが。
断れない、反抗しないのをいい事に、周りが調子に乗っている事に。

  「なんてったってテレビのマスコットキャラだしなwww」

  「ぽっちゃりがキモ可愛いってwwww」

( ´∀`)「キモは余計だモナ」

  「はは、そんな所がキモ可愛いー」


今からでは到底想像できないだろうが、彼らはもともと対等に遊んでいた。
文句も言えば、嫌だったなら気兼ねなくそれを表情に出していた。


変わったのは、モナーがTVに出だしてからだ。

初めの頃は持ち上げてくれていたが、いつからだろうか。
一ヶ月もすればあからさまな線引きが存在していた。

嫉妬だろう、そして何よりもモナー自身が変わってしまった事がいけないかった。



51: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/25(火) 20:34:07.03 ID:yVfKkUwb0
子供は正直だ。
反抗しながらもどこかで大人というものを敬い、大人に憧れる傾向がある。
自分も一人前になりたいという意識の現われだろう。

ξ ゚听)ξ「問題は絶対に起こしちゃ駄目だからね、家は当然、学校でも。
  他人を思い遣って、友達にバカとかそういった言葉を絶対に言っちゃいけないから。
  そんな言葉使ったら、もう暮らしていけなくなるんだからね」

子供でも、追い詰められれば想像以上に素直になるものだ、それは彼自身が証明していた。
それまでのはっちゃけた様子から劇的な変貌を遂げた。

彼は、家庭の暮らしのために、他人の悪口一つ漏らさずに常に余所行きの人間を作り上げていた。


それが気に食わなかったんだろう。

今までのように接しなくなった、TVの中の存在に成り下がった彼を、友達たちは許せなかったんだろう。

いきなりいい子ちゃんになった彼へ、友達は線引きしたのだろう。


  「モナーってさ、なんていうか人形みたいだよな」

  「わかる、何考えているか分からなくてなんか不気味だわ、かかわり難い」


( ´∀`)



53: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/25(火) 20:35:16.97 ID:yVfKkUwb0





ξ ゚听)ξ「問題は絶対に起こしちゃ駄目だからね、家は当然、学校でも。
  他人を思い遣って、友達にバカとかそういった言葉を絶対に言っちゃいけないから。
  そんな言葉使ったら、もう暮らしていけなくなるんだからね」










54: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/25(火) 20:36:25.11 ID:yVfKkUwb0

川 ゚ -゚)「母さん、そう言えばテストが帰ってきたんだ」

( ´∀`)「あ、僕もモナ」

ξ ゚听)ξ「二人は偉いわね、他と違ってテストも隠さないし、賢いし」

川 ゚ -゚)「そうでもないが」

( ´∀`)「ありがとうだモナ、うれしいモナ」

ξ ゚听)ξ「ほら、クーも正直に喜びなさい」

川 ゚ -゚)「これでも喜んでいるんだ」



ξ ゚听)ξ「どれどれ……あら、クーは92点、いいじゃないの」

川 ゚ -゚)「ああ、クラスでも上位だ」

ξ ゚听)ξ「それで、モナーは85点か……ちゃんと見直ししたの?
  こことかケアレスミスじゃない?」

( ´∀`)「でも、姉ちゃんと変わらないくらいだモナ」

ξ ゚听)ξ「あのねぇ、バカみたいに中学校と小学校を普通に比べちゃ駄目よ」



57: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/25(火) 20:38:10.51 ID:yVfKkUwb0

( ´∀`)「カーチャン、テストの見直し終わったモナ」

ξ ゚听)ξ「あらそう、ちょうど良かったわ。
  トイレ行って来るからその間お鍋見ててくれない」

( ´∀`)「分かったモナ」



ξ ゚听)ξ「お待たせ、大丈夫だった?」

( ´∀`)「特に何も無かったモナ」

ξ ゚听)ξ「じゃあ、私がもうお鍋見るから、机拭いて食器並べておいて」

( ´∀`)「……。分かったモナ」

ξ ゚听)ξ「いいわね、モナーは文句一つ言わなくて。助かるわ」

( ´∀`)「別に文句も無いモナ」

ξ ゚听)ξ「そういってもらえると嬉しいわ、ついでに洗い物も頼んでいい?」

( ´∀`)「うん、分かったモナ」



63: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/25(火) 20:39:54.33 ID:yVfKkUwb0

( ^ω^)「ただいまー」

(,,゚Д゚)「あ、来た来た、早くご飯にしよーぜ!」

( ^ω^)「おお、待っててくれたのか助かるお」



ξ ゚听)ξ( ^ω^)( ^Д^)(,,゚Д゚)川 ゚ -゚)( ^Д^)「いただきまーす」

( ^ω^)「今日は肉じゃがが美味そうだお」

ξ ゚听)ξ「ジャガイモはモナーが切ったのよ」

( ^ω^)「ああ、だからちょっといびつなのかおww」

ξ ゚听)ξ「今度からも切るのは積極的に手伝わせるわ。
  大丈夫、すぐに上達するんだから」

( ´∀`)「……うん」



川 ゚ -゚)「……ほら、こぼすなよ」

(*ノωノ)「あぷー!」



65: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/25(火) 20:42:04.40 ID:yVfKkUwb0

ξ ゚听)ξ「そう言えば今日はクーとモナーがテスト持ってきたわよ。
  相変わらずクーはいい点数、モナーは今回はダメだったわ」

( ^ω^)「まぁいいお、そんな日もあるお」

ξ ゚听)ξ「まぁねぇ……そう言えばギコ、昨日言っていた英語のテスト、今日あったんでしょう?」

(,,゚Д゚)「お、おう……ぼちぼち出来たぜ? 週末に返却だってさ」

ξ ゚听)ξ「まったく、アンタのぼちぼちはアテにならないわ」

(,,゚Д゚)「半分くらいかな」

ξ ゚听)ξ「このバカ、全然ダメじゃないの。
  モナーもこの春までは何にも出来ないバカだったけど、頑張ったらここまで出来るんだから。
  アンタももっと頑張りなさい」

(,,゚Д゚)「中学校のテストと小学校のテスト一緒にされてもな……」

ξ ゚听)ξ「一緒に決まってるでしょ、テストなんだから。ほんとアンタどうしようもないバカね」

(,,゚Д゚)「英語なんて人生に必要ねーよ」

ξ ゚听)ξ「クーも何か言ってやりなさい」

川 ゚ -゚)「別に」

ξ ゚听)ξ「はぁ、本当アンタもモナー見習いなさいよ、いっつも笑顔で喜んで手伝ってくれるのに」



68: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/25(火) 20:43:52.42 ID:yVfKkUwb0
ξ ゚听)ξ「ねぇモナー、洗濯物干すの手伝って」

( ´∀`)「いいモナよ」

ξ ゚听)ξ「本当母さん助かるわ、皆アンタ位聞き分け言いといいんだけどね。
  他人も思いやれないバカなんだから」

( ´∀`)「……」

ξ ゚听)ξ「人が嫌がることをそうやって喜んでやれるのは大事だから。そう言えばモナー、明日暇?」

( ´∀`)「明日は友達と遊ぶモナ」

ξ ゚听)ξ「それは明後日に変えて、ちょっと明日は付き合って。
  明日は婦人会でちょっと出なきゃいけない――」


(#´∀`)「いやモナッ!!」

ξ ゚听)ξ「は? 何言ってんのアンタ、バカじゃなんだから。
  別に遊ぶななんていってないでしょ、日付を変えろって言ってるだk」

(#´∀`)「笑っていたら他人から使われていっつも損するばっかりだモナ!
  勝手に喜ぶとか楽しんでいるとか、別にやりたくてハイハイ言っているんじゃないモナ!
  他人を思い遣れないのは誰でもないカーチャンだモナ!」

ξ ゚听)ξ「何言ってるのモナー、分かってるから、そんなバカみたいな事言わずちょっと落ち着きましょう?」

(#´∀`)「文句も言えずに使われるばっかりはもう嫌だモナ、辛いモナ!
  それで人をいつもバカにしているのは他でもない、カーチャンだモナ!」



71: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/25(火) 20:45:17.21 ID:yVfKkUwb0





(#´∀`)「カーチャンの、うそつき!」










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