( ^ω^)ブーンは砂漠に生きるようです
- 4: ◆ExcednhXC2 :2007/10/20(土) 23:31:00.16 ID:oC3VNb8/0
第五話「荒くれのギコ現る」
激しい砂嵐に巻き込まれ、建物の破片や人間までもが空を舞っていた。
一つ、また一つと紙くずのように吹き飛ばされ、ゴミのように潰され、目の前で死んでいく人々。
必死で逃げ惑う中、幼い少年は恐怖に震え泣き叫んでいた。
『ブーン。ツンを連れて逃げなさい』
『グスッ……いやだお! 父ちゃんと一緒にいるお!』
『大丈夫。父ちゃんも母ちゃんもあの化け物を倒したら、すぐに追いかけるから。
ブーンは男の子だろ? ほら、勇気を出して』
『ヒクッ……約束だお! 絶対、迎えに来てお!』
無精ひげを生やした男は、少年の頭を撫でる。
その光景を悲しい瞳で見つめていた女の人が、男の肩を軽く叩き、促した。
- 7: ◆ExcednhXC2 :2007/10/20(土) 23:34:00.19 ID:oC3VNb8/0
- 『さあ、行くんだブーン。いつまでも泣きべそをかいてる暇は無いぞ。
お前がツンを守るんだ』
『……わかったお! ツン、行くお!』
少年は少女の手を掴み、砂の海へと走っていく。
その小さな背中を見送ると、二人の男女は覚悟を決めて前を向いた。
『君は一緒に逃げなくていいのか?』
『ええ。私はここに残ると決めたんです。あなた一人じゃ、あの化け物は止められないでしょう?』
『……すまない』
- 8: ◆ExcednhXC2 :2007/10/20(土) 23:34:55.42 ID:oC3VNb8/0
地面が大きく揺れる。
伝わってくる振動が徐々に大きくなり、やがて砂嵐の中に巨大な影が見えた。
『随分な姿になっちまってよぉ……。安心しろ、すぐに目を覚まさせてやる』
雄たけびをあげ、大木のような腕を振りかぶる化け物。
二人の男女は、互いに手を掴み、はちきれんばかりの声量で叫んだ。
『エクシ――――ド!!』
- 13: ◆ExcednhXC2 :2007/10/20(土) 23:40:33.15 ID:oC3VNb8/0
※
雲ひとつ無い快晴。
灼熱の太陽は、砂漠にいる者に容赦なく照りつける。
岩石が立ち並ぶその場所に、少年と少女はいた。
(#^ω^)「おぉぉっ!!」
ξ゚听)ξ「っ!」
腰の入った右ストレートが、ツンの顔面目掛けて振るわれる。
完全にガードの下がったツンの目前で、その拳は止まった。
- 14: ◆ExcednhXC2 :2007/10/20(土) 23:44:28.37 ID:oC3VNb8/0
('、`*川「そこまでっ!」
( ^ω^)「よし、今日は僕の勝ちだお!」
ξ;゚听)ξ「くっ……反応できなかった……」
( ^ω^)「久々にデザートが食べられるお! 今日は何だお? おっお〜」
嬉しそうにはしゃぐブーン。
その隣で、ツンは全く逆の表情を浮かべながら一人落ち込んでいた。
('、`*川「それにしても、ブーンはだいぶ強くなったね。
そろそろ教えることも無くなってきたかな?」
(;^ω^)「そんなこと無いですお。まだまだ僕は弱っちいですお!」
ξ#゚听)ξ「ちょっと、その言い方だとブーンに負けた私が凄い弱いみたいじゃない」
(;^ω^)「ち、違うお! そうじゃなくて、僕自身の弱さって言うか……ええっと」
- 15: ◆ExcednhXC2 :2007/10/20(土) 23:47:18.40 ID:oC3VNb8/0
あたふたしながら、必死で弁解するブーン。
負けん気の強いツンは、納得できないのか「もう一勝負!」と騒ぎ立てている。
('、`*川「はいはい、喧嘩の続きはご飯を食べてからにしましょう」
(;^ω^)「おっお。じゃあ僕は先にバーボンハウスにいってるお――!」
ξ#゚听)ξ「ちょっと、まだ話は終わってな……逃げるな――!」
手を横に広げ、一目散に逃げるブーン。
それを追いかけるツンの姿を、ペニサスは微笑みながら見つめる。
('、`*川「ふぅ、今日も平和で何よりね」
何でもない日々の繰り返しを、人は平和と呼ぶのだろう。
多少の変化はあるけれど、平穏で穏やかに流れる時間。
いつまでもこの日々が続くといいな。
どこまでも続く蒼い空を見上げ、ペニサスはそう思った。
- 17: ◆ExcednhXC2 :2007/10/20(土) 23:51:13.33 ID:oC3VNb8/0
( ^ω^)「ただいまだお――!」
バーボンハウスのドアを勢い良く開けるブーン。
店内に入ると、美味しそうな匂いがブーンの鼻と食欲を刺激した。
(´・ω・`)「おかえり、ブーン」
( ^ω^)「いいにおいだお! ショボンさん、今日のご飯はなんだお!?」
(´・ω・`)b「ふふふ、今日は上質な肉を使った乾き肉とサラダさ」
(;^ω^)「おおお! お肉久しぶりだお!」
(´・ω・`)「昨日の売り上げは凄かったからね。ちょっと奮発してみたのさ」
ショボンは器に肉と野菜を添えて、テーブルに並べる。
しゃきしゃきとした野菜と、かりっとした肉のコラボレーション。
質素な暮らしをしているブーン達にとって、それは久々のご馳走であった。
- 18: ◆ExcednhXC2 :2007/10/20(土) 23:53:45.67 ID:oC3VNb8/0
(´・ω・`)「おっと、まだ食べちゃ駄目だよ。ツンとペニサスが帰ってきてからな」
(;^ω^)「あうっ……はーいだお」
席に座り、肉を取ろうとしたブーンの手が止まる。
せめて香りだけでも楽しもうと、鼻を近づけ思い切り息を吸い込む。
余計に空腹感が増した。
( ^ω^)「……」
(´・ω・`)「……」
( ^ω^)(ちょっとだけ……)
(´・ω・`)「つまみ食いしたらぶち殺すぞ」
(;^ω^)「あうあう」
- 19: ◆ExcednhXC2 :2007/10/20(土) 23:56:13.48 ID:oC3VNb8/0
ξ゚听)ξ「ただいまー。ん、何かいい匂い」
('、`*川「ただいま、ショボンさん」
(´・ω・`)「二人ともおかえり。ご飯出来てるよ」
手を出したり引っ込めたりを繰り返していると、
ツンとペニサスがバーボンハウスへと帰還した。
- 21: ◆ExcednhXC2 :2007/10/20(土) 23:58:21.98 ID:oC3VNb8/0
( ^ω^)「二人とも遅いおー。お肉を前にお預けは拷問だお」
ξ゚听)ξ「ブーンが一人でさっさと帰るからでしょ。
ったく、もう少し協調性ってもんを持ちなさいよ」
( ^ω^)「キョーチョーセイ?」
('、`*川「うーんと、皆と歩調をあわせましょうって意味かな。
ブーンは一人で突っ走るとこがあるからね」
( ^ω^)「おっお。これから気をつけるお。ショボンさん、もう食べていいですかお!?」
ξ;゚听)ξ「あんた絶対意味わかってないでしょ……」
ツンの小言など聞こえておらず、もはや目の前の肉にしか興味がないブーン。
木製の箸を右手に持ち、いつでも食べられる体勢で号令を待つ。
- 24: ◆ExcednhXC2 :2007/10/21(日) 00:05:17.36 ID:dhDnlGzs0
(´・ω・`)「じゃあ、全員揃ったことだし食べようか」
( ^ω^)「ktkr!」
(´・ω・`)「それじゃ、いただきます」
( ^ω^)「いただきま――」
ブーンの箸が肉に触れるか否かの寸前。
( ,,゚Д゚)「ゴラァァァァ!!!!」
( ^ω^)「――――す?」
地響きのような大声が店内に鳴り響く。
肉を乗せた皿は轟音と共に吹き飛び、同時に木製テーブルが音を立てて崩壊した。
行き先を失ったブーンの箸が、むなしく空気を掴む。
- 26: ◆ExcednhXC2 :2007/10/21(日) 00:09:59.80 ID:dhDnlGzs0
( ;ω;)「No――――!!!」
寸前で極上の楽しみを奪われ、絶叫するブーン。
ショックのあまり、その場に膝をついて砂塗れの肉を見つめる。
( ,,゚Д゚)「勝手にお邪魔するぜ」
( ´_ゝ`)「するぜ! お、うまそーな肉」
(´<_` )「兄者。拾い食いは健康に悪いぞ」
粉塵の中から姿を現したのは三人の男だった。
破壊した扉やテーブルを蹴散らしながら、我が物顔で店内へと入ってくる。
- 30: ◆ExcednhXC2 :2007/10/21(日) 00:14:36.54 ID:dhDnlGzs0
ξ;゚听)ξ「さ、流石兄弟!?」
( ´_ゝ`)「ツンちゃーん、やっほー!
お兄ちゃんのこと覚えててくれて嬉しいよぅ……」
(´<_` )「兄者、ロリコン自重しろ」
その内の二人……肉を口に頬張りながら話す兄者と、それを咎める弟者を見て
ツンは声をあげながら指差した。
ξ;゚听)ξ「なんでここに!? ロマネスク保安官に捕まったハズじゃ……」
( ´_ゝ`)「あのおっさんは9時にはもう寝てるからな。
簡単に脱獄……いや、脱縄させてもらったでござる」
(´<_` )「兄者の影の薄さも捨てた物ではないな。
戦闘不能にしておきながら、捕獲し忘れるとは愚かの極み」
( ´_ゝ`)「影? 影がどうかしたのか弟者。影分身か? ニンニン」
- 36: ◆ExcednhXC2 :2007/10/21(日) 00:22:46.23 ID:dhDnlGzs0
( ,,゚Д゚)「んな事ぁどうでもいい!!
おい、風を使うナチュラリストってのはどいつだ? 前に出ろや!」
威圧感のある声。
その迫力に、ふざけていた流石兄弟も押し黙り真面目な表情を浮かべる。
ξ゚听)ξ「風を使う……!?」
( ,,゚Д゚)「おい!! シカトこいてんじゃねえぞ手前ら!!
さっさと答えろ、十秒以内に答えられないようなら、一人一人潰すぞゴラァ!」
- 37: ◆ExcednhXC2 :2007/10/21(日) 00:25:01.56 ID:dhDnlGzs0
( ;ω;)「おっお……僕のお肉が〜
お肉が土に塗れてしまったお〜」
ξ゚听)ξ「ブーン、泣くのは後にして!」
( ;ω;)「ぐすっ……わかったお。お肉の敵は絶対にとってやるお!
お前ら、お肉の代金はきっちり弁償してもらうお!」
ビシッと指を差し、なんとも情けない宣言をするブーン。
涙を拭い、顔の前に拳を構え戦闘態勢に入る。
しかし、ブーン達より一歩前に出る影が一つ。
(´・ω・`)「ブーン、後ろに下がってなさい」
( ,,゚Д゚)「フン、てめえが風を使うナチュラリストか。
兄弟が世話になったみたいでよ。倍返しに来てやったぞゴラァ!」
ショボンの胸倉を掴み、睨み付けるギコ。
しかし、威圧感のあるギコを目の前にしても、ショボンは冷静な瞳で睨み返した。
- 38: ◆ExcednhXC2 :2007/10/21(日) 00:27:17.73 ID:dhDnlGzs0
- (´・ω・`)「悪いけど、出てってくれないか。逆恨みに付き合ってるほど暇じゃないんだ」
( ,,゚Д゚)「ほう? そう言われて、はいそうですかって引き下がれると思ってんのか?」
胸倉を掴むギコの手に力が入る。
苦しそうな表情を浮かべ、しかしそれでも目を離さないショボン。
互いの目に映っているのは怒りという感情。
ピリピリと張り詰めた空気が、バーボンハウス内を包み込む。
( ,,゚Д゚)「可愛くねえし自分のケツも拭けねぇ奴らだが、俺にとっちゃあ大事な弟分なんでね。
きっちりケジメはつけさせてもらうぜ」
- 41: ◆ExcednhXC2 :2007/10/21(日) 00:28:42.45 ID:dhDnlGzs0
(´・ω・`)「こっちだって……!!」
( ,,゚Д゚)「ぬっ!」
(´・ω・`)「こっちだって……僕の家族に危害を加えるつもりなら……
家族に手を出そうってんなら、容赦はしない」
ショボンはその太い腕で、ギコの胸倉を掴み返す。
いつもの温和な表情からは想像も出来ない殺気が、彼の声には込められていた。
ぶつかり合う二人の殺気に、店内にいる全員がその迫力に押され、口を開けなかった。
ただ一人を除いて。
( ´_ゝ`)「あの、親分」
( ,,゚Д゚)「……なんだ」
( ´_ゝ`)「風使いはそいつじゃないっす」
( ,,゚Д゚)「何ぃ!?」
( ´_ゝ`)「あいつですよ、あいつ」
- 42: ◆ExcednhXC2 :2007/10/21(日) 00:31:45.58 ID:dhDnlGzs0
( ^ω^)「おっお」
( ,,゚Д゚)「……ほんと?」
( ´_ゝ`)「おっすおっす」
ギコはショボンの胸倉を掴んでいた手を離し、兄者の元へと向かう。
店内には足音だけが鳴り響き、そして
( ,,゚Д゚)「この馬鹿野郎――!!」
(;´_ゝ`)「ぶほぉっ!!」
ギコの拳が、兄者の頬目掛けて振るわれた。
( ,,゚Д゚)「俺に恥をかかせんじゃねえ!
例えるなら、誰もいないだろうと思って鼻歌を歌っていたら
後ろから歩いてきた人に鼻で笑われるくらい恥ずかしいぞゴラァ!!」
(;´_ゝ`)「す、すいませんでした!!」
- 43: ◆ExcednhXC2 :2007/10/21(日) 00:33:02.38 ID:dhDnlGzs0
ギコに向かい、必死に頭を下げる兄者。
その様子を見ながら、そっとペニサスは店の出口へと向かう。
('、`*川(この隙にロマネスク保安官を……!)
(´<_` )「おっと、どこへ行くのかな?」
('、`*川「っ!」
瞬間、長い木刀がペニサスの喉に突きつけられた。
その刀の主は、内輪もめをしている兄者達の後ろでひっそりと佇んでいた弟者だ。
(´<_` )「勝手に動かないで貰おうか。
大方、ロマネスクでも呼びに行こうとしたんだろう?」
('、`*川「くっ……」
思惑はいとも簡単に見透かされる。
あの二人を見ていて、行けると思ったのだが思わぬ伏兵がここに潜んでいた。
- 44: ◆ExcednhXC2 :2007/10/21(日) 00:35:02.74 ID:dhDnlGzs0
( ,,゚Д゚)「さて、小僧」
(#^ω^)「む……僕は小僧じゃないお。ブーンだお!」
( ,,゚Д゚)「フン。弟分達が受けた借り、倍にして返させてもらうぞ」
(#^ω^)「望む所だお! 肉の恨みを思い知るお!」
ξ;゚听)ξ「ブーン……。その台詞、凄くかっこ悪いんだけど」
頭二つほど背丈の違う二人が睨み合う。
ブーンは下から睨み上げ、ギコはそれを上から見下ろす。
体の底が熱い。
闘争心というものだろうか。
負けたくないという強い想いが、ブーンの心に湧き上る。
- 47: ◆ExcednhXC2 :2007/10/21(日) 00:39:26.06 ID:dhDnlGzs0
( ,,゚Д゚)「小僧、俺と一対一の決闘をしろ!!」
(#^ω^)「決闘? 上等だおっ! やってやるお!」
互いに額をぶつけ合い、即決で決闘を承諾するブーン。
考えるよりも口が先に動いたのは、恐らく男の本能がそう判断したのだろう。
('、`;川「決闘ですって!?」
(´<_` )「揉め事は一対一の決闘で。これがウチの親分のやり方だ。
文句は言わせない」
('、`;川「くっ……!」
- 48: ◆ExcednhXC2 :2007/10/21(日) 00:41:15.34 ID:dhDnlGzs0
( ,,゚Д゚)「男に二言は無いな?」
( ^ω^)「無いお!」
( ,,゚Д゚)「……いい覚悟だ。ついて来い!」
荒ぶる声を響かせながら、ギコは壊れたドアを蹴り開け外に出る。
ブーンもその背中を追い、店の外へ出ようとした。
(;´・ω・`)「無茶だ、ブーンはまだ子供なんだぞ!?」
( ^ω^)「ショボンさん……」
(;´・ω・`)「決闘なら僕がやる!
だからブーンには手を出さないでくれ!」
( ,,゚Д゚)「俺が借りを返したいのは兄者をぶん殴った小僧本人だ。
てめぇに用はねえよ」
(;´・ω・`)「くっ……」
- 50: ◆ExcednhXC2 :2007/10/21(日) 00:44:56.32 ID:dhDnlGzs0
( ^ω^)「ショボンさん、大丈夫ですお。
僕はナチュラリストだし、毎日鍛えてるお」
(´・ω・`)「しかしっ……!」
( ^ω^)b「僕を信じて欲しいお!
盗賊なんてフルボッコにして、二度と僕らの前に現れないようにしてやるお!」
ブーンの目を真っ直ぐに見つめるショボン。
少年の瞳に映るのは、揺ぎ無い闘志とプライド。
何を言っても無駄だと悟ったのか、ショボンは静かに頷いた。
( ,,゚Д゚)「よし、行くぞてめぇら!」
( ´_ゝ`)(´<_` )「オス!!」
外に出ると、強烈な日差しが彼らを照りつけた。
ペニサスとツンを見張るように、流石兄弟が両隣を歩き、
先頭を歩くギコの後ろには、ブーンとショボンが一定の距離を保って歩く。
- 51: ◆ExcednhXC2 :2007/10/21(日) 00:47:02.70 ID:dhDnlGzs0
(´<_` )「小娘。以前受けた屈辱、きっちりと返させてもらう。
風使いの次はお前の番だ」
ξ゚听)ξ「本人直々にリベンジとは意外ね。親分とやらに泣きつくのかと思った。
また悶絶したいならお好きにどうぞ?」
(´<_` )「フン。生意気な……」
(*´_ゝ`)「ツンちゃんの睨む目つき、たまらん……ウッ!」
ξ;゚听)ξ「うわっ……鳥肌立った」
(´<_`;)「流石の俺もそれは引くぞ、兄者」
- 54: ◆ExcednhXC2 :2007/10/21(日) 00:52:45.90 ID:dhDnlGzs0
(*´_ゝ`)「ウッ……ドMな俺にはたまらんぞぉい!
みなぎってきたぁ!」
小刻みに腰を振り始める兄者。
気持ち悪い。
(´<_`;)「落ち着け兄者。せっかくの決闘モードが台無しだぞ」
(*´_ゝ`)「ツンちゃんと一緒にエクスタシーしたいぞぉぉ! ふんふん!」
ξ;゚听)ξ「変態……もう嫌――!」
(*´_ゝ`)「鬼ごっこか? それともかけっこか!?
浜辺で捕まえて御覧なさいみたいなノリなのか!?
よーし、お兄さん追いかけちゃうぞ――!」
変態から逃げるツン。
それを追いかける兄者。
さらに、それを必死で止めようとする弟者。
全力で砂漠を駆ける三人の姿は、さっきまでの雰囲気とは打って変わって滑稽であった。
- 55: ◆ExcednhXC2 :2007/10/21(日) 00:54:39.28 ID:dhDnlGzs0
('、`*川(この隙に……)
ペニサスはそっと踵を返し、逆方向へと走り出した。
('、`*川(決闘なんて危険過ぎる……!
こんな時、頼りになるのはロマネスク保安官しかいない!)
走り去るペニサスに誰一人として気付く者はいなかった。
何故なら、照りつける太陽の下、興奮した兄者が服を脱ぎ始めたのである。
- 57: ◆ExcednhXC2 :2007/10/21(日) 00:56:48.92 ID:dhDnlGzs0
前を歩いていたギコも流石に見かねて、既に腰巻一丁の兄者を殴り飛ばす。
( ,,゚Д゚)「馬鹿野郎――――!!!!」
(;´_ゝ`)「ぐえっ!」
( ,,゚Д゚)「男なら、拳で口説け、マイハート……。
てめぇも一端の男なら、拳で恋を勝ち取りやがれ!!」
(;´_ゝ`)「親分……!!」
ξ;゚听)ξ「ごめん、意味がわからないんだけど」
- 58: ◆ExcednhXC2 :2007/10/21(日) 01:00:38.52 ID:dhDnlGzs0
( ´_ゝ`)「俺、間違ってたよ……男にとって大切なのは拳だったんだ!
よし、俺はこれから拳一本でのし上がってみせる! 俺達の冒険はこれからだ!」
(´<_`;)「兄者、打ち切り自重しろ」
そんな騒ぎを、冷ややかに見つめる視線が二つ。
( ^ω^)「あの人達は何がしたいんだお?」
(´・ω・`)「……さあ」
ブーンの頭に一筋の考えが過ぎる。
……もしかして、あいつら凄く馬鹿なんじゃないだろうか。
ブーンは勝手に盛り上がっている盗賊団を見つめ、呆れまじりのため息を吐いた。
第五話 終わり
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