( ^ω^)ブーンは砂漠に生きるようです
- 3: ◆ExcednhXC2 :2007/10/23(火) 00:08:13.08 ID:/eS2mpRz0
第六話「砂漠の決闘」
バーボンハウスから、やや南東にある砂漠地帯。
強烈な熱気が地面から沸きあがり、見渡す限りの砂の海に二つの対立する人影があった。
( ,,゚Д゚)「ここら辺なら邪魔は入らないだろう。
小僧、覚悟はいいか?」
( ^ω^)「それはこっちの台詞だお!」
( ,,゚Д゚)「ギコハハハハ! 威勢のいい奴だ!
そう言う心意気のある餓鬼は嫌いじゃねえぜ!」
口を大きく開けて笑うギコ。
ひときしり笑い終えると、硬く握られた拳を前方に突き出した。
- 4: ◆ExcednhXC2 :2007/10/23(火) 00:09:24.42 ID:/eS2mpRz0
( ,,゚Д゚)「お喋りは終わりだ。
それじゃ、始めようぜ……風使いの小僧――――!」
(#^ω^)「おぉっ!」
腰を落とし、戦闘態勢に入るブーン。
それと同時に、二人の声が広大な砂の海に響き渡った。
(#^ω^)( ,,゚Д゚)「「エクシ――――ド!!」」
- 9: ◆ExcednhXC2 :2007/10/23(火) 00:10:57.34 ID:/eS2mpRz0
二人の体が輝き、互いにエクシード状態へと変化する。
どこからか吹き始めた激しい風が、意思を持ったようにブーンの体に纏った。
( ´_ゝ`)「おやぶーん、頑張ってくださいねー!」
(´<_` )「……ほう。あれが風を使う能力か」
対立する二人を遠くから眺ているのは、流石兄弟だ。
その横では、ショボンとツンが固唾を呑んで戦況を見守っている。
ξ゚听)ξ「エクシード……!? ってことは、あの男もナチュラリストなのね」
(´<_` )「いかにも。ギコの親分はナチュラリストだ。
それも……相当な強さのな」
- 11: ◆ExcednhXC2 :2007/10/23(火) 00:13:45.19 ID:/eS2mpRz0
( ,,゚Д゚)「かかってこい小僧!!」
( ^ω^)「行くお!」
その一言を期に、状況が動いた。
風を足に纏い、ブーンは高速で距離を詰める。
対し、ギコはその場で構えもせず立ったまま動かない。
勢いをそのまま乗せたブーンの突きが、ギコの顔面目掛けて振るわれた。
(;^ω^)「おっ!?」
拳に反動が走る。
だが、その感触に違和感を感じるブーン。
(;^ω^)「硬いッ……!?」
- 12: ◆ExcednhXC2 :2007/10/23(火) 00:16:29.62 ID:/eS2mpRz0
( ,,゚Д゚)「いい拳を持ってるじゃねえか……」
振るわれた拳は、確かにギコの顔面を捉えた。
しかし、それは彼の肌まで到達していない。
一瞬でギコの頭部全体に展開した、茶色い兜のような物に防がれたのだ。
(;^ω^)「いつの間に……!」
( ,,゚Д゚)「次は俺の番だ。歯ぁ食いしばれ小僧――!!」
ブーンが呆気に取られてる間に、ギコは横殴りなフックを放つ。
我に返り、咄嗟に右手で防ぐブーン。
衝撃音と共に、強烈な痛みが右手に走る。
- 13: ◆ExcednhXC2 :2007/10/23(火) 00:19:24.51 ID:/eS2mpRz0
(;^ω^)「グゥゥッ!」
( ,,゚Д゚)「っしゃぁ!!」
ガードの上から、拳を強引に打ち抜くギコ。
その威力に押され、ブーンの体はされるがままに吹っ飛んだ。
地面に手を着き側転。
一回転し、攻撃を受けた右手を気にしながら構え直す。
(;^ω^)「なんだお今のは……!」
右手があまりの衝撃に、痺れている。
その手で受けたギコの打撃は、信じられないほど重く、硬かった。
- 14: ◆ExcednhXC2 :2007/10/23(火) 00:22:51.68 ID:/eS2mpRz0
( ,,゚Д゚)「ほう。普通ならば腕の骨ごとぶち割れるのだが……。
感心するぞ、小僧!!」
ギコが追撃を仕掛ける。
上から振り下ろす軌道のハンマーパンチが、ブーンの頭目掛けて振り下ろされる。
危険を感じ、咄嗟に風力を利用し緊急回避。
瞬間、ブーンがいた場所に衝撃が起こり、大量の砂が舞い上がる
(;^ω^)「危なっ!! なんなんだお、あの威力は!?」
( ,,゚Д゚)「逃げるとは男らしくねぇ!! 失望したぞ小僧!!」
(;^ω^)「言ってる事がころころ変わりすぎだお!」
砂煙が晴れる。
やがてブーンの視界に映ったのは、茶色の手甲を装備したギコだ。
ギコの腕を厚く覆うそれの素材。
それは、姿形は異型だが岩石に酷似していた。
- 15: ◆ExcednhXC2 :2007/10/23(火) 00:24:44.83 ID:/eS2mpRz0
ξ;゚听)ξ「何よあれ……!」
( ´_ゝ`)「ヒュゥ! 出たぜ、親分の能力、岩体(ガンテイ)!」
ξ゚听)ξ「岩体?」
( ´_ゝ`)「そう、自在に体を岩で覆うことが出来る最強の能力だ。
いつ見ても惚れ惚れしちゃうぜ」
(´<_` )「兄者、ペラペラとネタバレするのは良くないぞ」
( ´_ゝ`)「こりゃすまん。つい口が滑ってしまったぞぉい」
悪びれた様子も無く謝る兄者。
その隣で、黙って戦いを見つめていた人影が動く。
- 16: ◆ExcednhXC2 :2007/10/23(火) 00:26:22.77 ID:/eS2mpRz0
(´<_` )「おっと、何処に行く」
(´・ω・`)「……加勢だ」
(´<_` )「一対一の決闘に水を差さないで貰おう。
ルール違反をするようなら、こちらもそれなりのやり方で対処するぞ」
弟者は木刀の切っ先をショボンへと向ける。
(´・ω・`)「目の前で子供が殺されそうになってるんだ。
これ以上黙って見ていられない」
(´<_` )「男の勝負に保護者がしゃしゃり出るというのか?
その行為、風使いに対する侮辱になると思うが」
(´・ω・`)「プライドの為に、命を失うよりマシだ。僕は保護者として決闘の中止を求める」
胸を張り、木刀を突きつけられても一歩も引かないショボン。
- 18: ◆ExcednhXC2 :2007/10/23(火) 00:28:15.57 ID:/eS2mpRz0
一触即発の空気が流れる。
対立する二つの意思。
それが真正面からぶつかり合い、見えない火花を散らした。
( ´_ゝ`)「弟者」
(´<_` )「……」
( ´_ゝ`)「ねぇー、弟者」
(´<_` )「……はぁ。何だ兄者」
弟者はショボンから目を離さぬまま、呆れたように答える。
( ´_ゝ`)「あのスレンダーなお姉ちゃんがいつの間にかいないんだけど」
(´<_` )「そんな事は後にしてく……何!?」
即座に辺りを見回す。
確かに、バーボンハウスを出る時にいた人物が、そこにはいなかった。
- 19: ◆ExcednhXC2 :2007/10/23(火) 00:30:06.21 ID:/eS2mpRz0
(´<_` )「やられたな」
(;´_ゝ`)「ど、どどどどうする弟者!? ロマネスクのおっさんがきたらやばいぞ?」
(´<_` )「……参ったな。今から追っても間に合わんだろうし」
弟者が木刀を降ろし、手を額に当て考える。
彼らの視線が自分達から外れたその隙に、ツンはショボンに耳打ちした。
ξ゚听)ξ「ショボンさん。今は動いちゃ不味いと思います」
(´・ω・`)「しかし、ブーンが……」
遠方で戦っているブーンへ、一瞬だけ視線を向けるツン。
ξ゚听)ξ「今、決闘を止めるのは駄目だと思うんです。
弟者の言うことを肯定するつもりはないけど……ブーンを信じてあげて下さい」
- 21: ◆ExcednhXC2 :2007/10/23(火) 00:32:59.53 ID:/eS2mpRz0
ブーンは自分の意思で決闘を受けた。
その意思を尊重すべきだと、彼女は言った。
しばし沈黙するショボン。
(´・ω・`)「……わかった。しかし、まずいと思ったら僕は止めに入るよ」
ξ゚ー゚)ξ「大丈夫ですよ。私は、ブーンを信じてる」
ツンの笑顔を見て、ショボンは頷き顔を上げた。
その視線の先。
風使いの拳と岩使いの拳が、真正面から激しく衝突していた。
- 22: ◆ExcednhXC2 :2007/10/23(火) 00:35:25.66 ID:/eS2mpRz0
( ,,゚Д゚)「ゴラァァァ!!」
ハンマーのように振り回される岩体化した腕が、ブーンを襲う。
その鬼人のような攻撃を、ブーンは風を足に纏わせ高速のバックステップで回避し続ける。
( ,,゚Д゚)「逃げてばっかじゃ俺には勝てねえぞゴラァ!!」
(;^ω^)「そんなこと、言われなくてもわかってるお!」
重い打撃が砂を抉る。
飛び散る砂埃を払いのけ、ブーンは岩体化したギコを見た。
一発でも喰らえば致命傷になるほどの高威力。
おまけに、こちらの攻撃が岩体で防がれれば、カウンターを喰らうだろう。
- 23: ◆ExcednhXC2 :2007/10/23(火) 00:38:19.68 ID:/eS2mpRz0
(;^ω^)(何か打つ手は無いのかお!? これじゃジリ貧だお……)
( ,,゚Д゚)「ぜえぇぇ――――!!!」
気合と共に突進してくるギコ。
地面を蹴り、ブーンはサイドステップで横方に回避する。
(;^ω^)「あれ……?」
体勢を立て直し、ギコの方へ体を向ける。
だが、そこにギコの姿は無かった。
忽然と姿が消えた。どこかに身を潜めているのだろうか。
だが、この砂の海の、何処に隠れる場所があるというのだ。
そう疑問に思った瞬間、結論より先に体が動く。
- 24: ◆ExcednhXC2 :2007/10/23(火) 00:41:14.59 ID:/eS2mpRz0
(;^ω^)「下かおっ!!」
瞬間、真下の砂が僅かに動く。
柔らかな地を全力で蹴り、真後ろに飛ぶブーン。
直後、轟音と共に、地面から強烈なアッパーカットが放たれる。
砂に潜っていたギコが、ブーン目掛けて飛び出したのだ。
( ,,゚Д゚)「土竜拳を初見で避けるか!! いい勘持ってやがるぜゴラァ!!」
(;^ω^)「くっ……。後一歩遅かったら顎が砕けてたお」
( ,,゚Д゚)「まだまだ俺は満足してねえ! ほら、かかってこいや小僧!!」
ギコが挑発するように手招きをする。
余裕の表情を浮かべるギコは、戦いそのものを楽しんでるようにも見えた。
対し、ブーンは攻撃こそ喰らってはいないものの、徐々に反応速度が遅くなりつつある。
- 26: ◆ExcednhXC2 :2007/10/23(火) 00:42:38.61 ID:/eS2mpRz0
( ^ω^)(このまま防御に徹しても負けるだけだお。……それなら!)
ブーンは拳を硬く握り、一直線にギコに向かって駆けた。
風の力を纏った走力は、二人の間を一瞬で詰める。
( ,,゚Д゚)「真っ直ぐにぶつかってくるつもりか!! いいぞ、それが男ってもんだ!!
手前が俺を突破しようというのなら、こっちも全力で止めてやるぜゴラァァァ!!!」
(#^ω^)「うおおおおぉぉぉ――――!!!」
腰を落とし、両手を腰に備え待ち構えるギコ。
体全体を岩体で包み、高速で迫ってくるブーンの目を睨み付ける。
- 27: ◆ExcednhXC2 :2007/10/23(火) 00:46:25.32 ID:/eS2mpRz0
(#^ω^)「――――おおおおぉぉっ!!!!」
( ,,゚Д゚)「ゴラァァァァァ!!!!」
ブーンの体が止まる。
速度エネルギーをそのまま腕に伝え、さらに風を腕に纏う。
(#^ω^)「くらえお――――!!!!」
全体重と最速をねじ込んだ突きが、ギコの腹部に打ち込まれる。
豪、という風音の後に、それは衝突。
衝撃音が砂漠に響き渡る。
周りに溢れ出た衝撃の余韻が砂を飛ばし、目の前が黄色に染まった。
- 28: ◆ExcednhXC2 :2007/10/23(火) 00:47:44.45 ID:/eS2mpRz0
( ´_ゝ`)「うおっ! 目に砂がぁぁ!!」
(´<_` )「っ!」
遠方にいる彼らにまで吹き荒れる砂嵐。
轟音と砂埃で、視界と聴覚が一瞬奪われる。
数秒の間。
無音と暗闇が、彼らの時間を止める。
ξ゚听)ξ「……ブーン?」
( ´_ゝ`)「親分!?」
- 30: ◆ExcednhXC2 :2007/10/23(火) 00:48:59.77 ID:/eS2mpRz0
砂嵐が晴れる。
その先に見える人影は二つ。
一つは、ギコの腹部に拳をめり込ませたまま、固まっているブーン。
そしてもう一つの人影は――――
(;^ω^)「そんな……!」
( ,,゚Д゚)「お前じゃ、俺の壁を打ち破れなかったようだな小僧」
岩体化した鎧を纏い、威風堂々と大地に立つギコ。
あれほどの打撃を受けたにもかかわらず、その体には傷一つ存在していない。
- 31: ◆ExcednhXC2 :2007/10/23(火) 00:50:42.20 ID:/eS2mpRz0
(;^ω^)「ぐっ!?」
ギコの岩体化した腕が、ブーンの胸倉を掴み上げる。
軽々と持ち上げられた少年の体は、晒し者のように高く掲げられる。
( ,,゚Д゚)「そういや、まだ兄者の殴られた分を返してなかったなぁ……」
(;^ω^)「ぐっ……離せお!」
手足をばたつかせるブーン。
だが、胸倉を掴むギコの腕が首を締め上げ、足掻けば足掻くほど苦しくなる。
ギコが左手を大きく引いた。
その拳が、ゆっくりと岩体化されていく。
- 35: ◆ExcednhXC2 :2007/10/23(火) 00:52:37.76 ID:/eS2mpRz0
( ,,゚Д゚)「兄者が世話になったな。遅くなったが、こいつはお礼だァ――!!!」
( ^ω^)「――――っ!!」
体を捻り、引いた左手に回転を加えるギコ。
弦の張った弓矢のようなそれは、岩が擦れ合う音を立てながらブーンに標準をあわせた。
ギリ、という引きが限界に達した音。
溜められた運動エネルギーが、解き放たれる。
( ,,゚Д゚)「ゴラアアアァァァ――――!!!!」
地面が激しく振動する。
轟音。
衝撃。
破壊音。
爆発するように放たれた衝撃は、地へと伝わり砂煙を上げる。
- 37: ◆ExcednhXC2 :2007/10/23(火) 00:53:48.82 ID:/eS2mpRz0
(;゚ω゚)「があぁぁぁぁっ!!!」
突き抜ける衝撃と痛みに耐え切れず、苦痛の叫びをあげるブーン。
心臓をぶち抜かれたような痛みが、胸部を突き抜ける。
衝撃をまともに受けたブーンの体は、宙を舞い、転がりながら砂の海に落下。
七回転して、ようやくその身は止まった。
(; ω )「ぁ……がっ……!!!」
ブーンの口から、苦痛の声が漏れる。
余りの痛みに、悶えることも出来ない。
岩の拳で、胸部を打ちぬかれたのだと、痛みの中で理解するブーン。
だが、そんなことを考えた所で痛みが消える訳ではない。
強烈な衝撃は体中を破壊し、指の一本さえ動かすことが出来ない。
- 39: ◆ExcednhXC2 :2007/10/23(火) 00:54:54.60 ID:/eS2mpRz0
ξ;゚听)ξ「嘘……!?」
(;´・ω・`)「ブーン!!」
ショボンとツンが、慌ててブーンの元へ駆け寄る。
うつ伏せに倒れたブーンは、吹き飛ばされた場所からピクリとも動かない。
ブーンの体から、光が失われる。
エクシード状態の解除。
それは、ブーンの戦闘不能を意味していた。
( ´_ゝ`)「おやぶーん!! うわあああやっぱ親分は最強だ――!!」
( ,,゚Д゚)「ギコハハハ!! ……って、くっつくな気持ち悪い!!」
(´<_` )「親分、お疲れ様です!」
対し、勝利をかみ締め、喜びに溢れる盗賊三人組。
ギコはくっ付く兄者を蹴り飛ばしながら、倒れているブーンを見やる。
- 40: ◆ExcednhXC2 :2007/10/23(火) 00:56:05.73 ID:/eS2mpRz0
( ,,゚Д゚)「借りはきっちり返させてもらったぜ、小僧。
中々良い心意気だったが、俺の方が上だったようだな」
( ω )「……」
そう言い放つと、ギコは背を向けて歩き出す。
流石兄弟も続いてそれを追った。
( ,,゚Д゚)「長居は無用だ。帰るぞ」
(´<_` )「小娘、次はお前の番だ。今日はロマネスクが来る前に引かせてもらう。
だが、必ず雪辱は晴らす。覚悟しておけ」
( ´_ゝ`)「やーい、まいったか! 俺達に逆らうとこうなるんだぞー!」
- 42: ◆ExcednhXC2 :2007/10/23(火) 00:57:07.61 ID:/eS2mpRz0
ξ;゚听)ξ「ブーン、しっかりして!」
(;´・ω・`)「くそっ! ブーン、待ってろ。家まで背負って……」
( ω )「……」
差し伸べるショボンの手を、弱弱しく、しかしはっきりと払いのけるブーン。
顔は下を向いたまま、拳を地面に立てて、ゆっくりと起き上がる動作を見せた。
(;´・ω・`)「ブーン!? 動いちゃ駄目だ! 傷が……!」
( ω )「……」
無言で、首を小さく横に振るブーン。
拳に力を込め、上半身を必死に持ち上げる。
- 45: ◆ExcednhXC2 :2007/10/23(火) 00:58:40.23 ID:/eS2mpRz0
ξ;゚听)ξ「ブーン?」
( ω )「まだ……だ……お」
満身創痍のブーンの体を、プライドと強い意思が支え直す。
体が悲鳴をあげ、無理だ無理だと脳が叫ぶ。
(;´・ω・`)「やめるんだ、ブーン!」
( ´_ゝ`)「親分、何かまだ足掻いてるみたいっすよ。マジ往生際悪いってかんじー」
背を向けていた盗賊達も、足を止めてブーンへと視線を移す。
調子に乗り、ブーンの元へスキップで駆け寄る兄者。
- 47: ◆ExcednhXC2 :2007/10/23(火) 01:02:17.90 ID:/eS2mpRz0
( ´_ゝ`)「少年ー。君は負けたんだよー。決闘は終わり。
命を大切にしなさーい。はい、解散!」
( ω )「……はっ」
( ´_ゝ`)「ん、何がおかしいの?」
倒れている自分が、滑稽だった。
もう動けない?
もう立てない?
もう戦えない?
そうやって逃げ出して、何度後悔してきたのだろうとブーンは思う。
強くなると、誓ったはずだ。
強くなって、実の両親の敵を取ると。
なんだ、この様は。この程度の信念だったのか?
自問自答を繰り返すブーン。
やがて、その答えは一つに集結する。
- 50: ◆ExcednhXC2 :2007/10/23(火) 01:03:41.68 ID:/eS2mpRz0
(#^ω^)「お……お……おおおおぉぉぉぉぉ!!!!」
歯を食いしばり、足に気合を込め、叫び声をあげ――――ブーンは、立ち上がった。
(#^ω^)「負けたら終わり? 笑わせるなお!負けても終わるわけないんだお!!
終わりは、諦めたとろで終わりなんだお!諦めない限り終わらないんだお!!」
心の底から、言葉となり現れる少年の意志。
(#^ω^)「僕はもう二度と諦めないお! そう誓ったんだお!
自分で自分の限界を決めてたら、強さなんて手に入るもんかぁ――――!!!」
叫び声が、砂の海に響き渡る。
それは、強さを求める少年の叫び。
それは、無力であった自分を恨んだ、過去への咆哮。
少年の意志に答えるように、砂漠に風が吹き始めった。
- 52: ◆ExcednhXC2 :2007/10/23(火) 01:05:41.70 ID:/eS2mpRz0
(#^ω^)「エクシ―――ードッ!!!!!」
再び、光が少年から発せられる。
風が舞う。
砂が舞う。
太陽の日差しが、少年を照らす。
それは、まるで砂漠が少年の意思に共鳴したの如く。
- 54: ◆ExcednhXC2 :2007/10/23(火) 01:06:51.83 ID:/eS2mpRz0
ξ゚听)ξ「きゃっ!!」
(;´・ω・`)「うおっ!!」
ブーンの体に、嵐のような風力が集まる。
今までの比ではない。
一線を越えた『風』がブーンの周りに集結していた。
( ^ω^)「まだ勝負はついてないお。荒くれのギコ!!」
( ,,゚Д゚)「ふふふ……ハハハハハ!!!」
(´<_` )「親分?」
( ,,゚Д゚)「どいてろ。奴はまだ納得して無いらしい」
弟者の横を通り過ぎ、ギコがブーンへ向かい歩み始める。
歩きながら、音を立てて全身を岩体化するギコ。
- 56: ◆ExcednhXC2 :2007/10/23(火) 01:08:28.92 ID:/eS2mpRz0
( ,,゚Д゚)「勝敗は体じゃねえ、心で決まるんだ……そうだろぉ!! 小僧!!!」
(#^ω^)「おおっ!!」
瞬間、拳と拳がぶつかり合う。
常人離れした速度で移動し、放たれたブーンの突き。
それを一瞬の判断で合わせたギコ。
拳を合わせたまま、二人のナチュラリストは微笑んだ。
- 58: ◆ExcednhXC2 :2007/10/23(火) 01:09:15.40 ID:/eS2mpRz0
(#^ω^)「あんたが越えられない壁というのなら、僕はそれを壊してみせるお!!!」
目にも見えぬ、連続打撃を放つブーン。
対し、ギコはそれを岩体化した腕で的確にガードする。
( ,,゚Д゚)「だったら、てめえの全力をぶつけて来やがれ!!!死んでもうらむなよ、小僧――!!!」
意思。
プライド。
信念。
互いの全てをぶつけ合う、砂漠の決闘が幕を開けた。
第六話 終わり
戻る/第七話