( ^ω^)ブーンは砂漠に生きるようです
- 2: ◆ExcednhXC2 :2007/11/01(木) 00:16:46.68 ID:iDMapcNt0
第九話「小さな旅立ち」
( ^Д^) 「皆さん、準備は出来ましたか?」
( ^ω^)b「ばっちし万全ですお!」
バーボンハウスの前に、ブーンはいた。
大きな荷物を背負い、意気揚々とした様子だ。
('、`*川「えーっと、日焼け止めの薬草と……これも持っていった方がいいんじゃないかしら」
ξ;゚听)ξ「ペニサスさん、そんなに沢山入らないですよ」
('、`*川「あら、肌のお手入れは大切よ? 特に、長時間も砂漠を歩くならね」
ツンの鞄に、色々な道具を詰め込むペニサス。
そのほとんどはスキンケアに使う道具のようだった。
- 7: ◆ExcednhXC2 :2007/11/01(木) 00:21:26.02 ID:iDMapcNt0
( ,,゚Д゚)「いつまでモタモタやってんだゴラァ! 早く行こうぜ!
今すぐ行こうぜ、今すぐに!!」
(;^ω^)「ギコさん、落ち着いてくれお。地団駄踏まれても困るお」
宴会騒ぎをした夜から、二日が過ぎていた。
ブーンは、プギャーに自分も護衛として着いて行きたいという旨を話すと、
護衛は多いほうが心強いとのことで、すんなりと雇ってくれた。
ショボンにその事を話した時は、流石に驚かれ反対されたが、
「どうしても外の世界へ行ってみたい」と、強く言うと、ショボンの隣に立っていたペニサスが、
('、`*川「可愛い子には旅をさせろっていうでしょ?
ショボンさん、この子はもう親離れして、自分の足で進もうとしてるのよ。
それを尊重してあげるのが、親として正しいと思いますよ」
そう強く言い、ショボンはしぶしぶ承諾をしたのであった。
- 8: ◆ExcednhXC2 :2007/11/01(木) 00:24:36.87 ID:iDMapcNt0
ξ゚听)ξ「ブーン、水筒は持った? 食料は? 忘れ物してないでしょうね」
(;^ω^)「もー、ちゃんと全部持ったお。……ていうか、なんでツンまで」
ξ゚听)ξ「なによ、文句ある?」
(;^ω^)「あ、いや、別に何でも無いお」
腕を組みながら、鋭い視線を向けるツン。
ブーンがプギャーの護衛に加わると聞くや否や、何故か彼女も護衛に加わると言い出したのだ。
女の子だからというショボンの反対も虚しく、
ツンはいそいそと旅支度を済ませ、プギャー護衛団一行に加わる事となった。
- 10: ◆ExcednhXC2 :2007/11/01(木) 00:28:05.67 ID:iDMapcNt0
(´・ω・`)「十分気をつけて行くんだよ、二人とも」
ξ゚听)ξ「ショボンさん、心配しないで下さい。ブーンには私がついてますから」
(;^ω^)「むむ……台詞が逆だお」
ξ゚听)ξ「ショボンさんも、油断しないでね。こいつら、何仕出かすかわからないから」
店の奥で、テーブルを拭いている人物を見ながら、刺々しく言い放つツン。
(´<_` )「やれやれ、心外だな。よっぽど俺らのことを疑っているらしい」
( ´_ゝ`)「ツンちゃーん! 店の事は俺達に任せて!
よーし、お兄ちゃんしっかりバッチリ働いちゃうぞー」
バーボンハウスと書かれたエプロンを着て、店の手伝いをしている流石兄弟。
彼らもプギャーの護衛をする気は満々だったのだが、ナチュラリスト以外は戦力外との事で
やんわりと断られてしまった。
肩を落とす二人に同情したのか、ショボンは彼らをバーボンハウスで雇い、
ブーン達がいない間、仕事をしてもらうことにした次第である。
- 11: ◆ExcednhXC2 :2007/11/01(木) 00:30:54.89 ID:iDMapcNt0
( ,,゚Д゚)「早く行こうぜゴラァ! 早く早く早く早くはや(ry」
ξ#゚听)ξ「だー! うるさ――い!」
子供のように地団駄を踏むギコ。
何だかんだで、一番ワクワクしているのは彼なのかもしれない。
( ^Д^) 「それじゃ、出発しましょうか」
( ^ω^)( ,,゚Д゚)ξ゚听)ξ「おー!」
プギャーを先頭に、一行は歩き始める。
それぞれ背中に大きな荷物を背負い、旅の一歩を踏み出した。
- 12: ◆ExcednhXC2 :2007/11/01(木) 00:34:07.71 ID:iDMapcNt0
(´・ω・`)「気をつけてな――!」
('、`*川「お土産はいらないからね――! いってらっしゃ――い!」
( ´_ゝ`)「おやぶーん!! 舌を長くしながら待ってまーす!」
(´<_` )「それを言うなら首を長くして待つだ、兄者」
手を大きく振って、バーボンハウスに残った彼らは旅立つ皆を見送った。
厳しい日差しが続くVIPを後に、少年達は歩き出す。
ブーン達の小さな旅が、始まった。
- 14: ◆ExcednhXC2 :2007/11/01(木) 00:39:35.08 ID:iDMapcNt0
※
強烈な日差しの下、砂漠を歩く四人の人影。
見渡す限りの砂の海は、永遠に続くかのように思えるほど広大である。
( ^ω^)「おっお! アサヒ村はどんな所か楽しみだおー」
ξ゚听)ξ「ブーン、あんまりはしゃぎすぎると後でへばるわよ」
初めての遠出に、テンションが高くなっているブーン。
大またで歩き、集団の先頭をキープしている。
( ,,゚Д゚)「おい、プギャーさんよ。アサヒ村まではどのくらいかかるんだゴラァ」
( ^Д^)「そうですねぇ、このペースだと4時間くらいでしょうか」
プギャーは地図を見ながら、場所を確認する。
- 16: ◆ExcednhXC2 :2007/11/01(木) 00:42:49.53 ID:iDMapcNt0
( ^ω^)「お? プギャーさん、それは何だお?」
( ^Д^) 「これですか? これは地図といって、この大陸にある国や街の位置を示してあるんです。
といっても、VIPやアサヒ村のような小さな街は、手書きで記入してあるんですけどね」
( ^ω^)「すごいお! プギャーさん、ちょっと見せてくれませんかお?」
( ^Д^) 「いいですよ」
プギャーは手に持っていた地図を、ブーンに渡した。
それを食い入るように見つめるブーン。
- 18: ◆ExcednhXC2 :2007/11/01(木) 00:46:04.99 ID:iDMapcNt0
( ^ω^)「知らない場所が沢山あるお……これが、外の世界かお」
ξ゚听)ξ「どれどれ、私にも見せてよ」
( ^ω^)「今、僕が見てるんだお。後にして欲しいお」
ξ゚听)ξ「何よ、少しくらい見せてくれたっていいじゃない!」
(;^ω^)「やだお! 僕が先に見るんだおー!」
地図を取り合うブーンとツン。
大人ぶっているツンも、まだまだ子供っぽいようだ。
( ,,゚Д゚)「おら、二人とも喧嘩はやめろゴラァ!」
(;^ω^)「あうあう。だってツンが……」
ξ゚听)ξ「ブーンが見せてくれないから……」
ギコに怒鳴られ、しょんぼりとする二人。
そんな二人を見て、ギコは呆れた様子でため息を吐いた。
- 19: ◆ExcednhXC2 :2007/11/01(木) 00:48:04.31 ID:iDMapcNt0
( ,,゚Д゚)「こういうのは、まず年長である俺が最初に見るべきだ!」
( ^ω^)ξ゚听)ξ「いや、その理屈はおかしい」
間髪いれずに突っ込みを入れる。
しばしの沈黙が流れ、そして、
( ,,゚Д゚)「うるせぇぇぇ!! 俺が最初に見るんだゴラァ!」
(#^ω^)「ずるいお! 年は関係ないお!」
ξ゚听)ξ「レディーファーストでしょ! 私が最初に見るの!」
蜂の巣をつついたように、激しい喧嘩がおこった。
地図を取り合い、今にも殴り合いを始めそうな三人を見て、プギャーが止めに入る。
(;^Д^)「お、おお落ち着いて下さい! そうだ、休憩しましょう!
私が他の国などについて説明してあげますから!」
- 20: ◆ExcednhXC2 :2007/11/01(木) 00:50:19.40 ID:iDMapcNt0
――…
一行は岩石地帯にある日陰へと入り、腰を下ろした。
水筒を勢い良く飲みながら、疲れた体を休めるブーン。
ツンは日焼け止めらしき物を顔に塗り、ギコは食料をかじっている。
( ^Д^) 「それじゃ、改めて私達の目指しているアサヒ村の場所を確認しましょうか」
( ^ω^)「おっお、よろしくお願いしますお!」
プギャーは皆に見えるよう、地図を広げた。
( ^Д^)「私達が出発したVIPは、丁度地図の南西辺りですね。
そこから真っ直ぐ東に行くと、私達の目指すアサヒ村があります」
( ,,゚Д゚)「ひがし……?」
( ^Д^) 「太陽がのぼる方角を東、沈む方を西と呼ぶんですよ。
道に迷っても、太陽を見れば大体の方角がわかりますからね」
ξ;゚听)ξ「ギコさん、もしかして知らなかったの……?」
- 21: ◆ExcednhXC2 :2007/11/01(木) 00:51:52.01 ID:iDMapcNt0
( ,,゚Д゚)「ば、ばかやろう! そんなん常識だぞゴラァ!
うん、太陽は東からのぼるんだよな!」
(;^ω^)(ギコさん、絶対知らなかったお……)
慌てた様子で否定するギコ。
突っ込んではいけないと悟ったのか、プギャーは何事もなかったかのように話を続ける。
( ^Д^)「アサヒ村より北……この地図の最も東に位置する国が、ヤオイ王国です。
巨大な城と栄えた城下町からなる、三大国家のひとつですね。
ここに住むもぐりの商人が、アサヒ村に王国産の貴重な物資を運んでいます」
ξ゚听)ξ「へぇー。……ちょっと行ってみたいかも。
壮大なお城にキレイな服、魅力的じゃない? ブーン」
( ^ω^)「お? うーん、別に」
- 22: ◆ExcednhXC2 :2007/11/01(木) 00:53:07.16 ID:iDMapcNt0
ξ#゚听)ξ「むぅ……女心のわからん奴……」
(;^ω^)「おっお? 何怒ってるんだお? ツン」
ξ゚听)ξ「別に」
(;^ω^)「???」
ブーンの方をちらりと見て、ため息を漏らすツン。
訳の分からないブーンは、何故ツンが怒っているのか最後までわからなかった。
再び話が中断し、一行の間に微妙な空気が流れる。
- 23: ◆ExcednhXC2 :2007/11/01(木) 00:55:31.79 ID:iDMapcNt0
(;^Д^) 「えっと、アサヒ村にはヤオイ国から運ばれてきた、服やアクセサリーが売ってるんですよ。
ブーン君もどうかな? 彼女に買ってあげるとか……」
( ^ω^)「お? なんで僕がツンに?」
(;^Д^)「えーっと……」
イマイチ意図が掴めず、首をかしげるブーン。
ξ#゚听)ξ「もういい、知らない! プギャーさん、ギコさん。
そろそろ出発しましょう」
(;^ω^)「おっお?」
プギャーのフォローもむなしく、 ツンの機嫌を損ねてしまったブーン。
困惑したまま、早足で歩いていくツンを追いかけた。
- 24: ◆ExcednhXC2 :2007/11/01(木) 00:56:06.39 ID:iDMapcNt0
※
(;^ω^)「到着だおー!」
あれから歩くこと数時間。
ブーン達は目的地であるアサヒ村へと辿り着いた。
辺りはもう日が落ち始め、昼間の干上がるような暑さが嘘のように消えていた。
ξ;゚听)ξ「はー、やっと着いたぁ……」
ツンはその場に力無く座り込んだ。
( ,,゚Д゚)「もうへばったのかゴラァ!
まだまだ修行が足りんな、小娘!」
ξ゚听)ξ「あー、はいはい。悪かったわね、あなたと違って体力無くて」
( ,,゚Д゚)「ふふん、俺を誰だと思ってる?
牙猫盗賊団、荒くれのギコ様とは俺のことよぉ!!」
- 25: ◆ExcednhXC2 :2007/11/01(木) 00:57:35.59 ID:iDMapcNt0
沈む太陽に向かい、叫び始めるギコ。
道行く人々は、そんな彼を冷たい視線で見つめていた。
( ,,゚Д゚)「突き進むは、山あり谷あり険しき漢(おとこ)道!
それでも真っ直ぐ突き進む。それが男の生きる道よ!」
ξ゚听)ξ「プギャーさん、これからどうするんですか?」
( ^Д^) 「今日はもう日も暮れてますし、宿をとりましょう」
(;^ω^)「ふひぃ、お腹減ったおー。早くご飯にしましょうお」
三人は宿へ向かい、歩き始めた。
( ,,゚Д゚)「燃える情熱誰にも負けない!
俺の名は――……っておい、俺を置いてくなゴラァァァァ――!!」
- 27: ◆ExcednhXC2 :2007/11/01(木) 00:58:28.88 ID:iDMapcNt0
――――……
( ^ω^)「ふー、お腹いっぱいだおー」
お腹をさすりながら、満足気に呟くブーン。
夕食を食べ終え、ブーン達は宿のロビーに集まっていた。
( ^Д^)「私は部屋に戻りますが……皆さんはどうします?」
( ,,゚Д゚)「俺は酒が飲みてえぞゴラァ!」
ξ゚听)ξ「んー、私は村を見て回ろうかしら」
( ^Д^) 「じゃあ、それぞれ自由行動にしましょうか」
( ,,゚Д゚)「おっしゃ! 俺は酒場に行って来るぞゴラァ!!」
そう言うや否や、ギコは宿を飛び出していった。
- 29: ◆ExcednhXC2 :2007/11/01(木) 00:59:51.39 ID:iDMapcNt0
( ^ω^)「僕はどうしようかお……」
明日のこともあるし、部屋に戻って休んでようか。
そんなことを考えていると、誰かに首根っこを引っ張られた。
(;^ω^)「おっ!?」
ξ゚听)ξ「ブーン、あなたも付き合ってよ。
せっかく来たんだし、色々見て回りましょ」
(;^ω^)「わ、わかったお。わかったから離して欲しいお。首が、し、しまるお……」
- 31: ◆ExcednhXC2 :2007/11/01(木) 01:00:47.72 ID:iDMapcNt0
外に出ると、村の中は所々に火灯りが灯されており明るかった。
整地された道沿いにずらりと出店が立ち並び、人々で賑わっている。
ξ゚听)ξ「あ、これ綺麗ー……。こっちのリングも可愛いなぁ」
ξ゚听)ξ「あ、ブーン! 見て見て、この服可愛いー!」
出店を片っ端から回り、色々な商品を眺めるツン。
ブーンは置いてかれないよう、必死についていった。
(;^ω^)「あうあう……ツン、待ってくれおー」
ξ゚听)ξ「もう、ブーン遅いよ」
(;^ω^)「ツンが速すぎなんだお。というか、キャラが違(ry」
ξ゚听)ξ「あ! あっちに良さげな露天発見!」
ブーンが言い切る前に、ツンは次の店へと移動してしまった。
(;^ω^)「うー……。あんなにはしゃいでるツンは初めて見るお」
やれやれと思いつつも、内心ではまんざらでは無い様子のブーン。
無邪気な笑顔を浮かべるツンを見て、ブーンは何とも言えない心地よさを感じていた。
- 32: ◆ExcednhXC2 :2007/11/01(木) 01:02:04.73 ID:iDMapcNt0
※
( ゚∀゚)「ったく、なんで俺様がこんな事しなきゃいけねぇんだよ!」
( <●><●>)「買出しも重要な仕事の一つだということは、あなたもわかっているでしょう?」
同刻、アサヒ村。
フードを被った二人の男が、対話をしながら村を歩いている。
( ゚∀゚)「だーかーら、なんで面倒な買出しを、このジョルジュ様がやんなきゃなんねぇんだって聞いてんだよ!」
( <●><●>)「それはあなたがジャンケンに負けたから、ということはわかっています」
( ゚∀゚)「っせぇ! いちいちムカつく喋り方しやがって」
( <●><●>)「安心してください。それは貴方にも言えることです」
( ゚∀゚)「あーうぜぇうぜぇうぜぇ! 上から目線で喋りやがって!
ワカッテマス、てめぇは何から何まで気にいらねえ!」
悪態をつきながら、ジョルジュと呼ばれた男は大股で歩く。
対し、その隣を歩く巨大な目を持った男、ワカッテマスは冷静な面持ちだった。
- 33: ◆ExcednhXC2 :2007/11/01(木) 01:03:10.48 ID:iDMapcNt0
( ゚∀゚)「大体よぉ、団長の言う『封魔』はいつになったら見つかるんだ?」
( <●><●>)「ふう。貴方はせっかち過ぎですよ、ジョルジュ。
少なくとも、まだまだ情報が不足しているのはわかってます」
( ゚∀゚)「ちっ。 団長もわざわざ封魔探しなんて面倒なことはやめて、
さっさと計画を進めちまえばいいんだ」
( <●><●>)「貴方は本当に馬鹿なのは、わかってます」
( ゚∀゚)「んだとぉ!?」
( <●><●>)「まだまだ準備が足りない、という事ですよ。
団員の総戦力にしても、世界情勢に関する情報も、です」
反論する手立てもなく、押し黙るジョルジュ。
無言のままワカッテマスを睨みつける。
やがて、ジョルジュは舌打ちをし、ワカッテマスから視線を逸らした。
- 35: ◆ExcednhXC2 :2007/11/01(木) 01:04:25.20 ID:iDMapcNt0
(#゚∀゚)「あーあ、面白くねぇ!」
( <●><●>)「もう少し、理性というものを鍛えてください。
貴方が戦闘員として優秀なのは、分かっていますから」
(#゚∀゚)「はいはい、わかりましたよ」
ジョルジュは苛立ったまま、歩みを速めた。
直後、ドン、という軽い衝撃が彼の下腹部に伝わった。
(;'A`)「痛っ!」
( ゚∀゚)「あ?」
ジョルジュが視線を足元に向けると、そこには少年が転がっていた。
古ぼけた服を着、顔は貧相であまり良い顔立ちではない。
- 36: ◆ExcednhXC2 :2007/11/01(木) 01:05:15.91 ID:iDMapcNt0
(;'A`)「ご、ごめんなさい……」
少年は頭を下げ謝ると、そそくさと逃げるようにその場を去ろうとした。
( ゚∀゚)「おい、待てよ」
(;'A`)「は、はい?」
( ゚∀゚)「人にぶつかっといて、それだけか? あぁ?」
(;'A`)「え、えっと……その……うわっ!」
ジョルジュは少年の胸倉を掴み、軽々と持ち上げる。
そのまま捻りを加え、首を締め上げる。
- 37: ◆ExcednhXC2 :2007/11/01(木) 01:07:01.22 ID:iDMapcNt0
( ゚∀゚)「けじめつけろって言ってんだよ餓鬼!」
(;'A`)「ぐ、う……」
迫力のあるジョルジュの怒声に、行きかう人々も足を止めた。
緊迫した空気が、その場に流れる。
( <●><●>)「ジョルジュ。下らない騒ぎを起こさないで欲しい。
目立ってもいい事が無いのは、わかっているでしょう?」
( ゚∀゚)「うせぇ! 俺様は今、機嫌が悪いんだよ……!
邪魔するならてめえから殺るぞ、ワカッテマス」
( <●><●>)「やれやれ、問題児なのはわかっていましたが……」
ワカッテマスは説得を諦め、フードを深く被る。
少し離れた所で腕を組むと、傍観する姿勢に入った。
- 38: ◆ExcednhXC2 :2007/11/01(木) 01:08:14.17 ID:iDMapcNt0
※
(;^ω^)「うひぃ、はぁ……。ツン、そろそろ帰ろうお」
ξ゚听)ξ「うーん、皆へのお土産に何か買いたいけど、どれがいいかなー」
(;^ω^)「ダメだこいつ……まるで聞いていない」
ξ゚听)ξ「聞いてるわよ。んー、そうね。そろそろ宿に戻ろっか。
明日も買い物する時間はあるだろうし」
(;^ω^)(やっと休めるお……)
長い時間、ツンの買い物に付き合ったブーンは、すっかり疲れ果ててしまった。
大きく深呼吸し、気だるい体に鞭を打って宿へと歩んでいく。
- 40: ◆ExcednhXC2 :2007/11/01(木) 01:09:28.37 ID:iDMapcNt0
ξ゚听)ξ「……あら、何かしら」
( ^ω^)「お?」
ツンの視線の先に、ブーンも目をやった。
何やら人だかりが出来ており、時々怒鳴り声のようなものが聞こえてくる。
( ^ω^)「いってみるお!」
ξ゚听)ξ「あ、ちょっとブーン!」
何か嫌な物を感じたのか、ブーンは手を横に広げ、人だかりへと走っていった。
- 41: ◆ExcednhXC2 :2007/11/01(木) 01:10:45.87 ID:iDMapcNt0
( ゚∀゚)「いいもん持ってるじゃねーか。あ?」
(;'A`)「そ、それはダメだ! か、返して……」
( ゚∀゚)「るせぇ! この宝石は俺様が貰ってやる。あり難く思え」
少年が首からかけている、紫に輝くペンダントをもぎ取ると、ジョルジュは胸倉を掴んでいる手を離した。
( ゚∀゚)「ひゃひゃひゃ! こりゃ高値がつきそうだぜ!」
( <●><●>)「まったく……相変わらず美学の無い人ですね」
( ゚∀゚)「何言ってんだ。盗賊が物を盗んで何が悪い? ヒャヒャヒャ!!」
呆れるワカッテマスを尻目に、満足気に高笑いするジョルジュ。
('A`)「か、返せ!」
少年が、その小さな体をジョルジュの足元へぶつける。
だが、まるで相手にならず吹き飛ばされた。
- 42: ◆ExcednhXC2 :2007/11/01(木) 01:11:37.93 ID:iDMapcNt0
( ゚∀゚)「ったく、こうしなきゃわかんないのか、あぁっ!?」
('A`)「うっ!」
足に捕まっている少年を蹴飛ばすジョルジュ。
そのまま少年の前に立ち、狂気に満ちた瞳を向ける。
( ゚∀゚)「腕の一本くらい、折っておこうか。
よーく覚えておくんだな。おらよっ!」
('A`)「ひっ!!」
ジョルジュが足を高く振り上げ、少年の腕へと標準を定める。
( ゚∀゚)「おらぁっ!!」
高い打点から、少年目掛けて、足は振り下ろされた。
- 44: ◆ExcednhXC2 :2007/11/01(木) 01:14:28.88 ID:iDMapcNt0
(#^ω^)「やめるお――――!!」
――――振り下ろされた足が空を切った。
攻撃が少年に当たる直前、転がるように飛び出してきたブーンは、少年を庇うように抱え回避した。
風が通りを吹き抜け、ジョルジュの被っているフードを揺らす。
( ^ω^)「大丈夫かお!?」
('A`)「う、うん。ありがとう……」
少年を抱え、怪我が無いことを確認すると、ゆっくりとその場に下ろした。
( ゚∀゚)「おいおい……なんだよ。横槍入れんなよオイ」
( ^ω^)「……」
無言のまま、ジョルジュを睨みつけるブーン。
その目には、静かな怒りが篭っている。
- 45: ◆ExcednhXC2 :2007/11/01(木) 01:15:15.69 ID:iDMapcNt0
( ^ω^)「返すお」
( ゚∀゚)「あ?」
ブーンは大きく息を吸う。
(#^ω^)「この子から奪ったペンダント返せって言ってるんだお!!」
普段のブーンからは、想像出来ないほどの怒号。
対し、当のジョルジュは鼻で笑い、答える。
( ゚∀゚)「嫌だね。こいつはもう俺様のモンだ」
(#^ω^)「何勝手なこと言ってるんだお……!」
拳を強く握り、今にも飛び掛からんという姿勢をとるブーン。
殺気を感じたのか、ジョルジュは笑いながらブーンへと近づく。
- 46: ◆ExcednhXC2 :2007/11/01(木) 01:15:59.34 ID:iDMapcNt0
( ゚∀゚)「そんなに返して欲しかったら、力ずくで取り返してみろよ。
ヒーロー気取りのお子ちゃまさんよ」
(#^ω^)「……っ!!」
ギリ、と歯を食いしばる。
そのにやけた面が、舐め腐った顔が、ブーンの神経を余計に逆撫でした。
('A`)「あの……」
(#^ω^)「危ないから下がってて欲しいお」
少年を手で制し、精神を集中する。
全身の毛穴が開いたような間隔が、ブーンを包む。
頭の中が真っ赤に燃え上がり、全身の体温が上昇する。
- 47: ◆ExcednhXC2 :2007/11/01(木) 01:17:45.67 ID:iDMapcNt0
( ゚∀゚)「お……?」
(#^ω^)「おおおぉぉぉ……!!」
全身の筋肉が震え、辺りに風が吹き始めた。
開放せよ。
力を。
己の能力を。
――――この言葉を発し、それは己の能力を引き出す。
(#^ω^)「エクシ――ド!」
瞬間、ブーンの体が光り輝く。
どこからか風が吹き始め、ブーンの体を纏い力と成した。
- 52: ◆ExcednhXC2 :2007/11/01(木) 01:23:20.19 ID:iDMapcNt0
( ゚∀゚)「へぇ……ナチュラリストか。それも、自然系とは珍しい」
目の前で起こった光景を見て、感心したようにジョルジュは呟く。
(#^ω^)「何ぶつぶつ言ってるんだお! フルボッコにされたくなかったら、この子から奪った物を返せお!」
( ゚∀゚)「フン。餓鬼がいきがってんじゃねぇ」
ジョルジュは腰を沈め、構える。
口調とは裏腹に、かなり隙の無い構えだ。
( <●><●>)「ジョルジュ。いい加減に……」
( ゚∀゚)「まあ待てよ、ワカッテマス。久々にナチュラリストと戦えるんだ……。
ストレス解消だと思って目ぇ瞑ってくれよ」
一転、態度を変え頼み込むように言い放つジョルジュ。
ワカッテマスは少し沈黙し、やがて答えを出した。
( <●><●>)「少しだけですよ。それと、あなたの自己責任でお願いします。
団長にばれたら、殺されるのはわかってますから」
- 53: ◆ExcednhXC2 :2007/11/01(木) 01:29:25.46 ID:iDMapcNt0
(#^ω^)「どうするんだお! 大人しく返すのか、フルボッコにするか決まったのかお!?」
( ゚∀゚)「フルボッコにする? お前が、俺を?」
見下すように、ブーンへと視線を投げかけるジョルジュ。
乾いた笑いが、彼の口から放たれ、
( ゚∀゚)「逆だね。俺が、お前を、ぶっ殺す。安心しろ、殺しはしねえよ。
俺の攻撃に耐えられる実力があるならの話だがなぁ――――!!!」
ジョルジュが手を交差し、吼えた。
その咆哮により、ジョルジュの周りに漂う空気が震える。
( ゚∀゚)「エクシィ――――ドッ!」
瞬間、爆発的な力の増大が空気を揺るがした。
それは、ナチュラリストの基本能力である、身体強化だ。
しかし、ブーンのそれとは、比べ物にならないほどの強化。
- 55: ◆ExcednhXC2 :2007/11/01(木) 01:35:27.35 ID:iDMapcNt0
( ゚∀゚)「簡単にくたばってくれるなよ。楽しませてくれや……ヒャハハハ!!」
(#^ω^)「その腐った口、二度と開けないようにしてやるお――!!」
ブーンが地を蹴り、ジョルジュとブーンの戦闘が幕を開ける。
突如現れた謎のナチュラリスト。
彼らは一体何者なのか。
少年を惑わす運命の歯車が、音を立てて回り始めた。
第九話 終わり
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