( ^ω^)ブーンは砂漠に生きるようです

2: ◆ExcednhXC2 :2007/11/14(水) 20:24:27.43 ID:wu+oDhTe0

第十四話「月光狂団」


五日目。
特訓は順調だった。

ブーンとツンは、急激にパワーアップした能力に、
始めこそ能力に振り回されていたものの、徐々に理解し使いこなしていった。

問題は、フードの男の足取りが一向につかめない事である。

約束の時間まで残り二日。
ここまで、有力な情報は無し。

その日も夜間の聞き込みを終えたブーン達は、肩を落としながら宿で茶を啜っていた。


( ^ω^)「今日も情報はゼロかお……」

ξ゚听)ξ「やっぱり、聞き込みするにも情報が少なすぎるわね。
     せめて名前とかわかればなぁ……」



6: ◆ExcednhXC2 :2007/11/14(水) 20:26:51.64 ID:wu+oDhTe0

流石にここまで情報が無い故か、諦めに似た空気が漂い始める。
ドクオは暗い表情を浮かべたまま、申し訳無さそうにしていた。


('A`)「……すいません。やっぱり、最初から無(ry
( ,,゚Д゚)「おいおいおい、てめぇら!!
     なーに辛気臭い顔してんだよ!!」


そんな暗い空気を打ち破るのは、ギコだ。
俯いているドクオの肩を掴み、頬を摺り寄せる。


( ,,゚Д゚)「おら、ドクオ! てめぇもウジウジしてねーでシャキっとしろシャキっとぉ!!」

(;'A`)「んぎゃっ!」


ギコは大きな掌で、ドクオの背中を思い切り叩く。
あまりの痛さに、ドクオは妙な悲鳴をあげながら転がった。



7: ◆ExcednhXC2 :2007/11/14(水) 20:29:58.89 ID:wu+oDhTe0

ξ;゚听)ξ「ちょ、ちょっとドクオ大丈夫!?」


川に浮く枯れ木のように倒れているドクオ。
彼は背中を押えながら立ち上がり、笑みを浮かべる。


('A`)「はい、なんとか……。背中がとてもヒリヒリしますが」

( ,,゚Д゚)「安心しろ。元気の出るツボを突いてやっただけだ」

(;^ω^)「うーん……とてもそうは見えなかったお」


どう見ても、ブーンの目にはいつもの「根性論」にしか見えない。



8: ◆ExcednhXC2 :2007/11/14(水) 20:30:26.41 ID:wu+oDhTe0

(;^Д^) 「何をどたばたとやっているんですか?」


部屋のドアが開いた。
入ってくるなり、現状を見て呆れ顔を浮かべるプギャー。


( ^ω^)「プギャーさん、おかえりなさいですお!」

(;^Д^) 「ただいま。で、一体何をやってたんですか?
      フロントで上の階がうるさいって怒られちゃいましたよ」

( ,,゚Д゚)「おう、プギャーさん。なに、ちょっとドクオに気合を入れてやってただけさ。
     そうだろ? ドクオ!!」

('A`)「は、はい。そうです……」

ξ゚听)ξ「いじめ、はんたーい」



10: ◆ExcednhXC2 :2007/11/14(水) 20:33:08.37 ID:wu+oDhTe0

すっかり和みモードの彼らを見て、プギャーはやれやれといった様子で椅子に腰掛けた。
そして、茶を椀に注ぎ一口飲み、

(;^Д^) 「……って、そうだ。それどころじゃないんです!
      さっき、酒場でフードの男の情報を聞きましたよ」

( ,,゚Д゚)「え?」

ξ゚听)ξ「え?」

( ^ω^)「お?」


プギャーの一言で、時が止まったかのように全員が固まった。



11: ◆ExcednhXC2 :2007/11/14(水) 20:33:35.20 ID:wu+oDhTe0

数秒の沈黙。
そして、その言葉の意味を理解し、


(;^ω^)ξ;゚听)ξ(;'A`)( ,,゚Д゚)「なんだってぇ――――!?」


四人同時に、驚愕の声をあげた。

まさかの朗報に、寝耳に水だった皆はプギャーへと一斉に詰め寄る。


( ^ω^)「あいつの居場所がわかったんですかお!?」

( ,,゚Д゚)「流石プギャーさんだ!! 情報収集はお手の物ってか? ギコハハハ!!」

ξ゚听)ξ「それで、その情報の詳細は!?」


(;^Д^) 「ま、まってください。皆さん近いです! 非常に!」



13: ◆ExcednhXC2 :2007/11/14(水) 20:34:59.29 ID:wu+oDhTe0

空腹時の獣のような彼らを、何とか落ち着かせる。
プギャーは咳払いをして一息ついてから、その詳細を話し始めた。


( ^Д^) 「酒場で聞き込みをしていた時、マスターから伝言があると言われたんですよ」

( ^ω^)「伝言?」

( ^Д^) 「ええ。フードを被った男からの伝言だそうで、『今夜、酒場で待ってる、岩野郎』だそうです」

ξ゚听)ξ「岩野郎って……」


皆の視線が、ギコの方へと向く。
ギコは静かに、しかし怒気を含んだ声で

( ,,゚Д゚)「野郎、名指しとはいい度胸じゃねえか」

そう言った。



17: ◆ExcednhXC2 :2007/11/14(水) 20:38:06.78 ID:wu+oDhTe0

ξ゚听)ξ「むこうから接触してくるなんて妙ね。
     もしかしたら罠かも知れないわ」

('A`)「た、確かにそうですね。ギコさんに何か用でもあるんでしょうか……」


警戒する二人。
しかし、ギコは笑みを浮かべる。


( ,,゚Д゚)「好都合じゃねえか。探す手間が省けたぜ」

('A`)「で、でも罠だったとしたら……」

( ,,゚Д゚)「罠? 上等じゃねえか。そん時は罠ごとぶちやぶってやるぞゴラァ!」

( ^ω^)「そうだお! 受けた喧嘩は買うのが男ってもんだお!」

( ,,゚Д゚)「おう、よくわかってんじゃねえかブーン!!」

( ^ω^)「オス!!」

意気投合した二人は肩を組む。
男二人の密着により、部屋の温度が少し上がった。

ξ;゚听)ξ(なんか、ブーンも根性色に染まってきてない?)
(;'A`)(何かあったんでしょうか……)



22: ◆ExcednhXC2 :2007/11/14(水) 20:40:36.51 ID:wu+oDhTe0

ξ゚听)ξ「ま、どっちにしろ有力な情報が無いわけだし、それに乗るしかないわね」

( ^Д^) 「そうですね。危険ではありますが……。
      ブーン君もツンちゃんも強くなってますし、相手が一人なら楽勝でしょう」

ツンの意見に、全員が頷き納得した。
対し、一人真剣な面持ちで思考をめぐらせるブーン。

( ^ω^)「……」

ブーンは拳を握り、再戦への思いを頭の中に描く。

以前戦った時は、相手にならなかった。
けれど、今は違う。

自分は強くなった。
あのフード男とも、十分に戦える。

そして、奴からドクオの大切な物を取り返すのだ。



27: ◆ExcednhXC2 :2007/11/14(水) 20:46:35.59 ID:wu+oDhTe0

( ,,゚Д゚)「そういうこった。俺らに任せとけっ!! 大船に乗ったつもりでいるんだなドクオ!!」

(;'A`)「痛い痛い! すごく痛いです、ギコさん!!」


もう一度ドクオを見、ブーンは決意する。


( ^ω^)「大丈夫……。絶対に取り返してみせるお」


誰にも聞こえないような小声で、ブーンは呟いた。



29: ◆ExcednhXC2 :2007/11/14(水) 20:47:11.30 ID:wu+oDhTe0

            ※


薄暗い洞窟。
岩に囲まれたその場所を照らすのは、隙間から差し込む僅かな月光のみ。


( ゚∀゚)「よし、そろそろ行くとすっか」

その洞窟から、一人の男が姿を現した。
ジョルジュだ。茶色いフードを被り、顔を隠すようにして砂漠へと出る。


( <●><●>)「どこへ行くのですか?」

(;゚∀゚)「でやがったよこの目玉野郎……」

( <●><●>)「貴方が勝手な行動をしようとしているのはわかってます」


気配もなく現れたワカッテマス。
ジョルジュはその巨大な目を見て、舌打ちしながら言葉を放つ。



30: ◆ExcednhXC2 :2007/11/14(水) 20:48:52.50 ID:wu+oDhTe0

( ゚∀゚)「別に勝手な行動するわけじゃねえ。『封魔』の調査だよ、調査」

( <●><●>)「ほう?」

( ゚∀゚)「それに……団員になれそうな奴も、見つけたしな」


ジョルジュは不敵な笑みを浮かべる。
フードの奥に見える、黒い瞳に映るのは、狂気。

獲物を狙う蛇のような、鋭い目。

ワカッテマスは無言で、その目を見続ける。
やがて、止めても無駄だと悟ったのか、大きくため息を吐いた。



31: ◆ExcednhXC2 :2007/11/14(水) 20:49:30.80 ID:wu+oDhTe0

( <●><●>)「いいでしょう。ただし、ヘマをした場合は……」

( ゚∀゚)「わかってるっつーの! 俺様がミスるとかありえねー」

( <●><●>)「私は非常に心配ですね」

ジョルジュはとにかく、と言いなおし、

( ゚∀゚)「俺ぁ、あいつが気に入った……。もう一度やりてぇ。ああ、やりてぇな」

( <●><●>)「……」

( ゚∀゚)「明け方までには戻る」


そう言い残し、ジョルジュは消えた。
否、遥か遠くにその背中が見える。

ワカッテマスは彼を黙って見送り、洞窟の中へと戻った。



32: ◆ExcednhXC2 :2007/11/14(水) 20:51:16.66 ID:wu+oDhTe0
ミ,,゚Д゚彡「勝手に行動させていいのか?」

中に戻ると、フサギコが不満そうに声をあげる。

( <●><●>)「あの男は止めても無駄でしょう」

ミ,,゚Д゚彡「あんな馬鹿が同じ月光狂団とは、気が滅入るな」

( <●><●>)「仕方ありませんよ。彼も一流のナチュラリストなのですから」

川 ゚ -゚)「違うな。奴は二流だ」


洞窟の奥。暗闇の中から、凛とした女性の声が響く。
声の主は、長い黒髪を持ち氷のような目つきをした女性だ。



34: ◆ExcednhXC2 :2007/11/14(水) 20:52:57.54 ID:wu+oDhTe0

ミ,,゚Д゚彡「クー。お前、帰っていたのか」

川 ゚ -゚)「ああ」

クーと呼ばれた女性は、岩に腰掛け一息ついた。

ミ,,゚Д゚彡「……で、封魔の情報はあったか?」

川 ゚ -゚)「いや、残念ながら。話を知っている奴はいたが、その行方まではわからなかった」

( <●><●>)「そうですか。樹木の国にもいないとなると、地図に載っていない小都市に絞られますね」

川 ゚ -゚)「小都市か。情報を集めるのが面倒になりそうだな……」



35: ◆ExcednhXC2 :2007/11/14(水) 20:54:47.09 ID:wu+oDhTe0

( <●><●>)「そう言わないで下さい。
       ……団長の力さえあれば、新世界を作る事など容易なのはわかってます」

川 ゚ -゚)「新世界、か」


そう呟き、クーは納得したように頷いた。


川 ゚ -゚)「全ては、新世界の為に」

( <●><●>)「我らの野望のために」

ミ,,゚Д゚彡「……強者の為に」


三人は、それぞれの言葉を口にする。
野望が渦巻く洞窟内を、今宵も月光は、ただ僅かに照らすだけだった。



39: ◆ExcednhXC2 :2007/11/14(水) 20:57:38.23 ID:wu+oDhTe0

                ※


夜の村。
静寂が広がる暗闇の中、ブーン達は町外れの酒場にいた。

あの伝言が本物ならば、ここにあの男がいるはずだ。


( ^ω^)「ここかお……」

( ^Д^) 「ええ。この酒場で間違いありません」

( ,,゚Д゚)「うし。入るぞ」


ギコを先頭に、酒場のドアを開く。
薄暗い店内は、全くといっていいほど人の気配は無い。



41: ◆ExcednhXC2 :2007/11/14(水) 20:58:43.01 ID:wu+oDhTe0

ξ゚听)ξ「不気味ね……」

(;^Д^) 「おかしいですね。営業中の筈なんですが」

('A`)「うわっ」

何かに躓き、よろめくドクオ。

( ^ω^)「大丈夫かお?」

('A`)「すいません、何かに足が引っかかっ……っ!!」


瞬間、ドクオの顔色が変わった。
目が見開き、ひ、という小さな悲鳴をあげて尻餅をつく。



43: ◆ExcednhXC2 :2007/11/14(水) 21:00:32.86 ID:wu+oDhTe0

(;^ω^)「ドクオ、どうしたんだ……お……!?」


ブーンの目が見開かれた。
窓から差し込む月光が、真っ赤に染まったそれを照らしている。

人間であったのであろうそれは、大量の血と臓器を曝け出しながら、転がっていた。


(;^ω^)「う、ぐ……!」


壮絶な光景に、思わず目をそむけるブーン。
しかし、目を逸らしたその先にも、同じように抉られた死体。

死体。死体。死体――――……


肉片の山が、酒場を埋め尽くしている。



45: ◆ExcednhXC2 :2007/11/14(水) 21:01:31.42 ID:wu+oDhTe0

( ,,゚Д゚)「なんだこりゃあ……何があったんだ!?」

ξ;゚听)ξ「うぇっ……!」


恐怖に顔を歪め、ブーンの裾を掴むツン。
その手をしっかりと握り締めながらも、ブーン自身も恐怖と動揺に駆られていた。

「よう……遅かったな」

死体で埋め尽くされた店内の奥。
笑い声を伴い、聞こえてきた声。

( ^ω^)「お前……!!」

( ゚∀゚)「あん? テメェは誰だったっけかな。忘れちまったぜ」

カウンターに腰掛け、見下すような視線を向けるフードの男――――ジョルジュが、そこにいた。



49: ◆ExcednhXC2 :2007/11/14(水) 21:02:49.77 ID:wu+oDhTe0

(;^ω^)「お前が……これをっ……!?」
                                 テンペスト
( ゚∀゚)「ああ、お前らが来るまで暇だったからなァ。俺の天地蛇に餌をやってたんだよ」


そう言いながら、ジョルジュは右腕を見せる。
その右腕は、人間の物ではなかった。

緑と黒の鱗が怪しく光る。
鋭い牙を持ち、威嚇するように鳴くその姿は、大蛇。


ξ;゚听)ξ「何、あれ……!? 腕が蛇に……!」

( ゚∀゚)「ヒャハハハ! 驚いたか? こいつが俺の能力、天地蛇だ」



51: ◆ExcednhXC2 :2007/11/14(水) 21:03:36.63 ID:wu+oDhTe0

異型の腕……否、天地蛇はブーン達を睨みつけ、威嚇するように口を大きく開ける。
そこから発せられるのは、尋常ではない殺気。

寒気がブーンを襲った。
裾を掴むツンの手が震えているのが分かる。


(;^Д^) 「まさか……その能力は……。
      A級犯罪者、黒蛇使いのジョルジュ……!!」

(;^ω^)「プギャーさん?」

( ゚∀゚)「ほう? 俺の事を知ってるとは……。俺も有名になったもんだ」



55: ◆ExcednhXC2 :2007/11/14(水) 21:04:25.74 ID:wu+oDhTe0

(;^Д^) 「黒蛇使いのジョルジュ。ヤオイ国で何百人もの命を奪った殺戮者……!
      何故、こんな所に……」


プギャーの口調は震えていた。
対し、ジョルジュは鼻で笑い、


( ゚∀゚)「ま、そういうこった。んなことよりよぉ、俺はてめぇに話があってここまで来たんだぜ?」

ジョルジュの目線が、プギャーからそらされる。
その鋭い目が向けられた先にいるのは、ギコだ。

( ,,゚Д゚)「俺はてめぇに話なんかねぇ。その胸糞悪い目つきをやめろ」

( ゚∀゚)「まあ、そう言うなよ。お前を仲間に加えてやろうと思ってるんだぜ?」

( ,,゚Д゚)「何だと?」



57: ◆ExcednhXC2 :2007/11/14(水) 21:05:25.63 ID:wu+oDhTe0

ジョルジュはカウンターから降り、嘗め回すようにギコを見つめる。
その歪んだ瞳が、外道畜生を前に苛立つギコの神経を、一層逆撫でした。


( ゚∀゚)「月光狂団って所に俺ぁ所属してるんだがよ、お前も入らねぇか?
     優秀なナチュラリストを必要としてるらしいぜ。俺様のようにな、ヒャハハ!」

( ,,゚Д゚)「よくわからんが、断る。俺は牙猫護衛団だ。てめぇみてえな殺人狂と一緒にするな」


ギコははっきりとそう告げる。
だが、ジョルジュは笑みを浮かべたまま、

( ゚∀゚)「ナチュラリストならよ」

( ,,゚Д゚)「?」

( ゚∀゚)「一度は思った事、無いか? 俺達は――――」


瞬間、ジョルジュの腕が伸びた――――否、天地蛇がギコ目掛けて飛び掛った。
巨大な口が、ギコの迫る。



61: ◆ExcednhXC2 :2007/11/14(水) 21:06:34.59 ID:wu+oDhTe0

( ,,゚Д゚)「ちぃっ!!」

エクシードを唱える暇もなく、咄嗟に体を捻った。
天地蛇はギコの腕を捕らえ、その牙が骨ごと噛み砕こうと喰らいつく。


( ,,゚Д゚)『エクシ――――ドッ!!』


( ゚∀゚)「ッ!!」

しかし、噛み砕かれるより速く、ギコの腕に岩の手甲が展開。
腕に噛み付いた天地蛇を、ギコはもう片方の拳で殴打した。

( ,,゚Д゚)「ちぃぃっ!!」

天地蛇は衝撃に耐え切れず、腕から吹き飛び再びジョルジュの元へ戻る。
ギコは噛まれた方の腕を押さえ、痛みに歯を食いしばりながらジョルジュを睨んだ。


( ゚∀゚)「――――選ばれし人種だと!! ヒャハハハハ!!!」



64: ◆ExcednhXC2 :2007/11/14(水) 21:07:31.35 ID:wu+oDhTe0

(;^ω^)「ギコさん!!」

( ,,゚Д゚)「ブーン、ツン! さっさとエクシード状態になれ!!
     プギャーさん、ドクオ! お前らは外に出ていろ!!」

ξ゚听)ξ「う、うん!」

(;^Д^)「行くぞ、ドクオ君!」

(;'A`)「は、はい!」


瞬時に指示を飛ばすギコ。
だが、次の瞬間。

( ゚∀゚)「シャアアッ!!」

( ,,゚Д゚)「がっ!?」

ジョルジュの飛び回し蹴りが、ギコの腹部を捉える。
衝撃音と同時、ギコの体は真横に吹き飛ばされた。



68: ◆ExcednhXC2 :2007/11/14(水) 21:08:50.58 ID:wu+oDhTe0

(;^ω^)「ギコさん! く、くそ。エクシ――――ド!!」

ξ゚听)ξ『エクシ―――ドッ!』


すぐに超越力を引き出す言葉を唱える二人。
瞬間、ツンの体を激しい光が包んだ。


ξ゚听)ξ「こっのおぉぉぉ!!!」


銀色に輝く弓を構えるツン。
光り輝く矢を右手に創造すると、弦を引き、ジョルジュ目掛けて放つ。


だが、



71: ◆ExcednhXC2 :2007/11/14(水) 21:09:40.97 ID:wu+oDhTe0

( ゚∀゚)「創造系とは珍しいじゃねえか」

ξ゚听)ξ「!!」


外れた。
違う、避けられたのだ。

背後から聞こえる声。それに反応しツンが振り向くと同時。

     エアバイツ
( ゚∀゚)「空蛇掌ッ!!!」

天地蛇が、不可視の咆哮を放った。
空気を切り裂き、それはツンの体へと衝撃を与える。

ξ;゚听)ξ「きゃあああッ!!」

その衝撃波は、ツンの腕に直撃。
痛みに耐え切れず、ツンの手から弓が飛んだ。



73: ◆ExcednhXC2 :2007/11/14(水) 21:11:06.35 ID:wu+oDhTe0

( ゚∀゚)「遠距離攻撃なら、俺様の天地蛇も得意だぜ? ククク……」

ξ゚听)ξ「あ……くっ……!!」


ツンは腕を押さえ、悶える。


(;^ω^)「ツン!!」

( ゚∀゚)「おう、餓鬼。てめぇはどうだ?」

視線をブーンへと向けるジョルジュ。
その目つきに圧倒され、ブーンは身動きが出来なかった。



76: ◆ExcednhXC2 :2007/11/14(水) 21:12:23.33 ID:wu+oDhTe0

( ゚∀゚)「どうした? エクシードを唱えないのか?」

(;^ω^)「あ、う……え、エクシ――――ド!!」

しかし、その言葉はむなしく響くだけで、ブーンの体には何も起こらない。
力が沸くどころか、ブーンの心の中は恐怖で一杯だった。


(;^ω^)「エクシード!! エクシ――――ド!!
      ど、どうしてだお! 力が沸いて来ないお!」

( ,,゚Д゚)「小僧……!!」

よろめきながら立ち上がり、ギコはブーンへと視線をやる。


( ゚∀゚)「なんだ、つまんねぇの。……やっぱり、あんたじゃなきゃダメだな。
     俺はうめぇもんは最初に食うタイプなんだ」

( ,,゚Д゚)「……てめぇの好みなんざ興味ねぇよゴラァ」

( ゚∀゚)「ククク。正直、あんたが断ってくれてよかったよ。
     そうしたら、存分にいたぶれるもんなァ!!」



87: ◆ExcednhXC2 :2007/11/14(水) 21:17:33.29 ID:wu+oDhTe0

直後、ジョルジュが跳躍する。
狙いはギコの喉だ。

対し、ギコは腕で顔面をガードしながら、

( ,,゚Д゚)「岩竜手甲ッ!!!」


唱え、巨大な岩手甲を展開させた。
その巨大な岩手甲は、店の天井を突き抜けジョルジュの攻撃進路を塞ぐ。


( ゚∀゚)「おーおー、でやがったなデカブツめ。
     やっと本気でやる気になったか!!」

( ,,゚Д゚)「ブーン、何やってやがる!! てめぇの喧嘩だろうが!!」

(;^ω^)「あう……!!」

( ,,゚Д゚)「ちっ! 俺がやるしかねぇか……!!」



95: ◆ExcednhXC2 :2007/11/14(水) 21:22:51.36 ID:wu+oDhTe0

( ゚∀゚)「岩竜とは、久々に楽しめそうだ……。なぁ、天地蛇!!」


両者がぶつかり合う事に、衝撃が砂漠に響く。
店は崩壊し、強力な能力同士が激突。

ブーンは、それをただ呆然と見つめている。


(;^ω^)「どうしてだお……!」


自身の掌を見つめ、ブーンは問う。
答えはどこからも、返ってこない。


(;^ω^)「エクシ――――ドォォォ!!!」



叫ばれた約束の言葉は、むなしく砂漠の風にかき消された。



第十四話 おわり



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