( ^ω^)ブーンは砂漠に生きるようです

2: ◆ExcednhXC2 :2007/12/05(水) 21:03:33.69 ID:4SlWwHr70

第十六話「風 ―kaze―」


( ゚∀゚)「ククク……ヒャハハハ!!!」

( ^ω^)「……」


狂ったように笑うジョルジュ。
尻尾を地面へと叩きつけ、長い舌をだらりと垂らした。

( ゚∀゚)「最高に楽しめそうじゃねえか、ええ? オイ!!
     ドーパミンがあふれ出してきたぜぇぇぇ――――!!!」

叫び、両腕……否、腕と化した天地蛇をブーンに向け開口する。



7: ◆ExcednhXC2 :2007/12/05(水) 21:06:57.70 ID:4SlWwHr70

     ダブルエアバイツ
( ゚∀゚)「二連空蛇掌ッ!!!」


そこから放たれるのは、大気を切り裂く真空の牙。
両腕から放たれたそれは、空気を切りながらブーンへと襲い掛かる。

(#^ω^)「せあっ!!」

風の纏った掌を前に突き出す。
直前まで迫った空蛇掌は、見えない壁によってその進行を妨げられた。

( ゚∀゚)「風で壁を作っただとぉ……!?」

(#^ω^)「次はこっちから行くお!!」



8: ◆ExcednhXC2 :2007/12/05(水) 21:09:37.72 ID:4SlWwHr70

ブーンは構え、拳を放つ。
その拳は、速い。

(;゚∀゚)「……何?」

違う。
空間の壁すらを打ち破るその打撃は

( ゚∀゚)「殴られ……!?」


      打撃の衝撃までも 遅れて来る!!


(;゚∀゚)「ぬあああああ!!!!!」

三千、否。三万近くの打撃が一瞬でジョルジュの体に襲い掛かる。
一発一発の威力は小さくとも、それが万単位で同時に展開すれば、その威力は――――


神の裁きの如く、対象を『崩壊』させる。



10: ◆ExcednhXC2 :2007/12/05(水) 21:13:07.91 ID:4SlWwHr70

(;゚∀゚)「ぬあああああ!!!!!」

三千、否。三万近くの打撃が一瞬でジョルジュの体に襲い掛かる。
一発一発の威力は小さくとも、それが万単位で同時に展開すれば、その威力は……

神の裁きの如く、対象を『崩壊』させる!

( ゚∀゚)「がぁぁっぁぁぁああああ!!!!!」

激しい打撃音と衝撃波が巻き起こり、まるで隕石でも落下したかのようなクレーターが出来上がった。
地面はあまりの威力に抉れ、ジョルジュの体は紙切れのように吹き飛ぶ。

隕石。

星の力ほどの攻撃力を、ブーンは会得していた。



11: ◆ExcednhXC2 :2007/12/05(水) 21:14:06.26 ID:4SlWwHr70

(;^Д^) 「これは、まさか……」

遠くで見ていたプギャーは、それを見て、一つの可能性を思案する。


(#^ω^)『これが、オ―バ―エクシ―ドだおッ!!!』


ブーンの体に纏われたオーラが、嵐のような風を巻き起こし、白から赤色へと変化した。

超越を超えた超越。
オーバーエクシードと、人は言う。

(;^Д^) 「ま、まさか、オーバーエクシードなんて……信じられない」

( ,,゚Д゚)「ったく、思ってたよりとんでもない奴だったな、ブーンは。
     戦いの中で、ナチュラリストとしての才能を開花させやがった」

ξ゚听)ξ「ね、ねぇちょっと。ブーンはどうなっちゃったの?」

( ,,゚Д゚)「あれはオーバーエクシードだな。
     ナチュラリストとしての壁のまた壁を打ち破った先にある、超越の力だゴラァ。
     エクシードと違って、超越力を引き出すのでなく、生み出すことができる」



12: ◆ExcednhXC2 :2007/12/05(水) 21:16:26.06 ID:4SlWwHr70

(  ∀ )「くははは……ま、まさか、そんな力を隠し持っていたとはな……」


巨大なクレーターの中で、ゆっくりと起き上がるジョルジュ。
乾いた笑いを響かせ、妙な方向に曲がっている両腕をだらりとたらす。

鱗の鎧はだいぶ剥がれ、体中から血を垂らしている。

( ^ω^)「ジョルジュ、ドクオのペンダントを返すお。
       あんたじゃ僕には勝てないお」

( ゚∀゚)「クソ餓鬼が、調子に乗るなよ……!!」

ジョルジュは跳躍し、ブーンの上を超えていく。
軽やかに砂漠に降り立つと、ジョルジュの視線は、ドクオへと向けられる。

(;'A`)「え!?」

( ゚∀゚)「この距離でエアバイツを放てば、一秒かからずにあのドクオとかいう餓鬼を殺せる」

ジョルジュはゆっくりと腕をあげ、蛇の口先をドクオへ向けた。

( ゚∀゚)「さあどうする? てめぇが少しでも動いたら、あの餓鬼を噛み殺す。



17: ◆ExcednhXC2 :2007/12/05(水) 21:22:14.92 ID:4SlWwHr70

ξ#゚听)ξ「な……卑怯者!! 人質を取るなんて……!」

( ゚∀゚)「クハハハ!! アホが、勝った奴が正義なんだよ!!
     てめーらみてえな甘ちゃんは、こうすりゃ一発で――――」

ジョルジュの言葉が、途切れた。

( ,,゚Д゚)「終わったな」

ξ゚听)ξ「え?」

ジョルジュの体が、止まる。
まるで、そこだけ時間が停止したように。

(;゚∀゚)「か、ら、だ、が、うごか……!?」

( ^ω^)「大気の動きを、止めたんだお。ジョルジュ、もう容赦はしないお」

ブーンがゆっくりと、ジョルジュの前に移動する。
そして、腕を引き、貫手を構えた。



19: ◆ExcednhXC2 :2007/12/05(水) 21:23:58.75 ID:4SlWwHr70

風が、止んだ。

嵐の前の静けさ。
否、嵐などという生易しい物ではない。

崩壊へのカタコンベ。
そこに入ってしまったジョルジュは、もはや逃げる事も出来ない。

(;゚∀゚)「何を――――」


ジョルジュの周りにある大気が、一瞬動き、


(#^ω^)『風壁爆砕拳――――!!!』


その視覚できない大気の一点を



        爆 砕 す る ! ! !



22: ◆ExcednhXC2 :2007/12/05(水) 21:28:14.47 ID:4SlWwHr70

(  ∀ )「あああああぁぁっぁ――――!!!!!!!!!」


抑え付けられた重力と、刃と化した風。
そして、超越力を込めた爆砕が、ジョルジュの体を襲った。

砂漠に、不可視の爆発が巻き起こる。


( ,,゚Д゚)「うおっ!」

ξ゚听)ξ「きゃっ!」


砂嵐が、視界を奪った。
聞こえるのは、轟音。


やがて衝撃波が弱まり、砂嵐も徐々に晴れていく。

(



24: ◆ExcednhXC2 :2007/12/05(水) 21:32:45.16 ID:4SlWwHr70

(  ∀ )「あ……が……」

そこにあったのは、エクシード状態が解除され、ボロ布のように横たわるジョルジュ。
そして、それを見下ろすのは、ブーンだ。

( ^ω^)「これ、返してもらうお」

ブーンはジョルジュの懐を探り、ペンダントを探し当て、それを手に取った。
用を終え、立ち去ろうとするブーンの足を、ジョルジュの手が掴む。

(  ∀ )「た……たすけ……」

( ^ω^)「そうやって命乞いした人を、お前は何人殺してきたんだお?
       自分だけ助かろうというのは、虫が良すぎるお」

(  ∀ )「あ……ぐ……」

そういい残し、ブーンはギコ達の元へと戻っていた。



30: ◆ExcednhXC2 :2007/12/05(水) 21:36:08.01 ID:4SlWwHr70

( ^ω^)「ドクオ。ほら、ペンダントだお」

('∀`)「あ……ありがとうございます!!」

(;^ω^)「ふぃー。ちょっと、つ、疲れたお」

ふらつくブーンを、ギコが支えた。

( ,,゚Д゚)「あんだけ爆発的に超越力を使えば、そりゃ疲れるってもんだ。
     ったく、とんでもねぇやろうだぜゴラァ!!」

(;^ω^)「いやぁ、それほどでも……ですお」

( ,,゚Д゚)「ほら、用は済んだんだ。宿に戻ってゆっくり休むぞ」

ギコはひょい、とブーンを背中に背負う。

ξ゚听)ξ「お疲れ様、ブーン」

(;^ω^)b「ふひひ、僕、やったお……」



33: ◆ExcednhXC2 :2007/12/05(水) 21:41:24.42 ID:4SlWwHr70

かくして、オーバーエクシードを会得したブーン。
ジョルジュを倒し、見事、ペンダントの奪還に成功した。

宿に戻る途中。
ギコは背中ですやすやと眠るブーンを見て、苦笑いを浮かべる。


( ,,゚Д゚)「こいつの才能、半端じゃねぇな……。ったく、俺の面子が丸つぶれだぜ」

( ^Д^) 「いいじゃないですか。いずれ弟子は師を超えていくものです」

( ,,゚Д゚)「こんなに早く超えられるのは予想外だぞゴラァ」

( ^Д^) 「ははは、むしろ喜ばしい事じゃないですか」

( ,,゚Д゚)「ううむ、なんだか複雑な気分だ……」

ξ゚听)ξ「そういえば、私もギコさんより強いような(ry」

( ,,゚Д゚)「え?」

ξ;゚听)ξ「あ、いえ。何でもないです」



36: ◆ExcednhXC2 :2007/12/05(水) 21:44:29.22 ID:4SlWwHr70

超える者。
超えられる者。

その連鎖は弱肉強食という野生の原理に似ているのかもしれない。


そう、この砂漠では、力こそが――――


(;゚∀゚)「クソ……がっ……やっべぇ……」

( <●><●>)「無様ですね、ジョルジュ」

(;゚∀゚)「てめ、ワカッテ……マス!」


砂漠に倒れているジョルジュを、ワカッテマスが見下ろした。
フードを被り、相変わらず巨大な目を光らせている。


( <●><●>)「ほら、手を」

(;゚∀゚)「ちっ……」


ワカッテマスが手を伸ばし、促す。
ジョルジュも渋々といった様子で、その手を掴んだ。



40: ◆ExcednhXC2 :2007/12/05(水) 21:48:41.60 ID:4SlWwHr70

直後。
否、刹那――――

( <●><●>)『スパークリング ファースト』

(;゚∀゚)「!!!!!!!!」


ジョルジュが悲鳴をあげるより先に、何かがワカッテマスの手からジョルジュへと流れた。

夜の砂漠に、一瞬、雷鳴と雷光が響き渡る。
そして、その結果として生み出されたのは、黒い塊となった、ジョルジュの体だった。

( <●><●>)「弱者は、月光狂団に必要ありません」



43: ◆ExcednhXC2 :2007/12/05(水) 21:53:32.07 ID:4SlWwHr70

ミ,,゚Д゚彡「死んだか」

( <●><●>)「フサギコさん」


闇の中から姿を現したのはフサギコだ。
背中に背負った大剣が、月に照らされ怪しく輝く。


( <●><●>)「どうやら、彼と戦ったナチュラリストは相当な使い手のようですね」

ミ,,゚Д゚彡「ああ。恐らく一流……もしかしたら、それ以上かもしれん」

( <●><●>)「封魔の可能性も、ありますね」


その言葉に、フサギコは少し考える。
そして、その静かな瞳をワカッテマスに向けた。


ミ,,゚Д゚彡「奴らを追うか。あんたの能力なら、大体の居場所がわかるだろう?」

( <●><●>)「ボスへの報告は、どうします?」

ミ,,゚Д゚彡「居場所さえ割り出してくれりゃ、後は俺が奴らを追う。
      とりあえず、一回アジトに戻って報告だな」



48: ◆ExcednhXC2 :2007/12/05(水) 21:57:45.94 ID:4SlWwHr70

岩の隙間から、月の光が僅かに差し込んでいる。
月光狂団のアジト。
そこに、彼らは存在していた。


「なるほどな……。かなりの使い手、か」

( <●><●>)「封魔の可能性もあります」

ワカッテマスの報告に対し、奥に座っている男は笑みを浮かべる。

「違うな。封魔が出てりゃ、もっとでかい騒ぎになる。
 それに、封魔はそう簡単にゃ開放しねーだろ……」

川 ゚ -゚)「そうなると、それなりに使う奴が、ジョルジュを殺したというわけか」

( <●><●>)「まぁ、止めをさしたのは私ですが」



50: ◆ExcednhXC2 :2007/12/05(水) 22:03:02.45 ID:4SlWwHr70

クーに対し、淡々とそう答えるワカッテマス。

ミ,,゚Д゚彡「団長、どちらにせよ、調べる価値はあるかと。
      封魔と繋がってるかもしれませんし、そうでなくてもいずれ脅威になるかもしれない」

「そうだな。追って損はないか……。フサギコ、ワカッテマス。お前らに任せる。
 俺とクーは、小都市を巡り封魔の探索に当たる」

( <●><●>)「はっ!」

ミ,,゚Д゚彡「了解」

団長と呼ばれた男が、ゆっくりと立ち上がる。
暗闇に隠れていた顔が、月光に照らされ明るみに出た。


( ´∀`)「いずれにせよ、我々は絶対の力が必要だ。
      ナチュラリストによる、国の統一の為に」


月光狂団。
その魔の手が、ブーン達に迫ろうとしている。

超える者。超えられる者。
あらゆる力が交差する砂漠に、再び嵐が巻き起こる。


第十六話 終わり



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