( ^ω^)ブーンで学ぶ世界史

8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/13(土) 15:17:21.96 ID:6bg9c4U+0
1918年。第一次世界大戦終結。
四年以上にも渡るその戦いは、欧州の秩序を根底から変えてしまった。

 _
(;゚Д゚)'A`)「マジかよ……………………」

かつての大国であったドイツ帝国とオーストリア=ハンガリー二重帝国は、
戦争を終えた今では影も形も無くなってしまった。

(・∀ ・)「♪真っ赤だな〜 真っ赤だな〜」

また、当初はヤル気を見せていたロシア帝国も崩壊し、社会主義政権のソ連へと入れ替わってしまった。

ξ;゚听)ξ「戦費のためにお金を使い込んじゃったわ……………………」

さらに、戦勝国であったはずのイギリスも莫大な負債を抱え込んでしまったのだ。



9: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/13(土) 15:18:10.37 ID:6bg9c4U+0
そんな中、高笑いしているのが二国……………

(*^ω^)「イギリスとフランスに戦費を貸してただけでもの凄い儲かったお!
       しかもほとんど戦ってないから元気が余ってるお!」

資金だけ提供しつつも当初は中立だったアメリカは、戦争による損害がほとんどなかったのだ。
世界で残ってるまともな国はアメリカだけ。(日本も元気だけどそこまで工業国じゃないし)

  ず  っ  と  ア  メ  リ  カ  の  タ  ー  ン  !



10: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/13(土) 15:18:52.54 ID:6bg9c4U+0
そしてもう一国。

ミ,,*^Д^彡「いいいいいいいいやっほおおおおおおおおおおおうううううううううう!!!!!11111!!!!
       見たか! この俺様の戦いぶりを! 群がってくるじゃがいも野郎を千切っては投げ、千切っては……………」

ドイツを完膚無きまで叩きのめす事が、『普仏戦争』で敗北した時以来の悲願であったフランス。
ただただ勝利に酔いしれていたのだが……………

(*^ω^)「ちょっと待ってくれお」

ミ,,゚Д゚彡「なんだ? せっかくいい所に来てるんだ。話の腰を折らないでく……………」

(;^ω^)「いや、そんなこと言われても……………借金を返してもらわないと」



12: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/13(土) 15:19:32.41 ID:6bg9c4U+0
ミ,,;゚ω゚彡「借……………金…………………………?」

(;^ω^)「ほら、今まで売ってあげた武器弾薬の代金。
       総額これくらいになってるお……………」

ミ,,;゚ω゚彡「マジッすか」

(#^ω^)「返せないなんて事があったらただじゃ済まさないお!」



13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/13(土) 15:20:16.47 ID:6bg9c4U+0
ミ,,;゚Д゚彡「まさか? そんな事ある訳ないじゃん? ほら、ドイツから賠償金取れば大丈夫だ」
 _
(;゚Д゚)「いや、ちょっと待てよ。こっちもボロボロでビタ一文払えないぞ?」

ミ,,;゚ω゚彡・・・・・

(#^ω^)・・・・・

焦るフランスとアメリカ。
それもそのはず、ドイツは戦争で負けたのだ。金なんか残っている訳が無い。



14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/13(土) 15:21:38.05 ID:6bg9c4U+0
ミ,,#゚Д゚彡「こうなったら無理矢理にでも搾り取ってやる!
       金を返すまで奴隷のようにこき使ってやるからな!」

仕方なく、フランスはベルギーを誘ってドイツ有数のルール工業地帯を占拠し、
無理に賠償金を払わせようとしたのだが……………

  _
(#゚Д゚)「なんで貴様なんぞに指図されなきゃいけないんだ!
     大体この前の戦争だってほとんどオレが勝ってたじゃねえか!」

ミ,,#゚Д゚彡「五月蠅え! テメーは黙って賠償金を払ってろ!」
  _
(#゚Д゚)「この野郎、言わせておけばいい気になりやがって……………
     占領地のドイツ国民に告ぐッ! フランス野郎のためになんて絶対に働くな!」

  _
( ゚皿゚)・・・・・ (←注:『ミュンヘン一揆』中)

先の大戦で国内への敵軍侵入をほとんど許さなかったドイツ国民にとって、
戦勝国の名の下に執拗な嫌がらせを続けるフランスは憎悪の対象にしかならなかった。



15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/13(土) 15:22:22.00 ID:6bg9c4U+0
また、フランスにとっても占領を続ける事は大きな出費となってしまった。
何故ならドイツ中を『ハイパーインフレーション』が襲ったからだ。
 _
(;゚Д゚)「物価が1兆倍になっちまった!」


↓以下どうでもいい説明



16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/13(土) 15:23:07.94 ID:6bg9c4U+0
ヤバイ。インフレヤバイ。まじでヤバイよ、マジヤバイ。
インフレヤバイ。

まず札束の量。もう重いなんてもんじゃない。超重い。
重いとかっても「砲丸投げの砲丸くらい?」とか、もう、そういうレベルじゃない。
何しろ子供がおもちゃにしてる。スゲェ! なんか物買うとかじゃ無いの。
がま口一杯とかアタッシュケース何個とかを超越してる。紙切れだし超重い。

しかも悪化してるらしい。ヤバイよ、悪化だよ。
だって普通は基本料金とか悪化しないじゃん。
だってお小遣いがだんだん減ってったら困るじゃん。アイスとか買えないとか困るっしょ。
携帯の定額プランが変えられて、最初は3000円だったのに、三年後は6000円で二倍とか泣くっしょ。
だから基本料金とか悪化しない。話のわかるヤツだ。

けどインフレはヤバイ。そんなの気にしない。悪化しまくり。
最も高くなった商品とか調べても想像できないくらい高い。ヤバすぎ。



17: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/13(土) 15:23:48.69 ID:6bg9c4U+0
紙切れっていたけど、もしかしたら紙としての価値の方が高いかもしんない。
でも紙切れって事にすると「じゃあ、実際ケツ拭く紙にしたの?」って事になるし、それは誰もわからない。
ヤバイ。誰にも分からないなんて凄すぎる。

あと超高い。約1兆倍。うまい棒で言うと10兆円。
ヤバイ。高すぎ。喫茶店で茶飲んでる暇もなく高くなる。怖い。
それに超何も無い。超物不足。それに超ヤル気ない。
ストライキ中とか平気で出てくる。ストライキて。千葉動労でも言わねぇよ、最近。

なんつってもインフレは馬力が凄い。"京"とか平気だし。
うちらなんて京とかたかだか雑学クイズで出てきただけで面白がって暗記したり、
累乗使ったり、log使ったりするのに、インフレは全然平気。京を京のまま扱ってる。凄い。ヤバイ。

とにかく貴様ら、インフレのヤバさをもっと知るべきだと思います。
そんなヤバイインフレを収拾しようとした『シュトレーゼマン』とか超偉い。もっとがんばれ。超がんばれ。



18: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/13(土) 15:24:33.62 ID:6bg9c4U+0
『ハイパーインフレーション』とは、お金の価値が下がってしまうこと。
今回の原因は、働かないよう命じられた労働者のためにドイツがお札を刷って配ったからなのだ。

お金をばら撒けば、そのありがたみも失われてしまう。


ミ,,#゚Д゚彡「こんな紙切れ賠償金で渡されても使いようがねーんだよ!」

フランスとベルギーが行ったこの『ルール出兵』は大失敗に終わったのだった。
残したものは、ドイツとフランスの相互不信だけであった。



19: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/13(土) 15:25:15.66 ID:6bg9c4U+0
その惨状に一番泡を食ったのがアメリカである。

(;^ω^)「フランスがちょっかい出した所為でドイツがハチャメチャになっちゃったお……………
       このままじゃ借金返してもらえなくなっちゃうお……………」

Σ(^ω^ )「そうだお!」



21: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/13(土) 15:26:11.17 ID:6bg9c4U+0
             _
( ^ω^) → ( ゚∀゚)
「まずは僕の余ってるお金をドイツに利子付きで貸すんだお」

  _  ∩
(#゚Д゚)彡
 ⊂彡
「そしてドイツには頑張って復興してもらうんだお」

  _
( ゚∀゚) → ミ,,゚Д゚彡ξ゚听)ξ
「そしたらイギリスとフランスに賠償金を払ってもらって」

ミ,,゚Д゚彡ξ゚听)ξ → ( ^ω^)
「最後に借金を返してくれればいいんだお!」



22: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/13(土) 15:26:55.49 ID:6bg9c4U+0
( ^ω^)「それに無理に返せとは言わないお。ゆっくり返してくれれば良いお」

アメリカが提示した『ドーズ案』。
見事なまでに上手くいくと思えたのだが……………

このサイクルには一つ重大な欠陥があったのだ。


その欠陥とは何か?

「アメリカの景気が悪くなれば、ドイツに投資がされない」という点だ。



23: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/13(土) 15:27:37.08 ID:6bg9c4U+0
それが露呈してしまったのが、1929年の『世界恐慌』だ。

(;゚ω゚)「株価の暴落が止まらないお……………」

( ´ω:;.:...「とりあえずお金を集めるんだお……………」

( :;....::;.:. :::;.. .....「ドイツからも…………資金を引き上げて……………………」

 _
(;゚Д゚)「ちょっと待てよ、おい! ってうわあ!!!111!1くぁw瀬drftgyふじこlp;@:」

アメリカからの支援が無くなってしまい、ドイツは世界恐慌の煽りをまともに受けてしまった。
結果深刻な不況に陥ってしまったドイツに、この後天才的な救世主が現れるのである。



24: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/13(土) 15:28:21.05 ID:6bg9c4U+0
さて、以上がドイツを戦争に追いやった経済的な要因だ。

アメリカが資金を引き上げなければ、ドイツは不況にならなかったかもしれない。


次は政治的な要因を見てみよう。

**************************************************************************************************************



28: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/13(土) 15:32:23.55 ID:6bg9c4U+0
話は少し遡り、第一次大戦の最中のこと。

ミ,,#゚Д゚彡「全く変態ゲルマンのやつめ。昔から何故か突っかかってくるんだよな……………
       二度と刃向かわないように何か細工をしてやらんといけないようだなあ!!」

(・∀ ・)「やあ。僕はきれいなロシアだよ。
      ちょっと待ちなって。そんな風に虐めるから戦争になるんだろ?
      ドイツには『無併合・無賠償』の寛大な措置で望めばもう戦争は起こらないさ。
      ロシア帝国から生まれ変わったソヴィエトは、皆に平和を訴えているんだ」

ミ,,#゚Д゚彡「うっせーよ! 国として認められても無いくせに口だけは達者なようだな!」

(・∀ ・;)・・・・・・

この時のソ連の指導者は、かの有名な『レーニン』である。
成立して間もないソ連は列強各国に存在すら認めてもらえなかったのだ。
そして『無併合・無賠償』という理念は、多くの被害を出している英仏には到底受け入れられないものであった。



29: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/13(土) 15:33:07.18 ID:6bg9c4U+0
(・∀ ・)「ふん。いいもんねーだ。
      お前らが裏側で、こーんな事やあーんな事まで取り決めてた事をばらしてやるからなww」
 _
(;゚Д゚)
ξ;゚听)ξ
ミ,,;゚Д゚彡「ちょwwwwwwwwww待てwwwwwwwwwwwww」
\(^o^)/

ソ連は腹いせに「イタリアが寝返る」とか、「トルコを分割する」だとか、
そんな内容の外交文書を暴露し始めたのであった。

流石の列強の間にも動揺が広がっていく。



32: ◆ImMEukpfHw :2007/10/13(土) 15:34:59.32 ID:6bg9c4U+0
だが一方で、その考えにインスパイヤされた国があった。

そう、アメリカである。

(;^ω^)「ソ連の主張もなかなか筋が通ってるお……………
       無併合・無賠償とはいかないまでもこれなら使えそうだお」



33: ◆ImMEukpfHw :2007/10/13(土) 15:35:49.11 ID:6bg9c4U+0
(;^ω^)「みんなちょっと待ってくれお。今回の戦争はなんで起こったかを考えるんだお」

( ^ω^)「その原因とはズバリ、民族対立だお!
       ある民族が他の民族のことを支配してるからこんなことになったんだお
       そんな訳で僕は『民族自決』と『国際連盟』の設立をお薦めするお!」

アメリカは、バルカン半島の民族的対立がこの戦争の原因となったと思っていたのだ。



34: ◆ImMEukpfHw :2007/10/13(土) 15:36:36.74 ID:6bg9c4U+0
( ^ω^)「これが僕のまとめた原案だお。みんな良く見てくれお」

時のアメリカ大統領『ウィルソン』により、『十四か条の平和原則』が提出された。
これは、レーニンが訴えた「無併合・無賠償」に対抗するものであった。

そんな訳で、第一次世界大戦の後の『ヴェルサイユ体制』においては、
『民族自決』と国際連盟による『集団安全保障』が重視されることとなったのだ。



36: ◆ImMEukpfHw :2007/10/13(土) 15:37:39.46 ID:6bg9c4U+0
このようにして設立された国際連盟だが、実際は大きな問題を抱えていたのである。

例えば……………

ミ,,#゚Д゚彡「じゃがいも野郎なんかに参加する権利はねえ! 奴だけは絶対に加盟させねえぞ!」
ξ#><)ξ「わたしだってソ連みたいな得体のしれない国なんかと一緒にいたくないわ!」

 _
(;゚Д゚)   ・・・・・・
(;・∀ ・)

早速ハブられるドイツとソ連。
そしてアメリカも……………



37: ◆ImMEukpfHw :2007/10/13(土) 15:38:23.90 ID:6bg9c4U+0
       ____
     /      \
   /  _ノ  ヽ、_  \
  / o゚((●)) ((●))゚o \  ほんとは国際連盟に加盟したいんだお…
  |     (__人__)    |
  \     ` ⌒´     /

       ____
     /      \
   /  _ノ  ヽ、_  \
  /  o゚⌒   ⌒゚o  \  でも国民が加盟を反対するんだお…
  |     (__人__)    |
  \     ` ⌒´     /

19世紀初頭に出された『モンロー宣言』によってアメリカ国民にはある考えが浸透していたのが原因だ。

「アメリカのあるべき姿はヨーロッパの国と関係を持たない『孤立主義』である」と。


結局アメリカは、国際連盟に加盟することができなかった……………



38: ◆ImMEukpfHw :2007/10/13(土) 15:39:31.48 ID:6bg9c4U+0
ここに、第一次世界大戦後の『ヴェルサイユ体制』には矛盾があることがわかる。

・フランスによるドイツへの執拗な嫌がらせ
・ソ連を認めず、無視し続けたこと
・アメリカが再び孤立主義に戻ろうとしたこと

みんな一緒に平和を維持するには、大国の参加が不可欠である。
それなのに五大国のうち、二カ国までもが参加をしていないのだ。
さらに主要国ソ連も加盟していない。


※ちなみに五大国とは「米英仏日独」の五カ国であり、これは現在でも変わっていない。



39: ◆ImMEukpfHw :2007/10/13(土) 15:40:29.49 ID:6bg9c4U+0
また、ドイツは様々な制限を受けていた。
特に軍備の制限は手痛いもので、空軍は愚か、大規模な海軍や兵器開発まで禁じるものであったのだ。
 _
(;゚Д゚)「戦車も研究禁止……………第一次大戦で戦場の華だったUボートも禁止……………
     陸軍も10万人だけとかポーランドにも負けてるしよぉ……………」



40: ◆ImMEukpfHw :2007/10/13(土) 15:41:15.37 ID:6bg9c4U+0
そこに現れるのがソ連だ。

(・∀ ・)「ちょっと、いい話があるんだけど。ハブられてるもの同士協力しない?」
 _
(;゚ω゚)「何だよ」

(・∀ ・)「軍事基地貸してあげるからさ、代わりに研究した兵器をおくれよ」
 _
(;゚∀゚)「…………………………その話乗った!」



41: ◆ImMEukpfHw :2007/10/13(土) 15:41:58.40 ID:6bg9c4U+0
(・∀ ・)「でさ、対面上は『国交を結びました』って事にしてフランスを見返してやるのさ」
 _
(*゚∀゚)「わかった! 今日からソ連を国として認めるぞ!」

こうして結ばれた『ラパロ条約』。
ドイツ・ソ連を孤立させようとしていたフランスにとっては寝耳に水の話だった。


ミ,,#゚Д゚彡「くそっ、くそっ! ソ連と手を組むなんて聞いてねえぞ!
       こうなったら是が非でも屈服させてやる!」

独ソの連携は、上で書いた『ルール出兵』の遠因にもなったのである。



そして、フランスの思惑は失敗を見た。



43: ◆ImMEukpfHw :2007/10/13(土) 15:43:17.28 ID:6bg9c4U+0
結果、対独強硬の路線にも変化が現れることとなる。

ミ,,;゚Д゚彡「流石にそろそろまずいか……………
       仕方ねえ、国際連盟にも加盟させてやろう」

ドイツが軍拡に走らないよう『ロカルノ条約』を結び、ドイツは国際連盟加盟を果たしたのであった。



44: ◆ImMEukpfHw :2007/10/13(土) 15:43:58.20 ID:6bg9c4U+0
また、この「平和・強調」的な雰囲気の中で、戦争自重の『不戦条約』(ケロッグ=ブリアン協定)が結ばれた。
この条約には米英仏日独伊などの大国が参加しており、もう二度と世界大戦は起きないと思われたのだが……………


不戦条約締結は1928年。
束の間の平和は、たったの一年で崩れてしまうのである。

**************************************************************************************************************



戻る次のページ