( ^ω^)スーパーロボット大戦BOON のようです

76: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/20(土) 23:07:54.50 ID:M4fMsOMw0
駆動兵器と流石兄弟が激闘を繰り広げる最中、街には逃げ惑う人々の姿で溢れていた。
弟者の指示で既にシェルターへの避難勧告は出されていたが、早々完了するものではない。
荒巻コーポレーションと警察などは総動員で誘導を行うが、ほとんどパニック寸前の状況であった。

(;,,゚Д゚) 「落ち着けゴルァ! 誘導員の指示に従って逃げるんだゴルァ!」
ξ;゚听)ξ「ちょっとギコ! そんなんじゃ不安を煽るだけでしょ!」

そんな街中には、避難民を先導するヴィップレンジャーの姿もあった。
やはりその特用のスーツを装着しているが、人々にそのおかしさを気にするような余裕はない。
むしろ、その目立つ格好が気を引き、先導に有利な形で働いていた。

ξ;゚听)ξ「他のみんなは大丈夫かしらね?」
(;,,゚Д゚) 「まあドクオとしぃなら大丈夫だろ。ジョルジュと博士の方はちょっと心配だが……」

レンジャーは各方面の救助に回るため、チームを三つに分けていた。
ギコ達の担当する地区は順調に避難が進んでおり、ドクオ達の地区も戦場から距離は離れている。
戦場に最も近い地区を担当するジョルジュ達が、レンジャーの心配の種だった。

(*‘ω‘ *) 「ぽっぽ! ぽっぽ!」
(><;) 「キャッ! ちんぽっぽちゃん、跳ねたら危ないんです!」
川∴○д○)「ちょっとどきなさいよっ!」
(*‘ω‘ *) 「ぽっ!?」
(;,,゚Д゚) 「おい! 何やってんだゴルァ!」

騒ぎに気付いたギコはすぐさまその場へと駆け寄る。
倒れた少女を抱き起こし、ぶつかった女性に注意しようとするが、既にその姿はなくなっていた。

(;,,゚Д゚) 「大丈夫か?」
(*‘ω‘ *)「ぽっぽ!」
(><;)「大丈夫、ありがとうと言ってるんです! ちんぽっぽちゃん、もう僕から離れないで欲しいんです!」



77: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/20(土) 23:11:18.01 ID:M4fMsOMw0
川∴○д○)「全く邪魔なのよ……このルル×スザ本だけは絶対に無くせないんだから……」

大きな紙袋を持った女性は息を荒げながら、避難用の大型シェルターへと走る。
その様子を、物陰から見つめる一つの影があった。

(○)「……腐る者……」

その物体は白い球体のようだったが、表面にはランダムに蠢く突起が現れていた。
そして、その中央と思われる部分には鏡面体のようなものが存在しており、どことなくカメラのレンズを思わせる。
発せられた声は電子音に近く、あまり生きている感じは見られなかった。

物体はふわりと空へと浮かび上がると、上空から逃げ惑う人々の姿を覗く。
その中には、先ほどの少年少女の姿もあった。

(><;)「ちんぽっぽちゃんは僕が守るんです!」
(*‘ω‘ *)「ぽっ!」
(><;)「だから跳ねないで欲しいんです!」

二人の動きに合わせ、物体の鏡面体がぐりぐりと移動する。
それはまるで、対象を鑑定しているかのようにも見えていた。

(○)「……跳ねる者……守る者……」

再び物体は呟き、そのまままた移動を開始する。
しかし、今度は人々から離れ、まるで何かを探すように動き始めた。

(○)「……素体……」

しばらくして、物体は移動をするのを止め、上空でその身を停止する。
しかし、それもほんのわずかの間。やがて物体はどこかへ向けてあっという間に飛び去ってしまった。



78: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/20(土) 23:16:27.66 ID:M4fMsOMw0
――都内某地下駐車場。

薄暗く、湿気に塗れた人気の無い駐車場を、一人の女性が悠然と闊歩していた。
だらしなく着こなされた白衣、手入れを忘れられたぼさぼさの髪、そして、その手にはバールのようなものが握られている。

从 ゚∀从「……」

秘密結社セントジョッカーの科学者、ハインリッヒ高岡。
彼女には、秘められた過去があった。その胸に、燃え滾るある一つの感情が眠っていた。

遠き昔、彼女はいつまでも見つめていたかった背中を失った。
それを奪ったのは、忘れもしない五色の英雄達――ヴィップレンジャー。

奪われた代わりに彼女が得たのは、仇を討つという復讐心。
それは彼女が成長すると共に大きくなり、そしてその根を深くしていった。

やがて、彼女は甦らせた。復讐する手段、命を落とした父が、その思いを残したもの。

从 ゚∀从(この混乱……私にとってはチャンスなんだ)

高岡は駐車場をしばらく進むと、ある場所でその歩みを止める。
下げられた視線の先には、何の変哲もないマンホールが一つ。
しかし、その眼差しは強く、同時に愛おしさのようなものも感じさせる。

手に持ったバールのようなもので、高岡はマンホールのふたをこじ開けた。
むわっとする異臭が彼女の鼻を突き、わずかに吐き気を催させる。

高岡はその場にバールのようなものを放ると、静かにマンホールの中を降りて行く。
この下水道の奥に、彼女の求めるものがある。
久し振りの再会が、この先に待っているはずであった。



80: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/20(土) 23:19:35.34 ID:M4fMsOMw0
下水道をしばらく進み、高岡は“その場所”へと到着する。
思いと共に眠らせた、“それ”が眠るその場所へ。

暗闇の中、浮き上がるシルエット。それは鎖で繋げられ、復讐の機会を待ち望んでいた。

从 ゚∀从「さあ行くぜ……親父の仇を討ちになぁ!」

操縦席に乗り込み、高岡はメインエンジンのスイッチを入れる。
豪快な重低音と共に、眼差し鋭い眼光が甦る。

高岡の血が作り上げた決戦用兵器、コッチミルナ号。
それは、ヴィップレンジャーとの戦いに投入される――はずだった。

从;゚∀从「っ!? な、なんだ!?」
(○)「……素体……適合……」」

突如、高岡の目前に白き物体が飛来する。
それは吸い込まれるようにしてミルナ号へと張り付き、その全身を覆っていく。
物体の質量を無視し、凄まじい速度で行われるその様は、まるでミルナ号を侵食するかのようであった。

从;゚∀从「う、うわっ!?」

侵食は操縦席にまで到達し、慌てて高岡は地面へと飛び降りる。
驚きを隠せないままに愛機を見上げたが、既に物体は機体の丸ごとを覆ってしまっていた。

从;゚∀从「な、なんだってんだよ……」

そうして、高岡の目の前で侵食は第二段階へと移行する。
機体は巨大化していき、爪や牙が生え揃い、より生物的なフォルムへと近くなっていく。
復讐のために使われるはずだったミルナ号は、まさにそれにふさわしい姿へと変貌していった。



81: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/20(土) 23:23:05.16 ID:M4fMsOMw0
(´<_` )「くらえっ! トンファータックル!」
(;^ω^)「うわっ!?」

オクスタントンファーを格闘用に切り替えたフレールの体当たりで、ブーンのVGが吹っ飛ぶ。
ただの体当たりと言えど、フレールは質量差で上回る上、その威力はトンファーによって大幅に強化されている。
ヴィプクロメタリウム製の強固な装甲も、これにはダメージを隠せなかった。

(;^ω^)「このおっ!」
(´<_` )「むっ!?」

VGの伸縮する両腕が動き、フレールの片足をすくい上げる。
バランスを失った機体に、横から黒き影が襲い掛かった。

('A`)「カッツバルゲル展開っ! くらえええっ!!」

ドクオのVBの右腕部に収納された短剣、カッツバルゲルがその刃の先にフレールを捉える。
弟者はスラスターを噴射して機体の体勢を調整し、そのまま頭部バルカン砲で迎え撃った。

VBの装甲はバルカン砲の銃撃など跳ね返して見せるが、ドクオは思わず衝撃で目を瞑ってしまう。
その隙に弟者はトンファーで足を掴む腕を振り払い、そのままVBに爪先をめり込ませた。

(´<_` )「トンファーキック!!」
(;'A`)「おっあああああっ!?」

バルカンとは比べ物にならない衝撃がVBを襲い、そのまま放物線を描きながら機体は後方へと飛んでいく。
そして、その先で高くそびえ立つビルへと機体は衝突した。

(;'A`)「くっ、そぉ……」

ビルの破片や窓ガラスの残骸を振り落としながら、ドクオは機体の体勢を取り戻した。



82: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/20(土) 23:26:35.12 ID:M4fMsOMw0
(;'A`)「あの野郎……ん?」

ドクオはすぐに戦線に復帰しようとするが、そこでモニターの隅に何かを見つけた。
それは何やら人のようだったが、ピンク色の奇抜なスーツを身に着けている。
何事かと思い、ドクオはその地点を拡大してモニターに映し、そして集音機能の感度を上昇させた。
  _  
(;゚∀゚)「お嬢ちゃん大丈夫か!? 今助けてやるからな!」
l从;∀;ノ!l「うあああん! 痛いのじゃ……」

ピンクスーツは瓦礫の下から少女を抱きかかえ、開けた場所へ移動していく。
その瞬間、少女のいた場所はがらがらと崩れる建物で埋め尽くされていった。

(;'A`)「あれは……」

ドクオはその光景に、痛感の意を示す。
ああなったのは、ドクオ達が戦闘を行ったせいだからだ。
この瞬間だけドクオは戦うことを忘れ、モニターへと釘付けになっていた。
  _  
(;゚∀゚)「博士! この子、足を怪我してるみたいなんだ。早く手当てしてやってくれ!」
川 ゚ -゚)「任せろ。しかし、お前も無茶をするな」
(;゚∀゚)「当たり前だろ! すぐそこに泣いてる奴がいるってのに、何もしないでたまるかってんだ!」

ピンクスーツの知り合いらしき女性が少女の足に包帯を巻く。
それも終わると、ピンクスーツは少女を背負い、女性と共に街中を駆け抜けていった。

(;'A`)「……なんだ、あいつ……」

ドクオはモニターの拡大を止め、ただ呆然と宙を見つめる。
しかし、すぐに機動を再開し、VBは火花散る戦場へと戻っていく。
ただ、少女を背負うピンク色の背中、そしてたった今聞いた言葉が、ドクオの心を掴んで離さなかった。



84: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/20(土) 23:30:23.83 ID:M4fMsOMw0
(;'A`)「どうなったっ……戦況はっ……!」

ドクオが離れたのもわずか数分の間だったが、戦況はがらりと変わっていた。
兄者とクー、そして弟者とブーンが相対していたが、やはり性能差なのか、流石兄弟の方が明らかに攻勢を増していた。

( ´_ゝ`)「当たれっ! このっ!」
川 ゚ -゚)「くっ……」

その飛行能力を最大限に活かし、上空よりブルーダーはリボルヴァーで射撃する。
対するVRは対抗する射撃武器を持たず、反撃するにはその身を晒す他ない。

建物の物陰に隠れながら回避するクーだが、試作型と言えどリボルヴァーの銃撃は凄まじいものである。
丈夫な鉄骨で造られたビルが、あっという間に半壊させられていく。
迂闊に距離を詰めることさえできなかった。

( ´_ゝ`)「ちっ、弾切れか……」

唯一の隙と言えば、この銃をリロードする瞬間である。
だが、ブルーダーが銃を備え付けられていた腰部に戻すと、一瞬にして弾丸が補充される。
なので、隙と言ってもほんの数秒の間しかない。

玉砕覚悟で攻めるとしても、あまりにもリスクが大き過ぎる戦法だった。

(´<_` )「ほらほらどうした! 足元がお留守になってるぞ!」
(;゚ω゚)「うわっ!?」

そして、弟者とブーンの方は明らかに戦力に差が見えていた。

最初に見事な狙撃を披露した弟者だったが、本来彼は格闘戦の方を得意としていたのだ。
ブーンが繰り出す攻撃をいとも簡単に捌き、防ぎ、逆にその攻撃は確実に当てていく。



85: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/20(土) 23:33:50.29 ID:M4fMsOMw0
飛行能力も存分に発揮し、いくらヴィプクロメタリウムの装甲と言えどこれだけの攻撃は致命的である。
加えてブーンも精神的に追い詰められ、それが機体の動きを鈍らせていた。

(;'A`)「くそっ!」

ドクオはすぐさまVBの武装を展開する。
右腕のクレインクライン、そして腰に備え付けていた粒子散弾銃スターマインを左手に構えさせる。
ブルーダーとフレールのそれぞれに照準を定め、トリガーを引き絞った。

(;'A`)「ブーン避けろおおおおっ!!」
(´<_` )「むっ!」
(;´_ゝ`)「な、なんだ!」
(;^ω^)「ノ、ノトーリアス展開っ!!」

空中と地上へ向けて、無数の閃光がばら撒かれる。
当てることなど考えない、我武者羅な射撃。それ故に、正確な狙撃を上回る成果をも生む。
流石の二機もその全ては避けられず、装甲の数箇所を削り取られた。

(;´_ゝ`)「なんだ弟者! あれはお前の担当だろ!」
(´<_` )「さっき吹っ飛ばしたのが戻ってきたみたいだな」

比べて被害の大きかった兄者が通信で弟者に愚痴をこぼすが、返って来た答えはひどく現実的なものだった。

この隙にブーンとドクオはクーの元へ合流し、兄弟も空中にて並び立つ。
三機と二機はお互い睨み合い、戦いは仕切り直しへと移行する。

しかし、始まりの鐘を鳴らしたのは駆動兵器でも、ブルーダーでもフレールでもなかった。

瞬間、その場にいた全員が突然の轟音と光にその身を戦慄かせる。
相対する五機の間を、巨大な雷鳴が貫いた。



86: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/20(土) 23:37:42.77 ID:M4fMsOMw0
(;^ω^)「な、なんだお!?」
(;´_ゝ`)「あ、あそこだ!」

兄者が見つめる先、そこには不自然に盛り上がった地面があった。
コンクリートには無数の亀裂が走り、その中心部から何かが飛び出している。

地面から姿を現しているのは、腕だった。
天高くそびえ立つ巨大な腕が五指を広げ、地中より姿を現していたのだ。
その掌には微弱な電流が帯電され、先ほどの電撃はこの腕の仕業だと思われる。

やがて、地面がさらに蠢き、中からその腕の持ち主が這い出てくる。
まずは上半身が露出し、その顔面には赤く光を放つ眼と、肉食獣を思わせる顎まで伸びた鋭い牙が存在していた。

(;'A`)「な、なんだありゃ……」
(;^ω^)「お、大きいお……」

その大きさは上半身だけでも駆動兵器を軽く凌駕しており、続いて下半身が地面を砕きながら出現する。
この時点でブルーダーとフレールも見下ろす形となり、その全長はおよそ五十メートルにも及んでいた。

(´<_`;)「! 兄者、あれが長岡の言っていたものなんじゃないのか!?」
(;´_ゝ`)「っ! そ、そうか! あれが“ARASHI”か!」

兄弟間にて、そう通信を交わすと、兄者は通信機能を一般用のものに切り替える。
半径数キロ以内へ無差別に電波を送る、広域通信用のものだった。

(;´_ゝ`)「お……い! 聞いてくれ! 駆動兵器のパイロット!」
(;'A`)「っ!」
(;^ω^)「あ、あの二挺拳銃のパイロットかお?」
川 ゚ -゚)「……」



93: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/20(土) 23:54:31.15 ID:M4fMsOMw0
突然入ってきた通信に、三人は一斉に反応する。
強制的に割り込んできた通信のため、音声には若干のノイズが含まれていた。

(;´_ゝ`)「突然……が、聞いてくれ! もうお前らと争ってる場合じゃないんだ!」

相対する敵と通信を交わすなど、軍人である三人にとって褒められることではない。
だが、その声は聞くからに切迫しており、どことなく恐怖心さえ伝わって来る。
何より、三人も状況を理解したい気持ちは一致していた。

川 ゚ -゚)「……話を聞かせてもらう。全機、こちらからも通信を開け」
(;´_ゝ`)「! 感謝する!」

通信の向こう、ブルーダーのコックピットにて、兄者は安堵の溜め息を漏らす。
それほどに、今の彼の心境は逼迫したものだった。

川 ゚ -゚)「あれは何なのだ? 生物なのか?」
(;´_ゝ`)「それはわからん。ただ、あれが俺の知っている通りのものなら、
       俺たちは協力してでもあれを倒さなければならん」
川 ゚ -゚)「なに? それはどういうことだ」
(;´_ゝ`)「俺も詳しくは知らないが、恐らくあれは“ARASHI”という存在だ。
       その目的は実にシンプルで……人類の、滅亡だ」

最後は少し、嘲笑するように兄者は言う。しかし、それは実に弱々しいものだった。

川 ゚ -゚)「そんな話を……信じると思っているのか?」
(´<_` )「だったらさっきの電撃で黒焦げになるだけだ」

兄者と同じく切迫しているが、それでいて力強い弟者の声が通信に割り込む。
それを聞いてクーは黙り込み、視線を地中から出現した怪物の方へと向ける。
当の怪物は完全に地上へ四足を降ろした後、不気味に静止したままだった。



95: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/20(土) 23:58:22.34 ID:M4fMsOMw0
(;'A`)「ク、クー少尉、どうするんですか……?」
川 ゚ -゚)「……」

クーはモニターで拡大し、怪物の姿をまじまじと見つめる。
それは拡大して見れば画面を覆い尽くすような大きさで、自らが乗る駆動兵器とは雲泥の差がある。
もはや、怪物が駆動兵器であり、駆動兵器が人間のようなものなのだ。

加えて、先ほどの轟雷のような電撃。ただの一度ながら、あまりにも強烈な印象を残していった。
しかし、クーの心に恐怖心のようなものはない。むしろ、軽度の興奮状態にすらある。

川 ゚ -゚)「……あれが敵ならば、倒すだけだ」

新たに現れた“敵”は、恐らく今までのどれよりも強い。
彼女は決して戦闘狂ではないが、強きものと戦い、勝利することに特別の喜びを感じる業を抱えている。

クーはVRの腕を背部に回し、長身の業物――オオテンタを抜く。
そんな彼女の闘争心にも似た感情が、解き放たれたようであった。

(;'A`)「……了解」
(;^ω^)「了解……フォルテセスタス、展開」

クーに呼応して、VBはスターマインを持ち直し、VGは両腕に粒子の鉄拳を装着させる。
それを確認し、ブルーダーとフレールも地上に降りてリボルヴァーとトンファーを構え直した。

(;´_ゝ`)「行くぞ弟者……気を引き締めろよ」
川 ゚ -゚)「全機、標的を当該物へと変更だ」

地上に並び立つ五機は一斉にその照準を巨大な怪物へと向ける。

果たして、その“敵意”を感じたのか、静止した怪物の瞳に再び赤光が灯された。



97: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/21(日) 00:01:36.07 ID:5T5KvYOy0
( ´_ゝ`)「敵に接近する! そちらにも援護頼めるか!」
川 ゚ -゚)「了解した。ブーン、行くぞ」
( ^ω^)「了解!」

先頭を切って兄者のブルーダーが飛び出し、それにVRとVGが続く。
その様子を怪物はぎろりと睨みつけ、そのまま二足歩行の体勢へと動き始める。
動物のように背筋を曲げた姿だったが、それでも迫り来る三機を見下ろす形となった。

( ´_ゝ`)「デカブツがっ!」

兄者は機体を上空に飛び上がらせ、そのまま頭部へとリボルヴァーを発射する。
怪物は空を仰ぐように右掌を動かし、その直撃を免れる。
しかし、それでも戦車砲の威力を凌駕する銃弾は、防ぐ手の指を数本吹き飛ばした。

川 ゚ -゚)「ブーン、私に続け」
( ^ω^)「了解!」

VRの持つオオテンタの刀身を発光する粒子が覆っていく。
その切れ味を増した刀剣でクーは怪物の左足首を斬り付け、続けてブーンも同じく粒子でコーティングされた拳を炸裂させる。
連撃によって怪物の足首は傷つき、そのまま巨大な体がぐらりと揺らいだ。

(´<_` )「おい黒いの、兄者達を援護するぞ」
('A`)「……了解」

弟者はトンファーをライフルモードへと変更。中距離から怪物を狙う。
ドクオは弟者の命令にわずかに抵抗を感じたが、すぐにクレインクラインとスターマインを引き絞る。
弟者の号令を皮切りに、三つの銃口によって一斉砲火が為された。

放たれた無数の火の飛礫は体勢を崩した怪物の胴体に着弾し、そこから火柱が上がる。
巻き上がる硝煙は怪物の巨体を隠し、衝撃で吹き飛ぶ肉片や破片がそこら中に飛び散った。



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