( ^ω^)スーパーロボット大戦BOON のようです

98: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/21(日) 00:05:06.90 ID:5T5KvYOy0
(´<_` )「……やったか?」

濛々と怪物を埋め尽くす煙が晴れていき、段々とその姿が露になる。
各員はその様子をじっと見届けるが、そこには予想だにしない光景が待っていた。

(;゚ω゚)「えっ!?」
(;´_ゝ`)「無傷……だと」

煙の中から現れた怪物は、初めてその姿を見た時と何ら変わっていなかった。
吹き飛ばしたはずの指も、斬り裂いたはずの足も、飛び散った肉片も全てそこに備わっている。

怪物は煙立つその場から一歩踏み出し、ぎろりとその眼を瞬かせた。

(;'A`)「防がれたわけじゃない……全て当たったのに!」
川 ゚ -゚)「信じられんが……恐らくは」

すると、VRはオオテンタを腰に仕舞うように構え、ブーストを瞬間的に展開させる。
短い距離ながら高速で間合いを詰め、居合いの形に刀が振るわれた。

刀身は再び怪物の足を斬り裂き、その巨体の喉から唸るような低い音が発せられる。
クーは追撃をすることはせず、そのまま怪物の様子をじっと見つめた。

川 ゚ -゚)「……やはりな」
(´<_` )「再生能力、か」

怪物の斬られた部分から触手のようなものがうねり、そのまま傷口をくっ付けていく。
そうして、数秒と経たない内にクーの付けた刀傷は消えてしまった。

その光景を見たものは思わず言葉を失ったが、すぐにそんな暇は消え去る。
何故なら、怪物が諸手を上げて襲い掛かってきたからだ。



99: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/21(日) 00:08:06.75 ID:5T5KvYOy0
(;´_ゝ`)「くっ!」

一番距離の近かったブルーダーに、怪物の振り上げられた右腕が迫り来る。
先ほどまで動きの鈍いように見られていた怪物だが、その動きは素早く、兄者は決死のところで回避する。
しかし、飛行していたせいもあり、腕が振り下ろされた際に巻き起こった風圧が機体を大きく吹き飛ばした。

(´<_` )「させるか!」

頭部に狙いを定め、弟者がトンファーで撃ちまくる。
怪物は左掌を顔の前に広げ、弾丸はそのほとんどがそこに吸い込まれた。

その隙に兄者は機体のバランスを取り戻すが、怪物の息はそこで止まらなかった。
広げた掌に熱が集まって行き、そこから一筋の光線が放たれたのだ。

(;'A`)「うわっ!」
(´<_`;)「ぐうっ!」

弟者のフレールは予め上空に移動していたため回避は可能だったが、ドクオのVBはそうはいかなかった。
光線はその丁度目の前の地面に直撃し、爆発と共に巨大な火柱が巻き起こる。
VBはその爆風に巻き込まれ、機体は大きく宙を舞った。

(;'A`)「くそぉ……」

VBは地面を擦りながら着地し、なんとかよろよろと立ち上がる。
装甲や関節部分の多くが傷つき、左手のスターマインは使い物にならなくなっていた。
熱線が落ちた地面にはクレーターが出来上がり、中にはどろどろのマグマが流れ込んでいる。

(;´_ゝ`)「で、電撃だけじゃないのか!?」
(´<_`;)「兄者! まだ来るぞ!!」



101: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/21(日) 00:11:14.01 ID:5T5KvYOy0
気が付けば、既にブルーダーに向けて開いた右掌が向けられていた。
すると、今度は掌に何やら白い靄のようなものが集まって行き、徐々にそれが収束されていく。
ある程度固まった瞬間、掌から白い光線が撃ち抜かれた。

(;´_ゝ`)「こんの……っ!」

兄者は目いっぱいレバーを引き、急加速で機体を上方に退避させる。
直撃は免れ、光線はブルーダーの背後にあったビルへと着弾した。

(´<_`;)「な、なんだと!?」
(;^ω^)「ビルが……凍っていくお……」

光線は着弾した後、ビルを取り囲むように拡散する。
そして、ビルにはみるみる内に霜が出来上がり、そのまま完全に凍り付いてしまった。
太陽の下にあって、それは見るからに異常な光景である。

(;´_ゝ`)「電撃、熱線、瞬間氷結、それに再生能力だとぉ……!?」
川 ゚ -゚)「まさに化け物、だな」

冷静に放たれたクーの言葉だったが、その場にいる全員がまともな心境ではなかった。

単純な膂力に加え、三種の異なる特性を持った光線。
巨体から繰り出される攻撃のどれもが、直撃すれば致命傷の免れない威力である。

その上、こちらの攻撃が効くとはいえ、傷口はすぐに再生能力によって塞がれてしまう。
敵に全く死角の見当たらない、最悪の状況に等しかった。



102: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/21(日) 00:13:57.62 ID:5T5KvYOy0
(´<_`;)「……どうする、兄者?」
(;´_ゝ`)「どうすると言われても……」
(;^ω^)「ク、クー少尉……」
川 ゚ -゚)「……」

もはや、その問いに即答できる者などその場にはいなかった。
さしものクーでさえ、その口を噤む。

そして、そんな心の隙を広げるかのように、敵の猛攻は止まらない。
怪物は獲物を狙う獣の如く、低い体勢から飛び掛る。

(;´_ゝ`)「ぐっ!」
(;^ω^)「うわっ!?」

身を低くしたと言っても、その巨体故に兄者達には山が動くかのように見える。
怪物の大蛇のような右腕がうねり、鋭利な爪が振り下ろされた。

五機はそれぞれ散り散りになって逃げるが、衝撃波まで避けれるものではない。
特に重量で劣る駆動兵器には辛いものとなった。
VRはオオテンタを地面に突き刺して耐えるが、VBとVGの二機は容赦なく建物に機体を打ち付けられた。

川 ゚ -゚)「……っ、とにかく攻撃を与えるしかあるまい」

駆動兵器の装甲を形作るヴィプクロミニウムは、搭乗者の体の“流れ”によってその動力を高める。
クーはその効果を得るため、半眼にて精神の集中を行った。

攻勢を仕掛けるにも、怪物の一撃は是が非にでも回避しなければならない。
VRは地面から刀を抜き取ると、正眼にて構えた。

川 ゚ -゚)「……行くぞ」



103: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/21(日) 00:17:55.18 ID:5T5KvYOy0
VRは剣道の摺り足にも似た飛び込みで、一気に距離を詰める。
そのまま瞬時に怪物の足元に突きを繰り出すが、その質量差から大したダメージは与えられない。
するとクーは無理矢理機体の手元を捻り、真横に引き抜くようにして斬り付けた。

怪物の足に深い横一文字の刀傷が作られる。
だが、刀で斬った痕は綺麗なもので、その再生も早い。
そこで、VRは再びオオテンタを構えると、今度は滅多斬りに振り回した。

川 ゚ -゚)「はっ!」

斬り上げ、斬り下ろし、突き。滅茶苦茶にも見えるやり方で怪物の皮膚を斬り裂いていく。
傷口に鉤爪を突き刺し、抉るようにかき回す。
そうして、それは徐々に怪物の再生する速度を上回っていった。

( ´_ゝ`)「援護するぞ弟者!」
(´<_` )「応!」

クーの猛攻に、上空よりリボルヴァーとトンファーの銃撃が加勢される。
当然、怪物とてそれを黙って受けるわけはない。

足元のVRに爪が振り下ろされ、その頭上に迫る。
それを察知したクーは機体を百八十度回転し、そのまま後方へとブーストで退避する。
怪物の爪は地面に深々と突き刺さり、わずかな揺れがその場に響いた。

川 ゚ -゚)「……っ!」

その様子を見たクーは再びブーストを展開し、今度は怪物の振り下ろした手元へと突っ込む。
勢いを使って機体の足を引っ掛け、そのままどんどん巨体を登っていく。
最後は曲芸師の如く飛び上がり、オオテンタを上段に振りかぶった。



105: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/21(日) 00:20:38.87 ID:5T5KvYOy0
川 ゚ -゚)「はぁっ!!」

気合一閃。振り下ろされた刀身は怪物の頭部を斬り裂き、その眼球にまで到達する。
その瞬間、怪物の喉から今までにないほどの甲高い叫び声が鳴り響いた。

クーは手応えを感じ、すぐさま二合目を繰り出そうと構えるが、怪物の首がぐるりと動く。
その赤い瞳がVRを捉えた後、大口が機体を飲み込まん勢いで開かれる。

クーはその喉元を突いてやろうと刀を引くが、果たしてそれは叶わなかった。
何かが競り上がるようにして怪物の喉が蠢き、その口から鈍色の信管が現れる。
次の瞬間、怪物の喉から巨大なミサイルが発射された。

川;゚ -゚)「な、なんだとっ!」

VRは刀を盾に構えるものの、その質量を押さえられるものではない。
ミサイルの勢いによって機体は吹き飛び、オオテンタもその手元を離れ、飛んでいく。
機体も実に数十メートルは宙を舞い、そのまま地面へと叩き付けられた。

(;´_ゝ`)「ミ、ミサイルが来るぞっ!」
(;'A`)「ブーン逃げろおおおおおっ!!」
(;^ω^)「うああああああっ!!」

発射されたミサイルは放物線を描き、やがて地面へと着弾する。
大量の火薬が一気に爆発し、ドーム状の爆炎がその場を覆い尽くしていく。

建物やビルは塵のように四散し、地面のコンクリートが凄まじい勢いで剥がされる。
ようやく爆発が収まると、そこは都市が存在していたことが信じられないような焼け野原と化していた。



106: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/21(日) 00:23:35.45 ID:5T5KvYOy0
(;´_ゝ`)「ぐ、ぐぐ……」
(;'A`)「うう……」

爆発に巻き込まれた機体は、そのどれもがひどい有様だった。
装甲が焼けて落ち、関節など駆動系の多くに支障を来たしている。
瓦礫の山に覆われながら、未だに機体のあちらこちらから火花が散っていた。

「――!!!!」

勝利を確信したかのように、怪物は高らかに雄叫びを上げる。
金切り声のようなそれはおぞましく、そして聞く者を不快にさせた。

(;'A`)「う……ク、クー少尉……」
川 - )「……」
(;'A`)「え……少尉? クー少尉!?」

ドクオは何度も通信を続けるが、一向にクーの声を聞くことはできなかった。
途端、その額にぶわっと冷や汗が浮かび上がる。

(;'A`)「気絶してるのか!? 少尉! 応答してください少尉!!」
(´<_`;)「お、おい! 危ないっ!!」
(;'A`)「え――」

その瞬間、ドクオは一度見た雷鳴を目撃する。
だが、雷はVBの頭上を飛び越え、遥か向こうの街を直撃した。
遠雷でも落ちたかのように煙が上がり、怪物は同じように狙いをつけて雷撃を続けていく。

(;'A`)「な、何を……」
(;´_ゝ`)「言っただろ……こいつの目的は人類の滅亡だってな」
(;'A`)「なっ……!」



108: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/21(日) 00:26:35.60 ID:5T5KvYOy0
怪物の熱線によって、雷撃によって街が蹂躙されていく。
このような光景、戦争を経験するドクオも目を疑うしかなかった。

(;'A`)「や、やめろ……」

近代的な都市郡は見る影もなく、その被害は一撃の度に拡大していく。
巻き上がる戦火の中に、ドクオはある光景を思い出していた。

(; A )「やめろ……」

それは、泣き叫ぶ少女の姿と、それを救うピンク色の背中だった。

ドクオにとって戦争とは、VIPという国を守るため、どうしてもやらなければいけないことだと考えていた。
そのために引き金を引き、敵を討ち、戦ってきた。全てはVIP国の未来を切り開くため、そう信じてきた。

だが、それなら何故、彼の脳裏にその光景が焼き付いたのか。

戦火のないこの国で、その姿は純粋に人を助けようとするものだと思えた。
何のしがらみも受けず、未来を守るだけでなく、目の前の現在(いま)を救おうとしていた。
そんな彼の姿が、ドクオはとても眩しく見えた。羨ましいと、思えたのだ。

(; A )「やめろ……!」

戦争でもない、あまりにも一方的な破壊行動が続く。
絶望の光が、人々の命を、生きようとする意志を奪っていく。
ここで何もしなければ、あの純然な意思が無駄になると、ドクオは思った。

だから、ゆっくりと機体は立ち上がっていく。そして、叫んだ。

(`A')「やめろおおおおおおおおおっ!!!!」



109: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/21(日) 00:29:01.31 ID:5T5KvYOy0
ぼろぼろの機体を奮い立たせ、VBは怪物へと突撃する。
クレインクラインを乱射し、ブーストで一気にその腰部にまで飛び上がった。

(`A')「おおらあああっ!!」

カッツバルゲルで腰の肉を抉り、若干のスペースをそこに設ける。
そして、肩部分に装着された小型収束爆弾、W-5を取り外し、拳と共に打ち込む。

VBが距離を取った途端、傷口から光が放たれ、凄まじい爆発が起こった。
W-5の威力によって怪物の腰の部分が大きく抉り取られ、悲痛な声を上げながらその巨体が沈む。
強大な地響きと風圧がその場に轟いた。

(;^ω^)「ド、ドクオ!」
('A`)「ブーン! お前は少尉を連れて退避しろ!」
(;^ω^)「なっ……ドクオはどうするんだお!?」
('A`)「俺もすぐ行く! とにかく少尉を早く手当てしないと!」
(;^ω^)「わ、わかったお!」

ドクオはクレインクラインで追撃し、その隙にブーンは機体を立ち上がらせる。
そして、負傷したVRを担ぐと、できるだけ衝撃を与えないように後退していく。

(;^ω^)「ドクオ! 必ず戻ってくるんだお!」
('A`)「わかってるよ!」
(;^ω^)「絶対だお! 約束だお! 破ったら承知しないお!」
('A`)「ああ!」

通信範囲の限界まで、ブーンはドクオへ何度も同じ問いを繰り返した。
そして、ドクオもそれに何度も答えを返す。その間も、ドクオによる攻撃は続いていた。



111: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/21(日) 00:31:38.11 ID:5T5KvYOy0
('A`)「!」

一人戦闘を続けるドクオの後方から、怪物の胴体に銃撃が行われる。
モニターで確認すれば、そこには銃を構える二機の姿があった。

( ´_ゝ`)「まだまだこんなもんじゃないぞ、俺達だってな」
(´<_` )「ああ、もちろんだ兄者」

至る部分の装甲が欠けた機体を維持しながら、ブルーダーとフレールが攻撃に参加する。
リボルヴァー、トンファー、そしてクレインクラインによる多重掃射が続けられた。

('A`)「このっ! このっ!」
( ´_ゝ`)「なんだ! お前は退避しないのか!?」
('A`)「するさ! こいつを始末したらな!」

三機による攻撃は激化を増し、上手く身動きの取れない怪物を苦しめる。

だが、それが長くは続かないことはわかりきっていた。
既にドクオが与えた腰部の傷は、異常な速度で再生が始まっている。

傷ついた三機が相手するには、やはり途轍もない相手であった。



119: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/21(日) 01:00:20.76 ID:5T5KvYOy0
――荒巻コーポレーション地下格納庫。

地上から遥か深く離れたこの場所では、忙しなく動き回る足音と、喧騒のような声が飛び交っていた。
至るところに設置されたモニターに凄惨な地上の様子が映され、作業員はそれを憎々しげに見つめる。
パイロットスーツに着替えたショボンも、その内の一人だった。

(;´・ω・`) 「……っ!」

ショボンの焦りに比例するように、地上の戦火は激化していく。
美しかった街の景色は時が経つ毎に崩壊し、逃げ惑う人々の叫びが聞こえてくるようだった。

(#`・ω・´)「……我慢なんか……できるかぁっ!!」

怒りと共に壁に拳を叩きつけ、その場の作業員達が驚いてその姿に目を向ける。
だが、彼らとてショボンの気持ちは痛いほど理解していた。

荒巻コーポレーション内で秘密裏に行われているDプロジェクト。
それは、地球に迫り来る未知の脅威――“ARASHI”に対抗するために始められたものだった。

ところが、そのための肝となる兵器は未完成で、出撃することは叶わない。
今はただ、明らかに不利な状況を、指をくわえて見ているだけ。
現場にいる者達のフラストレーションも、もはや限界に近付いていた。
  _  
( ゚∀゚)「落ち着けショボン……頼むからもう少しだけ待ってくれ」
(#`・ω・´)「もう少しだって……? 一分……いや、一秒だって待つ時間なんかないだろう!!」

ショボンの怒号を、長岡は甘んじて受ける。
それを見て、彼は自分の発言を後悔せざるを得なかった。
長岡とて、悔しい気持ちは同じなのだ。ショボンは長岡から瞳を逸らし、焦燥に息を吐いた。



120: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/21(日) 01:02:58.20 ID:5T5KvYOy0
(;´・ω・`) 「……くっ、すまない、長岡……」
( ゚∀゚)「気にしてねえよ。それに、その怒りはあの敵にぶつけてやれ」
(;´・ω・`) 「え……それはどういう……」

「遅くなってすまない」

ショボンは背後からした声の方向に振り向き、その人物を見て驚愕する。

(;´・ω・`)「あ、荒巻社長!?」
/ ,' 3「うむ」

紺色のスーツを着た、貫禄のある壮年の男性。
作業員達が一斉にその手を止め、服装を正し、尊敬と畏怖の念を込めた視線を送る。

彼こそが、荒巻コーポレーションの社長にしてDプロジェクトの発案者。
“世界のARAMAKI”こと、荒巻スカルチノフその人であった。

(;´・ω・`)「あ、荒巻社長……熊本の視察に行かれていたのでは……?」
/ ,' 3「知らせを受けてな、すぐに戻ってきた。長岡、準備の方は整ったか?」
( ゚∀゚)「もちろん! 後は社長による承認を待つだけですよ」
(;´・ω・`)「え? え?」

その会話の内容が理解できず、ショボンはただ荒巻と長岡の交互にへと視線を動かす。
滑稽とも言えるその様子に、長岡はにやりと口元を緩める。
そして、一度だけ荒巻と視線を交わし、混乱するショボンに話しかけた。
  _  
( ゚∀゚)「動力のバイパス部分をちょっといじくった……短い時間だが、これで通常に近いパワーを得られる」
(;´・ω・`)「そ、それじゃあ……」
/ ,' 3「うむ。緊急時により、ダイヴィッパーの使用許可を承認する……!」



123: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/21(日) 01:06:03.16 ID:5T5KvYOy0
荒巻の承認の後、ショボンはすぐさま機体のコックピットへと向かう。
開放されたハッチから潜り込み、待ち望んでいたシートへ腰を下ろした。

(´・ω・`) 「VIP、START」

ショボンが言ったキーワードと腕のVIPライザーに反応し、コックピットの中に光が灯る。
周りの景色が丸々映し出され、続けてショボンは目の前の筒のようなものに両手を通した。
瞬間、ショボンの脳内を爽やかな風が通り抜ける。

イメージがリンクし、機体の一挙手一投足がショボン自身のものとなっていく。

b*゚ー゚)「起動確認。クオリティ・エンジン、モニター、共に異常なし。発進シークエンスに移行します」

管制室からの声の後、機体を乗せる台座はレールの上を走り、そのまま地上へと向けたカタパルトへ進む。
確認作業が終わった頃には機体に固定するための器具が装着され、発進の体勢に入っていた。
  _  
(b ゚∀゚)「いいかショボン! 五分だ! それ以上は機体が強制停止するぞ!」
(´・ω・`)「……それだけあれば、大丈夫さ」

通信機から聞こえてくる長岡の忠告に、ショボンは自信を込めて答える。
だが、それだけではない。その声には静かな怒気も含まれていた。
自らの無力に煮え湯を飲まされ、溢れ出した生の感情である。

やがて、邪魔となるクレーンなどの障害物が移動させられ、発進準備が整えられる。
モニター上で見る電光掲示板に、カウントダウンの数字が表示された。

b*゚ー゚)「カタパルト、オープン。3、2、1……ダイヴィッパー、発進します!」

カタパルトの火薬が点火され、機体は凄まじい勢いで地上へと排出されていった。



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