( ^ω^)スーパーロボット大戦BOON のようです

124: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/21(日) 01:09:31.92 ID:5T5KvYOy0
(;'A`)「はあ……はあ……」

ドクオは汗で滲んだ額を拭いながら、懸命にレバーを動かす。
その疲労から、視界にはモニターがぼやけて映っていた。
駆動兵器の動力が操縦者に依存するとはいえ、ドクオはもはや気力だけで機体を動かしていた。

(;´_ゝ`)「ぐっ!」
(´<_`;)「兄者、来るぞ!」

振りかざされた怪物の両手から、二対の熱線が発射される。
比較的被害の軽い流石兄弟の二機が囮役を買い、その攻撃を一手に引き受けていた。

ブルーダーとフレールも未だ高速飛行にて回避して見せるものの、その動きは明らかに鈍っている。
反対に、怪物はその傷口を回復させ、その攻撃の威力は依然として凄まじい。
爆発の衝撃に大きく機体が揺れ、兄弟はコックピット内で激しく体を打ちつけた。

(;´_ゝ`)「くそっ……ピンピンしやがって」
(´<_`;)「弾薬も残り少ない……万事休すか」

絶望的な状況に、思わず二人は弱音を漏らす。
その声をドクオも聞くが、もはや否定することもできなかった。

まさに、絶体絶命。怪物の巨体が、今まで以上に恐ろしいものとして三人の瞳に映り込む。
そんな心を見透かすかの如く、怪物はその両掌を三機へと向けた。
この後何度できるかわからなくとも、三人は回避に向けて身構える。

だが、その瞬間――反撃の爆炎が轟いた。

(;'A`)「な、なんだ!?」
(;´_ゝ`)「……! やっと来たか……!」



126: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/21(日) 01:13:46.66 ID:5T5KvYOy0
三人の目の前で、怪物の体が爆発に覆われていく。
その正体は、どこからか放たれた無数のミサイルだった。

ミサイル自体は小型ながら、休みなく起こる爆発が連鎖を生じていく。
どんどん爆発が肥大していき、終には凄まじい大爆発を巻き起こした。

(´<_`;)「……すごいな」

怪物は爆発を両腕で防いでいたが、やはりそれだけで威力を打ち消せるものではなかった。
頭部は残っているものの、その体のところどころにぽっかりと穴が開いている。
それは今にも折れそうな、朽ち果てた白い木のように見えていた。

爆発が起こった地点から数メートル離れて、そこには雄々しく街中を進む、巨大な機体の姿があった。
ミサイルを発射した背部ハッチを閉じ、見守る三機の元へと近付いて来る。
そして、怪物から三機を守るようにして立ちはだかった。

(;'A`)「あ、あれは……!?」
(;´_ゝ`)「よく見とけ、駆動兵器のパイロット。あれが俺達の……人類の希望だ」

三人が見つめる先にある機体。それこそ、“ARASHI”に対抗するために造られた人類の切り札。
全長五十メートル、重量六千トン。獅子の娘が超古代の遺産から造り上げた、人々を守る無敵のロボット。

鋼の愚神、ダイヴィッパー。今、白日の下にその雄姿を現した。

(´・ω・`) 「待たせたね」
(;´_ゝ`)「全く、遅れるにもほどがあるぞ……それと、久し振りだな」
(´・ω・`) 「うん、すまない。……でも、これで終わりだ」

ショボンはモニターにて傷ついた怪物――“ARASHI”の姿を確認する。
その燃え上がる闘志と共に、超弩級の戦いが始まった。



127 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 [駆動はダンバイン、流石はνガン] 投稿日: 2007/10/21(日) 01:16:39.19 ID:5T5KvYOy0
(´・ω・`) 「各機、少し離れてくれ……巻き込んでしまうかもしれない」

冷静な忠告のように聞こえたショボンの声だが、その語気には感情がわずかに現れていた。
破壊し尽くされた街の光景に、彼の拳がわなわなと震える。
機体の歩みと共に、その静かに燃える闘志が強くなっていくようだった。

ショボンはふらふらと立つこともままならない怪物に近付くと、渾身の拳を繰り出すイメージを展開する。
怪物に優る巨大な腕が、唸りを上げて振り切られた。

「――!!!!」
(`・ω・´)「おおおおおっ!!」

拳が怪物にぶつかった途端、巨大な体が紙のように吹っ飛ぶ。
近隣の建物を破壊しつつ、怪物は背後のビルへと直撃した。

ショボンはそれを追って機体を走らせ、そのままサッカーのシュートのような蹴りを見舞う。
その凄まじい衝撃に押し出され、怪物の体が厚いビルの外面を貫いた。

(;'A`)「す、すごい……」
(;´_ゝ`)「当然だ、あれぐらいじゃないと勝てない」

巻き上がる土煙と共に地面を滑った後、怪物も無残なものとなった体を起き上がらせる。
そして、左の掌を掲げると、そこに白い靄のようなものが集まっていく。

しかし、それを見届けた後も、ショボンは特に動こうとはしなかった。
ただ機体も同じく左手を前に出し、そのままその場に留まる。
ほどなくして、怪物の掌から白い光線が撃ち出された。

(´・ω・`) 「ふん……」



128 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 [ダイヴィッパーは真ゲぐらいなの] 投稿日: 2007/10/21(日) 01:19:20.33 ID:5T5KvYOy0
ショボンは光線を避けることなく、かざした機体の左手が氷に覆われる。
その凍った様子をモニターで一度だけ確認するが、その表情に少しも慌てる様子はなかった。

すると、ショボンは左手に少しだけ力を込めるイメージを作り出す。
次の瞬間、左手を覆っていた氷が一瞬にして四散した。

(´・ω・`) 「こんなもの、ダイヴィッパーには通用しない」

水滴で濡れた左手が握られ、そのまま機体は振りかぶる。
今のお返しだと言わんばかりに、怪物へと拳が叩き込まれた。

(´・ω・`) 「……ん?」

繰り出された鉄拳に怪物は吹っ飛ぶが、今回は先ほどと状況が変わっているように見えた。
拳を両腕で防ぎ、ふんばりを効かせて怪物は離れた位置に着地する。
見れば、穴だらけだった体が、徐々に元の姿を取り戻しつつあった。

(´・ω・`) 「再生能力か……、厄介だね」

未だ完全には修復しないものの、既に運動能力はほとんど取り戻したようである。
怪物は低く構え、爪を突き出しながら機体に向かって突進する。
ショボンはそれを甘んじて受け止め、逆にこちらから跳ね飛ばした。

まだ怪物が力を取り戻していないこともあるが、膂力に関しては優にダイヴィッパーの方が上回っている。
負けじと怪物は至近距離より電撃を繰り出そうとするが、それより先にその手首を掴まれた。

ショボンは掴んだ手首を持ち上げさせ、天高く雷が昇っていく姿となる。
そして、そのまま掴んだ手首を引き寄せ、強引に怪物の体勢を崩した。
空いた腕で拳を作り、機体はそのまま頭部を殴りつける。



129: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/21(日) 01:22:09.79 ID:5T5KvYOy0
(´・ω・`) 「……」
( ´_ゝ`)「圧倒的だな! 待った甲斐があったってもんだ!」
(´・ω・`) 「……いや、このままじゃ不味いね」

意気揚々と話す兄者に返って来た答えは、意外にも弱気なものであった。
コックピットの中で、ショボンはじっとある計器を見つめる。
それこそが、彼のこの発言を裏付けるものだった。

(´・ω・`) 「思っていたよりエネルギーの減りが早い……このままじゃ動けなくなる」

ショボンが目にしていたのは、機体の動力を示すパラメータだった。
既に針は大きく傾き、危険領域であるレッドゾーンへと差し掛かっている。

どうやら、激しい動きで余計にエネルギーの消費が早まってしまったようだ。
ショボンの見立てでは、後一分が活動の限度というところである。
その説明を聞いて、その場の全員は再び強い落胆を憶える。

(´・ω・`) 「一気に決める……決められればいいんだけどね」
(´<_` )「……一つ、いいか」

全機へ向けて、弟者の通信が伝い渡る。
その声の緊張感に、聞く者全てが耳を澄ました。

(´<_` )「これは俺の推測に過ぎないんだが……奴は頭部が弱点なんじゃないんだろうか」
(´・ω・`) 「どうしてそう思うんだい?」
(´<_` )「俺の見る限り、奴は足元などへの攻撃には少々無頓着なほどなんだ……なのに、
       頭部への攻撃に関してだけは、必ず何らかの方法で防いでいる」
( ´_ゝ`)「……言われてみれば、そうかもしれんな」
('A`)「そういや、確かに一度刀で斬り付けられた時も、凄まじい反応だった……」
(´<_` )「もちろん確証はないが……どうする?」



130: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/21(日) 01:25:01.62 ID:5T5KvYOy0
(´・ω・`) 「決まっているさ」
( ´_ゝ`)「そうだな、このまま攻め手にあぐねるよりも……」
('A`)「わずかな可能性に賭ける……!」

四機は並び立ち、立ちはだかる悪鬼の姿を見つめる。
既にその傷は修復し、嘲笑うかのように邪悪な赤い瞳が揺らめいた。

いざ、決戦の時である。

(´・ω・`) 「兄者、弟者、頭部を攻撃するにはあの両腕が邪魔だ……できるかい?」
( ´_ゝ`)「当たり前だ、なあ弟者?」
(´<_` )「両腕と言わず、邪魔になりそうなものは全部吹っ飛ばしてやるさ」

ブルーダーとフレールはその場から飛び立つと、そのままぐるぐると怪物の頭上を旋回し始める。
その間に、ダイヴィッパーは一度距離を取るために後退していく。
ドクオのVBもそれに続くが、その途中であるものが視線に飛び込んできた。



131: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/21(日) 01:27:46.97 ID:5T5KvYOy0
('A`)「あれは……」

ドクオは急遽進む方向を変え、地面に落ちていたそれを機体の手に持たせる。
そして、改めてダイヴィッパーの後を追った。

('A`)「なあ、人類の希望さんよ」
(´・ω・`)「うん? 僕のことかい?」
('A`)「あいつにどうやって止めを刺すんだ?」

そう聞かれて、ショボンはダイヴィッパーに装備された武装について説明する。
すると、何かを少し考えた後、ドクオはにやりと笑う。
そうして、ショボンへある提案を持ち出した。

(´・ω・`)「え……本気かい?」
('A`)「少しでも確実な方がいいだろ?」
(´・ω・`)「構わないけど……どうなっても知らないよ」

すると、ショボンは通信の回線をある特定のものに合わせる。
そして、何らかの指示を伝えると、機体をその場にしゃがみ込ませた。



132: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/21(日) 01:30:17.90 ID:5T5KvYOy0
( ´_ゝ`)「さて、あれをやるぞ弟者」
(´<_` )「把握した。しかし、確実に機体は使い物にならなくなるな」
( ´_ゝ`)「なあに、それをするには申し分ない相手だ」

流石兄弟の二人は上空を飛行しながら、コックピット内のレバーを徐々に引いていく。
それと共に飛行する機体の速度がぐんぐんと増して行き、そのまま自由に空を飛び回る。
やがて音速の壁に近付いた時、それが攻撃の合図となった。

(´<_` )「行くぞ、ハイコート・マウスミサイル!」
( ´_ゝ`)「おらおらおらおらぁっ!!」

フレールの背部から放たれた二発のミサイルが、真っ直ぐ怪物の元へと向かう。
それに合わせ、ブルーダーは矢鱈滅多にリボルヴァーを乱射させた。

(´<_` )「オクスタントンファー、ライフルモード!!」

ミサイルを撃ち尽くし、フレールはすぐさまトンファーをライフルモードに変更する。
無数の銃撃の雨が怪物を襲い、その身を再び枯れ果てた木へと変えていく。
怪物は迎撃に両掌から雷撃を繰り出すが、速度に乗った二機に命中するはずもなかった。

(´<_` )「蹴散らすぞ、兄者!!」
( ´_ゝ`)「見せてやる……コンビネーション戦闘の集大成……!」



138: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/21(日) 01:49:56.67 ID:5T5KvYOy0
( ´_ゝ`)「スキンアーマー、パージ!!」

その瞬間、ブルーダーは空中で脱皮するように外部装甲を着脱する。
防御力の代わりに機体は身軽になり、そして、人間で言うふくらはぎの部分にスラスターノズルが出現する。
そこからジェット噴射が吐き出された瞬間、機体は一気に音速の壁を突破した。

( ´_ゝ`)「これで俺も一つ上の男だ」
(´<_` )「こんな時に下ネタとは、流石だな兄者」

兄者に続き、弟者もスラスターの出力を限界まで引き上げる。
二機がその速度を合わせて飛行すると、もはや人間の目では捉えるのが不可能な領域にまで踏み込んでいた。

ブルーダーとフレールはそれぞれカッターとトンファーを構え、その場で急旋回を行う。
既に怪物とは途方もなく離れていたが、今の二機に距離という概念など全く意味がなかった。

得物を構え、二機の周囲をソニックブームの波が覆っていく。
赤い瞳がぎょろりと蠢くが、超音速の機体を相手にするなど不可能である。
無防備な怪物に、瞬時にして二機が襲い掛かった。



139: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/21(日) 01:52:21.48 ID:5T5KvYOy0
( ´_ゝ`)「>>1ゲット!」
(´<_` )「>>2ゲット!」
( ´_ゝ`)「>>3ゲットッ!」

ブルーダーとフレールの二機が怪物の体を矢継ぎ早に切り刻む。
カッターが怪物の脇腹を切り裂けば、すぐにトンファーが右の掌を貫く。
それはとても息の合った、しかして競い合うようなとめどない連撃。

だが、その速度を生み出すのは諸刃の剣でもあった。
未だ試作段階である二機にとって、この機能は無茶以外の何ものでもない。
すぐに機体の関節や動力機関が悲鳴を上げ、スラスターからは黒煙が上がる。

( ´_ゝ`)「行くぞ! 弟者!」
(´<_` )「応!!」

それでも二人は決して操縦する手を緩めず、急加速、急旋回を繰り返す。
己とその機体を信じ、ただ自由に大空を駆け抜けた。

( ´_ゝ`)「ツイン! ワロス!」
( ´_ゝ`)(´<_` )「ストラァァァーイクッ!!!!」

風の刃を得た二対の凶鳥が、巨大な腕を根元から喰い千切る。
怪物の肩から胸にかけた部分がごっそりと削られ、その場に二本の腕が落下した。

二機はやっと速度を緩め、その様子を遥か大空より見つめる。
機体のあちらこちらから機器がショートして火花が散り、飛行するのがやっとの状態であった。

(´<_` )「兄者よ」
( ´_ゝ`)「うむ」
( ´_ゝ`)(´<_` )「流石だよな、俺ら」



146: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/21(日) 02:05:55.51 ID:5T5KvYOy0
(´・ω・`) 「……さて、僕達の番のようだね」
('A`)「ああ」

流石兄弟の活躍を見届け、ショボンはイメージのための精神集中を開始する。
それと共に機体は右の拳を握り締め、そのまま肘を曲げて腕を後方へと動かす。
弓を引き絞るような体勢で、狙いを目前の怪物へと定めた。

(´・ω・`) 「……本当にいいんだね?」
('A`)「ああ」

そうぶっきらぼうに返事をするドクオの搭乗機は、地面より遥か上の場所にあった。

しかし、それは飛行しているわけではない。
VBが立っているのは今まさに撃ち出されようとしている――ダイヴィッパーの拳の上であった。

機体の足をトリモチ状の瞬間接着液で固定し、自らも同じ怪物へと得物を向ける。
その手には、先ほど回収したオオテンタが握られていた。

('A`)「あの敵をほっといたらVIPの……いや、世界中の脅威となる」
(´・ω・`) 「……」
('A`)「だからこれは……今俺がやっているこの行為は……正解だっ!!」
(´・ω・`) 「……わかった」

ドクオの力強い答えを聞き、ショボンは一切の雑念を振り払う。
その思い浮かべるイメージはただ一つ。怪物の頭部を貫き、粉砕する。
純粋なイメージが力となり、全てのエネルギーが右腕へと収束されていく。

やがて、一瞬の金属音の後、機体右腕の肘部分のロックが開放される。

撃鉄が、起こされた。



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