('、`*川新聞部が嘘吐きを探すようです

5: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/23(火) 19:22:04.12 ID:KOk7VFzoO

ζ(゚ー゚*ζ「初めまして、新聞部のデレです」

lw´‐ _‐ノv「転校生のマイケル・ムーアです」

ζ(゚ー゚*ζ「マイケル……ムーア、と……。
      あれ? 外国の方なんですか?」

lw´‐ _‐ノv「そうです」

ζ(゚ー゚*ζ「へぇ……あ、日本語で大丈夫ですか?
      私英語が全然ダメで……」

lw´‐ _‐ノv「日本語はわかりませんね」

ζ(゚ー゚*ζ「そうですか……どうしよう」

lw´‐ _‐ノv「……」

ζ(゚ー゚*ζ「あ、ひらがなとか読めます?」

lw´‐ _‐ノv「ひらがなは読めませんが日本語は話せます」

ζ(゚ー゚*ζ「そうなんですか!
      それじゃあ日本語でインタビューお願いします!」

lw´‐ _‐ノv「……」



7: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/23(火) 19:24:59.04 ID:KOk7VFzoO

ζ(゚ー゚*ζ「……?」

lw´‐ _‐ノv「……」

ζ(゚ー゚*ζ「マイケルさん?」

lw´  _ ノv「…………や…だ」

ζ(゚ー゚*ζ「……え?」

lw♯´‐ _‐ノv「止めだ止めだッ!!
        馬鹿にしてるのか貴様!!」

ζ(゚ー゚;ζ「え、あの……ごめんなさいマイケルさん!」

lw♯´‐ _‐ノv「誰がマイケルじゃい! とにかく止めだッ!!」

ζ(゚ー゚;ζ「あの、マイケルさん!? マイケルさーんッ!!」







9: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/23(火) 19:26:15.76 ID:KOk7VFzoO








 第4話「デレ誘拐事件(前編)」









11: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/23(火) 19:30:36.96 ID:KOk7VFzoO

(#゚;;-゚) 「部長。つーちゃんが写真を買わないか? ですって」

('、`*川「つーの奴……調子に乗ったな」

相変わらず散らかっている部室。
今はペニサスとでぃだけしかいないが、だからと言って広くは感じない。

それほどに汚れているのだ。

('、`*川「まぁ丁重に断っといて。写真部は使えるから」

(#゚;;-゚) 「……一応親戚なので、そういう言い方はやめてください」

咎められても反省した感じはペニサスからは無い。
そんなペニサスを見ても、でぃが特別憤慨する事も無い。

2人の本質は、中々にドライなようだ。

('、`*川「そうだ、いもっちとでれっちは?」

(#゚;;-゚) 「いもっちは今日は帰るのじゃ!と言い、帰りました。
      でれっちはインタビュー中です」

('、`*川「そっか……なにか情報h」

(#゚;;-゚) 「ありません」



13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/23(火) 19:32:23.61 ID:KOk7VFzoO

('、`*川「……」

(#゚;;-゚) 「たまには部長も取材してください」

痛いところを突かれ、ペニサスは押し黙った。

オレンジの日が部屋の半分を染める、静かな部室。
電気くらい点ければいいのだが、でぃは今日もファイル閉じ作業。
ペニサスはぼけーっと座るだけ。

その橙色の光だけでも十分ではあった。

('、`*川「……ねぇ、嘘吐きの事だけど」

(#゚;;-゚) 「……はい」

('、`*川「例えばさ、嘘吐きが殺人をしたとするじゃん?」

(#゚;;-゚) 「はい」

('、`*川「そしたらどうなるのかな」

(#゚;;-゚) 「……」

作業の手を止め、でぃは思考を巡らせる。
デレはあまりこういう話を好まないので、
じっくり話すなら今しかないとペニサスは思ったのだろう。



14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/23(火) 19:35:46.37 ID:KOk7VFzoO

(#゚;;-゚) 「……パン事件しか情報がないですから、完璧は無いですが……。
      恐らく嘘吐きの能力は、見た人間にしか効果がないんじゃ?」

('、`*川「事実を嘘に変えようにも、その事実を見てないと駄目って事?」

(#゚;;-゚) 「……いえ、やっぱりそれじゃ駄目ですね。
      誰々がパンを盗んだ、とその場にいた誰かが即座に言えば、噂が広がりますから……」

人伝いの噂が嘘吐きよりも力を持つこの説では、消えたという噂が100%には成りえない。
現状、新聞部の取材で「〜〜が盗んだ」「パンは盗まれた」という証言は0だった。

('、`*川「メールとか電話とか、まぁ使ってる人は居たろうね……。
     でもでぃちゃんが話を聞いたのは、放課後だよね?」

(#゚;;-゚) 「はい。しかしなぜ、おばちゃんだけが“盗んだ”と言ったのでしょうか。
      いくら人の壁があったとしても、最前列なら犯行が見えたでしょうし」

犯行を見た生徒が他の生徒にそれを言えば、輪も広がる筈。
消えたという超現象よりも、盗んだという話なら広がりやすいのは後者だ。

('、`*川「うーん……おばちゃんの妄言なのかなぁ……。
     事実が“盗まれた”のであれば、不思議な力を持った犯人、嘘吐きは居る。
     でも本当に“消えた”のなら、嘘吐きなんかいらないもんなぁ」



15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/23(火) 19:38:06.87 ID:KOk7VFzoO

ぼんやりと天井を見つめ、呟くように言う。
でぃは作業を再開させながら、口を開いた。

(#゚;;-゚) 「……話が逸れましたね。嘘吐きが居るものとして殺人が起こったら、でした。
      例えばパンの代わりにあの場で人が殺されたとしたら、どうなっていたか……」

('、`*川「嘘吐きがおばちゃんをナイフでぶすり。
     ……まぁパニックだね」

(#゚;;-゚) 「しかし嘘吐きが刺したという事実が、皆の頭から消えていく」

('、`*川「……残るのは、死体」

(#゚;;-゚) 「……」

('、`*川「この場合、おばちゃんに突然ナイフが刺さったって事になるのかな?」

(#゚;;-゚) 「刺したという行動が消えるのなら、そうなりますね」

ふぅ……とため息。
またペニサスは、虚ろな目で天井を見上げた。

('、`*川「……あそこに防犯カメラとかないよね?」

(#゚;;-゚) 「学校ですからね」

('、`*川「事実が記憶以外にあれば、嘘吐きでも消せない……かな?」



18: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/23(火) 19:40:34.07 ID:KOk7VFzoO

(#゚;;-゚) 「というと?」

('、`*川「嘘吐きは記憶は消せるけど、その事実は確かにあったわけじゃん?
     今回は事実が記憶だけだから完全に消えたけど、多少の事実の痕跡で、記憶は消えないのかも……」

(#゚;;-゚) 「おばちゃんが“盗まれた”事を覚えていたのは、
      何かしらで犯行の事実を後から見たから?」

('、`*川「それでも盗まれた記憶が次の日には消えてたのは、
     その何かしらを紛失したから……」

残った事実がまた消える。
例えば写真ならば、燃やされたりしたのだろうか。

(#゚;;-゚) 「そんな物ありますかね?
      短時間で消えた、事実を現す物、なんて」

('、`*川「うーん……おばちゃんに聞くしかないねー」

(#゚;;-゚) 「しかも思い出したのは、犯人じゃなくて犯行。
      物凄い限定された、何かしらですね……」

今度は、はぁ……とため息。
疲れたのか、少し頭を冷やすように2人は静かになった。



19: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/23(火) 19:43:23.09 ID:KOk7VFzoO

暫らくしてから、ペニサスはレポート用紙を1枚取り、
机の上に転がっていたシャーペンを持った。

('、`*川「えーと……嘘吐きの能力は事実を嘘にする事。
     あくまで記憶の中で、つまり簡単に言うと……記憶を消す」

(#゚;;-゚) 「それならパン事件も納得がいきますね。
      嘘吐きはパンを盗み、その場にいた全員からその記憶を瞬時に消した。
     だから皆はパンが消えたと思った。結果しか知らないわけですから」

('、`*川「おばちゃんもその中の1人だったけど、何かしらを見て盗まれた事実を思い出した」

(#゚;;-゚) 「しかしその後、またその記憶が消えた」

カリカリと予想を書き込む手が、疑問に当り止まった。

('、`*川「……なんで思い出したのに消えたんだろ」

(#゚;;-゚) 「効果はずっと残るんじゃ?
      件の事を思い出しても、また忘れさせるように出来てるんじゃ」

('、`*川「うーむ……常識を遥かに超えてるわ」

(#゚;;-゚) 「あれ? なんで私は、盗まれたという話を覚えていたんでしょうか……?」

('、`*川「手帳を見たからじゃないの? 盗まれた、っていう証言の」



20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/23(火) 19:46:20.58 ID:KOk7VFzoO

(#゚;;-゚) 「なら部長は?
     最初に言った、噂が広がる条件を充たしてません?」

今回でぃが聞いたのは、盗まれた、という犯行のみ。
ここで〜〜が盗んだ、と言われれば、犯人の噂はでぃから一気に広まる可能性があった。

('、`*川「見た人間にしか……ってやつ?
     それは記憶を瞬時に消せば、電話しながらでも話せないんじゃない?」

(#゚;;-゚) 「それじゃあ私は、犯行を見てないから覚えてた?
      それとも、手帳を見たから覚えてた?」

('、`*川「力の範囲外、の方が正しそうね……。
     ま、前提が瞬時に消す、だけど」

(#゚;;-゚) 「それじゃあ嘘吐きは、“噂”自体に力を持たせるわけじゃないんですね。
     嘘吐きはあくまで、記憶を消す力を扱える人間、ですかね」

噂に力があれば、事実の噂が万が一流れても、その流れ先の記憶を消せる。
今回の場合ならば、でぃの手帳を見ない限り、部員達はずっと忘れていただろう。

しかしそれならば、真っ先に思い出したのはペニサスでなく、でぃのはず。
ペニサスはあくまで、噂を聞いただけなのだから。

('、`*川「……なんかそう言われると、一気にスケールダウンしたような。
     簡単に言えば、催眠術師みたいな奴か……」



25: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/23(火) 19:49:11.42 ID:KOk7VFzoO

(#゚;;-゚) 「それでも人外ですよ」

('、`*川「ま、そうなんだけどさぁ〜……」

シャーペンを放り、背をもたれ椅子に委ねる。
ギシッと軋んだ椅子の音が、静かな部室に響いた。

またしてもペニサスは天井を見ていた。
低くもなく高くもない、白いだけの質素な天井。

('、`*川「……私たちに対抗策は無し、か」

(#゚;;-゚) 「目の前で何かされても、記憶が消されればメモも出来ませんからね」

('、`*川「……アイツに力貸してもらうか」

(#゚;;-゚) 「……まだ有用な知り合いがいるんですか?」

その言葉を聞くや否やペニサスは背を起こし、右人差し指を立てて言う。

('、`*川「私たちの武器は、知恵と勇気と仲間。
     これ、名言として額に入れて飾っといて」

(#゚;;-゚) 「暇があれば」

('、`*川「……ありがと」

またギシと、椅子が鳴った。



28: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/23(火) 19:53:21.32 ID:KOk7VFzoO

('、`*川「はぁ……でもなんか、見落としてる気がするのよねー」

(#゚;;-゚) 「……見た人間かどうか、いわゆる力の効果範囲じゃ?
      それによって嘘吐きが出来る事も変わってきますし」

('、`*川「それは見た人間で確定じゃない?
     ……となると、出来る事は案外狭いかも」

(#゚;;-゚) 「なぜです?」

('、`*川「例えば今、この部室で、でぃちゃんの眉毛がいきなり全部抜けたとする」

(#゚;;-゚) 「……」

('、`*川「となると、犯人は私しか居ないわけだ。
     でぃちゃんが忘れてても、容疑者は私かでぃちゃんなわけだし」

容疑者は多ければ多いほど動きやすい。
ペニサスはそう言いたかったのだろうが、それはある事実を浮き彫りにするという結果を残した。

(#゚;;-゚) 「……あ、あの、部長。
      私たちは嘘吐きが部屋に入って来てたのに、忘れている可能性があります」

('、`*川「…………あれ? それはさ、凄い恐くない?」

(#゚;;-゚) 「……はい。恐いです」



31: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/23(火) 19:56:55.25 ID:KOk7VFzoO

ガチャリと誰かが部室に来ても、嘘吐きならその記憶を消し、更に何かをする事が出来る。

……それはつまり、常に危険があるという事。

('、`;川「……い、今でぃちゃんが嘘吐きに連れさらわれても、私は突然消えたとしか思えない……?」

(;#゚;;-゚)「や、やめてくださいよ変な事言うのは……!」

('、`;川「ご、ごめん……」

背筋が寒く感じ始めた



その時だった






ガチャリ



33: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/23(火) 19:59:09.36 ID:KOk7VFzoO

(;#゚;;-゚) 「「―――――ッ!?」」('、`;川 



ξ;゚听)ξ「デレッ!?」

('、`;川「うわぁッ!?」

(;#゚;;-゚) 「う、嘘吐きッ!?」

ξ;゚听)ξ「……居ない!? もう、どこに居るのよッ!?」

('、`;川「…………あれ?」

(;#゚;;-゚) 「……違うみたいですね」

入ってきたのは、金髪のツインテールパーマ。
しかもどこか焦った様子で、嘘吐きではない事はすぐにわかった。

('、`;川「あ、あの……何か御用ですか?」

(;#゚;;-゚) 「……デレさんなら今居ませんが」

ξ゚听)ξ「……アンタたちが新聞部ね」

トーンを落とし、来客者は言う。

それは今一番……聞きたくない言葉だった。



34: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/23(火) 20:00:05.09 ID:KOk7VFzoO





ξ゚听)ξ「デレが……居なくなったのよ」








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