('、`*川新聞部が嘘吐きを探すようです

3: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/11/07(水) 18:03:10.36 ID:QJ0LCxgwO
 VIP高校新聞 号外 11月17日(土)

  【文化祭特別号外! 出し物紹介&新聞観覧展!!】

 今日は一年に一度の文化祭。
運良く天気は晴れそうで、暖房も元気にフル稼働です。
是非学生達の催しものを、ゆっくりと見て回ってください。

 そして新聞部では、今年度は出し物を二つ行います。

 一つは隣にある別紙の、オススメ付き 出し物紹介。
何を見たらいいか分からない。どこに何があるか分からない。
そんな時は各所にあるこの新聞に目を通し、文化祭を楽しんで頂きたい。

 一覧ではないので、全てが載っていないのは注意。
出し物一覧が欲しい人は、正面玄関受け付けに居る生徒会の所まで。
そこでコピーした今記事も配布しているので、旅のお供に是非どうぞ。

 新聞部もう一つの出し物が、今年度の創刊号から、最新号までの観覧展。
場所はB24。ぶっちゃけショボいですがお暇な人はどうぞ。

 来年度この高校に入る予定の人は、あぁこんな学校なんだな、
こんな部活があるんだな、という視点で見るのもいいかもしれません。
なのでVIP高校の学生はハシャぎすぎないように。
前年は停学が三名も出ました。

 それでは皆さん、祭りを楽しみましょう。

【部員の一言】素敵な彼氏募集中。部長



4: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/11/07(水) 18:06:31.33 ID:QJ0LCxgwO



(`、'*川「完ッ璧ね!!」

(#゚;;-゚) 「……最後のは何ですか」

生徒玄関にて、自分達の新聞を見ながら自信たっぷりにペニサスは言った。
まだその首にはねずみ色のマフラーが巻かれており、
着いたばかりなのだろう、鼻の先は赤く染まっていた。

(`、'*川「何って……告知よ、告知。
     もう学生とか無いわ。学外の人間がいいのよ」

そんな部長の新たな持論に、適当にでぃは相槌を打った。

(`、'*川「んじゃ、展覧の方はよろしくね。
     昼前には交替するから」

(#゚;;-゚) 「はい……あの、所で部長」

(`、'*川「ん?」

(;#゚;;-゚) 「顔……変ですよ?」



5: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/11/07(水) 18:09:40.98 ID:QJ0LCxgwO

(`、'*川「……」

('、'*川「ふんッ!!」

('、`*川「……よし」

(;#゚;;-゚) 「……」

('、`*川「朝は顔が突っ張っちゃってねぇー……。
     時間なくて今すっぴんだし」

(;#゚;;-゚) 「そ、そうですか……」

('、`*川「んじゃ、私部室に居るから、何かあったら呼んで」

軽く頬を擦りながらペニサスが言う。
周りにはポツリポツリと学生が、眠そうな顔で登校していた。

(#゚;;-゚) 「部室? クラスじゃないんですか?」

('、`*川「私、手伝わない当番だから。
     それにいつも休日は、美容のために昼まで寝てるからさー」

現在のゆとり教育では土曜は休み。
絶対に彼女はぐぅたらしてるだけだろうが、習慣は守る精神は誉めてあげたい。



7: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/11/07(水) 18:12:56.21 ID:QJ0LCxgwO

(#゚;;-゚) 「昼まで寝る気ですか……?」

('、`*川「当然。昨日保健室から毛布パクって来たし」

(#゚;;-゚) 「……」

予想はしていたが、やはりペニサスは交替要員ではなさそうだ。
よろしこーと片手を挙げ部室に歩くペニサスの背を見て、でぃは思った。










 第8話「文化祭乱闘事件(中編)」



8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/11/07(水) 18:16:38.37 ID:QJ0LCxgwO


机が無い教室というのは、実に閑散としている。
だがデレのクラスは、それを感じない。

あちこちに小学生の誕生会のような装飾がされ、黒板には文字通り色々な字と絵。
一番に大きくど真ん中に、『2-B スーパー縁日』とセンスの無いタイトルがあった。

床には背の低い、大きく広い水槽。
青いポリバケツを四角にしたようなそれの中に、赤と白の小さな魚が数十匹。
他にも2点3点とそれらしい出し物があるのだが、何故か夏は感じない。

そんな、時季外れの縁日を再現しようと試みて失敗した教室の中に、
誰がどうみてもド季節外れな格好の2人。

ζ(゚ー゚*ζ「やっぱりちょっと小さかったね……」

ξ゚听)ξ「そう? 私は普通だけど」

赤や黄、青やピンクで彩られる浴衣を着たデレとツン。
デレは下地がピンクで、ツンは水色。
その対照な色に合わせるように、性格も対照的。

ζ(゚ー゚*ζ「え? なんでだろー……。
      あ! ツンちゃんは、おっぱい小さいからじゃない!?」

ξ゚听)ξ「……」



9: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/11/07(水) 18:20:21.46 ID:QJ0LCxgwO

思わず殴りそうになったが、デレに悪気はない。
少なくともあんな嬉しそうな顔で発見を喜ばれると、その気も失せた。

ζ(゚ー゚*ζ「絶対そうだよ、間違いない!」

グッと拳に力を込め、自分を抑制するツン。

馬鹿みたいに喜ぶデレの、馬鹿みたいに揺れた胸。
そんな馬鹿みたいに強調するデレの胸元と、
自分の(´・ω・`)なそれを見比べる。

対照的すぎたそれを必死に頭から追い出して、ツンは話題を変えるべく口を開く。
これ以上妹に喋らせておくと、彼女がメメタァ!と言う構図しか浮かばないからだ。

ξ゚听)ξ「デレ、部活の方はいいの?」

ζ(゚ー゚*ζ「うん。でぃちゃんがやってくれる、って」

ξ゚听)ξ「へぇ〜……」

聞いたはいいが、特に興味がある話題でもなく、広がりもしない。
双子は無言のままで、教室内に居る4、5人が準備を続けるのを見ていた。

暫らくして開催を知らせる放送が流れ、文化祭の幕が切って落とされる。

それに端を発し騒つき始めた祭りの学校。
ツンとデレも、傍らにあったウチワと数枚ほどのビラを持ち教室を出た。



11: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/11/07(水) 18:23:36.57 ID:QJ0LCxgwO

ξ゚听)ξ「ったく、なんで私が宣伝なんかしなきゃいけないのよッ……」

ぶつぶつと文句を言いながら、ツンは偉そうにウチワで自分を扇ぐ。
デレは目前を歩く学徒や来校者に、謙虚にビラを配りながら呼び掛けを始めた。

ζ(゚ー゚*ζ「縁日いかがですかー?」

ξ゚听)ξ「ちょっと、寄ってきなさいよ」

ζ(゚ー゚*ζ「楽しい縁日ですよー」

ξ゚听)ξ「来る気ないならこの廊下を通るんじゃないわよ」

ζ(゚ー゚*ζ「金魚掬いありますよー」

ξ゚听)ξ「ほとんど死にかけだけど」

ζ(゚ー゚*ζ「ワタアメいかがですかー?」

ξ゚听)ξ「市販のやつよー」

ζ(゚ー゚♯ζ「…………ツンちゃん、真面目にやってよ」

ξ゚听)ξ「……怒んなくてもいいじゃない」



12: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/11/07(水) 18:26:29.98 ID:QJ0LCxgwO

唇を尖らせながら、拗ねたようにツンはビラを配り始める。
だが、教室の前でビラを配る効果はかなり薄いだろう。

やはり声を出し呼び掛けるのが一番だろうが、嫌々なツンからは声などは出n

ξ♯゚听)ξ「ほらッ、受け取りなさいよッ!!
       何嫌がってんのよッ! 受け取れッ!!」

ζ(゚ー゚;ζ「ちょ、そんな無理矢理……」

ξ♯゚听)ξ「おいッ! 逃げんなコラァ!!」

そこまでして渡すビラに意味など無いだろうが、ムキになったツンにそんな事を考える余裕などない。
結局逃げられたが、デレが宥めなければツンも走り追っていただろう。

そんな怒鳴り声にビビったのか、段々と2-B前廊下の客足は減っていってしまう。
だが起死回生のデレの名案『黙ってれば姉は可愛い』作戦により、それは回復していった。

ξ゚听)ξ「……」

ζ(゚ー゚*ζ「楽しい縁日ですよー」

ξ゚听)ξ「……」

ζ(゚ー゚*ζ「金魚掬いやって行きませんかー?」

マネキン状態の姉の横で懸命に集客を計るデレの成果が出たのか、スーパー縁日にも客が来始める。
それでもどこか不満げなツンを誘い、当番を変わった2人は格好そのままに、仲良く文化祭巡りとなった。



13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/11/07(水) 18:29:13.57 ID:QJ0LCxgwO








('、`♯川「るせぇな……寝れんっちゅーに」

黄土色の毛布に身を包みながら、憎そうに扉を見つめてペニサスは言った。
その身体は、椅子を縦に並べた即席ベッドの上。
そこまでして寝たいのか、と思うほどに、そのベッドは寝にくそうだ。

('、`*川「あー……完全に目覚めちった」

当初の予定では、暖かい部屋で毛布に包まりグースカピー。
自分が寝てる間、他の生徒はクラスの為に一生懸命働いている。
そのギャップを楽しむつもりだった。

が、蓋を開けてみれば一生懸命働く生徒は隣の教室にも居て、
しかもそこが盛況しちゃったもんだから、とても寝られるような状況ではない。



14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/11/07(水) 18:32:08.92 ID:QJ0LCxgwO

('、`*川「しかもいい匂いしやがるし……。
     ……隣、何やってんだろ?」

確か隣の空き教室で何かやる予定は無かったはず。
毛布をくるくるっと丸くし机に置くと、伸びと欠伸をしてペニサスは部室を出た。

('、`*川「人の安眠を妨害しやがって……。
     ちゃんと許可取ってなかったら記事にしてやるからな……!」

静かに怒りながら、すぐ隣の教室の開け放たれていた扉から、中を覗いた。

「「いらっさーせぇー!!!1!」」

「たこ焼きいかがっすかぁー!!」

('、`*川「……うるせぇ」

呟くがそれは、学ランの上からエプロンを着た男子生徒らの声にかき消される。
奇妙な事にその男子生徒達は、皆頭に呪いを受けていて髪の毛が無かった。

もとい坊主。

('、`*川「なにこの丸刈り集団……」

「野球部っす!! たこ焼きいかがっすか!?」

「「いかがっすかぁー!!!!11」」



15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/11/07(水) 18:35:33.87 ID:QJ0LCxgwO

('、`*川「……じゃあ2つください」

「あざーす!!」

「「あざーッす!!!!1!」」

('、`*川「うるせぇって……」

無骨な野郎共は、市販の小さなたこ焼き機を使いそれを作り始める。
出来たてを食べさせたいのだろう、円になり置かれる机にペニサスを案内した。

「すんませッ! 相席です!!」

('、`*川「あ、まぁ別にいいです……」

「あざーッす!!」

「「あざーッす!!!1」」

('、`*川「うぜぇ……」

山彦が感謝の声を響かすが、ペニサスには馬鹿にされてるようにしか取れない。
ふぅとため息を付きながら案内された椅子に座り、前を見た。



16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/11/07(水) 18:39:34.44 ID:QJ0LCxgwO

(*゚ー゚)「はい、あーん」

( ,,゚Д゚)「あーん」

('、`*川「……何してんのアンタ」

(;*゚ー゚)「ん? んげぇっ! ペニサスッ!?」

(;,゚Д゚)「あぢぃッ!!」

驚きのあまり動いた手は、対面の男の鼻に熱々のたこ焼きを押しつける。
加害者はしぃ、被害者は……

('、`*川「野球部の……ギコ?」

(;,゚Д゚)「鼻ッ! 鼻がァッ!!」

(;゚ー゚)「な、なんでココに……!?」

('、`*川「しぃ……また権力を私情に使ったな?」

(;゚ー゚)「な、なんの事よッ!!」

('、`*川「はぁ……まぁいいや。
     アンタが悪い男に捕まらない事を祈るよ……」



18: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/11/07(水) 18:43:16.45 ID:QJ0LCxgwO

出展予定の無かった野球部が、たこ焼き屋。
まず間違いなく、しぃが何か手を回したのだろう。
でなければ突然、しかも食品を扱う出店をやれる筈はない。

それなりの記事にする事も出来たが、しぃを思ったのか、
はたまた呆れ果てたのか、ペニサスはこの件を忘れる事にした。

「お客さん! お待たせッしゃぁー!!」

「「シャアー!!」」

('、`*川「ん、ありがと」

「600円になりやすッ!!」

('、`*川「あそこの会長にツケといて」

「はい! まいどッー!!」

紙の器から湯気を出す、6つの大きなたこ焼き。
ソースとマヨネーズに踊らされる鰹節もちゃんと乗り、一つ300円ならばかなり安いだろう。

この場で食べる前提なのだろう、器に蓋などなく強度も弱めだ。
ペニサスは落とさぬよう両手に一つずつ持ち、
しぃと坊主共の声を背に受けながらその教室を後にした。



20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/11/07(水) 18:45:59.98 ID:QJ0LCxgwO

('、`*川「さーてと、とりあえず鍵鍵〜」

ウェイターのような格好で部室前まで来ると、小指だけでポケットから鍵を取出し、
薬指でそれを挟むと器用に部室の扉に鍵を掛けた。

('、`*川「んじゃ、特別に行ってやるかな」

そのまま足取り軽く、ペニサスは2階を目指し歩く。

普段は人通りすら疎らなのだが、今日は違う。
目的を様々に持ち、通常学校で目にする事のない人々が、そこら中に行き交っていた。

スーツを着た女性、だぼだぼの服を着た男性、ピンクの浴衣を着た小学生……

l从・∀・ノ!リ人「おぉ! ぶっちょー!」

('、`*川「ん? なんだ妹者ちゃんか……。
     ほんと制服着てないと小学生だよね」

l从・∀・ノ!リ人「ん? それは馬鹿にしてるのじゃ?」

('、`*川「語感的には。意味合いとしては誉めてる。
     いつまでも純粋でいるってのは大変だからさ」



24: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/11/07(水) 18:50:06.48 ID:QJ0LCxgwO

今回もよく分からなかったのか、妹者は首を傾げ頭にクエスチョンマークを浮かべた。

('、`*川「いつか分かる時が……君には来ない気がした」

l从・∀・ノ!リ人「?? それよりも部長!
       それはなんなのじゃ!?」

('、`*川「これ? たこ焼き」

と、右のたこ焼きを妹者の目線に合わせ下へ。
不安定な下駄で器用に背伸びした妹者はそれを覗き、歓喜の声をあげた。

l从・∀・ノ!リ人「おぉ! 妹者も食べたいのじゃ!」

('、`*川「……手に一杯持ってるのに?」

l从・∀・ノ!リ人「これは、でぃと一緒に食べようと思ってたのじゃ!」

無駄に妹者に似合う、ほんのりピンクな綿菓子。
こちらもどこか彼女に似合ってしまう、スルメの姿焼き。

それらは木の棒が突き刺さっていて、左にはピンク、右は茶と二本ずつ妹者は持っていた。
格好だけでも分かったが、彼女は文化祭を随分と満喫しているらしい。



25: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/11/07(水) 18:52:55.05 ID:QJ0LCxgwO

('、`*川「んじゃ丁度いいや。コレ、でぃちゃんと食べて」

l从・∀・ノ!リ人「やたッ! ……と思ったが持てないのじゃ〜」

('、`*川「口空いてるじゃない」

l从・∀・ノ!リ人「なるほど! 流石じゃな、部長ッ!!」

言うと妹者は大きな口を開け、2つのイカの先の三角をくわえた。
でぃにあげる予定なのだが、妹者の方は全然気にしないらしい。

l从・ー・ノ!リ人「んー!!」

('、`*川「はい。転ばないでね」

んんー!で了解を表現させると、綿菓子をブンブンと振って妹者はでぃの元へ駈けていった。
それをまるで、母親のような優しい目で見つめるペニサス。

('、`*川「なんだろうこの気持ちは……これが、癒し?」

得も知れぬ感情を抱いたまま、荷が軽くなった彼女は歩く。

暫らくすると、人通りが全くない廊下の先の、不気味なくらい静かな教室に着いた。



26: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/11/07(水) 18:55:35.26 ID:QJ0LCxgwO

('、`*川「予想通り、全く繁盛してないな」

本人に会う前に軽く同情しておく。
なるべく笑顔で行こうと考え少しの間の後、静かな廊下に扉の開く音がした。

('、`*川「うぃーs」

从 ゚∀从「やぁ! ようこそ科学部へッ!!」

('、`*川「……」

速攻やってきた白衣のピエロは、爽やかスマイル&ボイスでペニサスを歓迎してくれた。

('、`*川「……」

从;゚∀从「……あ゙」

が、すぐに引きつった顔に。
返されたリアクションは無言。それはいいとしても、やって来た人間に問題があった。

('、`*川「……ぅゎ」

从♯゚∀从「なに引いてんだよッ!!」



29: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/11/07(水) 18:57:34.36 ID:QJ0LCxgwO

('、`*川「いやいや、引くでしょ今のは……。
     普段は俺とか言ってる奴に、そんな爽やかな挨拶されたら……」

从♯///从「う、うるせぇなッ! 冷やかしなら消えろッ!!」

恥ずかしがりながら怒るハインの脇を通り、ペニサスはいつもの机に座り、たこ焼きを置いた。

('、`*川「冷やかしじゃないよ。
     どうせ暇してたろうし、一緒に食べようと思ってさ」

廊下で歩くうちに冷えたのか、たこ焼きからは湯気は消えていた。
それでも部室に籠もっていた2人にはご馳走に違いない。

舌打ち一つで気が済んだのか、ハインもたこ焼きの元へとやって来る。
ペニサスは刺さっていた爪楊枝、ハインは愛用のフォークを……ポケットから出した。

('、`*川「それ……持ち歩いてんの?」

从 ゚∀从「ケース付きだ」

それならまぁ、衛生的には問題ないかもしれない。
喰いタンの理論だ。3やんないかな。



31: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/11/07(水) 19:00:56.33 ID:QJ0LCxgwO

('、`*川「私の奢りだから、感謝しなさいよ」

从 ゚∀从「最近気前いいよなーお前。
     この前もショートケーキくれたし」

('、`*川「昔からよ、昔から」

そのケーキも前のケーキも、部費をちょろまかし買った物だ。
たこ焼きは知っての通りしぃの払い。
どう贔屓目に見ても嘘を吐いた時点で最低だが、彼女にとってそれは些細な事だ。

どうせハインは感謝しないし。

从 ゚∀从「いたっきゃーす」

('、`*川「踊らないカツオブシはただのカツオブシだ」

豚じゃないんだから、何もしなくてもそこまで価値は変わらないだろう。
まぁ見た目は確かにショボくなるわけだが、口にしたペニサスは噛み締め、美味しいと呟いた。

ハインはと言うと、ん、と一言。
美味いとも不味いとも取れるそんな反応に終わり、次のたこ焼きにフォークを突き刺した。



33: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/11/07(水) 19:01:51.80 ID:QJ0LCxgwO

('、`*川「んで、ココは何する場所なの?」

从 ゚∀从「色んな科学の実験する場所」

('、`*川「まぁ確かに、色々置いてはあるけど……。
     宣伝とか飾り、最悪扉くらいは開けときなよ」

从 ゚∀从「んな事したら馬鹿が来るだろうが。
     こういうのはやる気ある奴が来て、初めて意味が出るんだよ」

('、`*川「オバケ部のくせしてよく言うよ……」

たこ焼きを食べながら、ポツポツとした会話が続く。

癖のあるペニサスを理解し、分かってくれる人間は多くはない。
彼女自身それも分かっているからか、他人に愛想よくしようとも思わない。
そんなペニサスの数少ない友人の一人である、ハイン。

はた目には楽しそうな感じには見えないが、彼女らの間があるのだろう。
器が空になった後も、ペニサスは理科室を出る事はなかった。



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