('、`*川新聞部が嘘吐きを探すようです

4: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/01/31(木) 19:46:21.21 ID:wY0I9SEtO


12月ともなれば、高校3年生がやる事は1つ。

勉強だ。


(`、'*川「だが断るッ!」

(*゚ー゚) 「あのねぇ……私はアナタの為に言ってるのよ?」

ペニサスの成績は中の中、普通だ。

が、この学校は頭のいいの(#゚;;-゚)と
よろしくないのl从・∀・ノ!リが混在しているようなモノなので、
中の中では決して誉められる事はない。

だからこそ、これから一件あると言ってもしぃは聞かず、放課後の勉強会を押しつけているのだ。



5: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/01/31(木) 19:48:10.45 ID:wY0I9SEtO

(*゚ー゚) 「大体こんな時期にまだ部長だなんて……
     そんなの新聞部だけよッ?」

('、`*川「いやいや……私だって次の部長は決めてるから」

(*゚ー゚) 「引継ぎは? 部長会議の説明はした?」

('、`*川「いや……それはまだだけど……」

バンッ、とペニサス3年間愛用の机に、元生徒会長しぃの平手が叩きつけられた。

(♯゚ー゚) 「……」

('、`*川「だってぇ〜。時間無かったしぃ〜」

(♯゚ー゚) 「困るのは残される部員なのよッ!?」

('、`*川「言われなくてもわかってるよ……」

(♯゚ー゚) 「ならしっかりなさいッ!」



7: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/01/31(木) 19:50:04.75 ID:wY0I9SEtO

まぁペニサスも、色々と忙しかったのは事実。
ただ事情を知らないしぃからすれば、勉強をサボっているようにしか見えない。
だからか口うるさくなる。友達として心配なのだ。

(*゚ー゚) 「とにかくッ! 今日はこれから図書館行っt」

Σ('、`*川「おぉッとブルッた!!
      もしもし! なんだってッ!? デレちゃんから母乳が!?」

(*゚ー゚) 「……」

('、`*川「わかったすぐ行くZE!!
     うっひょう! 大ニュースだッ!!」

(*゚ー゚) 「……」

('、`*川「そういう訳だから、また明日ねッ! バイバイ!!」

鞄を掴み、ピューと扉を抜けて教室を出て行くペニサス。
その背に向かい、彼女は叫んだ。



13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/01/31(木) 19:52:46.28 ID:wY0I9SEtO

(♯゚ー゚) 「もうッ、困るのはペニなんだからねッ!」

しかし友人は止まらず、タタタと廊下からの足音が聞こえるだけ。
やがてそれも消え、一人しぃは残された。

(*゚ー゚) 「もうッ……!」

ため息と共に怒りを吐き出す。と、ここで彼女の携帯がポケットにて震えた。
取出し開き見れば、それはメール。しかも、意外な人物からの。

(*゚ー゚) 「ん? ……なに、ペニから?」




From  ペニサス伊藤
Subject ごめん

    私が消えても心配しないで大丈夫だから
    あとその時は、あの子たちをよろしく



19: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/01/31(木) 19:55:07.65 ID:wY0I9SEtO








 第16話「――――――事件(後編)」









20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/01/31(木) 19:56:45.24 ID:wY0I9SEtO


一日の仕事を終え、山へと落ちていく太陽。
もう少し待ってくれと、ペニサスは一人願った。

('、`;川「ささささささ寒ぃ……」

さっきからビュービューと馬鹿みたいに風が吹き、彼女の髪、
スカート、リボンと手当たり次第に振り揺らしている。

('、`*川「……しかも遅いし」

教室をダッシュで抜け出した後、寄り道せずに屋上へと向かった。
部室に寄る選択肢も無くは無かったのだが、敢えて行かず此処に居る。

顔を見たら足を止めそうだったから。



22: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/01/31(木) 19:58:10.18 ID:wY0I9SEtO

昨日の帰りぎわ、部室に鍵を置いていたのをデレは気付いただろうか。
そしてそれが、自分が託せる唯一の部長の証だという事に。

しぃは心配などせず、もう帰路についているだろうか。
案外ストイックな性格だ。真直ぐに帰って欲しい。

つーは自分の思い通りに動いてくれるだろうか。
それが今日の、最大の鍵だ。

('、`*川「……ふぅ」

屋上は転落防止の柵しかない。しかも、腰程度の高さ。
ベンチなどもなく、冬だから入るなと貼り紙、ご丁寧に階段にロープまで張ってあった。

('、`*川「鍵掛けなきゃしょうがないけど……」

やっぱり教師は馬鹿だ、と再確認した所。
不意に後ろから、ガチャと音がした。



27: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/01/31(木) 20:00:03.25 ID:wY0I9SEtO

('、`*川「……来た」

緊張してないと言えば嘘になるかもしれない。
心臓のリズムは早いから。

今立ってるのは、広い屋上の真ん中辺り。
振り向けばきっと、彼女が見えるだろう。

探し、捜していた、嘘吐きが。

('、`*川「……」

受ける風を、左から右に。後ろを、向いた。

ミセ*゚ー゚)リ「……」

立っていたのは、一人の少女。
ペニサスが思うのも変なのだが、至って普通だ。



29: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/01/31(木) 20:02:04.75 ID:wY0I9SEtO

紺色のセーラー服と、それに映える白いリボン。
スカートは膝の真ん中で揃えられ、白の内履きには青いライン。2年の証拠だ。

('、`*川「2年の、ミセリちゃん?」

ミセ*゚ー゚)リ「そう……ですけど」

セミロングの茶髪を寒風に揺らされながら、キョトンとした顔を見せる。
足はお互いゆっくりと、声が届くまで歩み寄っていた。

彼女を呼び出す為の手紙。そこに自分の名は載せなかったし、内容もクラスの男子に書かせた。
そのせいで女が待ってた事に驚いた様子が判る。実に順調だ。

('、`*川「私、3年の伊藤。新聞部の部長を……やってるわ」

ミセ*゚ー゚)リ「……」

ピクッとミセリの眉が動く。
新聞部というキーワードに反応を示したに違いない。



34: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/01/31(木) 20:04:06.89 ID:wY0I9SEtO

直ぐ様その理由を探り頭を働かせるが、当人にそれは遮られた。

ミセ*゚ー゚)リ「それで、何の用ですか?」

('、`*川「……用、か」

お互いの距離は1mも無い程度まで縮まった。
出来るならもっと距離を取りたいのだが、風の所為でここまで近づかないと会話が出来ない。

これは誤算だ。

('、`*川「アナタからすれば、特に大した用になるわけじゃないのよ。コレ大事」

ミセ*゚ー゚)リ「はぁ……」

('、`*川「だから、なんか悩んでる事あるならさ、私が聞いてあげるよ?」

ミセ*゚ー゚)リ「……はい?」



35: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/01/31(木) 20:06:06.55 ID:wY0I9SEtO

('、`*川「悩みよ悩み。恋の事から家族の事、友人の事や学校の事とか……」

ミセ;゚ー゚)リ「……」

なんだコイツ、という目を向けられる。
だが順調。変人だと思わせてのコレは、古典的だが効く。

('、`*川「人を殺しちゃった悩みとかさ」

ミセ;゚ー゚)リ「ッ!?」

分かりやすいリアクション、それに感謝を心内で言った。
もう少し頭が切れるかと思ったが、結局は17才の女子高生。無理もない。

ミセ*゚ー゚)リ「……何の話です?」

直ぐ様ポーカーフェイスに戻すミセリ。
ペニサスは内心ガッカリしてしまう自分を恨んだ。



39: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/01/31(木) 20:08:05.36 ID:wY0I9SEtO

('、`*川「必死なのバレるからよくないね、今のは。
     言っとくけど、私に嘘は吐かないでね」

ミセ*゚ー゚)リ「……嘘? 何が嘘だって言うんです?」

('、`*川「ジョルジュ長岡を殺したんでしょ、アナタ?」

畳み掛けるように言う。すると僅かだがミセリの目蓋が落ち、睨むようにして見上げられた。
だが相手はライオンじゃない、人間だ。視線はずっと、その目を外さず見続ける。

ミセ*゚ー゚)リ「……なにを」

('、`*川「なんで殺したの?」

ミセ*゚ー゚)リ「だからッ……何を言ってるか判りませんよ」

('、`*川「嘘ね。目線ズラして言えば尚更バレる。
     なんで殺したの? しかもわざわざ此処、学校なんかで」

また見上げるように、ゆっくりと動かされた視線。言葉はなく、ただ風が吹くだけ。



42: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/01/31(木) 20:10:06.40 ID:wY0I9SEtO

心当たりがあるから言葉が詰まる。
考えを及ばさなければならないから言葉が詰まる。

ペニサスは本人の自供を待たずして、ここでミセリを嘘吐きだと断定した。

ミセ*゚ー゚)リ「……なんで知ってるんですか」

当然の疑問だろう。
バレる筈がないと決め付け行動したのに、あっさりと目の前で吐露されている。
しかも一番バレちゃマズイ出来事をだ。

だからそう質問した。ペニサスがどこまで知っているかで、次が決まるから。

('、`*川「悪いけど、アナタの質問に答える気なんかハナからないから。
     それより早く答えてよ。なんで殺したの?」

これでもう、明らかだ。明らかに彼女は、自分を下に見ている。
どうせ弱みを握った、とかでも思っているのだろう。



44: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/01/31(木) 20:12:09.40 ID:wY0I9SEtO

でなければ目の前の殺人犯に対して、こんなにふてぶてしくいられない。

いられる筈がない。

ミセ*゚ー゚)リ「……先輩は、私をどうする気ですか?」

稚拙な殺気が、目の前の少女から感じれた。
矢張り先程の間は、ペニサスの処分を考えていて出来た時間だったらしい。

つい今、自分をどうするか決めたのだろう。

('、`*川「別に、どうもしないよ? それよりアナタが私をどうする気?」

ミセ*゚ー゚)リ「……どうしましょうか?w」

嘲笑うようにして言った目が、微かに濁る。



46: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/01/31(木) 20:14:07.11 ID:wY0I9SEtO

('、`*川「もうアナタ、駄目かもね」

ミセ*゚ー゚)リ「はい?」

('、`*川「最初に言ったじゃない、相談に乗るって。
     私は別にアナタを裁こうだとか思ってない。むしろ逆よ」

ミセ*゚ー゚)リ「逆って……友達にでもなりに来たんですか?w」

('、`*川「ま、そうなるかな」

ミセ*゚ー゚)リ「……大きなお世話ですよ、先輩」

風がまた、強く2人を押す。
しかし吹けども吹けども、嫌な空気は流されることはない。

ただただ睨み合い、言葉と言葉の間が広くなるばかり。

('、`*川「ていうか……」



48: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/01/31(木) 20:16:07.05 ID:wY0I9SEtO

やっと言えた言葉は、相まってその印象を色濃く残した。

('、`*川「アナタを裁ける人間なんて居ないでしょ。
      結局私達は、記憶に頼って生きてるんだから」

好きなものも嫌いなものも恐いものも、記憶という後ろ盾があるから分かる。
知らぬ内に積み立てられた人生の知識。それが道しるべとなり、生きている。

それが人間。獣のような力もなく、
勝手に作り出した虚にすら怯える、本当に弱い生物だ。

だからこそ互いに支え合ってるのだと、ペニサスは想っている。
だからこそペニサスは、今此処に居る。

ミセ*゚ー゚)リ「……本当に、私の力を知ってるんですね」

('、`*川「あくまで“予想”だけどね。
     何気にだけど、そういう不思議なのも嫌いじゃないし」



52: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/01/31(木) 20:18:09.87 ID:wY0I9SEtO

別にミセリは、知識の根源を破壊するとか、そういう力を持ってる訳じゃない。
ただ自分に関する記憶を相手から忘れさせる、たったそれだけの能力だ。

('、`*川「……聞かせてよ。あなたは、ジョルジュ長岡を殺したの?」

ミセ*゚ー゚)リ「……はい」

だからミセリは、今この自供を無かった事にも出来る。
自分に繋がる証拠さえ残さなければ、たとえ目撃されても人だって殺せる。

事実それらは、ミセリがやった行為だ。

('、`*川「……どうやって、とかは興味ない。
     私が聞きたいのは、なんでジョルジュを殺したか?ってトコ」

トーンを少し落とし、ペニサスが言った。
相変わらず目上から、挑発するような口調は変わらないが。

変わらないがそれは、確実にミセリの心を動かしていた。



54: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/01/31(木) 20:20:06.82 ID:wY0I9SEtO

ミセ*゚ー )リ「……アイツが……アイツが、私の友達を傷つけたから」

顔は下を、地面の方を向いたが、ミセリはそこを見ちゃいないだろう。

ジョルジュの憎い顔と、その友人の姿が見え隠れしているに違いない。
だから悔しさを思い出して、ギリと歯を鳴らすのだろう。

ミセ♯ ー )リ「……謝ったら……殺したりなんかしなかった……!
      でもアイツはッ……友達の事を覚えても無かったッ!!」

('、`*川「……そう」

ミセ♯ ー )リ「だから殺したんですッ……殺すしか、私はアイツを許せなかったッ!」

言い放った後に、また歯を食い縛る。
それと同じぐらい強く握った拳が、今だジョルジュを憎んでいる事を思わせた。



59: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/01/31(木) 20:22:12.57 ID:wY0I9SEtO

でも、それは

('、`*川「それはもう、意味の無い事よ。彼はもう、居ないんだから」

ミセ ー )リ「……ッ」

ミセリは俯いたままで、何かを喋る事は無かった。
次に口を開く時は、ハッと驚いたように顔をあげた時。
ペニサスにこう、言われた後だ。

('、`*川「……少なくとも私は、感謝してるよ。アナタの行為に」

ミセ*゚ー゚)リ「……ッ!?」

('、`*川「アナタは知らないだろうけど、私はアイツの恨みを買ってたかもしれないから」

正確に言うと、ペニサスは恨まれちゃいなかった。
それも当然、顔すら見られてないからだ。



61: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/01/31(木) 20:24:53.02 ID:wY0I9SEtO

買ってるのは写真を撮ったつーと、彼をフルボッコにしたツン。
でぃすら入ってない枠に、ペニサスが入選するのはありえない事だ。

だが今それはどうでもいい。ペニサスが文化祭の一件の時、内心ハラハラしていた事もだ。


ミセ*゚ー゚)リ「……新聞部の子が、襲われたんですよね」

('、`*川「あら、知ってたの?」

ミセ*゚ー゚)リ「文化祭の時……部員の子達から聞きました」

('、`*川「……言うなって言ったのに」

視線をミセリから外して、軽く憎そうにペニサスが吐き捨てる。
それを見て、顔色を悪くさせた女生徒が約一名。

ミセ;゚ー゚)リ「あ、あの子達は悪くないです……。
      私が無理矢理聞き出したようなものなので……」



64: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/01/31(木) 20:26:05.09 ID:wY0I9SEtO

この言葉から、ミセリの根本にある優しさが分かる。

だがペニサスには伝わらなかったらしく、一つの単語に突っ掛かった。

('、`#川「無理矢理ィ? 暴力でも振るったの?」

ミセ;゚ー゚)リ「ち、違ッ! その、なんていうか……
      …………泣かせて?」

('、`♯川「泣かせてェ!?」

ガッとセーラー服の襟を掴むと下から睨み上げ、零距離でガンを飛ばすペニサス。
ミセリは明らかに怯えた様子で弁明を続ける。

ミセ;゚ー゚)リ「いやそのッ! 違うんです!!」

('、`♯川「ウチの部員泣かせて? それで何が違うッてぇ?」

ミセ;゚ー゚)リ「あ……ぅ……」



66: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/01/31(木) 20:28:31.29 ID:wY0I9SEtO
部員、妹者を泣かせたのは紛れもない事実だ。まぁ勝手に泣いたのだが。
しかしたとえその時の記憶を彼女達から消していても、ミセリからは消えちゃいない。

ミセ; ー )リ「ご……ごめんなさい……」

その罪悪感に押し潰されるより早く、ミセリは謝罪を小さく言った。

('、`*川「よし、許す。もうするなよ」

ミセ; ー )リ「はい……」

シワがついた左襟をパッパッと払われながら、ペニサスの言葉に頷く。

もう既に、ペニサスはミセリのリードを取っていた。

だが勘違いしちゃいけないのは、ペニサスは強がって偉そうにしているわけじゃないという事。

素でこんなにも偉そうなのだ。
特に後輩という立場の人間には、例えそいつが生徒会だろうと嘘吐きだろうと何だろうと。

全力で偉そうに行くのが、彼女のスタイルなのだ。



68: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/01/31(木) 20:30:04.94 ID:wY0I9SEtO






(#゚;;-゚) 「なので嘘吐きが嫌うのは、証拠が流出する事なんですよ。
      だからこちらは、その証拠が嘘吐きに手を出せない状況を作りたいんです」

ζ(゚ー゚*ζ「うんうん」

(#゚;;-゚) 「だから部長は山につーちゃんを置いたんですよ。
      万が一があっても写真を持ち逃げれますから、証拠が残るんです」

ζ(゚ー゚*ζ「………?」

(# ;;- ) 「……チッ」

でぃ、舌打、部室にて。



72: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/01/31(木) 20:32:06.72 ID:wY0I9SEtO

(#゚;;-゚) 「まぁデレさんにも分かるように簡単に言うとですね……?
      部長、ペニサス伊藤は。証拠、写真を。残せる状況、追い付けない距離を。作った、って事です」

ζ(゚ー゚*ζ「証拠って?」

(#゚;;-゚) 「例えば、嘘吐きが部長の首を絞めている最中の写真とかです」

ζ(゚ー゚*ζ「……」

ζ(゚д゚ ζ

(#゚;;-゚) 「大丈夫ですって……。
      そうならない為に、つーちゃんが山に居るんですから」

ζ(゚ー゚*ζ「あ……そういう事かぁ。なるほどぬぇ〜……」

(#゚;;-゚) 「分かって貰えましたか……?」

Σdζ(゚ー゚*ζ「うん! お陰でバッチグーだよッ!!」



74: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/01/31(木) 20:34:05.66 ID:wY0I9SEtO

(#゚;;-゚) 「まぁ、部長から話を聞いた時にそうなってて欲しかったですが」

ζ(゚ー゚;ζ「だ、だってぇ〜……
      またハインちゃんに馬鹿にされるの、嫌だったんだもん……」

(#゚;;-゚) 「聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥ですよ」

ζ(゚ー゚*ζ「……なるほど。流石でぃちゃん良い事言うね!」

(#゚;;-゚) 「……私の言葉じゃないですけどね」

ζ(゚ー゚*ζ「じゃあ誰の言葉?」

(#゚;;-゚) 「……さァ?」



76: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/01/31(木) 20:35:01.10 ID:wY0I9SEtO

ζ(゚ー゚*ζ「……」

(#゚;;-゚) 「……」

ζ( ー *ζ「……w」

(# ;;- ) 「諺なんてのは意味さえ知ってれば発祥なんて知らなくてもいいんだよ。
      大体自分だって知らなかったくせに、なんだその勝ち誇った顔はチッチッチッ」





〜10分前〜


(#゚;;-゚) 「あ、どうも」

ζ( ー *ζ「やっほぉー……」



78: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/01/31(木) 20:36:02.07 ID:wY0I9SEtO

(#゚;;-゚) 「どうしたんですか? 随分暗いですけど」

ζ( ー *ζ「うん……今日ね? 部長が嘘吐きと会う日なの」

(#゚;;-゚) 「……なるほど。でもデレさん、納得したんじゃなかったんですか?」

ζ(゚ー゚*ζ「納得……うぅ〜ん……」

(#゚;;-゚) 「何か気になる事が?」

ζ(゚ー゚*ζ「……それがね、部長が山につーちゃんを――――」






82: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/01/31(木) 20:38:08.59 ID:wY0I9SEtO
〜15分後〜


ζ(゚ー゚*ζ「まぁ誰にでも不得意な事はあるよ!
      気にしない気にしないッ!!」

(#゚;;-゚) 「気にしてません。むしろデレさんが気にしてください」

ζ(゚ー゚;ζ「うッ……」

ζ(゚ー゚*ζ「あ、そういえば妹者ちゃんはッ!?」

(#゚;ー゚) (逃げたよププッ)

(#゚;;-゚) 「……ゴホン。妹者は風邪を拗らせたとかで、今日は休みです」

ζ(゚ー゚*ζ「うぇぇ、妹者ちゃんも風邪とか引くんだねー」

(♯゚;;-゚) 「デレさんじゃあるまいしそりゃ引きますよ」



85: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/01/31(木) 20:40:05.32 ID:wY0I9SEtO

ζ(゚ー゚*ζ「……」

(#゚;;-゚) 「……」

ζ(゚ー゚;ζ「……あの日?」

(#゚;;-゚) 「違います」

ζ(゚ー゚;ζ「……そう」

(#゚;;-゚) 「……」

ζ( ー ;ζ(恐い……)

実はでぃ、反抗期に突入していた。
まぁそれならば、大概の人間が通った道。とくに学友や、終わった後に
親と仲良くなる切っ掛けになった人も、中には居るかもしれない。



87: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/01/31(木) 20:42:04.70 ID:wY0I9SEtO

しかしでぃの場合、これは中々に厄介だ。
普段から目上の人間を気遣う性格故に、反抗の対象は親どころか姉、果ては年上全員に及んだ。
しかも捻くれた素がラピュタの如く浮上し、非常に嫌な奴となっている。

今日は運悪く妹者が居ないので、彼女もストレスを溜めて一日を過ごしていた。
その所為もあるにはあるが、視認できそうな程に一際目立つ、その陰険さ。

それには流石のデレも気付き、屋上など遥かに越える嫌な空気が、現在部室には漂っていた。

ζ(゚ー゚;ζ「……ふぅ」

(#゚;;-゚) 「そういえば、デレさんが次の部長って事でいいんですよね?」

ζ(゚ー゚;ζ「え? う、うん。そうだよ?」

(#゚;;-゚) 「ならとっとと……いえ、何か指示を頂けますか?」



90: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/01/31(木) 20:44:07.72 ID:wY0I9SEtO

ζ(゚ー゚;ζ「えッ? 指示って……言われても……」

(#゚;;-゚) 「取材に行けだとかコレを詳しく調べろだとか色々あるでしょう?
     2年間も此処で何をしてたんですか」

ζ( ー ;ζ「……ごめんなさい」

(#゚;;-゚) 「謝る前に指示を」

ζ( ー ;ζ(……助けてハインちゃーん)

最早挫けそうな次期部長、デレ。
当然ながらハインが颯爽と現われる筈などなく、とりあえず取材に行かせる事しか出来なかった。

(#゚;;-゚) 「あとそれ、目を通しといてくださいね」

ζ(゚ー゚;ζ「え? それっt」

(♯゚;;-゚) 「 こ れ で す 」



92: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/01/31(木) 20:46:32.18 ID:wY0I9SEtO

デレの机のピッタシ真ん中に。
びっしりと文字が書かれた黒い……もとい黒字に埋め尽くされた白地のレポート用紙があった。

無駄な几帳面さは相変わらずなようで、それはでぃが紙に落としたネタの群れ。

わー、よくここまで集めたなー

と思ったが、言わずに飲み込んだ。

ζ(゚ー゚;ζ「う、うん。ちゃんと見ておくよ……」

(#゚;;-゚) 「よろしくお願いしますよ、本当に」

ζ( ー ;ζ「う、うん……」

思わず逸らしてしまう程の目力に、だっちゅーのポーズで縮こまるデレ。
巨乳死ねと言わんばかりにフンと鼻を鳴らしながら、部室の扉をでぃは目指す。



93: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/01/31(木) 20:48:10.53 ID:wY0I9SEtO


 同じ部のDさんからの証言

 ζ(※※※ζ「前はあんな子じゃなかったんですけどねー。
        まさかそんな事をするなんて、思ってもみませんでしたよー」


ζ( ー *ζ(なんて証言出ちゃうくらい変わっちゃってるよー……
      ……今のちょっと面白いかも、フフッ)

ミス・ノー天気は強かった。

(#゚;;-゚) 「……ん?」

悪気も自覚もないでぃ。
ふと何かに気付いたらしく、あと一つで扉という所で歩みを止める。
その直後、乱暴な音と勢いを二つも同時に、それは横へと開かれた。



97: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/01/31(木) 20:50:10.68 ID:wY0I9SEtO

(*゚∀゚)ノ 「おっすー! カラオケ行こうずぇー!!」

(#゚;;-゚) 「……」

ζ(゚ー゚*ζ「……あれ?」

部室に居た2人の視線は、一気に来訪者へと向けられる。

(*゚∀゚) 「ん? なに? アタシの顔になんか付いてる?」

ξ゚听)ξ「何も付いてはないけど、変な顔ね」

すぐ後ろに居たのだろう、ツンもその足を部室へと運ぶ。

この2人が一緒に居る事も、中々珍しい事だ。
だがそれ以上にデレには、つーという存在が此処に居る事が分からなかった。



101: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/01/31(木) 20:52:04.64 ID:wY0I9SEtO

ζ(゚ー゚*ζ「……」

(*゚∀゚) 「どしたの? 雀が機関銃喰らったような顔して」

ξ;゚听)ξ「鳩が豆鉄砲よ。
       確かに雀も機関銃には驚くけど……ってキャッ!?」

突然、ドンと音がするくらいに強く。妹が姉を押し退かし、部室を走り飛び出ていった。
驚き軽く唖然としたツンではあったが、すぐに半身を扉から出して、冷たい廊下を走るデレの背中を見つける。

ξ;゚听)ξ「ちょ、デレッ!? アンタどこ行くのッ!?」

だが謝りも、行き先も返しはせず。
すぐに角に差し掛かり、デレはツンの視界から姿を消した。

ξ゚听)ξ「何よあの子……」

(*゚∀゚) 「あれれ? もしかしてカラオケ嫌いだったかな?」



103: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/01/31(木) 20:54:59.48 ID:wY0I9SEtO

従姉は素っ頓狂な事を言ってるが、でぃは違う。ただただ一人、思考を巡らせていた。

(#゚;;-゚) 「……つーちゃんが居るって事は」

デレを安心させる為、なのだろうか。
この状況、自分も行くべきか。

(#゚;;-゚) 「……違う。こんな事、すぐバレるに決まってる。
      なら……部長は最初から……」

全て、計画の内。

(# ;;- ) 「……喰えない人」

だが今は、嫌悪感しか持てない。
尊敬すべきは仏じゃなくて、仏を信じてる矮小な人間なのかもしれない。

自分には出来ないから、そう思った。



105: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/01/31(木) 20:56:41.28 ID:wY0I9SEtO


 「……そう、呼び出すのさ。明日の放課後、屋上にってね。
 んでそれを、裏山からつーに望遠で見張ってもらう」

  これも

 「平気でつーの記憶を消されると、2人とも終わりだからね。
 なるべくなら、私の敵意と準備は相手に見せたくない」

  これも

 「と、いうわけで……まぁ準備は出来たからさ。
 心配はいらないから、部活の方よろしく頼むよ」

  これも


全部、嘘だ。



110: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/01/31(木) 20:58:17.45 ID:wY0I9SEtO

「部長の……ッ! 嘘吐きッ!!」

力になれない事が悔しくて、デレは屋上を目指して走る途中に、泣きながらそう叫んだ。

そこまでして、自分を外に置いておきたいのか、と。

たった2年しか居ない仲。でもデレは、もう頼り合っていい仲だと思ってた。
でも違った。ペニサスは誰も巻き込まず、一人で戦う道を選んだ。

結局部長も、皆も。自分を頼りになどしない。
そんな事はわかってたのに、わかりたくなくて悔しかった。

だから子供のように泣いたけど、大人な芯は足を止めたりはしない。

走って、走って走って走って。
部長に一言怒鳴ってやれと、芯は叫んでいた。




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