('、`*川新聞部が嘘吐きを探すようです

63: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/31(月) 23:22:03.55 ID:THXrEZiwi
ゴゥンゴゥンとヒーターの稼働音。楽しそうにはしゃぐ妹者の声。

l从*・∀・ノ!リ人「ほら! ほら大吉!」

ζ(゚ー゚*ζ「いいなぁ〜、私なんか中吉だったよ……」

l从・∀・ノ!リ人「でぃは大凶だったのじゃ」

(;゚;;-゚) 「べ、別にいいじゃんか……」

年が変わっても、いつもと変わらない部室。
一つ違うとすれば、部長椅子が空席、ペニサスが居ない事か。
まぁ彼女は今受験戦争真っ只中なので、それも仕方ないが。

ζ(゚ー゚*ζ「あ、そういえばさ……」

l从・∀・ノ!リ人「ん? 新しいお餅の食べ方でも発見したのじゃ?」

ζ(゚ー゚*ζ「あ、栗金時餅が美味しかったよ?」

(#゚;;-゚) 「余り物っぽい組み合わせですね……」

l从・∀・ノ!リ人「えらく太りそうなのじゃ」

ζ( ー *ζ「そうそう……正月太りで4kg……」

ζ(゚ー゚;ζ「っておいッ! 関係ないわッ!」

いわゆる初ノリツッコミである。



64: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/31(月) 23:23:58.51 ID:THXrEZiwi
 





 17話 「新聞部。終わりと始まり」






66: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/31(月) 23:25:32.20 ID:THXrEZiwi
ζ(゚ー゚;ζ「そうじゃなくて! あの自殺した女の子ってさ……」

l从・∀・ノ!リ人「またそれなのじゃ? 痴呆も大概にして欲しいのじゃ」

(#゚;;-゚) 「言いすぎ……」

ζ(゚ー゚;ζ「でもさぁ……!」

反論する為に席を立つと、某ロボゲのように乳が揺れた。

(#゚;;-゚) 「それより、新年一発目は何をするんです?」

ζ( ー ;ζ「うぅ……流さないでよぉ……」

両手を机に付いたまま、頭を項垂し一人落ち込む。
そんなデレだったが、入り口からの冷たい風に気付くと頭を上げ、部室に入る扉を見つめた。

釣られ小さな2人もそちらを見ると、開き寄せた扉に体重を乗せる女性が一人。

ζ(゚ー゚*ζ「……あ」

l从・∀・ノ!リ人「……あ」

(#゚;;-゚) 「……あ」



68: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/31(月) 23:28:09.83 ID:THXrEZiwi
いつかのようなリアクション。それにツッコミもせず、彼女なりの挨拶が飛ぶ。

('、`*川「うっす、うっす、うっすっす。
     みんな大好きペニサスお姉さんだよーぅ」

ζ(゚ー゚♯ζ「部長ッ!」

l从♯・∀・ノ!リ 「音沙汰もなく突然消えてッ!!
       メールくらい返信するのじゃッ!!」

妹者も席を立ち、左に指を指し吠える。
指されている先にはペニサス。少し痩せ、目の下にはクマ。
顔色も少しよくなく感じる。

('、`*川「まぁ落ち着きたまえよ。ていうか私部長じゃないし」

ζ(゚ー゚*ζ「……部長は部長です」

相変わらずだね、と顔を伏せ、ペニサスは笑った。
そのまま扉を閉めると、左腕を軽くさすりながら前に出る。

('、`*川「……受験あるからさ、私はもう此処には来ない」

l从;・∀・ノ!リ人「にょ! また突然ッ!!」



69: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/31(月) 23:30:12.30 ID:THXrEZiwi
('、`*川「んで、来年度からの部長はデレちゃんがやるから」

l从♯・∀・ノ!リ人「なぬゥ!? また突然ッ!!」

(#゚;;-゚) 「……なんで怒ってんのさ」

l从;・∀・ノ!リ人「だってだって、順当に行けば部長になるのは妹者の筈なのじゃッ!」

どんな天下一武道会を開催したのか知らないが、トーナメントは妹者が制したらしい。

('、`*川「んじゃ妹者ちゃん副部長で」

l从♯・∀・ノ!リ人「そんな富井みたいなポジション嫌なのじゃッ!」

(#゚;;-゚) 「まぁまぁ、また来年やりなよ」

むぅ、と不満げながらも席に座り、真ん丸な目をペニサスに向けた。

l从・∀・ノ!リ人「……なんか部長、疲れてるのじゃ?」

('、`*川「ん? あぁ、勉強ダルくてねー」

見られたくないのか振り返り、3人には背を向ける。



73: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/31(月) 23:33:00.02 ID:THXrEZiwi
ζ(゚ー゚*ζ「……もう、来てくれないんですか?」

「……うん。そのつもり」

ζ(゚ー゚;ζ「まだッ! ……まだ全然、なにも教わってません」

「大丈夫でしょ? ハインいるし」

言うと直ぐ、白い包帯の巻かれた左手を扉に掛けた。

「んじゃ、バイバイ」

ζ(゚ー゚;ζ「部長ッ!」

ガタッと揺らし席を立つデレ。卓上のペン立てが揺れた。
呼び止めようしたのだろうが、その時にはもう扉が……

l从♯・∀・ノ!リ人「ちょりゃッ!」

( 、 ;川「げぶぅッ!!」

扉が開く前に、妹者の蹴りがペニサスの膝裏を襲撃。
カックンして扉にゴッツンした。



75: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/31(月) 23:35:14.39 ID:THXrEZiwi
l从♯・∀・ノ!リ人「いくらなんでもアッサリしすぎなのじゃ!!」

こっち来い!と後ろ襟を引っ張る妹者。
小さな身体に大きなパワーを持つ彼女に、鼻血を流しながらペニサスは引っ張られる。

l从♯・∀・ノ!リ人「2人もこっち来んかいッ!」

ζ(゚ー゚;ζ「はいッ!」

(#゚;;-゚) 「痛そう部長……」

窓際にペニサスを立たせ、その隣にデレ、彼女の前にでぃを立たせる。

('、`;川「痛ァ……なにすんのよッ……」

l从・∀・ノ!リ人「写真撮るのじゃ写真! ほれほれ、鼻血くらい拭けッ!」

ζ(゚ー゚*ζ「はい、部長」

('、`*川「あ、ありがと」

デレから水色のハンカチを受け取り、血を拭く。

('、`*川「……」



77: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/31(月) 23:38:08.05 ID:THXrEZiwi
ζ(゚ー゚*ζ「部長それ、きちゃないんで洗って返してくださいね?」

('、`*川「……うん」

l从・∀・ノ!リ人「セット完了!」

机の上に置いたデジカメ、ピピッと電子音。
駆け足で戻り、ペニサスの前に立つと満面の笑みでピースをする。

('、`*川「写真嫌いなんだけど……」

(#゚;;-゚) 「私も……」

l从*^∀^ノ!リ人「ワガママ言うななのじゃ」

ζ(^ー^*ζ「ピース!」

4人並び、カメラを見る。でぃは視線を外していたが。

l从*^∀^ノ!リ人「……」

ζ(^ー^*ζ「……」



80: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/31(月) 23:40:10.01 ID:THXrEZiwi
('、`*川「……」

(#゚;;-゚) 「……」

しかし、シャッターは切られない。

l从;^∀^ノ!リ人「顔……疲れるのじゃ」

ζ(^ー^;ζ「……うん」

('、`*川「……ちゃんとセットしたの?」

l从;・∀・ノ!リ人「し、したはず……」

パシャ

ζ(゚ー゚;ζ「うぇッ!? 今目つぶってたよ!?」

(#゚;;-゚) 「なんと古典的な……」

l从♯・∀・ノ!リ人「ムガァ! も1回なのじゃ!」

('、`*川「いいよ、今ので。ありがとね妹者ちゃん」



83: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/31(月) 23:43:06.09 ID:THXrEZiwi
l从・∀・ノ!リ人「むぅ……まぁ部長がそういうなら仕方ないのじゃ。
       んじゃ、また明日にでも取りに来るのじゃ!」

ζ(゚ー゚*ζ「じゃあハンカチは来週で!」

('、`*川「……いいの? 私来ても」

l从・∀・ノ!リ人「ったり前なのじゃ!」

ζ(゚ー゚*ζ「暇な時でいいですから、来てください」

( ー *川「……うん。ありがと」

(#゚;;-゚) 「でも勉強はしてくださいよ?」

('、`;川「嫌でもしぃと個人レッスンよ……今日も……」

ζ(゚ー゚*ζ「……部長」

ありがとうございました。部室に凛とした声。

( ー *川「どういたまして……んじゃ、帰るね」

l从・∀・ノ!リノシ「また来るのじゃ〜!」



84: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/31(月) 23:44:22.86 ID:THXrEZiwi
(#゚;;-゚) 「ありがとうございました」

カラ、と小さく音をたて、ドアを開く。
後ろを振り替える事なく、ペニサスはそのまま部室を後にした。

ζ( ー *ζ「……頑張ろうね」

l从・∀・ノ!リ人「おうよッ!」

(#゚;;-゚) 「はい」








('、`*川「はァ……」

部室から出て、静かな廊下を一人歩く。



88: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/31(月) 23:47:04.00 ID:THXrEZiwi
('、`*川「……終わったんだ」

もうペニサスは部長ではない。呼ばれてももう、新聞部には所属してないのだから。
そう思うと目頭に熱が、痛みのようなものが走り、涙が落ちた。

( 、 *川「ッ……今日は、泣かないって……決めてたのになぁ……」

右袖で拭うが、止まらない水。
辛い事もあった。嫌な事も、憤慨する事もあった。

( ー *川「だけど……楽しかったなぁ……」

今思えば、駆け抜けたような3年間だった。
楽そうだからと新聞部に入り、好き勝手やる為に部長になる。

妹者やでぃと何度かぶつかったりもしたけど、でも彼女達はみんな、自分に着いて来てくれた。
文句は言うけど、次の日には笑って部室に居てくれた。

感謝しても感謝しきれない想いが、涙となって表れる。

( 、 *川「……ん?」

しかしこんな時でも、彼女は構わずスパルタを徹底する。



91: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/31(月) 23:50:03.53 ID:THXrEZiwi
('、`*川「……しぃだ」

電話だが、出ずとも分かるその内容。早く来い、と怒鳴るだけだろう。
気付けば涙は止まってた。

('、`*川「はァ……はいはい勉強勉強……」

面倒だが、逃げるわけにはいかない。

学生の本分、勉学を全うし、卒業した時。生徒の3年間は初めて実る。
そんな事をペニサスの担任は言っていた。

やはり、教師は駄目だと思う。

だって彼女にとって学校とは、部活が全てだったから。

('、`*川「でもまだ、終わりじゃないもんね……」

左手を撫で、前を向く。

('、`*川「頑張るかな。まぁ適当に」

一歩前へ、歩きだした。



戻るエピローグ
※号外もあります。エピローグの前に号外を読みたい方は一度トップに戻ってそこから読んでください。