('、`*川新聞部が嘘吐きを探すようです
- 43: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/19(水) 00:41:03.61 ID:9fEGC5EbO
「おぉッ!?」
「……?」
「おぉぉぉッ!!?」
「な……なに?」
「……格好いいのじゃ」
「……え?」
「傷! 格好いいのじゃ!」
「……」
「斗貴子さんみたいで格好いいのじゃ!」
「トキコ……?」
「知らないのじゃ? んじゃ真赤な誓いも?」
「……うん」
「あちゃー、人生の12割は損してるのじゃー」
「……一回じゃ足りないくらいの損なんだ」
- 46: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/19(水) 00:43:23.87 ID:9fEGC5EbO
号外「――――――事件(黒いハート編)」
- 47: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/19(水) 00:45:11.15 ID:9fEGC5EbO
- 新聞部部室。
l从*・∀・ノ!リノ「おいっすー!」
片手を挙げ、扉を開けながら元気に挨拶をする妹者。
が、部室から返る声は無い。
l从・∀・ノ!リノ「……」
それは無視されたとかではなく、誰も居ないからだ。
l从#・∀・ノ!リ人「まったく……不真面目な連中なのじゃ!」
ジャラジャラとキーホルダーを付けた鞄を自分の机に放ると、
妹者はいつものPC前の席ではなく、何故か部長の椅子に腰掛けた。
l从・∀・ノ!リ人「……」
キィ……と小さく唸る椅子。
誰も居ない部室は静かすぎて、その音は響いた。
l从・∀・ノ!リ人「もう12月なのじゃ……早いものなのじゃー……」
気付けばこんな時期だ。
入学してから8ヵ月経って、ようやっと来年を見据え始めれた。
本当に忙しいのは、これからなんだけど。
- 49: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/19(水) 00:47:39.16 ID:9fEGC5EbO
l从・∀・ノ!リ人「部長とも……お別れなのじゃ……」
妹者も感傷をするらしい。
いや、逆に感情豊かだからこそ、なのかもしれない。
ふぅ、と……ため息。実に珍しい。
さらに目を閉じて、記憶を過去へ。
この部活に入った時の事を、思い出していた。
(´<_` )「妹者も高校生か……」
l从・∀・ノ!リ人「うむ!」
( ´_ゝ`)「悲しいな……」
(´<_` )「氏ねよロリコン」
( ´_ゝ`)「変態紳士と呼べ」
(´<_` )「だが断る!」
- 51: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/19(水) 00:49:42.74 ID:9fEGC5EbO
l从-∀-ノ!リ人「……違う、こんな記憶はどうでもいいのじゃ」
(´<_` )「え? 本当に新聞部入ったのか?」
l从・∀・ノ!リ人「うむ!」
( ´_ゝ`)「ペニサスちゃん可愛かったな……。
取材とか何度でも受けたげたいよハァハァ」
(´<_` )「キモス」
- 52: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/19(水) 00:50:52.29 ID:9fEGC5EbO
l从-∀-ノ!リ人「こんな記憶もどうでもいいのじゃ……」
(´<_` )「今度体育祭だっけ?」
l从・∀・ノ!リ人「うむ!」
( ´_ゝ`)「ブルマハァハァ」
(´<_` )「残念でしたー。
貴様が卒業してから短パンに変わりましたー」
( ´,_ゝ`)「知ってるよバーカ。釣られてやんのプププ」
(´<_` )「ウッゼ」
( ´,_ゝ`)「プークスクス」
- 53: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/19(水) 00:52:08.67 ID:9fEGC5EbO
l从-∀-ノ!リ人「なんで兄者達が出てくるのじゃ……」
(´<_` )「来週文化祭だっけか?」
l从・∀・ノ!リ人「うむ!」
( ´_ゝ`)「浴衣、新しいの買ってきといたから」
(´<_` )「新しいの、って……夏にも買ってたろ?」
( ´_ゝ`)「一度着たのは二度と着せん!」
(´<_` )「兄者、女に貢ぐタイプだな……。
まぁ妹に貢いでる内はまだ……よくねぇよ」
- 56: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/19(水) 00:55:40.14 ID:9fEGC5EbO
l从;-∀-ノ!リ「めっちゃ新しい記憶……まさか嘘吐きに消されたのじゃ!?」
ただ忘れてるだけである。
l从-∀-ノ!リ人「むぅ……恐ろしやー恐ろしやー」
(#゚;;-゚) 「確かに恐ろしい。独り言をブツブツと」
l从-∀-ノ!リ人「……」
前方からの声。
パチと目を開けて見れば、正面の席には何食わぬ顔で本を読む少女の姿が。
l从・∀・ノ!リ人「……いつから居たのじゃ」
(#゚;;-゚) 「なんで兄者達が〜、って辺りから」
l从#・∀・ノ!リ人「来たなら声くらい掛ければいいのじゃ!」
(#゚;;-゚) 「だってなんか妄想してたし」
こっちには言葉だけで視線は寄越さず、でぃは読書を続ける。
ゴゥンゴゥンと、ヒーターが音を立て部屋を暖めはじめていた。
- 58: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/19(水) 00:57:33.85 ID:9fEGC5EbO
l从・∀・ノ!リ人「むぅ……でぃは大人ぶるのが腹立つのじゃ」
(#゚;;-゚) 「……私がいつ大人ぶったのよ」
l从・∀・ノ!リ人「その口調が気に食わんのじゃ」
(#゚;;-゚) 「……妹者に言われたくないよ」
ペラ……ゴゥンゴゥン
l从・∀・ノ!リ人「部長たちは来ないのじゃ?」
(#゚;;-゚) 「……多分、部長は今日明日と来ないかな。
今あの人は忙しいからね」
l从・∀・ノ!リ人「デレは?」
(#゚;;-゚) 「デレさんは……」
ゴゥンゴゥン
(#゚;;-゚) 「知らない」
……ペラ
- 62: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/19(水) 01:04:22.00 ID:9fEGC5EbO
l从・∀・ノ!リ人「むぅ〜……んじゃ妹者たちは、何すりゃいいのじゃ」
(#゚;;-゚) 「それなりにネタも上がってるし、
部長が調べるのを決めてくれれば動けるんだけど……」
l从・∀・ノ!リ人「だけど?」
(#゚;;-゚) 「指示がないと動けないね」
l从・∀・ノ!リ人「……むむむ、なんだか腑甲斐ないのじゃ」
パタン、とでぃは茶色の革カバーを閉じる。
無地なそれで、読んでいた本のタイトルすらも妹者には分からなかった。
(#゚;;-゚) 「気張る必要ないとは思うけどね。まだ火曜だし。
それに、こういう状況で一番心配すべきなのは……」
でぃの薄く鋭い視線が、彼女の左斜め前を突き刺す。
そこは次期部長のデレの席。今は主が居なく、空になってはいるが。
l从・∀・ノ!リ人「ん? デレがどうかしたのじゃ?」
(#゚;;-゚) 「……や、別に。
それよりどうする? 帰る?」
l从・∀・ノ!リ人「むー……まぁする事ないなら、暗くなる前に帰るのじゃ」
- 64: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/19(水) 01:06:11.11 ID:9fEGC5EbO
ん、と一言。でぃは茶色の本を鞄に仕舞い、白いダッフルコートを羽織った。
鞄の隣に置いていた手袋も付けようとしたのだろうが、手を掛けた所でそれは止まった。
(#゚;;-゚) 「……」
l从・∀・ノ!リ人「帰りに肉まん買ってくのじゃ〜♪」
(#゚;;-゚) 「あ、あの……妹者?」
l从・∀・ノ!リ人「ん?」
(#゚;;-゚) 「なにその……全身黒」
黒いニット帽、黒いマフラー、黒い手袋、黒いコート。
黒いニーソ……はいつもだが、鞄まで黒だ。
そりゃ暗くなる前に帰らねば。ステルス100%である。
l从・∀・ノ!リ人「知らないのじゃ? 黒は熱を吸収するのじゃ!」
この前テレビでやっていた、と無い胸を張り言う。
多分NHK教育の、理科番組だろう。小3とかの。
(#゚;;-゚) 「……まぁ、暖かいかも……ね」
l从・∀・ノ!リ人「うむ! ぬくぬくなのじゃ!
でも本当は、もこもこしたのが着たかったのじゃ……」
- 68: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/19(水) 01:08:29.90 ID:9fEGC5EbO
これは家まで送らないといけないな、とでぃは思う。
仲間意識を感じた不振者が速いか、警察が速いかの勝負になってるからだ。
(#゚;;-゚) 「まぁ私が居ても意味は無いけど……」
l从・∀・ノ!リ人「ん? なにがじゃ?」
(#゚;;-゚) 「いや、ボディガード的な事」
l从・∀・ノ!リ人「それならば心配ないのじゃ。
でぃは十分に護衛レベルは高いのじゃ」
(#゚;;-゚) 「……なんで?」
l从・∀・ノ!リ人「顔の傷がヤーさんっぽい」
(#゚;;-゚) 「……」
気遣いというのが全く無い妹者。
良い意味でフランク、悪い意味でKY。
この先苦労も絶えないだろうが、
気を遣われる事に飽き飽きしていたでぃには、それは有難い性格だ。
- 69: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/19(水) 01:11:43.99 ID:9fEGC5EbO
(#゚;;-゚) 「……傷、か」
頬のそれに触れながら呟いた。
妹者と知り合えたキッカケになっただけでも充分なのに、
もし彼女を守れるような事になるならば、昔呪っていた自分に説教をしなければいけない。
(#゚;;-゚) 「22世紀まで生きれるかな……」
l从・∀・ノ!リ人「?」
学校を出ると、疎らな生徒達は皆寒そうに、それぞれの帰路を歩いていた。
それは2人も例外でなく、白い息と共に雪のように言葉を積んでいく妹者と、
途切れそうな言葉ながらもしっかりと反応を返すでぃ。
ゆっくりと確実に、2人は歩んでいた。
- 72: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/19(水) 01:13:36.76 ID:9fEGC5EbO
l从・∀・ノ!リ人「あ、そうなのじゃ。
でぃ、後で家に寄ってくのじゃ」
真っ黒な妹者が、でぃの顔を覗き込むようにして言う。
大袈裟な格好ながら、鼻頭と頬を紅くする、可愛らしい顔で視界が埋まった。
慣れはしだしたが、相変わらずスキンシップが近い。思わず言葉が詰まる。
l从・∀・ノ!リ人「……聞いてるのじゃ?」
(#゚;;-゚) 「あ、あぁ……うん。なんで?」
l从・∀・ノ!リ人「この前の写真。
出来たぞ、っておっきい兄者が言ってたのじゃ」
(#゚;;-゚) 「写真って……アレ?」
l从・∀・ノ!リ人「うむ。でぃが包帯と眼帯付けて、スク水着たアレ」
(;#゚;;-゚) 「アレは……汚点」
2週間程前の休日に、妹者の家へと遊びに行った時の事だ。
突然妹者の兄弟の、変態の方が鼻息荒く部屋にやって来ると、
手に持つ眼帯と包帯をでぃに付けて欲しいと、土下座をして頼み込んできた。
困惑し助け船を妹者に出すも、面白がった彼女に[いもじゃ]と書かれたスクール水着を着させられ、
流されるまま兄妹に、その恥ずかしい姿の写真まで撮られたのだった。
- 73: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/19(水) 01:15:01.70 ID:9fEGC5EbO
l从・∀・ノ!リ人「でも似合ってたのじゃ?」
(#゚;;-゚) 「そういう問題じゃないんだけどな……」
まぁ出来たものはしょうがないけど……と、わざとらしく呟いた。
正直な所、あれだけ可愛い可愛いと言われたのは初めてだったので、悪い気はしてなかったりする。
素直にそう言えばいいのだが、彼女は結局胸の内を話す事はなかった。
l从´・∀・ノ!リ人「でも妹者だったら、殴ってでも逃げてたのじゃ。
あんな恥ずかしい青春の思い出、お断わりなのじゃー」
(#゚;;-゚) (コイツ……)
l从・∀・ノ!リ人「あ、コンビニなのじゃ」
暫らくした後、灰色の空に明かりを放つ一軒のコンビニが、右手脇に現われた。
駐車場も軽く混んでいて、今は忙しい時間帯らしい。
(#゚;;-゚) 「寄る?」
l从・∀・ノ!リ人「妹者は今、猛烈に豚角煮まんが食べたいのじゃ!
だから当然寄っていくのじゃ〜!」
- 74: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/19(水) 01:16:16.69 ID:9fEGC5EbO
失礼だが、表現するなら街灯に寄るコウモリ。
それも口にはしないが。
(#゚;;-゚) 「あれ? さっき肉まんって……」
小走りで妹者を追いながら思い出したが、まぁ意味はない。
彼女が食べたい物は、コンビニの商品全て。
全てが常に、その有力候補に上がってるのだから。
(#゚;;-゚) 「悩むと30分、悩まないと2秒」
前者は普通に厄介だし、後者はこちらが急かされ落ち着かない。
出来れば間を取ってくれと一人願いながら、コンビニの重い扉を引き開いた。
l从#・∀・ノ!リ人「なぁんで豚角煮まんがないのじゃ!!」
店内に踏み入って早々、妹者の声が聞こえてきた。
よく見れば、数人のお客さんが黒い女子高生を訝しげに見つめている。
が、妹者は周りなど気にする様子もなく、何やら店員と揉めてるらしい。
(#゚;;-゚) 「どうしたの?」
l从#・∀・ノ!リ人「む〜……でぃからも言ってやるのじゃッ!!」
ペコペコと頭を下げる店員だったが、でぃが来て少し安心した顔を見せた。
話が通じる人間が来た、と察したのだろう。
- 77: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/19(水) 01:18:32.48 ID:9fEGC5EbO
「ただ今豚角煮まんは売り切れでして……」
(#゚;;-゚) 「残念。他のにしなよ」
l从#・∀・ノ!リ人「む゙ぅ〜……」
食べたい物を、その時に食べる。それが、妹者の生きざまだ。
しかし他のコンビニは帰路から離れてるし、ここで無いと言われたら諦めるしかない。
(#゚;;-゚) 「肉まんはあります?」
「あ、はいッ」
ガチャと売り機を開き、店員は確認を取る。
(#゚;;-゚) 「ね、我慢して肉まんにしよ。
また明日食べればいいじゃない」
l从#・∀・ノ!リ人「……まぁ妥協してやるのじゃ」
感謝するのじゃ!と、妹者が偉そうに吠える。
お客さまは神様だ、というのは店側が思う事であり、客が振り回す信条ではない。
その辺を理解してない言動は、でぃに恥ずかしさを沸かすだけだ。
- 78: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/19(水) 01:20:19.53 ID:9fEGC5EbO
(#゚;;-゚) 「それじゃ肉まん2つ……」
「す、すみません……肉まんの方はあと1つしか……」
l从♯ ∀ ノ!リ人 カチ-ン
(;#゚;;-゚) 「いッ、1個でいいです! 早くッ!」
「は、はいッ! 120円になります!」
財布から投げるように120円丁度を払うと、片手に妹者の腕、片手に肉まんを持つ。
そのまま逃げるようにして、でぃ達はコンビニを後にした。
l从#・∀・ノ!リ人「いくらなんでも品揃え悪すぎなのじゃァ!」
(;#゚;;-゚) 「忙しいんだからしょうがないってば……!」
店外の駐車場を引っ張られ歩かされる妹者。
それに構わず店内へと叫ぶ姿を、青いツナギのおっさんには怪訝な目で見られ、3人の女子中学生には笑われた。
(#゚;;-゚) 「ほら、肉まんあるから」
l从#・∀・ノ!リ人「……」
- 80: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/19(水) 01:22:51.97 ID:9fEGC5EbO
差し出された、うっすらと息を吐く白い固まり。
でぃは妹者の為に買ったようなものなので、最初から渡すつもりだった。
だが本人の方は最初から、2人で食べる予定でいたらしい。
結局首を横に振るだけで、意地っぱりな妹者が肉まんを受け取る事はなかった。
(#゚;;-゚) 「じゃあ私食べるけど……」
l从ー∀ーノ!リ人「好きにするのじゃ」
(#゚;;-゚) 「……んじゃ、いただきます」
歩きながら、でぃは両手に持つ肉まんに噛りつく。
まだ熱々だったそれに火傷をしかけ、寒さで凍った舌の神経は上手く味を伝えない。
が、妹者には、それがどんな物よりも美味しそうに見えた。
l从・д・ノ!リ人「……」
その証拠と言わんばかりに、涎がボタボタとアスファルトに落ちていた。
(;#゚;;-゚) 「……」
早いとこ滝を止めなければ、脱水症状でも起こしかねない。
幸い止める術ならば、両手に持ち合わせている。
- 82: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/19(水) 01:24:18.69 ID:9fEGC5EbO
(#゚;;-゚) 「あちち……」
でぃは軽く歯形の付いた肉まんを半分に割り、まだ手を付けてない方を妹者へと差し出した。
(#゚;;-゚) 「はい」
l从*・∀・ノ!リ人「べっ、別に妹者は食べたくなんかないんじゃからねッ!
でぃがどうしてもって言うから、特別に貰ってあげるのじゃからッ!」
(#゚;;-゚) 「どうしても、とは言ってない」
黒手袋のお陰か、紙など無しに妹者は肉まんを受け取った。
……が。
l从・∀・ノ!リ人「そっちのがおっきいのじゃ……」
(#゚;;-゚) 「……欲張りなんだから」
意図してサイズを変えたわけじゃない。食べた方は嫌かなーという、でぃの配慮だ。
しかし本当の配慮は、少しでも大きい方をあげる事。
また一つ、でぃは妹者を知った。
(#゚;;-゚) 「はい。落とさないでよ?」
- 84: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/19(水) 01:25:31.15 ID:9fEGC5EbO
l从・∀・ノ!リ人「おぉ! でぃ、愛してるのじゃッ!」
(;#゚;;-゚) 「ッ……はいはい……」
外方を向き、でぃは止まっていた足を動かし始めた。
妹者はそれを追うが、さっきのリアクションが気に食わなかったのだろう、拗ねたように唇を尖らせている。
l从・∀・ノ!リ人「妹者は本気なのじゃー!」
(#゚;;-゚) 「うん、よかったねぇ……」
興味なさげに呟いた。
視線は、自分を覗き込む妹者には決して合わせない。
どこかわざとらしさもあるその行為が、でぃの照れ隠しなんだ、と妹者が気付く事は……おそらく無いだろう。
l从・∀・ノ!リ人「むぅ……本気なのにぃ……」
(# ;;- ) 「……」
ふ、とピンク掛かった頬をしたでぃが、空を見上げた。
その小さな鼻にポツリと当たる、一つの冷たい白い粒。
(#゚;;-゚) 「……雪」
- 86: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/19(水) 01:26:52.16 ID:9fEGC5EbO
l从*・∀・ノ!リ人「うぇッ!?」
嬉しそうに妹者も空を見て、確かに振ってくる、白い雪の欠片を見つけた。
l从*・∀・ノ!リ人「おぉ……雪なのじゃあ……」
(#゚;;-゚) 「……綺麗だね」
気付けば足を止め、2人して僅かに雪を降らす空を見つめていた。
と突然、でぃがブルッと一つ身体を震わせた。
妹者はそれを横目で見ると、自分の黒いマフラーを解きだす。
l从・∀・ノ!リ人「雪が積もったらー。雪だるま作ってー……
ソリに乗ってー、雪合戦してー……」
(#゚;;-゚) 「遊びっぱなしだね、妹者は……」
上を見ながら言ったでぃ。
その首に、暖かい何かが触れた。
l从・∀・ノ!リ人「でぃも、一緒に遊ぶのじゃ」
隣を見ると、妹者の顔。
一本にされたマフラーが、自分と妹者を繋いでいた。
- 88: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/19(水) 01:29:45.58 ID:9fEGC5EbO
( *゚;;-゚) 「う……うん」
頬を更に紅く染めて、でぃは俯き小さく言う。
妹者は満足気に笑うと、少し冷たくなった肉まんを頬張りながら、また歩きだす。
でぃも足並みを揃えて、真似するように同じ味を口にした。
- 89: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/19(水) 01:30:28.05 ID:9fEGC5EbO
「あ、あとアレ! アレ……なんなのじゃ?」
「いや……私に聞かれても」
「あの……家みたいな……」
「かまくら?」
「そう! それ造って、中でミカン食べるのじゃ!」
「あれ中は暖かいって言うけど……どうなんだろうね」
「それは風を防いでくれるからなのじゃ。
人間は温度が低い時の他にも、冷たい風が当たる時も寒いと感じるのじゃ」
「ッ!?」
「それと中での熱も逃がさず、更に反射する事で、
空気をより暖かくできるのじゃ」
「す……すごいね」
「常識なのじゃ〜!」
「……雪、積もるといいな」
- 91: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/19(水) 01:32:28.37 ID:9fEGC5EbO
新聞部 完!!
今日は以上となっております。
投下ってこんな体力使ったかしら……
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