ξ゚听)ξツンと星空と海風のようです

360: ◆DyhKUHe1jM :2007/10/31(水) 11:00:07.77 ID:GMYVJWfZ0
―6月17日(土曜日)―

―時刻・AM7:59―

( つω`)「もう、朝かお? 」

今日は休日。しぃとどこかに出かける約束もしていない。
本来なら昼過ぎまで寝ているような条件だったが、珍しくブーンは目を擦りながら、上体を起こす。

( ´ω`)「……結局、眠れなかったお」

大きく伸びをしながらポツリと呟く。



『ホントは二人とも傷つけないのが一番なんだと思うお。……でも、すでに傷つけた以上そんな事は出来ないお。
 だから二人のうちどちらかを選ぶなら、しぃを傷つけないことを選ぶお。その上で、ツンを傷つけた責任を取るお』

『……責任って?』

『……まぁ、顔の形が変わるまで殴られる事にするお』



ブーンは昨日のしぃとの会話を思い出し、ため息を吐く。

( ´ω`)「とは、言ったもののどうすればいいお」

しぃの手前、カッコつけたまではよかったが、具体的に何をしたらいいのか分からずにいた。



366: ◆DyhKUHe1jM :2007/10/31(水) 11:01:51.18 ID:GMYVJWfZ0
( ´ω`)(このままじゃ、僕だけじゃなくてしぃとツンも気まずいままだお)

なんとか彼氏としてしぃの力になってあげたい。そんな気持ちで一杯だった。

( ´ω`)(僕はともかく、しぃとツンの間だけでも取り持てないものかお)

二人の問題の原因がブーンである以上、ブーン抜きにして解決はありえない。
そんなこと、当たり前なのだが、ただでさえ物事を深く考えない性格のブーンが
寝不足の頭考えても、そこまで考えが及ぶはずもなく、ただ頭を抱えていた。

( ´ω`)(顔の形が変わるまで殴られて、全てが解決するならそうしてもらいたいぐらいだお)

元より物事を考えるのが嫌いなブーンにしてみれば、そこに考えが到着するのに時間はさほど掛からなかった。

( ´ω`)「僕はどうしたらいいお。誰か教えて欲しいお」

そう口にしたところで机の上に置かれた携帯が着信を知らせる。

( ´ω`)「こんな時間に一体誰だお? 」

ブーンがなんとなく壁に掛かった時計を見ると丁度AM9:00を指している。
ブーンにしてみれば10分くらいのつもりだったが、いつの間にか起きてから1時間近くも悩んでいたらしい。

( ´ω`)「……こんな時間って言うほど早い時間でも無かったお」

起きてから1時間もウジウジと悩んでいた自分の情けなさにため息を吐きながら、
ブーンは発信者も確認せずに通話ボタンを押す。

( ´ω`)「……もすもす。誰だお? 」



369: ◆DyhKUHe1jM :2007/10/31(水) 11:03:14.20 ID:GMYVJWfZ0
覇気の無い調子で話すブーンの耳に、鼓膜を破らんばかりの大声が突き刺さる。

ξ#゚听)ξ「いつまで寝とるかーーーー!! このボケナスーー!!! 」

( ☆ω<)「耳がーーー! 耳がいてぇお! 」

ブーンは反射的に携帯を耳から離す。

ξ#゚听)ξ「うるさい!! 休みだからっていつまでも寝てるアンタが悪い!! 」

(;^ω^)「ツ、ツン! 一体どうしたんだお? 」

携帯越しにいつも通り……本当にいつも通り怒鳴りつけるツンに、ブーンは面食らいながら聞き返す。

ξ゚听)ξ「アンタ、今日暇でしょ? 」

(;^ω^)「暇だお? それがどうしたんだお? 」

ξ゚听)ξ「なら、勉強道具一式持って市立図書館に来なさい」

(;^ω^)「へ? なんでだお? 」

ツンの言葉の意味が分からずブーンは間抜けな声で聞き返す。

ξ#゚听)ξ「図書館で勉強する以外に何があんのよ?! アンタは図書館でプロレスでもする気?! 」

(;^ω^)「勉強? なんでだお? 」

ξ#゚听)ξ「アンタが、一昨日『4人で勉強するお』って言ってたんじゃない! 」



371: ◆DyhKUHe1jM :2007/10/31(水) 11:05:14.98 ID:GMYVJWfZ0
(;^ω^)「あ、あれは、言葉のアヤってやつだお」

ξ#゚听)ξ「そんな余裕がアンタにあるの? こないだの中間、平均点と順位いくつだっけ? 」

ブーンの言葉にツンの声はヒートアップしていく。

(;^ω^)「……えっと、平均57くらいで342人中169番だお」

ξ#゚听)ξ「ちなみに私は平均86の18番よ。……しぃはいくつだっけ? 」

ツンがそういうと電話口の向こうから声が聞こえる。

『えっと、平均88だったかな? 11番だったよ』

(;^ω^)「ちょ、しぃも一緒にいるのかお? 」

ξ゚听)ξ「いるわよ。昨日うちに泊まったんだから……しぃ、ドクオのは覚えてる? 」

『確か平均80くらいだっけ? 順位は……覚えてないなぁ』

(;^ω^)(しぃが泊まった? 一体何があったんだお? )

ツンとしぃの会話をよそにブーンがそんな事を考えてると、
その思考を停止するようにツンの怒鳴り声が耳に届く。

ξ#゚听)ξ「ちょっと! 聞いてるの!! 」

(;^ω^)「き、聞いてるお! それがどうしたんだお?! 」

ξ#゚听)ξ「ここまで聞いて分からないの? このままだとアンタだけ別の大学になるわよ? 」



375: ◆DyhKUHe1jM :2007/10/31(水) 11:06:42.92 ID:GMYVJWfZ0
(;^ω^)「へ? 大学受験なんて来年の話だお? 」

ブーンの呑気な言葉が、ツンの逆鱗に触れた。

ξ#゚听)ξ「こんのドアホ! 来年から始めて間に合うか!! 」

( ☆ω<)「ギャーーース!! 耳がイカレるお!! 」

ξ#゚听)ξ「イカレてるのは、アンタの頭よ!! この、腐れピーマン!! 」

(;^ω^)「……とても、女の子の言う言葉じゃ無いお」

ξ#゚听)ξ「やかましい! そんな事言うと、しぃの身の安全は保障しないわよ! 」

『ツンちゃん、なんで私なの! 』

ξ゚ー゚)ξ「だって、ブーンいじめても面白くないもん。しぃの方がいじめがいがあるじゃない? 」

『「あるじゃない? 」じゃないよ! ……って、ちょっと! ツンちゃん何処触ってるの! 』

ξ゚ー゚)ξ「……ブーンも聞いてるのに言っていいの? 」

『あっ! やっ! 言っちゃダメ!! 』

(;^ω^)(一体何してるんだお? )

電話越しに聞こえる二人のやり取りにブーンが胸を躍らせていると、ツンのドスの効いた声が届く。

ξ#゚听)ξ「……アンタ、聞き耳立てるのはいいけど、ハァハァするの止めなさいよ。正直、キモイ」



378: ◆DyhKUHe1jM :2007/10/31(水) 11:08:36.49 ID:GMYVJWfZ0
(;^ω^)「き、聞こえてたのかお?! 」

ξ#゚听)ξ「あれだけ、あからさまにハァハァ言ってたら分かるわよ」

『……ブーン最低』

ツンの言葉からブーンの様子に気付いたらしい、しぃの声が小さくブーンの耳に届く。

( ;ω;)「……なんか、朝から人として大事なものを失ってしまった気分だお」

ξ゚听)ξ「じゃ、そういうわけだから。11:00に図書館の前に集合ね」

傷心のブーンを無視して、ツンは一方的に用件を伝えると電話を切る。

ブーンの耳には、プーップーッっという回線の切断された音だけが響いていた。

(;^ω^)「……それにしても、ツンとしぃの間に何があったんだお? 」

携帯の通話終了ボタンを押し、机の上に置くとブーンは首を傾げる。

電話越しに聞こえた二人の会話は明らかに、ブーンとしぃが付き合う前の頃のようだった。

(;^ω^)「と、とりあえず悩んでも仕方ないお」

ブーンはそういって思考を停止すると身支度を整え始めた。



382: ◆DyhKUHe1jM :2007/10/31(水) 11:10:07.46 ID:GMYVJWfZ0
―時刻・AM10:47―

ブオンッと一度だけエンジンをふかすとキーを回してエンジンを切る。
そのままハンドルロックをかけ、ドクオはヘルメットを脱いだ。

('A`)「あっちーな。梅雨明けしてねーのに、こんなに晴れて今年の夏は大丈夫か? 」

昨日とはうって変わって、暑いくらいの陽気の中、柄にもなく水不足の心配をしつつ
ドクオは一人ボヤくと、ヘルメットを横に引っ掛け駐輪所を後にする。
図書館の入り口にドクオが目を向けると、そこには先客が二人。

ξ゚听)ξ「ドクオ、バイクで来るなんて珍しいじゃない」

('A`)「急に呼び出すからだろ。歩いたら確実に間に合わん」

(*゚ー゚)「ドックン、バイクなんて持ってたんだ」

しぃの問いかけにドクオは少しだけ考えて、思い出したように口を開く。

('A`)「ん? ……あー、そうか。ツンしか知らなかったんだっけか」

(*゚ー゚)「ツンちゃんは知ってたんだ? 」

ξ゚听)ξ「ちょっと前に、たまたま会ってね」

(*゚ー゚)「へー。そうなんだ」

ξ゚听)ξ「あの時は、びっくりしたわよ。もう暗くなってる時間に後ろから来たと思ったら、
       いきなり隣に停まってこっちジーッと見てるんだもの。どこの変質者かと思ったわよ」



385: ◆DyhKUHe1jM :2007/10/31(水) 11:12:08.53 ID:GMYVJWfZ0
(*゚ー゚)「……変質者って。その前に知り合いかな? とか思わない? 」

ξ゚听)ξ「だって、フルフェイスのヘルメットじゃ顔が分からないじゃない。
      そんなのが黙ってこっち見てたら、怖いわよ。」

ドクオをそっちのけにして二人の会話は弾む。

ドクオは近くの自販機で缶コーヒーを買うと、その様子をコーヒーを飲みながら黙って聞いていた。

('A`)(……俺の知らないところでこの二人に何かあったのかね? )

昨日、ツンがブーンを呼び出したのが告白の為であったことは、ドクオも分かっていた。

その後、ブーンの顔を見たらおそらく冷静ではいられないと思ったドクオは先に帰宅することを選んだ。

元々、ブーンとしぃとツンの三人の問題であって
自分が口出すべきではない問題だと考えていたドクオにしてみれば、当然の選択だった。

('A`)(……まぁ、何があったかは分からんが、いい方向に向かってるのはいいこった)



388: ◆DyhKUHe1jM :2007/10/31(水) 11:13:39.48 ID:GMYVJWfZ0
ドクオがそんな事を考えていると、ツンがそんなドクオに不審な目を向ける。

ξ゚听)ξ「アンタ、何悟ったような顔してこっち見てんのよ」

('A`)「別に、お前ら仲いいなと思っただけだよ」

ドクオが馬鹿ばかしいと言わんばかりに口をゆがめて笑うと、ツンは更に食って掛かる。

ξ*゚听)ξ「当たり前じゃない。私としぃは友達だもん。何? うらやましいの? 」

そういってツンはしぃに抱きつく。

(*゚ー゚)「もー、ツンちゃん。暑いよー」

ξ*゚听)ξ「気にしない。気にしない」

(*゚ー゚)「気になります。……あれ? ドックンどうしたの? 」

しぃは仲睦まじい二人の様子を黙ってみているドクオに問いかける。

('A`)「いや、見事に百合の花が咲いとるなと思ってな」

そういってドクオはニヤニヤと意地の悪い笑みを浮かべる。



392: ◆DyhKUHe1jM :2007/10/31(水) 11:16:33.07 ID:GMYVJWfZ0
ξ*゚听)ξ「……百合? 何それ」

('A`)「レズ」

(;////)「そんなんじゃないよ!! 」

ドクオのストレートな表現にしぃは顔を真っ赤にして否定する。

('A`)「冗談なんだからそんなにムキにならなくても」

(;////)「冗談でも言っていい事と悪い事があるよ! 」

ξ*゚听)ξ「あら? しぃが相手なら私はいいわよ? 」

(;////)「こら! ツンちゃんも調子に乗らないの! 」

('A`)(まぁ、この様子ならツンがいなくなるなんて心配はいらんかもな)

そんな事を考えながら缶コーヒーを飲み干すとゴミ箱に放り込むと、一つだけ忘れていたことを思い出す。

('A`)「そういえば、ブーンはまだ来てないのか? 」

ドクオがポケットから携帯を取り出し時間を確認するとPM11:09と示されていた。

ξ゚听)ξ「また、遅刻ね」

('A`)「そのようだな」

(*゚ー゚)「……こればっかりは、どうにもならないね」



394: ◆DyhKUHe1jM :2007/10/31(水) 11:18:10.60 ID:GMYVJWfZ0
三人が顔を見合わせてため息をつくと、
まるでそれを見計らっていたかのように疾走する人影が近づいてくる。

⊂ニニ(;`ω´)二⊃「ブーーーーーン!!!!!!! 」

もの凄い形相でブーンが走ってくる。

(;^ω^)「三人ともおはy……」

ξ#゚听)ξ「ドルァ!! 」

先鋒はツン。
稲妻のような右ストレートが顔面に炸裂する。

(;゚ω(♯)「ブゴォ」

('A`#)「もういっちょ!! 」

中堅はドクオ。
ツンのストレートが炸裂する前にブーンの後ろに回りこみ、
吹っ飛んできたブーンの背中にカウンターの前蹴りをぶち込む。

(;゚ω(♯)「げふぉ」

背中に受けた衝撃によりブーンの呼吸は一瞬止まり、
その場に膝から崩れると思いっきり咳き込む。

(;゚ω(♯)「ちょ、普段より手荒いお」



399: ◆DyhKUHe1jM :2007/10/31(水) 11:19:44.30 ID:GMYVJWfZ0
('A`)「ちょっと早いが夏の増量キャンペーンだ」

ξ゚听)ξ「さて。まだ、あと一発残ってるわよ」

そういったツンの後ろに大将・しぃが笑顔で立っている。

(*゚ー゚)「……ブーン、大丈夫? 立てる? 」

そういってしぃは手を差し伸べる。

( ;ω(♯)「おっおっおっ。やっぱりしぃは優しいお」

ブーンはしぃの手を借りて立ち上がると、その様子を見ていたツンが冷たく言い放つ。

ξ゚听)ξ「……しぃ、やっちゃいなさい」

( ;ω(♯)「お? 」

(*゚ー゚)「……ごめんね。でも、ルールだからね」

そういうとしぃはツンに殴られたブーンの左頬を思いっきりつねる。

( Tω(♯>「おーーー!!!! いてぇおーーー!!! 」

てっきりいつもの様にデコピンで済ませてくれると思っていたブーンは、情け無い悲鳴を上げる。



402: ◆DyhKUHe1jM :2007/10/31(水) 11:21:12.49 ID:GMYVJWfZ0
ξ゚听)ξ「アンタがいつまでも、しぃに甘えてるからよ」

('A`)「まぁ、おおむね正論だわな」

( ;ω(♯)「……とうとう、しぃまでこんな事するようになったのかお」

ブーンが落ち込んでいると、しぃはぼんやりとその様子を眺めていた。

ξ゚听)ξ「……しぃ? どうかした? 」

それに気付いたツンがしぃに問いかける。

(;゚ー゚)「……ツンちゃん、どうしよう」

ξ゚听)ξ「何が? 」

(*゚ー゚)「……ちょっと、快感かも」

( ;ω(♯)「ちょ! もしかしてこれ死亡フラグかお? 」

ξ゚听)ξ「アンタが遅刻しなきゃいいだけの話でしょうが」

三人がそんなやり取りをしているとドクオがあきれたように口を挟む。

('A`)「早く、入ろうぜ。暑くてかなわん」

そういい捨てて先に入っていくドクオを、三人は慌てて追いかけ図書館に入っていった。



407: ◆DyhKUHe1jM :2007/10/31(水) 11:23:26.58 ID:GMYVJWfZ0
―PM6:01―

それから途中休憩を挟みながら6時間強に及ぶ勉強。
といっても、その大半はブーンに三人掛かりで勉強を教えることに費やされていたが。

ドクオがキレて、ブーンが逆切れして、ツンが殴って、しぃがなだめる。
そんな事を繰り返しているうちにあっという間に6時間が過ぎていた。

( ´ω`)「もう、英文も数式も一ヶ月は見たく無いお」

自習室の机に突っ伏してブーンが情けない声を上げる。

ξ゚听)ξ「アンタ、何言ってるのよ。私なら2時間くらいで済ませる量よ。コレ」

ツンはあきれた様にため息を吐く。

('A`)「オメーがすぐ『わかんねーお』とか言ってキレるからだろーが。この頭は飾りか? 」

ドクオはブーンの頭をコンコンと叩く。

( ´ω`)「頭なんか飾りですお。偉い人にはそれが分からんのですお」

('A`)「ジオ○グの頭は飾りじゃねーだろ」

机に突っ伏したままのブーンの頭をドクオが一回だけひっぱたくと、ペシンと小気味の良い音がした。

( ´ω`)「もう、大学なんてどこでもいいお。入れるところを探すお」

ξ゚听)ξ「あると思ってるの? この成績じゃ入れるとこないわよ」



408: ◆DyhKUHe1jM :2007/10/31(水) 11:24:44.26 ID:GMYVJWfZ0
ブーンの言葉にツンはあきれながらオーバーに危機感を煽って答える。

( ´ω`)「じゃあ、専門学校行くか就職するお」

(*゚ー゚)「もー。そんな投げやりにならないで4人で同じとこ行こうよ」

ブーンがさらにいじけたのを見てしぃが笑顔で励ます。

( ^ω^)「そういえば、みんな大学どこにいくつもりなんだお? 」

しぃの励ましで少しだけ気分を持ち直したブーンが3人に聞く。

ξ゚听)ξ「三人とも地元の美府大志望よ? ……しぃは正直もったいないと思うけどな」

(*゚ー゚)「まぁ、しょうがないよ。うちはパパが一人暮らし反対してるし。
     地元から通えるところなんて美府大しか無いじゃない?何時間もかけて学校行くのは嫌だし。
     私は教育学部さえあればどこでもいいもん。ツンちゃんはなんで美府大にしたの? 」

ξ゚听)ξ「私は成績で無理しないでいける所って考えたら、美府大だっただけよ。
      美府大ならそれなりに見栄えするし、高校生活が受験勉強だけってのは寂しいじゃない」

(*゚ー゚)「ツンちゃんこそ、もったいないよ」

ξ゚听)ξ「そうかな? 」

しぃの指摘にツンが首を傾げると、ドクオが会話に割って入る。

('A`)「二人とも贅沢だよな。俺なんか自分のいける一番いいところで考えて美府大なのによ。
    下手すりゃ、来年には進路変更しなきゃいけないかもしれんのに」



409: ◆DyhKUHe1jM :2007/10/31(水) 11:26:24.01 ID:GMYVJWfZ0
ξ゚听)ξ「アンタなら大丈夫でしょ? 最近、成績伸びてるみたいだし」

('A`)「一応、クー姉に教えてもらいながら勉強してるからな。
    これで成績上がらんかったらクー姉に何されるか分からん」

( ^ω^)「みんな、ちゃんと考えてたのかお? 」

三人のやり取りを黙って聞いていたブーンがそんな事を呟く。

ξ゚听)ξ「当たり前でしょ」

( ^ω^)「当たり前なのかお? 」

呑気にそんな事を言うブーンを見てドクオがため息を吐く。

('A`)「……しぃ、苦労するな」

(*゚ー゚)「……うん」

ドクオの同情を受けてしぃもため息を吐く。

(;^ω^)「ちょ、それどういう意味だお」

('A`)「言葉通りだが」

(;^ω^)「そ、そんな事無いお。これから勉強頑張るお。僕はやれば出来る子なんだお」



412: ◆DyhKUHe1jM :2007/10/31(水) 11:28:25.79 ID:GMYVJWfZ0
そのブーンの言葉に三人が反応する。

('A`)「言ったな? 」

ξ゚听)ξ「しぃも聞いたわね? 」

(*゚ー゚)「もちろん」

(;^ω^)(お? この展開はまずくないかお? )

嫌な予感は大体当たる物であり、その法則に従うようにブーンの予感が的中した。

('A`)「じゃあ、月曜から毎日放課後、勉強会だな」

(*゚ー゚)「そうだね。それくらいしないとボーダーライン越えそうもないしね」

ξ゚听)ξ「三人で勉強見てあげるから感謝しなさい」

Σ(;^ω^)(しまったお! これは孔明の罠だお! )

ブーンがそう思った時には既に術中に嵌っていた。

ξ#゚ -゚)ξ「返事は? 」

この状態になったツンに逆らう術など、持ち合わせていないブーンは頷くしかなった。

( ´ω`)「わかりましたお」

ブーンが頷いたところで今日の勉強会はお開きとなった。



414: ◆DyhKUHe1jM :2007/10/31(水) 11:29:45.07 ID:GMYVJWfZ0
―PM6:32―

四人が図書館を出ると日が暮れ始めていた。

(*゚ー゚)「もう、暗くなってきてるね」

( ^ω^)「じゃあ、しぃ。僕がおくtt…」

ブーンが言いかけたところで、ツンがそれを遮るように声を上げる。

ξ゚听)ξ「ブーン、たまには送ってよ。近所なんだし、いいでしょ? 」

(;^ω^)「えっと、僕はしぃを……」

(*゚ー゚)「ブーン、送ってあげて」

再びブーンが口を開いたのを遮ったのはしぃだった。

(;^ω^)「で、でも……」

(*゚ー゚)「いいから。ね? 」

(;^ω^)「……わかったお。しぃがそう言うならツンを送っていくお」

珍しく、折れないしぃに押し切られブーンはそれを承諾した。



415: ◆DyhKUHe1jM :2007/10/31(水) 11:31:11.68 ID:GMYVJWfZ0
ξ゚听)ξ「じゃ、ドクオ、しぃ。また月曜ね」

そういってブーンとツンは帰路についた。

そしてそれを見送るしぃとドクオだけが残された。

('A`)「おまえら、昨日何があったんだ? 」

ツンとブーンの姿が見えなくなった頃、ドクオがポツリと呟く。

(;゚ー゚)「なんのことかなぁ? 」

('A`)「とぼけなくていい。お前とツンの間に何かあったことくらい分かる」

(;゚ー゚)「はぁ、やっぱりドックン鋭いねー」

しぃはドクオの口調から誤魔化すことが出来ないことを悟るとため息を吐く。

('A`)「どう考えても、今回は俺が鋭いかどうかは関係ないだろ。ブーンだって多分気付いてるぞ」

Σ(;゚ー゚)「うそ?! 」

('A`)「最近、しぃとブーンを避けるようにしていたツンの態度が、急にお前らが付き合う前より仲良くなってる。
   昨日、ツンがブーンに告白しているにも関わらずだ」

(;゚ー゚)「ドックン、なんでツンちゃんがブーンに告白したの知ってるの? 」

('A`)「ん? だって、ツンを焚きつけたの俺だし」

ドクオは「まさか、次の日に行動するとは思わなかったけどな」と付け加えると少しだけ口元が緩む。



419: ◆DyhKUHe1jM :2007/10/31(水) 11:32:52.40 ID:GMYVJWfZ0
('A`)「……しぃ、お前のお陰だ」

(;゚ー゚)「な、なにが? 」

ドクオの言った言葉の意味が分からずしぃは首を傾げる。

('A`)「正直なこというと、ツンを焚きつけたことを後悔してたんだ。……余計なことをしたかも知れないって」

(;゚ー゚)「……」

ドクオが沈痛な面持ちで話すのをしぃは黙って聞いていた。

('A`)「昨日、ホントは怖かった。ツンが俺のせいであんな行動に出て、
    お前らが別れるようなことになったらって考えたら、俺は余計なことしたんじゃねぇかってな」

(*゚ー゚)「……」

('A`)「……でも、そんな事にはならなかった。お前らの間に何があったのかは分からんけど、
   多分、二人の間に挟まれたしぃが頑張ったお陰だと思う」

そういってドクオはしぃに向き直るとうっすらと微笑む。

('∀`)「……だから、ありがとう」

(*゚ー゚)「……」

ドクオの言葉を聞いたしぃは黙ってドクオを見つめる。

('A`)「どうかしたのか? 」



422: ◆DyhKUHe1jM :2007/10/31(水) 11:35:49.23 ID:GMYVJWfZ0
(*゚ー゚)「……ドックンってそんな風に笑えたんだね。
     いつも、口の端を吊り上げて『ヘッ』って意地悪そうに笑うのに」

リアクションの無いしぃにドクオが声を掛けると、しぃからどこか的の外れた答えが返ってきた。

('A`)「悪かったな。邪悪な顔してて」

(;゚ー゚)「ご、ゴメン。そんなつもりじゃなくて……」

('A`)「心配すんな。気にしてねぇよ」

ドクオはそういって、2、3歩前に出ると大きく伸びをする。

('A`)「さて、帰るか。送ってくぜ? 」

ドクオは振り返ってしぃの方へ視線を向けるとポケットからキーを取り出し、
キーホルダーのリングに指を通すとクルッと回す。ドクオの手の中でキーがチャリと音を奏でた。

(*゚ー゚)「うん」

しぃがそう返事をすると同時に『く〜』と音が聞こえた。

(*////)「あっ! 」

みるみるうちにしぃの顔が赤くなる。

('A`)「そういや、昼飯食って無かったな。何か食ってく? 」

(*////)「え? あ? うん」



424: ◆DyhKUHe1jM :2007/10/31(水) 11:37:46.83 ID:GMYVJWfZ0
―時刻・PM6:51―

ξ゚听)ξ「……」

(;^ω^)(会話がねーお)

市立図書館を後にした二人は無言で歩く。
普段よりゆったりとした歩調ではあったが、市立図書館から20分。
いつも待ち合わせているコンビニが前方に見えてきていた。

(;^ω^)(……大体、普段は『送って』なんて言わないのに、今日に限って一体なんなんだお? )

ブーンは隣を歩くツンの表情を盗み見る。

ξ゚听)ξ「……」

隣には普段通りのツンが黙って歩いている。

(;^ω^)(一体しぃとの間に何があったんだお? )

昨日の今日でツンの態度が一変したことに疑問を持ったブーンは
先ほどからそんな事ばかり考えていた。

しぃと付き合ってから約一ヶ月。
どことなく距離を置いているような態度を取っていたツン。

それも、昨日の告白のお陰で意味が分かった。

その時は自分の鈍さに絶望した。
これからツンとどう接するべきか悩んでいた。



429: ◆DyhKUHe1jM :2007/10/31(水) 11:39:41.58 ID:GMYVJWfZ0
そんな矢先にツンは本当にいつも通りに接してきてくれた。

(;^ω^)(ツンは何を考えてるんだお? )

その言葉を口にすれば謎は解ける。
人の心を理解したければ、話すしかない。それでも、ブーンは聞けずにいた。

そんな事を考えているうちにいつものコンビニを通り過ぎ、十字路に出る。

(;^ω^)(ここはツンを家まで送るべきなのかお? )

ツンの家に行くには横断歩道を渡って右に、ここで別れるなら直進。
この選択はブーンにとってまるで人生の岐路に立たされた気分だった。

(;^ω^)(……ど、どうするべきなのかお? )

そんな、ブーンに救いの声のようにツンが口を開く。

ξ゚听)ξ「……ねぇ。ブーン? 」

(;^ω^)「な、なんだお? 」

横断歩道を渡りきった所でツンが立ち止まったので、ブーンもそれに合わせて立ち止まる。
ブーンがツンの方へ視線を向けるとツンは黙ってブーンを見つめていた。

ξ゚听)ξ「……ブーン。目を閉じて」

ツンにしては珍しく、聞き取りづらいくらい小さな声で呟く。

(;^ω^)「わかったお」



430: ◆DyhKUHe1jM :2007/10/31(水) 11:40:51.13 ID:GMYVJWfZ0
ツンの艶っぽい声にドキドキしながらも、ブーンは言われた通りに目を閉じる。

ξ#゚听)ξ「だっしゃらぁぁぁぁーーー!!! 」

その瞬間、左頬が熱くなった。

(;゚ω(#)「プルォ!! 」

ツンお得意の右フック。

ブーンがそう認識できたのは、その衝撃に驚いて目を開けた視線の先に、
拳を振りぬいたツンの姿を確認できたからであった。

(;^ω(#)「もの凄く、痛いお」

ξ#゚听)ξ「あったり前でしょ! 本気で殴ったんだから! 」

(;^ω(#)(という事は、普段はあれでも手加減してたのかお? )

そんな考えが脳裏によぎったブーンだったが、
その前に確認しなければいけない事があることを思い出す。

(;^ω(#)「いきなり、なにするんだお!! 」



433: ◆DyhKUHe1jM :2007/10/31(水) 11:42:17.67 ID:GMYVJWfZ0
よく考えてみれば、今日遅刻した分の罰は既に受けている。
つまり、今殴られる理由が無い。

ξ#゚听)ξ「しぃに聞いたわよ。……アンタ、私を傷つけた責任取る為に
       顔の形が変わるまで殴らせてくれるんでしょ? 」

Σ(;^ω(#)(あ、アレの事かお!! )

ξ#゚ー゚)ξ「そういう事は早く言いなさいよ。いくらでも殴ってあげるから」

ツンは目元の笑ってない笑顔で、指の間接をパキパキと鳴らす。

ξ#゚ー゚)ξ「何回も殴ると私が疲れるから、後一発で済ませてあげるわ。目を閉じて懺悔なさい」

(;^ω(#)(仕方ないお。これで僕の罪が許されるなら安いもんだお)

(;^ω(#)「お手柔らかに頼むお」

そういってブーンは目をきつく閉じ歯を食いしばる。

ξ#゚听)ξ「いい覚悟ね。いくわよ」

(;>ω(#)「……っ!! 」

ブーンが覚悟を決めて、おそらく一発目と寸分たがわぬ位置に来るであろう衝撃に備える。






437: ◆DyhKUHe1jM :2007/10/31(水) 11:43:50.56 ID:GMYVJWfZ0
……だがその覚悟は空振りに終わる。

ぺチンという音と共に額に何かが当たる感触。

(;^ω(#)「……お? 」

ブーンが恐る恐る目をあけると、目の前にはツンの右の手のひらが見えた。

ξ゚听)ξ「……なに、マヌケな顔してるのよ」

(;^ω(#)「……えー、終わりですかお? 」

ξ゚听)ξ「それで、勘弁してあげるわよ。
       ただでさえ肉マンみたいな顔してるのに、ホントに顔の形変わったらしぃが困るでしょ?
       べ、別にアンタのこと心配してる訳じゃないんだから」

( ^ω^)「……ツン、ゴメンお」

ブーンは静かにそういうと頭を下げる。

ξ;゚听)ξ「ちょ、ちょっと! ブーン何言い出すのよ」

( ^ω^)「僕が空気読めないせいで、ツンには酷いことをしたお。
      でも、僕はツンの気持ちに応えてあげられないお」

ブーンはツンの言葉に耳を貸さず言葉を続ける。

( ^ω^)「本当にゴメンお。ツンの気持ちは嬉しかったお。だから、僕も正直に答えをだすお」

ξ;゚听)ξ「……」



439: ◆DyhKUHe1jM :2007/10/31(水) 11:45:19.12 ID:GMYVJWfZ0
ツンを正面から見据えたブーンは一回だけ大きく深呼吸をすると、迷いの無い表情で言葉を紡ぐ。

その、表情は幼馴染のツンでさえ、今まで見たこともないくらい真剣な表情だった。

( ^ω^)「ツンの事、好きだお。だけどそれは友達としての感情であって、異性としてじゃないお。
      僕が今異性として一番好きなのはしぃだお。だから、ツンの気持ちに応えられないお」

ブーンの言葉にツンは顔を伏せる。

ξ 凵@)ξ「……ばか。いまさらそんな事、言わなくても分かってるわよ」

( ^ω^)「……それでも、僕には言わなきゃいけない義務があるんだお。
      女の子の気持ちにはちゃんと答えを出すのは男の責任だお。
      告白されたら、きちんと答えを出すのが男として最低限の礼儀だと思うお」

ξ 凵@)ξ「……振る方だって辛いのに? 」

( ^ω^)「こんなの、ツンの辛さに比べたら小さいもんだお」

ξ 凵@)ξ「……ばか。アンタ本当にばかだわ」

( ^ω^)「……分かってるからそんなに連呼しないで欲しいお」

その言葉を聞いたツンが顔を上げる。



442: ◆DyhKUHe1jM :2007/10/31(水) 11:46:59.00 ID:GMYVJWfZ0
ξ;凵G)ξ「分かってないわよ。ここで泣いたら台無しだから、必死で堪えてたのに」

顔を上げたツンの瞳は涙で濡れていた。

ξ;凵G)ξ「……ホントに空気読めないんだから」

(;^ω^)「それは否定できんお」

ξつ凵G)ξ「……でも、ありがとう。私これで前に進める」

そういってツンは涙を拭う。

ξ゚听)ξ「ブーン。最後に一つだけ、私のワガママ聞いてくれる? 」

( ^ω^)「……何だお? 」

ブーンが承諾するとツンはブーンの真正面に立ち真っ直ぐにブーンを見つめる。
ツンの瞳にはブーンが、ブーンの瞳にはツンがそれぞれ映っていた。

そのまましばし無言の時が流れる。

日は完全に沈み辺りには夜の帳が下りている。
時折、交差点を通過する車のヘッドライトが二人を照らす。

まるで舞台に立つ主人公とヒロインを照らすスポットライトのように。






445: ◆DyhKUHe1jM :2007/10/31(水) 11:48:30.97 ID:GMYVJWfZ0
何台の車が過ぎたのか分からなくなった頃、ツンが口を開く。

ξ゚听)ξ「……ゴメン。やっぱりなんでもない」

( ^ω^)「……そうかお? 」

ξ゚听)ξ「うん。……じゃ、私帰るね」

自宅に向かって歩き出そうとするツンをブーンは慌てて呼び止める。

( ^ω^)「あっ、家まで送るお」

先ほどまでブーンにとって、人生の岐路に立たされているかのように思われた分かれ道が、
今はただの道に見えた。

そう思ったら自然に言葉が出た。

ξ゚听)ξ「こんな夜道、私みたいな美人が一人で歩いてたら危ないし、当然ね」

( ^ω^)「おっおっおっ、ツンが相手じゃ空腹の熊だってシャケ置いて命乞いするお」

ξ#゚听)ξ「んだと! ゴルァ!! 」

(;゚ω(#)「あうちっ! 」

恋人同士とは違う。だけど、少しだけ特別な関係。

そんな【いつも通りの幼馴染】で居続けることが出来ることを二人は嬉しく思っていた。



447: ◆DyhKUHe1jM :2007/10/31(水) 11:50:10.16 ID:GMYVJWfZ0
('A`)「ほい、おまちどうさん」

そういってドクオはテーブルにトレイを置き、しぃと向かい合わせに座る。

(*゚ー゚)「ありがとう。いくらだった? 」

そういってしぃは鞄から財布を取り出す。

('A`)「いーよ、それくらい俺が出すから」

(*゚ー゚)「そうはいかないよ。ちゃんと出すよ」

('A`)「いいから、いいから。俺からのお礼だと思ってくれや」

そういってドクオはコーヒーを一口飲む。

(*゚ー゚)「そう? じゃ、お言葉に甘えて」

おそらく、何を言っても受け取らないであろうドクオの性格をしぃも理解しているらしく、
おとなしく引き下がると財布をしまってポテトに手を伸ばす。

(*゚ー゚)「もう、お腹ペコペコだよー」

('A`)「全部、ブーンのバカタレのせいだな。こんな時間になるとは思わなかった」

(*゚ー゚)「ホント、そうだね」

二人はそういってひとしきり笑うと、ハンバーガーの包みに手を伸ばした。



449: ◆DyhKUHe1jM :2007/10/31(水) 11:52:12.62 ID:GMYVJWfZ0
しぃがすべて食べ終わり、ペーパーで口の周りを拭き終えたのを見計らうようにドクオが口を開いた。

('A`)「……しぃ、本当にありがとうな」

(*゚ー゚)「また、その話? 私はお礼言われるようなことなんかしてないよ」

そういって、オレンジジュースに手を伸ばすとストローに口を付け一口飲む。

(*゚ー゚)「私は、みんなと仲良く過ごしたいだけだよ? 」

そういって「えへへ」とはにかんだ笑顔を浮かべる。

('A`)「……その気持ちが、ブーンを罪悪感から救い、ツンの気持ちに整理を付けさせて
    ……そして、俺の行動の後始末までしてくれた。だからお礼を言わせてくれ」

(*゚ー゚)「んー、それは違うと思うよ。ドックン」

ドクオの言葉にしぃは顎に人差し指をつけ、少しだけ考えた後答える。

(*゚ー゚)「私は三人の中にいても、なんだか踏み込めない部分があって、そこに入りたいって思っただけ。
    そうしたら、ブーンもツンちゃんも、もちろんドックンも受け入れてくれた。それだけだよ? 」

しぃはニコニコと笑いながら言葉を続ける。

(*゚ー゚)「だからね、お礼を言わなきゃいけないのは私のほうなんだよ」

('A`)「……お人よし」

屈託のない笑顔を浮かべるしぃにドクオがポツリと呟く。



453: ◆DyhKUHe1jM :2007/10/31(水) 11:53:38.60 ID:GMYVJWfZ0
(*゚ー゚)「ひどいよ」

ドクオの皮肉にしぃは笑顔のまま非難の言葉を返す。

('A`)「悪かったな」

ドクオは特に悪びれた様子もなく、口を歪めて「へっ」と笑う。

(*゚ー゚)「また、そうやって笑うー。さっきみたいに自然に笑ったほうが可愛いのに」

('A`)「……しぃ、それツンやブーンに言ってみろ。大爆笑されるから」

可愛いなんて言われたのが照れくさかったのか、ドクオはそう返すとコーヒーを啜る。

(*゚ー゚)「そうやってまた捻くれた事を言うー。少しはブーンみたいに素直になればいいのに」

('ω`)「『おっおっおっ、しぃにそんな事言われたら僕照れちゃうお』……これでいいのか? 」

(*゚ー゚)「あははは、ドックン相変わらずブーンの真似うまいね」

ドクオお得意のブーンの物まねにしぃはコロコロと笑う。

しぃが一頻り笑った後、呼吸を整えると少し真面目な表情で口を開く。

(*゚ー゚)「あのね、ドックン。変なこと聞いてもいいかな? 」

('A`)「……変なこと? 」

しぃの口調が変わったの感じドクオも真面目に答える。



454: ◆DyhKUHe1jM :2007/10/31(水) 11:55:27.01 ID:GMYVJWfZ0
(*゚ー゚)「昨日『この後、ブーンの顔見たときに理性がぶっ飛ぶのが目に見えてるからな』って言ったよね? 」

('A`)「……そうだっけ? 」

ドクオはしぃから視線をはずすとコーヒーに手を伸ばす。

(*゚ー゚)「言ったよ。昨日の今日で忘れるわけないよね? 」

明らかに誤魔化す様な態度のドクオにしぃは詰めよった。

('A`)「さぁ? 覚えてねぇな」

(*゚ー゚)「……私、真面目に言ってるんだけど」

ドクオの、のらりくらりとした態度に、しぃは少しだけキツイ口調で更に問い詰める。

(*゚ー゚)「……ドックン、今から私がする質問に正直に答えて」

('A`)「……わかったよ」

しぃの態度にドクオが折れる。

('A`)(……あの控えめなしぃがここまで言うって事は、大体の察しはついてるんだろうな)

これ以上、誤魔化したところで埒が明かないと判断した結果であった。

(*゚ー゚)「単刀直入に聞くね。ドックンってツンちゃんの事が好きでしょ? 」

('A`)「……なんでそう思うんだ? 」



457: ◆DyhKUHe1jM :2007/10/31(水) 11:57:05.78 ID:GMYVJWfZ0
(*゚ー゚)「質問に質問で返さないでよ。……あれだけヒント出してもらったら分かるよ。普通」

('A`)「……しぃに気付かれるとは。俺も余計な事言ったもんだな」

ドクオは忌々しそうに舌打ちをすると、既にぬるくなったコーヒーを啜る。

思い起こせば、ばれない方がおかしい。



ツンに告白するように焚き付けた。



だから、昨日ツンが告白した事を知っていた。



そして『この後、ブーンの顔見たときに理性がぶっ飛ぶのが目に見えてるからな』という捨て台詞。







ここまでカードが揃っていては、ブーンだって気付くだろう。



459: ◆DyhKUHe1jM :2007/10/31(水) 11:59:16.82 ID:GMYVJWfZ0
('A`)「……そうだよ。俺はずっとツンの事が好きだった」

もう詰みだといわんばかりにドクオはその心情を吐露した。

(*゚ー゚)「それをツンちゃんに伝える気は無いの? 」

('A`)「……今は伝える気はねぇ。弱みに付け込むのは卑怯だと思うし、今のツンはそれどころじゃないし」

ドクオはすっかり冷めてしまったコーヒーを一気に飲み干し、言葉を続ける。

('A`)「……でも、お前らが付き合ってチャンスが来たって思ってる俺がいるんだ。最低だろ? 」

(*゚ー゚)「ん? なんで? 」

('A`)「好きな子が失恋して喜ぶ。……どう考えても卑怯者じゃねーか」

(*゚ー゚)「そうかな? 人間なら当たり前の感情だと思うよ? 」

しぃはそういってジュースに手を伸ばして一口飲むと言葉を続ける。

(*゚ー゚)「ドックンは周りに気を回しすぎだよ。たまには自分のために動かないと幸せ逃がしちゃうよ? 」

('A`)「やれやれ、お人よしのしぃに言われるようじゃ、俺も終わりだな」

(*゚ー゚)「お人よしじゃありませんー。私はいつも自分のしたいように動いてるだけですー」

口元をイーッ! とするとしぃは抗議めいた口調で話す。



461: ◆DyhKUHe1jM :2007/10/31(水) 12:01:04.33 ID:GMYVJWfZ0
(*゚ー゚)「だから、ドックンもドックンのしたいようにすればいいんだよ。そうしないと後悔するよ? 」

('A`)「へいへい、善処しますよっと」

そういって話を打ち切るとドクオは席を立つ。

('A`)「そろそろ、帰ろうぜ」

(*゚ー゚)「もー、ドックン誤魔化さないでよ」

('A`)「そのうちな。ほら、行くぞ? 」

ドクオはしぃの抗議を受け流すとトレイをもって席を後にする。

(;゚ー゚)「ちょっと待ってよ、ドックン」

しぃもその後を追うように席を立った。



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