ξ゚听)ξツンと星空と海風のようです
- 463: ◆DyhKUHe1jM :2007/10/31(水) 12:03:17.08 ID:GMYVJWfZ0
- ―7月20日(金曜日)―
―時刻・PM0:15―
( ^ω^)「1学期もようやくおわったおー」
HRを終え騒がしくなった教室でブーンは、大きく伸びをする。
(*゚ー゚)「ふふ、明日から夏休みだね」
帰り支度を済ませたしぃは、笑顔でブーンの席に寄って来た。
(*^ω^)「今年の夏はしぃもいるし、楽しい夏休みになりそうだお」
(*////)「そ、そうだね」
そんな会話をしていると、ドクオとツンも帰り支度を済ませてブーンの席まで来る。
('A`)「何、浮かれてんだ? おめーは」
ξ゚听)ξ「そーよ。アンタは勉強しなきゃいけないでしょうが」
(*^ω^)「勉強も、しぃと一緒なら楽しいお! 」
ドクオとツンの言葉も意に介さず、ブーンは浮かれたセリフを吐く。
- 466: ◆DyhKUHe1jM :2007/10/31(水) 12:04:41.32 ID:GMYVJWfZ0
- ('A`)「はいはい。ご馳走さん」
ξ゚听)ξ「そのやる気が、成績に反映されればいいんだけどね」
('A`)「まったくだ」
(;^ω^)「ちょ、二人ともひどいお」
ドクオとツンの言葉にさすがのブーンも、浮かれっぱなしというわけにもいかず反論する。
ξ゚听)ξ「ひどいのはアンタの顔と成績でしょ? 」
( ;ω;)「おっおっおっ、成績はともかく顔は僕のせいじゃないお」
その反論もツンのクロスカウンターによって撃沈する。
いつもならここで、ツンの1R58秒TKO勝ちといったところだが、
最近は少しばかり様子が違う。
(#゚ー゚)「ツンちゃん、仮にも人の彼氏に顔がヒドイは、ないんじゃない? 」
以前に比べてしぃが少し積極的になっていた。
- 468: ◆DyhKUHe1jM :2007/10/31(水) 12:06:19.17 ID:GMYVJWfZ0
- ξ゚听)ξ「まぁまぁ、そんなに怒らないの。ブーンの顔が悪いのは事実なんだからさ」
しぃの抗議を楽しむようにツンは更に煽る。
(#゚ー゚)「ツンちゃん、それじゃあ、私の趣味が悪いみたいじゃない」
ξ゚听)ξ「え? 悪いわよ? 」
(#゚ー゚)「もー! いくらツンちゃんでもその言葉は許されないよ! 」
しぃが本気で怒りかけたところでツンは、しぃに抱きついて頬ずりし始めた。
ξ*゚ー゚)ξ「しぃってばムキになっちゃて、ホント可愛いなぁ〜」
(*////)「なっ! ツンちゃん、いきなり何するのー! 」
ξ*゚ー゚)ξ「えー、何ってハグ? 」
(*////)「何で疑問形なのよぅ〜。ツンちゃん暑いから離してよー」
いきなりのツンの行動に、しぃは真っ赤になって手をバタバタさせる。
ξ*゚听)ξ「やーよ。しぃって抱き心地いいんだもん」
(*////)「にゃ〜! 耳に息吹きかけないでよぅ〜。くすぐったいー」
ξ*゚ー゚)ξ「あらあら、しぃは耳弱いのね〜……噛んじゃえ♪ えい」
(*////)「あっ! そんな……やっ! 耳たぶを……んっ! 甘噛みしちゃ……ダメッ! 」
- 471: ◆DyhKUHe1jM :2007/10/31(水) 12:08:23.30 ID:GMYVJWfZ0
- そんな百合畑に視線を向ける男二人は、何をしているのかというと。
(*^ω^)「……ハァハァ」
止めるべき彼氏は、彼女がおもちゃにされているにもかかわらず鼻息を荒くし、
理性をかなぐり捨てると欲望のままに傍観者に徹し
('A`)「……また、始まったよ」
止めるだけの冷静な判断力を持つ友人は、
何度も見てきた光景を止めることもせず、呆れて窓の外に視線を移す。
窓から見えるグラウンドでは、部活動に汗を流す運動部の姿が見えた。
('A`)(……明日から夏休みか)
後ろで繰り広げられている、百合の宴を無視してドクオはそんな事を考える。
('A`)(……せっかくバイク手に入れたんだし、一人で走りに行くのもいいな)
視線をグラウンドから空に移すと、
突き抜けるような水色の空と、力強い純白の入道雲のコントラストが視界に飛び込んできた。
('A`)(まぁ、バイトもあるし、こいつらと遊びたいし今年は無理かね? )
そう心の中で結論付けると、ドクオは百合の宴に視線を戻す。
- 473: ◆DyhKUHe1jM :2007/10/31(水) 12:10:21.64 ID:GMYVJWfZ0
- 宴はいつも通りのイベントを経由し、既に最終章である惨劇の宴に移行していた。
ξ#゚听)ξ「アンタは毎度毎度、鼻息荒くしてんじゃないわよ!! 」
(;^ω^)「そ、そんなこと無いお! 」
ξ#゚听)ξ「なら、その股間のテントは何よ!! 」
(#゚ー゚)「ブーン、最低! 彼氏なら止めてよ」
(;^ω^)「こ、これは生理現象だお。自分の意思で止められる物じゃないお」
(#////)「ばか! そ、それじゃないよ! ツンちゃんを止めてって事!! 」
ξ#゚听)ξ「このセクハラ部長!! 」
ここでツンお得意の右フックが炸裂する。
( ゚ω(#)「ぷおっ!! 」
ツンの右フックを終了の合図にドクオが間に入る。
('A`)「おめーら、この暑っ苦しい中暴れんなよ」
(;゚ー゚)「ドックンそう思うなら、ツンちゃんが抱きついたところで止めてよ……」
('A`)「いや、しぃも嫌がってなかったみたいだし? 」
(;////)「……そんな事、無いもん」
- 474: ◆DyhKUHe1jM :2007/10/31(水) 12:12:10.60 ID:GMYVJWfZ0
- ('A`)「……それより、あれ止めなくていいのか? そろそろ、ブーンが大変なことになるぞ」
(*゚ー゚)「え? 」
ドクオの言葉にしぃが振り返ると、既にブーンが大変なことになっていた。
ξ#゚听)ξ「おらぁ!! 左の頬を殴られたら右の頬を差し出さんかい!!! 」
(#)ω(#)「しゅ、しゅでにみびどぼぼぼ、にゃぐだででどぅぼ」
【訳:す、既に右の頬も、殴られてるお】
倒れたブーンに馬乗りになったツンが左手で胸倉を掴み
右フックと裏拳の往復ビンタを繰り出していた。
ξ#゚听)ξ「やかましゃあーー!! そしたら、次はもう一度左の頬を差し出せ!! 」
(メ#)ω(#メ)「ぶででぃ、でょぶぼぶどぼぶだげだばだぐだででどぅぼ」
【訳:既に、両方共二桁は殴られてるお】
ξ#゚听)ξ「何言ってるかわからんわーーー!! 」
(メ#)ω(#メ)「ぶぼでうぶぼぼ」
【翻訳不能】
(;゚ー゚)「ツンちゃん!! ストップ、ストップ!! 」
慌ててしぃが止めに入ると、ようやくツンの拳の往復運動が止まる。
ξ#゚听)ξ「なによ、動物の調教は分かるまで叩き込むのが常識よ」
- 476: ◆DyhKUHe1jM :2007/10/31(水) 12:14:52.48 ID:GMYVJWfZ0
- (;゚ー゚)「既に聞こえてないよ? 」
しぃがブーンを指差すとツンとドクオはその指の先に視線を向ける。
(メ#)ω(#メ)「……」
そこには傷だらけの血達磨が転がってた。
('A`)「あれ? 俺言うの遅かったか? 」
ドクオは机に転がってたボールペンを手に取ると血達磨をつつく。
(メ#)ω(#メ)「……」
('A`)「つついても反応ねーな」
ξ;゚听)ξ「あ、あらやだ。やりすぎた? 」
(;゚ー゚)「ブーン! 大丈夫?! 」
倒れてる血達磨の脇に屈んでしぃが話しかけると、かすかに顔らしき物がしぃの方に向く。
(メ#)ω(#メ)「……白と……水……色の……かお? 」
ξ゚听)ξ「気が付いたのかしら? 」
('A`)「あん? 白と水色? 空か? 」
ドクオはしぃの後方の空を見上げる。
さっき見たとおり、水色と白のコントラストが美しい夏の空が見えた。
- 477: ◆DyhKUHe1jM :2007/10/31(水) 12:16:34.22 ID:GMYVJWfZ0
- (;゚ー゚)「ねぇ、ブーン! 大丈夫?! 」
気が付いたものの、意味不明なうわごとを繰り返すブーンにしぃはさらに呼びかける。
('A`)「白に水色? 何言ってんだかわからんな……ん? 」
ブーンのうわごとを何とか翻訳しようと、頭をひねるドクオがあることに気が付く。
('A`)(ブーンの視線、やたら低いな。アレじゃ外なんか見えないはず)
元よりツンに殴られた瞼では、それほど視界は広くないはずだった。
(メ#)ω(#メ)「……ストラ……」
よく見るとブーンの口元が緩んでいるようにも見える。
('A`)「んーーーー??? 」
そのままドクオは視線を下にずらしていくと、全ての答えを発見した。
('A`)(ああ、なるほどね)
視線の先では父親より先に体を起こしたムスコが、テント生活を再開していた。
- 479: ◆DyhKUHe1jM :2007/10/31(水) 12:19:07.67 ID:GMYVJWfZ0
- ('A`)「しぃ。ブーンにスカートの中、覗かれてるぞ」
Σ(メ#)ω(#メ;)(ちょ、ドクオ! 裏切りやがったお!!! )
(;////)「うそ!! 」
ドクオの忠告にしぃは、慌てて立ち上がるとスカートを押さえる。
('A`)「これが証拠」
そういってドクオはブーンの股間を指差した。
ξ#゚听)ξ「この色欲魔がぁーー!!! 」
その言葉に一番早く反応したのはツンだった。
(メ#)*(#メ)「ぶふぅ!!! 」
ツンの拳は氷柱でも割るかのごとく、真っ直ぐにブーンの人中に振り落とされた。
(#////)「ブーン最低!! 」
ξ#゚听)ξ「このド変態!!! 」
そういい捨ててツンとしぃは教室を出て行った。
- 481: ◆DyhKUHe1jM :2007/10/31(水) 12:21:07.72 ID:GMYVJWfZ0
- ('A`)「おーい、生きてるかー? 」
(メ#)ω(#メ)「……ドクオが余計な事を言わなければ、まだマシだったお」
ドクオの呼びかけに血達磨……もとい、ブーンが体を起こさずに答える。
('A`)「本能に忠実に生きてるからそういう目にあうんだ。少しは調教されたほうがいい」
(メ#)ω(#メ)「このままだと、僕はMに目覚めそうだお」
('A`)「よかったじゃねぇか。しぃはツンの影響でそのうちSに目覚めるぞ」
(メ#)ω(#メ)「その前にレズに目覚めないかが心配だお」
('A`)「なら、もう少し考えて行動するんだな」
(メ#)ω(#メ)「しぃはかわいいから、ライバルはクラスの男全員だと思ってたのに、
最大のライバルが、幼馴染の女の子ってのは考えもんだお」
('A`)「ツンがレズに目覚めたのは、お前が振ったせいだがな」
ドクオは近くの椅子に腰掛けクククと堪えた笑いを漏らす。
(メ#)ω(#メ)「おっ! 」
ブーンは独特の掛け声とともに立ち上がると自分の席に腰掛ける。
- 482: ◆DyhKUHe1jM :2007/10/31(水) 12:23:24.09 ID:GMYVJWfZ0
- (;^ω^)「皮肉にしては厳しい意見だお」
('A`)「別に皮肉を言ったつもりはねーさ」
(;^ω^)「皮肉でなければなおの事、厳しいお」
そういってブーンはバッグからペットボトルのお茶を取り出し一口飲む。
('A`)「でもまぁ、よかったな」
頬杖をつき窓の外を眺めながら、ドクオがポツリと呟く。
( ^ω^)「なにがよかっただお。僕は死に掛けたお」
('A`)「そうじゃねーよ、馬鹿」
ドクオは真顔で抜けたことを言うブーンに向き直ると、まじめな顔で言葉を続ける。
('A`)「お前らの仲がうまくいってよかったなって事だよ」
アレから一ヶ月。四人の仲は特に大きな問題も無く順風満帆といえる。
そんな意味から出たドクオの言葉だったが、意外なことにブーンがそれを否定した。
(;^ω^)「……そうでも無いと思うお」
- 485: ◆DyhKUHe1jM :2007/10/31(水) 12:25:28.90 ID:GMYVJWfZ0
- ('A`)「あ? お前、ツンにしぃを取られる心配でもしてんの?
馬鹿だな、冗談に決まってるだろ」
(;^ω^)「そうじゃないお。……なんていうか、ツンの様子がおかしくないかお? 」
('A`)「どこが? ……テンションが若干高いが、夏休みが近いから浮かれてんだろ」
(;^ω^)「そうじゃなくて、なんて言ったらいいか分からないんだお」
('A`)「……心配しすぎだ」
ドクオがそう呟いたところでブーンの携帯が鳴った。
( ^ω^)「……お、しぃからメールだお」
【昇降口で待ってるから早くおいでよ♪ これから4人でカラオケ行くんでしょ】
( ^ω^)「しぃとツンが昇降口に居るから、早く来いって言ってるお」
そういって、ブーンはカバンを持ち立ち上がる。
('A`)「……じゃあ、行くか」
そういってドクオも立ち上がり、二人は教室を後にする。
('A`)(……まさかな)
ドクオの心に一抹の不安を残し、一学期最後の日は終業を迎えた。
- 487: ◆DyhKUHe1jM :2007/10/31(水) 12:27:16.62 ID:GMYVJWfZ0
この不安が的中するのは一ヵ月後。
夏休みも残り少なくなった八月の後半の事だった。
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