ξ゚听)ξツンと星空と海風のようです
- 624: ◆DyhKUHe1jM :2007/10/31(水) 14:09:12.01 ID:GMYVJWfZ0
- 〜 二ヵ月後 〜
―6月某日―
*(‘‘)*「お〜、すげーお」
初めて見る教会にヘリカルは感嘆の声を上げる。
*(‘‘)*「とーちゃん、はやくするお! 」
(;^ω^)「ヘリカル、そんなに走ったら危ないお! 」
*(‘‘)*「だいじょうぶだお〜」
ヘリカルは走りながらそう答えると、前方にいた人物に衝突した。
*(‘‘)*「いたっ! 」
その声に衝突された人物がやさしく声をかける。
ξ゚听)ξ「あら、ヘリカルちゃん。大丈夫?」
それはウェディングドレスに身を包んだツンだった。
- 628: ◆DyhKUHe1jM :2007/10/31(水) 14:10:16.34 ID:GMYVJWfZ0
- *(‘‘)*「お〜。つんちゃんきれーだお」
ξ゚ー゚)ξ「ふふ、ありがと。ヘリカルちゃんも、綺麗なお洋服着て可愛いわよ」
*(‘‘)*「おねーさんみたい?」
ξ゚ー゚)ξ「もちろん」
ツンがヘリカルと楽しそうに話していると後ろからしぃが声をかける。
(*゚ー゚)「ツンちゃん、今日はおめでとう」
ξ゚听)ξ「あら、しぃ。ありがと」
(*゚ー゚)「ようやくだね」
ξ゚听)ξ「ホントよ。こんなに待たされるとは思わなかったわ」
しぃの言葉に同調するようにツンがうなずくとそこに、ブーンが割ってはいる。
( ^ω^)「ツンだって一年半待たせたじゃないかお」
ξ゚听)ξ「だからって、大学卒業から8年は待たせすぎだと思わない? もうすぐ三十路よ? 」
- 632: ◆DyhKUHe1jM :2007/10/31(水) 14:11:48.74 ID:GMYVJWfZ0
- 3人がそんなことを話し込んでいるともう一人の主役が現れた。
('A`)「おう、おめーら何の話だ」
*(‘‘)*「おー、どくにぃもきょうは、かっこいいおー」
('A`)「おう、ヘリカル。『今日は』じゃなくて『今日も』かっこいいの間違いだろ? 」
*(‘‘)*「んーん。いつもはそうでもないお。
なんで、つんちゃんみたいにきれーなひとの、かれしなのかふしぎだお」
('A`;)「……おい、ブーン、しぃ。てめーら娘にどんな教育してんだ? 」
ヘリカルの無邪気な言葉にドクオが三人の方に向き直ると、三人とも笑いを堪えていた。
( ^ω^)「ぷぷぷぷ。べ、別に変なことは教えてないお」
(*゚ー゚)「素直な子になるようにとは、いつも思ってるけどねー」
ξ゚听)ξ「親の期待通り素直ないい子に育ってるわね」
('A`;)「……」
付き合いの長い友人に止めを刺されてドクオが落ち込んでいる姿を
ヘリカルは不思議そうに眺めていた。
- 636: ◆DyhKUHe1jM :2007/10/31(水) 14:13:39.66 ID:GMYVJWfZ0
- そのヘリカルにツンが話しかける。
ξ゚ー゚)ξ「そうねー、ヘリカルちゃんにはまだ分からないかもね」
*(‘‘)*「つんちゃん、なにがだおー? 」
ξ゚ー゚)ξ「好きって気持ちはね、見た目じゃないのよ」
*(‘‘)*「よくわかんないお〜? 」
ツンの言葉にヘリカルはちょこんと首を傾げる。
ξ゚听)ξ「んー。ちょっと難しかったかもね。
……じゃあ、ヘリカルちゃんは、ママの事を綺麗だと思う? 」
*(‘‘)*「うん! ままはいつもきれいだから、へりかるのじまんのままだお! 」
(*゚ー゚)「あら、ありがとー。ヘリカル」
元気よくうなずくヘリカルの頭をしぃが撫でると、ヘリカルはニコニコと笑顔を浮かべる。
ξ゚听)ξ「じゃあ、お父さんの事はかっこいいと思う? 」
(*^ω^)(そんなの『かっこいいお! おおきくなったら、
とーちゃんのおよめさんになるお!』って言うに決まってるお)
ブーンがそんなことを考えていると、ヘリカルは元気よく即答した。
- 637: ◆DyhKUHe1jM :2007/10/31(水) 14:14:40.65 ID:GMYVJWfZ0
- *(‘‘)*「んーん。とーちゃんはでぶだし、どくにぃよりかっこわるいお! 」
Σ(;゚ω゚)「なんですとぉ!! 」
愛娘の素直な言葉はブーンの胸を貫いた。
(*゚ー゚)「あらあら、ヘリカルったらいつまでも子供かと思ってたのに、見るところは見てるのねー」
娘の意外な一言に楽しそうに笑うしぃ。
('A`)「素直な娘に育ってよかったな。とーちゃん」
同情するようにブーンの肩を叩くドクオ。
( ;ω;)「とーちゃんはこれから、何を楽しみに生きていけばいいんだお? 」
そして、この世の絶望をすべて受け止めたように、肩をがっくりと落とすブーン。
その様子を楽しそうに眺めながら、ツンはさらにヘリカルに話を続ける。
ξ゚ー゚)ξ「それでも、ママはお父さんの事、大好きなのよ」
*(‘‘)*「ままー、そうなのかお? 」
(*゚ー゚)「うん、そうだよー。ママはとーちゃんもヘリカルも大好きだよ。ヘリカルは? 」
*(‘‘)*「へりかるもー! へりかるも、ままもとーちゃんもだいすきだお!! 」
しぃが優しく問いかけると、ヘリカルは元気いっぱいに答えた。
- 639: ◆DyhKUHe1jM :2007/10/31(水) 14:16:42.05 ID:GMYVJWfZ0
- ('A`)「ホントに、素直な娘に育ってよかったな。とーちゃん」
( ;ω;)「おっおっおっ、この言葉は、父親冥利に尽きるってもんだお」
愛娘の言葉にブーンが喜びをかみ締めていると、クーが4人に声をかける。
川 ゚ -゚)「お前たち、雑談はそれくらいにして、そろそろ式を始めるぞ」
…………
………
……
…
- 640: ◆DyhKUHe1jM :2007/10/31(水) 14:18:07.30 ID:GMYVJWfZ0
- ―同日・PM11:53―
ξ゚听)ξ「あんたさぁ、今夜が結婚初夜だってわかってるの? 」
('A`;)「わかってるよ。だからそんなに怒るなよ」
ツンの言葉にドクオは少しうろたえながら答える。
ξ゚听)ξ「別に、怒ってないけど……他にやることあるんじゃないの? 」
('A`)「まぁ、世間一般的にはそうなんだろうけどさ。それよりどうしても優先したいことだったんだよ」
ξ゚听)ξ「アンタって顔に似合わずロマンチストねー」
('A`)「……いやか? 」
先ほどから文句を言うツンの態度に、不安になったドクオは立ち止まると
一歩先で振り返るツンを真正面から見据えて問いかけた。
ξ゚ー゚)ξ「……嫌なわけないでしょ。ここは私にとってもお気に入りの場所なんだから」
('A`)「それは、よかった」
ツンが笑顔で答えたのを見て、ドクオは安心したようにまた歩き始める。
ξ゚ー゚)ξ「それに、私たちの始まりの場所でもあるしね」
('A`)「そうだな」
- 644: ◆DyhKUHe1jM :2007/10/31(水) 14:19:36.45 ID:GMYVJWfZ0
手をつなぎ、二人でゆっくりと踏みしめるように階段を上る。
やがて最後の段にたどり着き、視線を上げると……
満天の星空と煌々と輝く月と漆黒の海、そして優しく吹き抜ける海風が、
二人を祝福するように出迎えた。
ξ゚ー゚)ξ「……いつ来ても綺麗ね」
('A`)「……ああ」
- 646: ◆DyhKUHe1jM :2007/10/31(水) 14:20:56.62 ID:GMYVJWfZ0
- 二人が来たのは美府岬。
二人にとって過去との決別を決意した場所であり
そして、共に未来へ歩むことを決めた場所だった。
ξ゚听)ξ「もう、あれから12年も経つんだね」
ドクオの隣で手すりに手をかけて海を眺めていたツンが、不意に口を開く。
('A`)「……そうだな。正直、あの時はこんなに続くなんて思ってなかったがな」
いつのも様に缶コーヒーを飲みながらドクオはぶっきらぼうに答える。
- 647: ◆DyhKUHe1jM :2007/10/31(水) 14:22:33.08 ID:GMYVJWfZ0
- ξ゚听)ξ「あら、なんで? 」
そんなドクオに不思議そうにツンは聞き返す。
('A`)「……んー、モテナイ男の自虐思考かな。そのうち振られるんじゃねーかって思ってた」
ツンの言葉に少し考えてから答えると、空になった缶コーヒーをゴミ箱に向かって投げる。
放物線を描きながら宙を舞う空き缶は、カランという音と共にゴミ箱に吸い込まれた。
ξ゚听)ξ「アンタ、馬鹿じゃない? 」
そんなドクオの言葉を聞いたツンはあきれたように口を開いた。
ξ////)ξ「あ、アンタよりいい男なんてそうそう居ないわよ」
そこまで言ってツンは顔を真っ赤にすると俯いた。
- 651: ◆DyhKUHe1jM :2007/10/31(水) 14:24:05.72 ID:GMYVJWfZ0
- その様子を見て今度はドクオがあきれたように口を開く。
('A`)「いい歳してそんなセリフくらいで赤くなるなよ。もう30だr……」
その瞬間ドクオの鳩尾に、お手本のように綺麗なクー直伝のボディブローがめり込んだ。
(゚A゚;)「はぐぅ! 」
ξ#゚听)ξ「まだ29だ! 」
('A`;)「……本当に申し訳ありませんでした」
ξ#゚听)ξ「あーあ! アンタのせいで雰囲気台無し! 」
肩を怒らせて顔を背けると、また海のほうに視線を向けた。
('A`;)(29の怒り方じゃねーな。ホント、こういうときだけはガキなんだから)
ドクオは、まだズキズキと痛む鳩尾をさすりながらツンの後ろに立つと
('A`)(ったく、しょーがねーな)
雪のように白い首に腕を回す。
ξ////)ξ「ちょ、ドクオ! いきなり、なによ! 」
('A`)「ツン、そう怒るなよ」
暴れるツンの耳元でドクオは優しくつぶやく。
- 654: ◆DyhKUHe1jM :2007/10/31(水) 14:26:04.14 ID:GMYVJWfZ0
- ξ////)ξ「……べ、別に怒ってないわよ」
ドクオの言葉にツンは急におとなしくなった。
二人の間に心地よい沈黙の空気が漂う。
('A`)「なぁ、ツン」
吹き抜けていく海風に溶けるような穏やかなドクオの声がツンの耳に届く。
ξ////)ξ「なに? 」
('A`)「安っぽいセリフだけど……俺、今すっげー幸せだわ」
そういってドクオはツンを抱く腕の力を少し強める。
ξ゚ー゚)ξ「…………私もよ」
ツンはその腕を解きドクオに向き直ると優しく微笑む。
ξ゚ー゚)ξ「ドクオ」
今度はドクオを真正面から見据えたツンの透き通るような声がドクオに届く。
('A`)「なんだ? 」
ξ゚ー゚)ξ「これからも、ずっと一緒にいてね」
('∀`)「……ああ」
- 656: ◆DyhKUHe1jM :2007/10/31(水) 14:29:07.81 ID:GMYVJWfZ0
- ツンはドクオの返事を聞いて安心したように、ドクオの胸に顔をうずめると、腕を背中に回した。
ξ--)ξ「ねー、ドクオ」
('A`)「なんだよ」
そんなツンをドクオはしっかりと抱きとめる。
ξ*--)ξ「幸せだね? 」
('A`)「ああ、そうだな」
そう口にしてお互いに少し腕の力を強くする。
ξ--)ξ「ねー、ドクオ」
('A`)「今度はなんだよ」
- 658: ◆DyhKUHe1jM :2007/10/31(水) 14:30:14.13 ID:GMYVJWfZ0
- ξ--)ξ「もっと、ギュッてして」
('A`)「なにガキみたいなこと言ってんだよ」
ξ--)ξ「たまには、いいじゃない。恋する女は、いくつになっても乙女なのよ」
('A`)「はいはい、分かりましたよ。……お前、昔に比べてずいぶん弱くなったな」
ドクオは観念したように返事をすると、ツンをさらに強く抱きしめた。
ξ*--)ξ「……いいじゃない、好きな人の胸の中にいるときくらい」
('A`)「……そいつは光栄だ」
- 661: ◆DyhKUHe1jM :2007/10/31(水) 14:31:46.48 ID:GMYVJWfZ0
二人は満天の星空の下で
時折、響く波の音に耳を傾け
柔らかな海風に身を委ね
煌々と輝く月に見守られながら
一緒に居られる事の幸せをかみ締めるように
- 663: ◆DyhKUHe1jM :2007/10/31(水) 14:32:41.94 ID:GMYVJWfZ0
いつまでも抱き合っていた。
〜 Fin 〜
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