('A`)が10時間だけ王になるようです

20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/11/12(月) 19:53:59.96 ID:4qzloPCW0
12.
('A`)「この写真、あんたの家族か? …娘はビッチ面だな、間違いなく援交してる。

    ところで銀行の預金通帳とかはないのか?」

(´・ω・`)「?」

('A`)「会社のことは良くわからないんだ。会社のカネってのは現金化するにはどうすればいい?」

(´・ω・`)「何を言ってる? カネが欲しいのか?」

('A`)「おい、勘違いすんじゃねえ、俺はお前とは違う。小銭なんかどうでもいい。

    カネを引き出すのに必要な書類を持て。銀行に行こう。リムジンに乗せてやるぞ」

(;´・ω・`)「???」


政府関係者らしい黒服がショボン社長に耳打ちしている。

ショボンは渋々納得し、ドクオと共にリムジンに乗り込んだ。


('A`)「2ch商亊は総資産いくらだ? 一億くらいか?」

(´・ω・`)「そんなにない。約6000万円だ」



21: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/11/12(月) 19:54:50.38 ID:4qzloPCW0
13.
パトカーやらマスコミやら野次馬やらを引き連れたリムジンは街で一番大きい銀行の前で止まった。

有象無象と一緒にゾロゾロ行進しながらドクオとショボンがそこに入る。


('A`)「どうも。2ch商亊が預けてるカネを全部下ろしたいんだが」

(*゚ー゚)「えっ?! あ、あの…」

('A`)「おい、社長。手続きをしてくれ」

(*゚ー゚)「あの、全部現金化して下ろすとなると丸一日はかかりますが…」

('A`)「マンドクセ。金庫を開けてくれ、勝手に持ってくよ」


一体誰が逆らうことができる?

ドクオは金庫の札束や有価証券を適当にダンボールに詰め、滑車に乗せて運び出した。

それを通行止めにした大きな交差点の真ん中に山積みにする。


('A`)「すげえな、一体どれだけの税金をチョロまかしたんだ?」



22: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/11/12(月) 19:55:48.81 ID:4qzloPCW0
14.
ドクオはリムジンからウォッカを取り出してきて酒にかけ、火をつけた。

6000万円のキャンプファイヤーだ。


('A`)「いっちょオクラホマミキサーでも歌うか?」

(´;ω;`)「か、会社の資産が…私のカネが…」

('A`)「反省したか? これからはちゃんと残業手当を払うんだぞ。

    社員はお前の家畜じゃねえ。人間なんだ。わかったか? じゃあ、元気でな」


ドクオは呆然としているショボンの肩を叩いてリムジンに乗り込んだ。

すると内藤も一緒に乗ってきた。


('A`)「やりすぎって言いたいのか?」

( ^ω^)「言いたいですお」

('A`)「大事なことをわからせるにはこれが一番さ。スカッとしたら腹が減ったな! 飯と行こう」



24: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/11/12(月) 19:57:17.86 ID:4qzloPCW0
15.
( ^ω^)「ドクオさん、こっちの話も聞いて欲しいですお」

('A`)「何だ? 遠慮せずに何でも言ってみろ、この左手の親指がヒクつかない程度にな」


ドクオがグリップを握った手を見せると内藤は少し怯んだ。


(;^ω^)「あんたの言う希望を叶えてあげたお」

('A`)「ああ、そうだな。ご苦労だった」

( ^ω^)「それで要求は一体なんなんですかお?」

('A`)「安心しろ。20時間以内には必ず言うさ」

( ^ω^)「20時間?」

('A`)「いいか、この爆弾が爆発する条件は三つだ。

    1.スイッチを押す

    2.グリップとアタッシュケースを繋ぐ電線が切れる

    3.10時間経過する。…あと8時間だな」



25: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/11/12(月) 19:58:14.09 ID:4qzloPCW0
16.
('A`)「おっ、あのホテルに入ろう。屋上がレストランなんだろ? テレビで見たぞ」

( ^ω^)「わかりましたお。運転手、車を止めるお」


ホテルに入りかけてドクオは後ろの蟻の行列を振り返った。


('A`)「おい、どうでもいい奴は遠慮しろよ。メシは落ち付いて食いたい」

( ^ω^)「僕はいいですかお?」

('A`)「どうぞ。まあ、どうせ他の連中も監視カメラか何かで覗くんだろうがな」


二人は屋上の高級レストランまで上がり、一番いい席についた。

他の客は事情を察するとみな二人と逆行して一目散に飛び出していった。


('A`)「さあ、何を食う? 何でも好きに頼め、奢るぞ」

( ^ω^)(奢るぞってカネ払う気あるのかお…)



29: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/11/12(月) 19:59:41.54 ID:4qzloPCW0
17.
('A`)「おーい、ウェイター…おーい。おかしいな、注文を取りに来ないじゃないか」


ドクオは席を立って厨房を覗き込んでみた。

誰もいない。

みんな逃げ出してしまったらしい。


('A`)「しょうがないな、自分で作るか。内藤、ちょっと来てくれ」

( ^ω^)「何ですかお」

('A`)「メシを作るんだ。手伝ってくれ」


二人は熱気の残る厨房に入った。

作りかけの料理がほったらかしのまま火にかけられている。


('A`)「幸い材料は何でもある。調理器具もな。まあ、サンドイッチくらい作れるだろう」



30: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/11/12(月) 20:01:17.77 ID:4qzloPCW0
18.
内藤のケータイが鳴った。


( ^ω^)「誰だお。…え、警視総監どのですかお!? ちょ、ちょっと待っ…」


ドクオはうわずった声を出す内藤からケータイを奪い取り、スープ鍋の中に放り込んだ。

ぼちゃん。


(;^ω^)「あー!? ななな何すんですかお!?」

('A`)「パンにマーガリン塗ってくれ。ほら、これだ。俺は手が塞がってて上手くできない」

(#^ω^)「…」

('A`)「メシが先だ。トンズラこく予定立ててる連中なんざほっとけ」

( ^ω^)「わ、わかりましたお…」


二人はそのあたりにあるものを適当に刻んでパンに挟んだ。



32: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/11/12(月) 20:02:13.98 ID:4qzloPCW0
19.
( ^ω^)「包丁の使い方上手いですお」

('A`)「若いころは生活が苦しくてな。共働きだった」

( ^ω^)「結婚してたんですかお?」

('A`)「妻の弁当を作ってやったもんさ。もう別れたけど。お前、奥さんは?」

( ^ω^)「僕はまだ独身ですお」

('A`)「そうか。まあ、結婚てのも一度はしてみるもんだ」


どっさり出来上がったサンドイッチをレストランに持って行って二人で食べた。

左手の壁は一面がガラス張りだ。

しきりにヘリが来てはこっちにカメラを向けている。


('A`)「見ろ、テレビ局だ。手を振ってやれ」

( ^ω^)「お、おーい…」



34: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/11/12(月) 20:03:46.36 ID:4qzloPCW0
20.
('A`)「あー美味かった。さあ、行くか」

( ^ω^)「次はどこへ行く気ですかお」

('A`)「博物館だ」

( ^ω^)「どこの?」

('A`)「荒巻スカルチノフ記念博物館ってあるだろ」

( ^ω^)「わかりましたお。でもそこへ行く前に一つ教えて欲しいんですお」

('A`)「何でも聞け」

( ^ω^)「その爆弾を停止させる方法はあるんですかお?」

('A`)「当たり前だろ。それがなけりゃお前らと取引できないからな」

( ^ω^)「…」

('A`)「それを言うのはドライブの後だ。さあ、行こう」


二人はホテルを出て車に乗り込んだ。



39: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/11/12(月) 20:06:23.62 ID:4qzloPCW0
21.
  ∧_∧
弟(´<_`  )「では現場の兄者からのレポートです」
  ∧_∧
兄( ´_ゝ`)「兄者です。あっ、今ホテルから出て来ました! どこかへ向かうようです!
        刑事と一緒にどこかへ向かうようです!」
  ∧_∧
弟(´<_`  )「兄者さん、これは官庁街の方向でしょうか?」
  ∧_∧
兄( ´_ゝ`)「そのようです、官庁街に向かうようです」
  ∧_∧
弟(´<_`  )「核爆弾を手に日本中を恐慌に巻き込んでいる男、一体目的はなんなんでしょうか。
        引き続き生中継でお送りします。
        なお事態を重く見た総理大臣は非常事態宣言を…」


リムジンの車内テレビを見ながらドクオは子供のようにはしゃいだ。


('A`)「ははは、見ろよ。エライことになってんぞ。すげえ! 自衛隊も来るのか?」

( ^ω^)(まるで他人事だお…)



43: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/11/12(月) 20:07:27.71 ID:4qzloPCW0
22.
荒巻スカルチノフは幕末に活躍した地元の名士だ。
彼の功績を称える博物館は官庁街にひっそりと建っている。
リムジンの中では部下からケータイを借りた内藤が忙しそうにあちこちに電話していた。


('A`)「おい、そいつらの誰でもいいから言ってやれ」

( ^ω^)「何をですかお」

('A`)「交渉役は変えるな。俺はお前が気に入った」

( ^ω^)「そ、そうですかお。光栄ですお」

('A`)「迷惑か?」

( ^ω^)「そんなことないですお」


言いながらも内藤は勘弁してくれって顔だ。
やがて博物館についた。



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