( ^ω^)桜舞い散る中に忘れた記憶が戻ってくるようですξ゚听)ξ
- 2: ◆ECmvgmi7GI :2007/11/22(木) 18:49:23.80 ID:07j0YKGp0
- ───3月26日 15:25 内藤ホライゾン───
僕等を乗せた車が進む。
景色はすでに都会を抜け、のどかな風景を映していた。
今僕は助手席から移動し、後部座席に座っている。
弟者さんの彼女さんに席を譲った為だ。
僕を見た時彼女は驚いていたが、弟者さんの説明で笑顔に戻った。
そして笑顔のままで、よろしくねと言ってくれた。
とても綺麗な人だったので、僕は焦ってしまった。
この女性に免疫がないのを、なんとかしたい。
('、`*川「ねぇねぇ、内藤君」
(;^ω^)「は、はい」
突然呼ばれ、どもってしまった。
('、`*川「そんなに硬くならないでよ〜 ツンちゃんとはもう会ったの?」
知っている名前が出たことに、少し驚いた。
( ^ω^)「こっちにきたその日に会って、今日もさっき会いましたお」
('、`*川「あ、そうなんだ ツンちゃん、可愛かったでしょ?」
( ^ω^)「可愛かったですお」
僕は素直に答えた。
- 4: ◆ECmvgmi7GI :2007/11/22(木) 18:51:33.42 ID:07j0YKGp0
- ('、`*川「うんうん 大事にしなきゃだめだよ〜?」
(;^ω^)「?」
言っている意味がよくわからなかった。
(´<_` )「おいおい、困ってるじゃないか」
('、`*川「いいじゃない 青春だねぇ!」
ペニサスさんの言葉に、弟者さんは静かに笑った。
('、`*川「で、さっき会ったのにツンちゃんは一緒じゃないんだ?」
( ^ω^)「なんか、友達の家に用事があるって言ってましたお」
('、`*川「友達? クーちゃんかな」
( ^ω^)「そうですお」
('、`*川「あれ〜? そんなこと言ってなかったけどなぁ」
( ^ω^)「なんか半分怒った感じでしたお」
('、`*川「ふむふむ」
そう言ってペニサスさんは携帯を取り出し、なにやら操作し始めた。
- 5: ◆ECmvgmi7GI :2007/11/22(木) 18:53:17.78 ID:07j0YKGp0
- ('、`*川「こっち、何もないでしょ」
いきなり変わった話題に、一瞬意味がわからなかった。
僕は慌てて頭を回転させる。
( ^ω^)「えっと…でも空気もおいしくて、のどかだし、僕は気に入りましたお」
('、`*川「そっかぁ、気に入ってくれたなら嬉しいなぁ」
(´<_` )「地元民が言うのもなんだが、良い所だと思うぞ」
('、`*川「まぁねぇ、最近はバスもあるし、昔に比べればいいかな〜」
その間も携帯をいじっているペニサスさん。
('、`*川「内藤君の家、たしかツンちゃんの家の近くだったよね?」
( ^ω^)「そのはずですお」
('、`*川「私も家近いのよ〜 よろしくね」
( ^ω^)「そうなんですかお よろしくお願いしますお」
('、`*川「困ったことがあったら、いつでもいらっしゃい」
弟者さんが言ってくれた事と、同じ事を言ってくれた。
なんとなく、お似合いだと思った。
- 7: ◆ECmvgmi7GI :2007/11/22(木) 18:55:09.00 ID:07j0YKGp0
- ( ^ω^)「ありがとうですお」
('、`*川「あーっと、内藤君ってのもなんかお母様と被りそうだし、
ホライゾン君ってのもなんか言いにくいから、なんかあだ名とかない?」
( ^ω^)「じゃあブーンって呼んでくださいお」
('、`*川「ブーン?」
( ^ω^)「小さい頃、ブーンブーンって言いながら走り回ってたんですお
そしたらカーチャンにブーンって呼ばれるようになったんですお」
('、`*川「あはは じゃあブーン君って呼ばせてもらうね」
(´<_` )「俺もそうさせてもらおう」
('、`*川「改めてよろしくね、ブーン君」
( ^ω^)「よろしくですお」
そしてまた携帯をいじるペニサスさん。
少しして、にやりと笑みを浮かべ弟者さんの方を向いた。
('、`*川「ねぇ弟者、クーちゃんの家に向かってよ」
(´<_` )「なるほど、把握した」
なんでクーの家なんだろうか…弟者さんは事情がわかったみたいだが…。
- 8: ◆ECmvgmi7GI :2007/11/22(木) 18:56:52.90 ID:07j0YKGp0
- ('、`*川「ブーン君」
( ^ω^)「なんですかお?」
('、`*川「頑張ってね」
(;^ω^)「?」
その言葉の意味がわからない僕は、ただただ困惑するだけだった。
クーの家…クーの家…。
そういえばツンがクーの家に向かったと話したが、それと関係があるんだろうか?
そんな僕に構わず、車は進む。
流れる景色は、相変わらずのどかだった。
………。
……。
…。
- 9 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日: 2007/11/22(木) 18:57:39.26 ID:+n+D/0bd0
- 支援
10: ◆ECmvgmi7GI :2007/11/22(木) 18:58:42.84 ID:07j0YKGp0
- ───同日 15:35 ツン・デレ───
ξ゚听)ξ「さーて、そろそろ帰ろうかしら」
昼食を終え、クーの部屋で寛いでいた私は、時計を見てそう言った。
突然押し掛け、ご飯をご馳走になり、結局長居してしまった。
川 ゚ -゚)「そうか で、またブーンに会いに行くのか?」
ξ;゚听)ξ「ちょっと、なんでそうなるのよ」
川 ゚ -゚)「行かないのか」
いやそりゃ行けるなら行きたいけど…。
ξ゚听)ξ「理由がないじゃない」
川 ゚ -゚)「理由なんかいくらでも作れるじゃないか」
ξ゚听)ξ「それができたら苦労しないって」
川 ゚ -゚)「とか言って、また暴走するのが怖いだけなんだろう」
うぐ…。図星を突かれて言い返せなくなってしまった。
川 ゚ -゚)「君は本当に可愛いな」
ξ;゚听)ξ「う、うるさいわよ!」
その時、私の携帯が鳴った。
- 12: ◆ECmvgmi7GI :2007/11/22(木) 19:00:28.07 ID:07j0YKGp0
- 誰からだろう。私は携帯を開いてメールを確認する。
ペニサスさんからだった。
『今弟者と内藤君の3人でドライブしてるんだけど、ツンちゃん一緒にどう〜?』
一瞬よくわからなかった。なんでそんな展開になっているんだろうか…。
私はその疑問をそのまま返信した。
川 ゚ -゚)「驚いた顔をしてたが、何かあったのか?」
ξ゚听)ξ「なんか…ブーンと弟者さんとペニサスさんが一緒にいるみたい」
川 ゚ -゚)「なるほど、会う口実ができたじゃないか」
ξ;゚听)ξ「だからなんでそうなるのよ!」
と言っているうちに、返事が返ってきた。
『内藤君が道に迷ってた所を弟者が拾ったみたい〜
話によるとクーちゃんの家にいるのよね? 行ってもいいかな?』
どうやらこれは会えるチャンスらしい。
ペニサスさん…気を利かせてくれているみたいだ。
いいですよ、と返信した。
- 13: ◆ECmvgmi7GI :2007/11/22(木) 19:02:03.18 ID:07j0YKGp0
- ξ゚听)ξ「今からここにくるみたい」
川 ゚ -゚)「そうか それは楽しみだ」
ξ;゚听)ξ「こ、心の準備が」
川 ゚ -゚)「覚悟を決めておけ 私は洗濯物を取り込まないといけないから、頑張れ」
ξ;゚听)ξ「い、一緒に会ってよ!」
川 ゚ -゚)「ツンは帰ったことにして、少し家から離れた所で会った方がいいぞ
妹達に見られてもいいなら構わないが」
そうだった。シューちゃんはともかく、ヒートに見られたら質問責めにされてしまう。
私は仕方なく、クーに従うことにした。
川 ゚ -゚)「その時あった事は、今晩詳しく聞かせてくれ」
と、目を輝かせながら言う。
興味あるならついてきてよと思った。
もう今日は会わないものと思っていたのに…。
もう30分もすれば、彼は来るだろう。
その間に覚悟を決めないと。
まずはゆっくり、深呼吸…。
………。
……。
…。
- 14: ◆ECmvgmi7GI :2007/11/22(木) 19:03:28.13 ID:07j0YKGp0
- ペニサスの計らいで、再び出会う二人。
だが少年は、そんなことは露知らず。
一方の少女は、すでに混乱していた。
ゆっくりと、確実に近づく、その瞬間。
その時二人にもたらすものは…。
( ^ω^)桜舞い散る中に忘れた記憶が戻ってくるようですξ゚听)ξ
───第四話『進展』───
- 16: ◆ECmvgmi7GI :2007/11/22(木) 19:05:03.04 ID:07j0YKGp0
- ───同日 15:52 内藤ホライゾン───
(´<_` )「そろそろだな」
('、`*川「相変わらず飛ばすわねぇ」
思っていたより早く着くようだった。
弟者さんの家は、少し前に通り過ぎていた。
確かもう少しでクーの家だったはずだ。
('、`*川「クーちゃんの家からちょっと出てるらしいから、道歩いてると思う」
(´<_` )「把握した」
それを聞いて、僕も前の道に目をやる。
スピードを落とし、ツンを探しながら進む。
その時。
('、`*川「あ、しまった」
突然、ペニサスさんが口を開いた。
('、`*川「ちょっと今日大事な用事があったんだった」
え?
('、`*川「ごめんブーン君、私達すぐ戻らないといけないの」
- 17: ◆ECmvgmi7GI :2007/11/22(木) 19:07:18.15 ID:07j0YKGp0
- (´<_` )「そういえばそうだったな、すまんブーン君」
弟者さんまで?
('、`*川「帰れるよね? ツンちゃんいるし大丈夫よね?」
(;^ω^)「た、多分大丈夫ですお」
('、`*川「おっけー! じゃあ引き返さないといけないからここでバイバイね!」
停まる車。
車を降りる僕。
(´<_` )「では、気をつけてな」
('、`*川「またねー!」
そして、砂煙を上げて走り去る車。
本当に行ってしまった。
とりあえず僕は、クーの家の方へと向かった。
歩きながら、僕は思った。
うまく乗せられた気がするのは気のせいだろうか?
とにかく、歩くしかない。
僕はゆっくりと朝歩いた道を進んだ。
- 20: ◆ECmvgmi7GI :2007/11/22(木) 19:08:49.87 ID:07j0YKGp0
- そして人影が見える。
その特徴的な頭には見覚えがあった。
二つの縦巻きロール。ツンだ。
ペニサスさんを疑っていたわけではなかったが、ツンの姿を見て少し安心した。
僕はツンに駆け寄る。ツンも僕に気がついたらしい。
( ^ω^)「ツン、会えてよかったお」
ξ゚听)ξ「あ、あれ? ペニサスさん達は?」
( ^ω^)「なんか急用を思い出したって言って、帰っちゃったお」
ξ;゚听)ξ「急用? …やられたわ」
ツンが何か呟いたような気がした。
( ^ω^)「? どうかしたのかお?」
ξ゚听)ξ「う、ううん なんでもないわ」
( ^ω^)「そうかお じゃあ帰るかお?」
ξ゚听)ξ「そうね、帰りましょ」
そう言って僕らは並んで歩き出した。
- 22: ◆ECmvgmi7GI :2007/11/22(木) 19:10:25.79 ID:07j0YKGp0
- ( ^ω^)「そういえば、長岡食堂って知ってるかお?」
ξ゚听)ξ「知ってるわよ」
( ^ω^)「弟者さんに連れて行ってもらったんだけど、オムライスがおいしかったお」
ξ゚听)ξ「ええ、あそこのオムライスはおいしいわよね」
( ^ω^)「学校始まったら来いって言われたお 学校近いのかお?」
ξ゚听)ξ「歩いて10分ってとこかしらね」
( ^ω^)「なるほどだお ツンもあそこによく行くのかお?」
ξ゚听)ξ「んー、たまにかしらね 午前中で学校終わる時とか」
( ^ω^)「そうなのかお じゃあ今度一緒に行こうお」
ふと、ツンの歩みが止まった。
驚いたようなその顔は、夕日のせいか赤く見えた。
ξ////)ξ「わ、私と一緒に行くの?」
(;^ω^)「僕はこっちに着たばっかりで友達もいないから…行く人がいないお」
と言った後、もう一人知っている人がいることを思い出した。
( ^ω^)「そうだお クーも一緒に連れて行くお」
- 24: ◆ECmvgmi7GI :2007/11/22(木) 19:12:14.58 ID:07j0YKGp0
- ξ゚听)ξ「…クーも、か そうね」
そう言ってまた歩き出した。
でもなぜか雰囲気が違う。
歩くペースも早い。
(;^ω^)「ツン? どうしたお?」
ξ゚听)ξ「なんでもないわよ」
なぜか冷たく感じた。変なことを言ってしまっただろうか。
(;^ω^)「ツン…なんか会う度に怒らせてるみたいで…ごめんお」
そう言うと、ツンはまた止まった。
ξ;゚听)ξ「え…」
(;^ω^)「まだこれで3回しか会ってないけど、いつも怒らせてる気がするお
僕は友達もできたことなくてこういうのよくわからないけど、
何かが気に障ったなら、ごめんお」
ξ;゚听)ξ「お、怒ってなんかないから謝らないでよ」
ツンが慌てて否定してくれた。
- 26: ◆ECmvgmi7GI :2007/11/22(木) 19:13:58.02 ID:07j0YKGp0
- ξ゚听)ξ「ほんとは…怒る気なんか全然ないの」
話し始めた、ツン。
ξ゚ー゚)ξ「ブーンがあの公園にきた時、昔を思い出したわ」
その背中には、夕日。
ξ゚ー゚)ξ「すごい懐かしくって…あの頃に戻ったのかと思った」
伸びる、僕とツンの影。
ξ゚ー゚)ξ「ブーンが覚えてなかった時は、怒るって言うか…悲しかった」
静かに、風が吹いた。
ξ゚ー゚)ξ「でもね、後になってほんとにブーンが帰ってきたんだって思った時はね?」
夕日のせいだろうか?
ξ////)ξ「ほんとに…すごい嬉しかったんだから…」
赤く染まった彼女は、とても可愛らしかった。
- 27: ◆ECmvgmi7GI :2007/11/22(木) 19:15:39.17 ID:07j0YKGp0
- ( ^ω^)「ツン…」
ξ゚ー゚)ξ「なぁに?」
( ^ω^)「よかったら、友達になってほしいお」
ξ゚听)ξ「…」
(;^ω^)「だ、だめかお?」
ξ////)ξ「ううん…私も、なりたい」
真っ赤になった彼女は、そう言ってくれた。
初めて、友達ができた。
僕は嬉しくて、仕方がなかった。
ξ////)ξ「ね、ねぇブーン?」
( ^ω^)「なんだお?」
ξ////)ξ「携帯番号、教えてくれないかな?」
それは、僕が次に聞こうとしたことだった。
( ^ω^)「もちろんOKだお!」
僕は意気揚々と携帯を取り出した。
- 30: ◆ECmvgmi7GI :2007/11/22(木) 19:17:51.64 ID:07j0YKGp0
- お互いの番号とメールアドレスを交換する。
初めてのことで、少し手間取ってしまった。
ツンにクスリと笑われてしまった。
ξ゚ー゚)ξ「ありがとう」
( ^ω^)「こちらこそだお 暇な時はメールするお」
ξ゚ー゚)ξ「うん 待ってるね」
( ^ω^)「ツンもしてほしいお」
ξ゚ー゚)ξ「私はー、気が向いたらねっ」
そう言って、悪戯っぽく笑う彼女。
きっと、これが普段のツンなんだと思う。
( ^ω^)「おっおっ 今度一緒に長岡食堂で、おっぱいオムライスを食べようお!」
ξ#゚听)ξ「…」
あれ?
( ^ω^)「ツンはおっぱいオムライス、嫌いかお?」
ξ#゚听)ξ「空気よめぇぇぇぇ!」
( ゚ω゚)「アッー!」
ツンのボディブローが、見事に突き刺さった…。
- 32: ◆ECmvgmi7GI :2007/11/22(木) 19:19:21.49 ID:07j0YKGp0
- お腹を押さえながら、僕はツンの少し後ろを歩いていた。
痛かったが、こういうのが友達なんだと思うと、それも嬉しさに変わった。
(;^ω^)「ツン…ごめんお…」
ξ゚听)ξ「いーわよ」
そう言いながらもどんどん先を進む彼女。
僕はもう一つ、言いたいことがあった。
( ^ω^)「ツン」
ξ゚听)ξ「なによ」
前を向いたまま答える。
( ^ω^)「ちょっとあの公園に行きたいんだけど、ついてきてくれるかお?」
ツンの歩みが、少し遅くなった。
ξ゚听)ξ「べ、別にいいわよ」
( ^ω^)「今度はちゃんと一緒に見たくなったんだお」
そしてツンが振り返る。
ξ゚ー゚)ξ「仕方ないわね 付き合ってあげるわよ」
その顔はまた、笑顔だった。
- 33: ◆ECmvgmi7GI :2007/11/22(木) 19:21:17.88 ID:07j0YKGp0
- 怒ったと思えば、すぐに笑顔に。
そうなったと思えば、また怒ってしまう。
ころころと変わる彼女の表情は、とても魅力的だった。
仲良くなったら、とても話しやすかった。
あまり人と話したことがない僕が、自然に話すことができる。
それが不思議だった。
同時にそれが、友達と呼べるものなのかと思った。
僕は弟者さんとジョルジュさんを思い出す。
ツンは女の子だが、大人になってもあんな風に話せれたらいいなと思う。
ゆっくりと、陽が沈んでいく。
だけど、ツンの笑顔は眩しいままだった。
( ^ω^)「そういえば、ツン」
ξ゚听)ξ「うん?」
( ^ω^)「明日は空いてるかお?」
ξ゚听)ξ「学校始まるまでは何もないけど、何かあるの?」
( ^ω^)「転入手続きに学校にいかないといけないんだお
だからよかったら付き合ってほしいんだお」
- 35: ◆ECmvgmi7GI :2007/11/22(木) 19:22:53.14 ID:07j0YKGp0
- ξ////)ξ「わ、私でよければついてってあげてもいいわよ! ひ、暇だし…」
( ^ω^)「よかったお! じゃあ明日の朝からよろしく頼むお」
ξ゚ー゚)ξ「わかった」
初めての友達との約束。
それだけで、嬉しかった。
いつの間にか、公園の近くまで来ていた。
大きな桜の木が目立つ。
( ^ω^)「ちょっと暗くなってきちゃったお」
ξ゚听)ξ「そうねー 夕飯までには帰らないと」
( ^ω^)「まぁ見たかっただけだから問題ないお」
そうして僕らは公園に入った。
昨日来た時は真っ暗でよくわからなかったが、いくつかの遊具が目に入る。
それがなぜか、寂しそうに見えた。
桜に目を移し、近づく。
- 37: ◆ECmvgmi7GI :2007/11/22(木) 19:25:04.95 ID:07j0YKGp0
- すでに薄暗かったが、昨日よりは桜がよく見えた。
風に揺れる。大きさのこともあり、その姿は雄々しい。
ツンも僕に並んで、桜を見上げていた。
( ^ω^)「この木の下で、昔ツンと遊んだんだおね?」
ξ゚听)ξ「そうね 楽しかったわ」
( ^ω^)「やっぱり何も思い出せないお…」
ξ゚ー゚)ξ「もういいってば」
( ^ω^)「でもなんか悪いお」
ξ゚听)ξ「いいって言ってるでしょ!」
(;^ω^)「ご、ごめんお ツンはすぐ怒るお」
ξ゚听)ξ「あんたが怒らせてるんでしょ…あっ」
( ^ω^)「? どうしたお?」
僕は視線をツンに向ける。
その横顔は桜を見上げたままだった。
- 38: ◆ECmvgmi7GI :2007/11/22(木) 19:26:35.14 ID:07j0YKGp0
- ξ゚听)ξ「あそこ…桜が咲いてる…」
( ^ω^)「ほんとかお? どこだお?」
ξ゚听)ξ「ほらあそこ」
( ^ω^)「よく見えないお」
ツンの視線を知る為に、少し足を曲げ、ツンに近づいた。
そして、ツンの伸ばす手の先をよく見る。
そこには…。
( ^ω^)「お! あったお! 一つだけ咲いてるお!」
ξ゚听)ξ「でしょ! 遅咲きって言ってたけど、最近暖かかったからかなぁ…」
( ^ω^)「この調子だと、どんどん咲きそうだお」
ξ゚ー゚)ξ「そうね 咲いたらクーも呼んで、お花見でもしましょ」
それはいい考えだ、と言おうとし、ツンの方を向いた。
目の前に、とても近くに、ツンの可愛い横顔があった。
- 40: ◆ECmvgmi7GI :2007/11/22(木) 19:28:01.38 ID:07j0YKGp0
- ξ゚听)ξ「? ブーンどうし……」
そしてツンもこっちを向いた。
近い。とても近い。
まさに目と鼻の先。
そのまま固まってしまう二人。
咲いている桜を探すのに夢中で、いつの間にかこんなに近づいてしまっていたらしい。
なぜか、動けない。
なんとなく、ツンの顔が赤くなっている気がする。
(;^ω^)「ツ、ツンさん」
ξ;゚听)ξ「な、なによ」
(;^ω^)「気がついたら近づきすぎてたお」
ξ;゚听)ξ「そ、そう じゃあ早く離れなさいよ」
(;^ω^)「う、うーんでも…」
ξ;゚听)ξ「でも?」
気まずくて、とりあえず思ったことを言おうとした。
- 42: ◆ECmvgmi7GI :2007/11/22(木) 19:29:34.91 ID:07j0YKGp0
- ( ^ω^)「ツン…いい匂いがするお」
ξ////)ξ「−−−−ッ!」
( ゚ω゚)「アオォォー!」
僕が台詞を言い終えた、瞬間。
ツンの放った見事なコークスクリューが、僕の顔面を捉えていた。
そのまま吹っ飛び、大の字に倒れる僕。
ξ////)ξ「へ、変なこと言うなバカーーー!!」
そう言い残し、走り去っていくツン。
そんなに変なことを言ってしまったのだろうか。
またしても、公園には僕と桜だけ取り残されてしまっていた。
風に揺れる桜は、なんだか笑っているように見えた。
………。
……。
…。
- 44: ◆ECmvgmi7GI :2007/11/22(木) 19:31:30.01 ID:07j0YKGp0
- ───同日 17:32 ツン・デレ───
思い出すだけで顔が熱くなる。
ブーンがあんな近くに、いた。
本当に目と鼻の先。息がかかるくらいの距離。
驚いて、頭の中が真っ白になって、体が動かなくなった。
そしてブーンの言葉。
あれで恥ずかしさが爆発して…またやってしまった。
怪我、してないかな…。
で、でも、変なこと言うブーンが悪いんだから!
私は深呼吸をして、ゆっくりとブーンのことを思い出す。
ブーンと友達になれた。
そして、念願だった電話番号も登録できた。
今日はいいことばかりだ。
それに明日は、一緒に学校へ行くことになった。
これってデートなんじゃないだろうか?
そう思うとまた顔が熱くなったのを感じたから、考えるのをやめた。
そういえば、結構本気で殴ってしまったことを思い出した。
…大丈夫だろうか。
私は公園に戻ることにした。
- 46: ◆ECmvgmi7GI :2007/11/22(木) 19:33:12.45 ID:07j0YKGp0
- 辺りはもうかなり暗くなっていた。
途中誰ともすれ違っていなかったから、まだブーンはいるはずだ。
私は足早に公園へ向かった。
今日二度目の公園を訪れる。
そこで彼は、桜を見上げていた。
ξ゚听)ξ「ブーン!」
私は声をかける。
( ^ω^)「おっ 戻ってきたのかお?」
顔だけこちらに向けて、返事をした。
ξ゚听)ξ「ちょ、ちょっと心配になって」
( ^ω^)「僕はこの通り、平気だお」
そう言って、今度は体ごとこちらを向く。
ξ゚听)ξ「う、うん ごめんね?」
私はとりあえず謝った。
- 47: ◆ECmvgmi7GI :2007/11/22(木) 19:34:50.41 ID:07j0YKGp0
- ( ^ω^)「僕も変な事言って悪かったお」
悪いのは私の方なのに。
少し胸が痛くなった。
ξ゚听)ξ「気にしなくていいわよ」
( ^ω^)「ありがとうだお」
優しい人。
ξ゚听)ξ「そろそろ帰らない? もう真っ暗になっちゃうし」
( ^ω^)「そうするかお」
そう言ったブーンは、もう一度桜を見上げた。
私も桜を見て、別れを告げた。
( ^ω^)「じゃあ帰るお」
ξ゚ー゚)ξ「うん」
来た時と同じ様に、私とブーンは並んで歩き出した。
- 50: ◆ECmvgmi7GI :2007/11/22(木) 19:36:41.42 ID:07j0YKGp0
- その時少し強い風が吹き、桜が大きくざわざわと揺れた。
その音が、「またね」といっているような気がした。
もう暗くなった道を、並んで歩く。
昔、よくこんな時間に二人で帰って、怒られたのを思い出す。
私だけが、覚えていること。
( ^ω^)「明日は何時くらいに行くかお?」
不意に、ブーンに話しかけられた。
ξ゚听)ξ「そうねー お昼前に着くの考えて、10時すぎには出たいわね」
( ^ω^)「把握したお じゃあ10時にツンの家に行くお」
ξ*゚听)ξ「い、いいわよ! 私がブーンの家に行く!」
( ^ω^)「そうかお? じゃあ待ってるお」
男の子が家になんかきたら、両親になんて言われるかわかったもんじゃない。
まぁ…ブーンなら平気だろうけど。
でもなんか迎えにこられるのが恥ずかしかったから、却下。
- 51: ◆ECmvgmi7GI :2007/11/22(木) 19:37:55.25 ID:07j0YKGp0
- ( ^ω^)「それじゃ、また明日だお」
ξ゚ー゚)ξ「うん またね」
公園からは、私の家の方が近い。
先に着いた私の家の前で、ブーンと別れた。
しばらく、ブーンの背中を見送っていた。
ふと、携帯を開き、ブーンの名前を呼び出す。
そこにはしっかりと、番号とメールアドレスが登録されていた。
嬉しくなって思わず笑ってしまう。
私は満足して家に入る。
明日は朝から、二人で学校に行く。
今の私には、それが楽しみで仕方がなかった。
唯一の不安は、ちゃんと寝れるかどうか…かな。
………。
……。
…。
- 52: ◆ECmvgmi7GI :2007/11/22(木) 19:39:19.95 ID:07j0YKGp0
- ───同日 23:29 ペニサス───
(´<_` )「何を考えてるんだ?」
私と一緒に横になっている恋人が、そう問いかけてきた。
('、`*川「ツンちゃんのこと」
私は天井を見つめながら答えた。
考え事をしているのがわかったあたり、流石だ。
(´<_` )「うまくやってるといいな」
('、`*川「ん…」
はずれ。
うまくいってるかどうかは、気にしていなかった。
きっと大丈夫だと、思っていたから。
今朝会ったあの子の嬉しそうな瞳をみていれば、わかる。
昔から疑問に思っていたことがあった。
あの子の瞳には、どこか寂しげな色があった。
今朝その色は、消え失せていた。
- 53: ◆ECmvgmi7GI :2007/11/22(木) 19:40:36.87 ID:07j0YKGp0
- 前に公園の桜の下で一度だけ話してくれた。
ずっと好きな人がいる。
そしてここで、私にとっては大切な約束をした、と。
ブーン君はそれを覚えているんだろうか?
今日会った時に聞いてみたくなったが、そこは私が立ち入る場所じゃないからやめた。
横を向き、恋人の顔を見る。
それに気づいた恋人も、私を見る。
(´<_` )「どうした?」
不思議そうな顔をしている。
('、`*川「なんでもないわよ」
私は静かに笑い、キスをした。
頑張れ、ツンちゃん。
………。
……。
…。
- 54: ◆ECmvgmi7GI :2007/11/22(木) 19:41:30.94 ID:07j0YKGp0
少年に、初めて友達ができた。
それは少女の望みでもあった。
少しずつ、確実に進展していく二人。
しかし、閉ざされた少年の記憶は、
やはり戻ることはなかった。
果たして記憶が戻ることはあるのだろうか?
桜の木は、静かに揺れている。
続く……。
戻る/第五話