( ^ω^)桜舞い散る中に忘れた記憶が戻ってくるようですξ゚听)ξ

56: ◆ECmvgmi7GI :2007/11/26(月) 20:07:17.43 ID:IMVdbL740



   ( ^ω^)桜舞い散る中に忘れた記憶が戻ってくるようですξ゚听)ξ



             ───『番外編』───




   ( ゚∀゚)桜舞い散る中に忘れた記憶が戻ってくるようです从 ゚∀从



57: ◆ECmvgmi7GI :2007/11/26(月) 20:08:55.78 ID:IMVdbL740
从 ゚∀从「また喧嘩か?」

ハインが横たわる俺の顔を覗き込み、そう言った。
またとは失礼な奴だ。まぁそうだけど。
俺は上半身を起こし、ハインを見る。

(メメ゚∀゚)「そーだよ」

ぶっきらぼうに返事をした。

从 ゚∀从「いつもよくやるねぇ その傷、もしかして負けた?」

(メメ゚∀゚)「うるせーよ」

図星をつかれ、少し腹が立った。
さすがに、8人相手は厳しかった。

从 ゚∀从「で、大丈夫か?」

(メメ゚∀゚)「だーいじょーぶっと」

言いながら、立ち上がる。



58: ◆ECmvgmi7GI :2007/11/26(月) 20:11:11.32 ID:IMVdbL740
从 ゚∀从「手当てはいいのか?」

(メメ゚∀゚)「こんくらい、すぐ治る バイトいかねぇと」

从 ゚∀从「……あんまり、無理するなよ」

ハインの声に片手を上げて応え、俺は屋上を後にした。

あいつとは幼馴染みで、ガキの頃からよく一緒にいた。
そのまま去年同じ高校に入学。腐れ縁ってやつ。

歩くたびに少し怪我が痛む。ふと、ハインの心配してた顔が浮かんだ。
このくらいの怪我なら慣れっこだ。
別に荒れてるわけじゃないのだが、売られた喧嘩を全部買っていたら、
何かと絡まれるようになった。

…きっと俺は悪くない。
でもハインに心配かけるようになったのは。悪い気がした。



59: ◆ECmvgmi7GI :2007/11/26(月) 20:15:36.20 ID:IMVdbL740
グラウンドの水道で乱暴に顔を洗い、鉄の味が気持ち悪かったから口をゆすぐ。
そのままチャリに跨って、バイト先へと向かった。

俺には料理人になる夢がある。
ってことで、修行の意味で洋食屋でバイトをしていた。
小さい頃、そこで食ったオムライスが忘れられなくて…そのまま夢になってしまった。
単純だと思うが、俺は夢なんかそんなもんだと思う。

店に着き、裏口から中に入る。
厨房は夜のピークに向けて下ごしらえの真っ最中だった。
俺は料理長兼経営者のおやっさんに挨拶をする。

( ゚∀゚)「おはよーございまーす」

(`・ω・´)「おう、ってお前、また喧嘩か?」

おやっさんはハインと同じ台詞を言った。

…そんなにひどい顔してるのかな、俺。



60: ◆ECmvgmi7GI :2007/11/26(月) 20:19:40.79 ID:IMVdbL740
( ゚∀゚)「まぁ、なんか手伝いますよおやっさん」

(`・ω・´)「仕事中はシャキンと呼べと言っただろう
       まぁ大丈夫ならいいが…そこのジャガイモむいてくれ」
       
( ゚∀゚)「わかりましたっと」

おやっさん…シャキンさんは、俺の夢を決めるオムライスを作った人だ。
中学の時そのことを話して、弟子にしてくれと1ヶ月店に通った。
俺の熱意は通じ、晴れてここでお世話になることになった。

皿洗いから卒業して、今はこういう野菜のしたごしらえをさせてもらえるようになった。
次の段階はいつだろうかと思ってるが、下積みが大事なことも、勿論わかってる。
だから俺は、毎日与えられた仕事を黙々と繰り返す。

夢に向かって一直線って、なんかかっこよくね?

ガラじゃないけどな。

………。
……。
…。



63: ◆ECmvgmi7GI :2007/11/26(月) 20:21:39.95 ID:IMVdbL740
(´<_` )「お前も大変だな」

('、`*川「同情します…」

从;゚∀从「やめろ そんな目で私を見るな」

友達と友達の彼女に同情の目で見られた。
ジョルジュと別れた後、帰る途中で一緒になり、適当な喫茶店に入って、今に至る。
空気嫁って思うが、誘ったのは向こうだ。その辺は気にしない。

('、`*川「もっと強気に押せばいいんじゃないですか?」

(´<_` )「といってもあいつは強がる一方なんだろうけどな」

从 ゚∀从「まぁ…ねぇ…」

('、`*川「きっと照れてるんですよ 可愛いじゃないですか」

从 ゚∀从「そうなのかねぇ…」

そうは思えない。私は少し薄くなったアイスティーを飲む。



64: ◆ECmvgmi7GI :2007/11/26(月) 20:23:37.61 ID:IMVdbL740
('、`*川「絶対そうです 私なんかおっぱいしか言われませんよ」

(´<_` )「というか、ハイン以外おっぱいしか言わないよな」

('、`*川「だね…私の友達にも言ってた…」

从#゚∀从「胸がないからな私は」

そう。悲しいほど、胸がなかった。
ジョルジュにおっぱいなんて言われたことがない。
密かにそれが、私には寂しい。

(´<_` )「まぁ」

言い始めた弟者を見る。

(´<_` )「これは男の勘だが、きっと大丈夫さ」

从 ゚∀从「大丈夫って何が?」

(´<_` )「告白しても、大丈夫だ」



65: ◆ECmvgmi7GI :2007/11/26(月) 20:25:56.49 ID:IMVdbL740
从;゚∀从「こっこくは─……」

ぶっ飛びすぎた内容に、一瞬わけがわからなくなった。
いきなり何言い出すんだコイツは。

从;゚∀从「な、なんでそうなんだよ?」

(´<_` )「なんでって…好きなんだろ?」

从;゚∀从「言ってねぇし!」

('、`*川「気づかない方がおかしいと思うんです…」

从;゚∀从「……」

顔から火が出そうだった。

結局その日は、まともに話せる状態じゃなくなり、私は二人と別れた。
あの二人は、本当に仲がいい。

正直、羨ましかった。



66: ◆ECmvgmi7GI :2007/11/26(月) 20:27:59.90 ID:IMVdbL740
私が、恋なんてな。
私を知ってる人が聞いたら、大笑いするだろう。

いつからこの気持ちに気づいたのかは、よく覚えていない。
気がついたらもう、好きになっていた。

ジョルジュのことが。

あんなおっぱいマニアに惚れるなんて、我ながら趣味が悪い。
そんなことを考え、笑みが漏れた。

私は空を見る。
春に入ったせいか、陽が落ちるのが遅くなった気がする。

見えるのは、赤い夕日。
私の顔も、多分、赤い。

………。
……。
…。



67: ◆ECmvgmi7GI :2007/11/26(月) 20:31:16.66 ID:IMVdbL740
( ゚∀゚)「そう……ですか」

( ´∀`)「すまない…でも今回はどうにもならないんだ」

( ゚∀゚)「いいえ、わかりました」

( ´∀`)「…すまん…」

( ゚∀゚)「やめてください ありがとうございます、お世話になりました」

そう言って、俺は応接室を後にした。

(´<_` )「ジョルジュ…」

( ゚∀゚)「いたのか弟者」

(´<_` )「今の話はほんとなのか?」

( ゚∀゚)「ああ なんか喧嘩売ってきた奴の中に、教育なんとかだかの息子がいたらしい」

弟者は、何も言わなくなった。

( ゚∀゚)「どーやら、退学決定だ」



69: ◆ECmvgmi7GI :2007/11/26(月) 20:34:11.42 ID:IMVdbL740
(´<_`#)「なんでだッ! お前は売られた喧嘩を買っただけだろう?!」

( ゚∀゚)「そーなんだけどな まぁ喧嘩する限りこういうこともあるんじゃね?」

(´<_`#)「馬鹿らしくないのか?! そのまま受け入れるつもりか?!」

( ゚∀゚)「どーしようもねぇだろ」

(´<_`#)「なんならそいつを捕まえて…!」

( ゚∀゚)「やめろよ 殴られない限り、手はださねぇよ」

(´<_` )「……」

( ゚∀゚)「サンキューな それだけで嬉しいわ」

(´<_` )「……ハインは…知ってるのか?」

( ゚∀゚)「あー…言ってねぇ」

(´<_` )「きっと泣くぞ」

( ゚∀゚)「あいつが? そんなタマかよ」



70: ◆ECmvgmi7GI :2007/11/26(月) 20:36:32.04 ID:IMVdbL740
(´<_` )「伝えてくるぞ 今すぐ」

( ゚∀゚)「…わかったよ 俺は帰るぞ」

俺の言葉の後、弟者はすぐに走っていった。
まぁ、俺だって気に食わない部分はあるけど、こうなったらどうしようもない。
むしろ、俺はこの結果を心のどこかで望んでいたのかもしれない。
これで、朝から晩まで料理のことに専念できる。
まぁ勉強もろくにしてなかったから、変わらないか…。

親父とお袋には、きっとぼこぼこにされるだろうな…。
まぁ多分、話せばわかってくれる。
面倒なことになりそうだから、お偉いさんの息子を殴ったことは黙っておこう。

色々考えながら、下駄箱で靴を履いて、1年と少し通った短い桜並木を進む。
もうここを歩くことも、きっとないんだろうな。
そう思うと、少し寂しい気がした。

いざとなると、やっぱり感慨深い物が─……

   
       「ジョルジュ!!」
       
       
背中にかかった大声に、俺は思考を遮られた。



72: ◆ECmvgmi7GI :2007/11/26(月) 20:39:11.68 ID:IMVdbL740
( ゚∀゚)「おいおい 今授業中だろ?」

背中を向けたまま、そう言う。

   「ほんと…か?」

後ろを見なくても、誰かはわかる。

( ゚∀゚)「弟者に聞いたんだろ? 全部その通りだ」

   「…! なんで…」

( ゚∀゚)「なんでって、仕方ねーだろ」

   「……」

しばしの、沈黙。
なんとなくその場に居辛くなった。

( ゚∀゚)「んじゃそういうことで、俺は帰るぞ」

そう言って、背を向けたまま歩き出そうとした、その時。

   「私も……やめる」



74: ◆ECmvgmi7GI :2007/11/26(月) 20:41:34.51 ID:IMVdbL740
その言葉を聞いて、俺は振り向いた。

(;゚∀゚)「はぁ? お前何言ってんの?」

从 ∀从「ジョルジュがいないなら…私もやめる」

(;゚∀゚)「お、落ち着けよ」

从 ∀从「……き…なの…」

よく、聞き取れなかった。
風が吹く。桜の枝が揺れ、ざわざわと音を立てる。

( ゚∀゚)「今なんて─…」



从 ;∀从「好きなの! ジョルジュのことが!!」



77: ◆ECmvgmi7GI :2007/11/26(月) 20:44:05.50 ID:IMVdbL740
ハインの叫びとともに強い風が吹き、桜が舞い散る。
桜はそのままひらひらと、俺とハインに降り落ちる。


从 ;∀从「だから……ついてっ…」


泣いている。幼い頃からいつも一緒だった、ハインが。
いつも生意気で、憎たらしくて、男口調で、可愛げのない、ハインが。


( ゚∀゚)「なぁ、ハイン」


从 ;∀从「…っく……?」


( ゚∀゚)「俺がなんで、お前だけ名前で呼ぶか、わかるか?」


ハインは、泣いたままだ。


俺は言葉を続ける。



78: ◆ECmvgmi7GI :2007/11/26(月) 20:45:07.01 ID:IMVdbL740







( ゚∀゚)「おっぱいよりも、お前が好きだからだ」








81: ◆ECmvgmi7GI :2007/11/26(月) 20:47:41.50 ID:IMVdbL740
瞬間、ハインが駆け出し、俺の胸に飛び込んできた。
そして、がむしゃらに泣いた。

( ゚∀゚)「なぁ、なんか今思い出したんだけど」

泣き続けるハインを、そっと抱き締める。

( ゚∀゚)「先生になりたいって、言ってたよな?」

一瞬、ハインの震えが止まった気がした。

( ゚∀゚)「だったらお前、学校やめんな」

抱き締める腕に、力を入れる。

( ゚∀゚)「俺も夢に向かうから、一緒に進もうぜ?」

そしてまた、ハインは震えて、泣いた。

小さな掠れた声で、わかったと言ったのが聞こえた。

もう泣くなよ?服が濡れるじゃねぇか。

しょうがねぇな、今だけだぞ? 泣き止むまで、こうしててやる。

………。
……。
…。



87: ◆ECmvgmi7GI :2007/11/26(月) 20:49:10.96 ID:IMVdbL740
( ゚∀゚)「というフィクションだ」

(;^ω^)「フィクションなのかお!?」

真剣に聞き入ってた僕は、拍子抜けしてしまった。
食べかけのオムライスを口に運ぶ。少し冷めてしまった。

( ゚∀゚)「俺がそんなこと言うわけないだろ? 想像できるか?」

(;^ω^)「いやまぁなんていうか…」

(#゚∀゚)「お前失礼だな 今度おっぱい連れてこいよ」

(´<_` )「自分で振ってそれはないだろう」

( ^ω^)「弟者さん、今の話は本当なんですかお?」

(#゚∀゚)「フィクションっつっただろ!」

そう言って、ジョルジュさんがまた怒り出した。
その時、弟者さんが笑いながら、静かに……言った。



(´<_` )「桜に聞けば、わかるんじゃないか?」




終わり。



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