( ^ω^)桜舞い散る中に忘れた記憶が戻ってくるようですξ゚听)ξ

52: ◆ECmvgmi7GI :2008/05/15(木) 20:34:23.63 ID:s1FhlFn+0



   ( ^ω^)桜舞い散る中に忘れた記憶が戻ってくるようですξ゚听)ξ



               ───『番外編』───




    (´<_` )桜舞い散る中に忘れた記憶が戻ってくるようです('、`*川



53: ◆ECmvgmi7GI :2008/05/15(木) 20:36:17.54 ID:s1FhlFn+0

('、`*川「はぁ…」

ひたすら続く田舎道を歩きながら、私は大きく溜め息をついた。
まったく、この町は住みにくい。
地名こそ町なんだけど、村と呼んでもまったく違和感がない。

確かに野菜はおいしいし、水も空気もおいしい。
でも利便性なんてあったもんじゃない。
駅ができるって聞いたけど、それもいつになることやら。

('、`*川「やっぱり都会の方がなぁ……」

返事はないのはわかってたけど、呟いた。
私くらいの年頃の子なら、皆そう思うんじゃないだろうか?

中学にあがって、一人で都会に行くことが多くなった今、毎日そう思うようになった。
友達は皆街に住んでるし、こんな町じゃ出会いもない。

考えれば考えるほど、この田舎が嫌になってきた。



54: ◆ECmvgmi7GI :2008/05/15(木) 20:38:49.59 ID:s1FhlFn+0

('、`*川「えーっと、ここだっけ?」

母にお使いを頼まれた私は、目的の家についた。
流石さんの家に野菜をおすそ分け。

表札を見る。そこには流石の二文字。
うん、合ってる合ってる。

('、`*川「ごめんくださーい」

私は玄関で大きく声を出す。
暫く待っていると、玄関から男の人が出てきた。

( ´_ゝ`)「む……キミは…」

('、`*川「えっと、お電話したと思うんですけど、伊藤です」

沈黙。

玄関から出てきた男の人は、じっと私を見つめている。
なんだか怖い……。



55: ◆ECmvgmi7GI :2008/05/15(木) 20:40:24.45 ID:s1FhlFn+0

( ´_ゝ`)「キミいくつ?」


へ?


('、`*川「今年で13ですけど…」

( ´_ゝ`)「OK 許容範囲だ」

……何を言ってるんだろうこの人は。

('、`*川「えーとー野菜をですねー」

(*´_ゝ`)「野菜! なんと卑猥な!」

なんだろう、この人がしゃべってる漢字が難しくて、よくわからない。

よくわからないけどなんだか物凄く怖くなってきた。

その時、私の脇を黒い影が通り抜け、男の人に覆いかぶさった。



56: ◆ECmvgmi7GI :2008/05/15(木) 20:41:49.53 ID:s1FhlFn+0


\\
 \\\  @@@  兄者!
   (⌒\@# _、_@ 変な事してるんじゃないだろうね!?
    \ ヽヽ(  ノ`)
     (mJ  ^ ⌒\
      ノ ∩  / /
      (  | .|∧_∧ OKOK。
  /\丿 | (    )母者マテ!ときに落ち着けって!
  (___へ_ノ ゝ__ノ



58: ◆ECmvgmi7GI :2008/05/15(木) 20:43:59.67 ID:s1FhlFn+0

呆然と、それを見つめていた。
見る間に男の人の顔の形が変わっていく。

怖い…。

('、`*川「あ、あの…」

私は思い切って声をかけた。

、@#_、_@
 (  ノ`)「ああ、ごめんね 伊藤さんのとこの子だね?」

('、`*川「は、はい あの、野菜を…」

、@#_、_@
 (  ノ`)「ありがとね こいつが変な事しないでよかったよ」
 
そう言いながら、ぐったりと倒れてる男の人を蹴る。
……死んでないだろうか。

('、`*川「あの、それじゃ私はこれで」

、@#_、_@
 (  ノ`)「ああ、ちょっと待ってね 弟者ー!」



59: ◆ECmvgmi7GI :2008/05/15(木) 20:45:27.58 ID:s1FhlFn+0

ものすごい女の人がそう呼ぶと、また男の人が現れた。

(´<_` )「どうした母者」

、@#_、_@
 (  ノ`)「この子を送ってあげな」
 
(´<_` )「なんだかよくわからんが把握した」

('、`*川「あ、あの、私は大丈夫ですけど…」

、@#_、_@
 (  ノ`)「こいつみたいな変態がいたら危ないから、念のためにね」
 
('、`*川「は、はぁ…」

私は母者さんの迫力に押され、好意を受ける事にした。

(´<_` )「それじゃ、行こうか」

('、`*川「あ、はい それじゃあ失礼します」



一言母者さんに言い頭を下げて、私達は流石さんの家を後にした。
60: ◆ECmvgmi7GI :2008/05/15(木) 20:47:28.40 ID:s1FhlFn+0

男の人と、並んで歩く。沈黙が続いた。

('、`*川「あの…」

沈黙に耐えられなかったので、私は話しかける事にする。

(´<_` )「ん?」

('、`*川「あの人、大丈夫なんですか?」

(´<_` )「兄者か あのくらい日常茶飯事だから安心してくれ」

あんなことを毎日されているのか。
想像するとぞっとする。

('、`*川「あ、私、ペニサスって言います」

なんとなく、自己紹介をしてみた。

(´<_` )「俺は弟者だ よろしくな」

こっちを見ないで、答えた。
見た感じ、歳は近そうだ。
私は色々聞いてみることにした。



61: ◆ECmvgmi7GI :2008/05/15(木) 20:48:59.81 ID:s1FhlFn+0

('、`*川「高校生…ですか?」

(´<_` )「ああ 1年だ ペニサスさんは?」

('、`*川「私は中学1年生、12歳です」

思ったより年上だった。
でも歳が近い人がいたのは、嬉しかった。

('、`*川「この辺、退屈ですよね」

歳が近いならわかってくれるだろうと、私は思っていた不満を投げかける。

('、`*川「コンビニもないし…人も少ないし…」

(´<_` )「俺は好きだけどな」

でもその返事は、期待していたものじゃなかった。

(´<_` )「のどかで良い所だと思うぞ?」

('、`*川「そうですか? 私は退屈ですけど」



64: ◆ECmvgmi7GI :2008/05/15(木) 20:50:45.47 ID:s1FhlFn+0

(´<_` )「街に引っ越した友達がいるんだ」

もう大分前だけどな、と付け加えた。

('、`*川「はぁ」

(´<_` )「そいつが言ったんだ やっぱそっちのがいいわってね」

意外だった。私くらいの年の人は皆同じことを考えていたと思っていたのに…。

(´<_` )「意外だろう? 俺もそうだった」

('、`*川「まぁ…人それぞれですし」

賛同者が得られなかったことで、少しどうでもよくなった。

(´<_` )「都会には都会の、田舎には田舎のいい所がある
       それでいいんじゃないか?」
       
確かに、どちらもいいとこもあれば悪い部分もある。
それを天秤にかけた場合、きっと私は都会の方が重くなるだろう。

(´<_` )「少し、寄り道しないか?」



66: ◆ECmvgmi7GI :2008/05/15(木) 20:52:19.05 ID:s1FhlFn+0

急に、弟者さんがそう提案をした。
私は少し考え…。

('、`*川「どうせ暇ですし、いいですよ」

それに賛成することにした。


時間は丁度、お昼頃だろうか。
太陽が、高い。
天気が不安定な初夏の空は、珍しく一面青空だった。
こんな青空でも、急に大雨になったりする。

乾いた風が、頬を撫でる。
その風に、さわさわと草が揺れる。
その音は心を落ち着かせてくれた。

こういう所は、ちょっと好きだ。

………。
……。
…。



67: ◆ECmvgmi7GI :2008/05/15(木) 20:53:30.06 ID:s1FhlFn+0

(´<_` )「ここだ」

着いた場所は、古びた公園だった。
私の家から、さほど離れていない所にあった。
でもこんな所にきた事はない。

公園の真ん中には、青々とした葉っぱを茂らせた、1本の大木。

(´<_` )「夏じゃわかりにくいけど、あれは桜なんだ」

私がその木を見ているのがわかったのだろう。
弟者さんはそれが桜だと教えてくれた。

('、`*川「大きいですね」

素直に思ったことを口にした。

(´<_` )「ああ、桜が咲くとなかなか見事だぞ」

それは思う。
こんな大きな桜の木は、見たことがなかった。

(´<_` )「さっきの話の続きだけどな」



68: ◆ECmvgmi7GI :2008/05/15(木) 20:55:42.23 ID:s1FhlFn+0

(´<_` )「田舎には田舎のいいとこがある
     そう考えた俺はこの町を歩いてみたんだ」
       
緑の衣を纏った桜を見上げながら、弟者さんの話を聞く。

(´<_` )「山にも入ってみた 迷子になって半泣きだったが」

そう言って、苦笑した。
私もくすりと笑みがこぼれる。

(´<_` )「やっと出た所で…」

弟者さんが、桜を見上げた。

(´<_` )「こいつがあったんだ」

ざぁっ…と、桜が風に揺れた。
花が咲いている時には、風で散ってしまうか心配になるけど、
葉しかない今の姿ではその心配もなく。

葉が擦れる音が、とても心地よかった。



70: ◆ECmvgmi7GI :2008/05/15(木) 20:57:04.33 ID:s1FhlFn+0

(´<_` )「あの時は桜も満開でな」

見てみたい。素直にそう思った。

(´<_` )「綺麗だったぞ 見上げると、青いキャンバスにピンクの桜が描かれたみたいで」

頭の中で、思い描く。

(´<_` )「散って舞う花弁が、ピンクの雪のようだった」

……なんて、素敵なのだろう。

(´<_` )「なんて、ちょっと大袈裟だったかな」

そう言ってまた、苦笑する。

('、`*川「…そんなことないですよ」

そんなこと、ない。
目の前を桜を見て、その情景が鮮明に浮かぶ。

ああ…なんて綺麗なんだろう…。



71: ◆ECmvgmi7GI :2008/05/15(木) 20:59:05.78 ID:s1FhlFn+0

(´<_` )「ああ…なんて綺麗なんだろう…」

私が思った事と同じ台詞を聞いて、驚いた。

(´<_` )「その時の俺はそう思った もしかしたら、口に出ていたかもな」

('、`*川「…出していたと、思いますよ」

(´<_` )「ははっ そうかもしれないな」

顔を見合わせ、笑う。
そしてまた、桜を見上げる。

(´<_` )「その時、この町のいい所に気付いたんだ」

('、`*川「……」

静かに、耳を傾ける。

(´<_` )「それは、『自然』だ」

('、`*川「自然…」



72: ◆ECmvgmi7GI :2008/05/15(木) 21:00:58.50 ID:s1FhlFn+0

(´<_` )「水や緑が綺麗だったり、野菜がおいしかったり…
     それは全部、自然のおかげだ」
       
(´<_` )「都会には、それがない」

風に揺られ、緑が歌う。

(´<_` )「多少は都会にもあるが、この町みたいな溢れるほどの自然はない」

(´<_` )「その自然と共存できるだけで、素晴らしい事だと思わないか?」

目を閉じ、風に撫でられ、草木の歌に耳を傾ける。

自然と共存……か。

('、`*川「私には…まだよくわかりません」

目を閉じたまま、言う。

(´<_` )「感性は人それぞれだ、正解は自分が選んだ道だと思うぞ」

……。



74: ◆ECmvgmi7GI :2008/05/15(木) 21:02:02.92 ID:s1FhlFn+0

('、`*川「弟者さん」

(´<_` )「ん?」

('、`*川「台詞がクサいです」

(´<_` )「それはすまなかった つい思った事を言ってしまう性質でな」

('、`*川「…ふふっ…」

見たいと思った。この桜が咲いている所を。

見たいと思った。弟者さんと一緒に。

もっともっと、見たいと思った。


この町の自然を。


弟者さんと、一緒に──。

………。
……。
…。



75: ◆ECmvgmi7GI :2008/05/15(木) 21:03:28.27 ID:s1FhlFn+0

('、`*川「それから半年後くらいかなー? 付き合いだしたの」

( ^ω^)「半年後…」

ξ ゚听)ξ「その時ペニサスさんはまだ12歳…」

僕とツンは静かに視線を弟者さんに向ける。

('、`*川「このロリコンが」

( ^ω^)「血は争えないお…」

(´<_`;)「なんとでも言ってくれ」

僕達四人は長岡食堂へ昼食をとりに来ていた。
料理を待つ間に、弟者さんとペニサスさんの昔話を聞かせてもらい…。
今に至る。

( ゚∀゚)「お待ちィー」



76: ◆ECmvgmi7GI :2008/05/15(木) 21:04:45.73 ID:s1FhlFn+0

すると、ジョルジュさんが出来立てのオムライスを持ってやってきた。
それを各自の前に置き、

( ゚∀゚)「まぁいいじゃねーか、おっぱいついてれば」

どうやら会話が聞こえていたようだ。

('、`*川「相変わらずですね…」

( ゚∀゚)「小さくてもおっぱい、大きくてもおっぱいだ」

从 ゚∀( ゚∀゚)「おっぱいがついてる!おっぱいは正義!それだけで付き合うr…」

从 ゚∀从「少し黙れ」

(;゚∀゚)「はい…」

小さくなったジョルジュさんは、ハイン先生に厨房へと連れられていった…。

合掌。



77: ◆ECmvgmi7GI :2008/05/15(木) 21:06:01.11 ID:s1FhlFn+0

( ^ω^)「素敵なお話を聞かせていただきましたお」

ξ ゚听)ξ「うん 羨ましくなっちゃった」

('、`*川「あらあら、そんなこと言っても何もでないわよ?
     弟者がおごってくれるかもしれないけどー?」
     
(´<_` )「はいはい、わかりましたよ」

食卓を囲い、和やかな談笑がこぼれる。

皆それぞれに、思い出がある。

僕にもこんな、素敵な思い出を作ることができるだろうか。

話の中の弟者さんの言葉を思い出す。


──感性は人それぞれだ。自分が選んだ道が正解だと思うぞ──


僕はしっかりと、自分の道を見つけることが出来るだろうか?

そんな事を考えながら、オムライスに手をつけた。


                      終わり。



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