( <●><●>)は最後に一つわからなかったようです

42: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/11/20(火) 18:12:59.00 ID:VljPOLaz0

「おかあさん大丈夫。」

大丈夫じゃないよ。

「大丈夫よ。」

嘘だったんだね。

「お父さんも咳してたよ。」

気付いて。

「そう。」




「わかってます。旅に出ようか。」

「本当?どこ行くの?」

もっと喜ぶんです。もっと。



44: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/11/20(火) 18:15:43.52 ID:VljPOLaz0

「一ヶ月ぐらい三人で行こう。」

「本当?やったぁ!!」

「大変だぞ。」

大変なのはお父さんとお母さんだよ。

「よし行くか。帰ってきたら一人前だぞ。」



45: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/11/20(火) 18:17:26.70 ID:VljPOLaz0

(;<●><●>)「はぁ、はぁ。」

背中に汗がびっしょりついてるのです。
きっと夢をみたからなんです。

喉がからからなので水を汲み
一息に飲むんです。

体中に染み渡るような味でした。

多分夢の中でも喉が渇いていたのでしょう。
いつだってそうなのです。

喉に何か引っかかるようなものを感じて
手で覆いをして僕は咳を一つ。
その手にはあかいあかい液体がぽつんと三つ。



47: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/11/20(火) 18:20:00.48 ID:VljPOLaz0

こんこん。



( ><)「ワカッテマス。僕なんです。ワカンナインデス。」

僕は扉を開け。

( <●><●>)「どうしました?」

( ><)「お父さんとお母さんが変なんです。
     わかってますは詳しいんです。見てやってください。」

急にまくしたてる様に僕は何かあったとおもったのです。
だから二つ返事で言いました。

( <●><●>)「ええ、いきましょう。」

そして慌てるワカンナインデスに連れられ僕は彼のお家へ。


( <●><●>)「お邪魔します。」

家に入ると部屋中がぽかぽかしていて暑いぐらいでした。
とにかく暖めようとでも思ったのでしょう。



48: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/11/20(火) 18:22:12.58 ID:VljPOLaz0

( ><)「こっちなんです。お願いなんです。」

と、引っ張られながら僕はワカンナインデスの両親の寝室へ。

(,,゚Д゚)「おう、こんな格好ですまねぇな。
    大した事ないって言ってるのにワカンナインデスが迷惑かけて。」

(*゚ー゚)「あらいらっしゃい。
    いつもありがとうね。」

よく似た二人。
この二人からワカンナインデスが産まれたのは
きっとコウノトリが間違えたのでしょう。


( <●><●>)「失礼します。」

僕は流行り病かそれともただの風邪かどうかを見るため
お医者さんの真似事をします。

二人の体には赤い斑点が浮かび上がっていました。
僕は頭の引き出しを開けていきます。
どこかの引き出しで、泥棒は箪笥を下から開ける。
というのが出てきましたが、頭の箪笥には関係ないです。



50: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/11/20(火) 18:24:04.08 ID:VljPOLaz0

そして、思い当たるものがでてきました。

( <●><●>)「もしかして近い頃に森の中へ行きませんでしたか?」

(,,゚Д゚)「ああ、こいつと二人で行ったな。」

( <●><●>)「そこで蚊に食われませんでしたか?」

(*゚ー゚)「ええ。」

やっぱり。

( <●><●>)「これはドンドン熱ですね。蚊を媒介にして人に感染するんです。
      空気感染はしないから心配はないですけれど
      もう少し熱が上がって斑点が一杯になると熱は引いていきます。
      栄養をつけて寝ていれば直りますよ。」

( ><)「すごいんです。なんでもしってるんです。」

(,,゚Д゚)「はぁ、大したもんだなぁ。」

(*゚ー゚)「ねぇ、ワカンナインデスと同い年だってのにね。」



51: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/11/20(火) 18:26:12.85 ID:VljPOLaz0

(,,゚Д゚)「しかし、大丈夫だってわかると体が軽くなった気がするな。
     おいワカンナインデス簡単に飯にしてくれないか。」

( ><)「ハイなんです。胃に優しいもの作るんです。」

ワカンナインデスはバタバタと台所に行きました。
僕たちは、彼が火をおこそうとしているのか、パチパチと音が聞こえるまで
ワカンナインデスの行動に耳をそばだてていました。
大きくゆっくりと息を吐き二人の方を見るとふいに目を見つめられました。

(,,゚Д゚)「なあ、ワカッテマス。ワカンナインデスをよろしく頼む。」

( <●><●>)「なんですか?いきなり。」

(*゚ー゚)「どうもあの子はまだ子供のようでね。そろそろ大人になってもいいんだけど」

(,,゚Д゚)「ああ、親から贔屓目に見てもあいつはまだお子様なんだな。
    どうにも子供っぽいところが抜けない。」

( <●><●>)「そうなんですか……」



52: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/11/20(火) 18:28:04.62 ID:VljPOLaz0

(*゚ー゚)「こんなこというのもなんだけどね、あなたには頼りにしているのよ。
    私たちはあんまり相手にしてやれないけれども。」

( <●><●>)「……」

(,,゚Д゚)「すまないな、こんな話して。」

( <●><●>)「いえ。」

(,,゚Д゚)「今日はありがとよ。近いうちに何か届けるよ。」

僕は、少し重荷を感じつつ、簡単にお暇の言葉を残して去りました。


家に帰る途中、どうしてもワカンナインデスの事がおこげみたいに頭にこびりつきました。
確かに子供っぽいところがあるけれども、案外鋭いところもある彼のことを。


( <●><●>)「……ただいま。」

生ぬるい空気すらない自分の家に入り
僕はまた咳をしました。

手には血がついています。



54: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/11/20(火) 18:30:02.90 ID:VljPOLaz0

欠伸をして、まだ寝たりないのに気付き布団にもぐりこみました。
あんな話を聞いた所為でしょうか、ワカンナインデスの夢を見ました。




……………………

……………

………



(*><)「君はワカッテマス。ぼくはワカンナインデス。」

( <●><●>)「なにがわからないんですか?」

(*><)「僕の名前がワカンナインデス、です。僕とあそぶんです。」

(*><)「いっしょに虫取りに行くんです。」

僕はまだお父さんとお母さんを亡くしたばかりのときでした。
このときの僕はもうお父さんから言われた言葉を実行しようと自分を縛っていました。

僕はもう大人なんだと。



55: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/11/20(火) 18:30:50.22 ID:VljPOLaz0

でもそんなことがこのときの僕に出来るはずもなく
ただ大人ぶっているだけでした。
何でも知っているように見せかけ、大人しい雰囲気を作り上げるのに必死だったのです。

ですからワカンナインデスの言葉に当然嬉しくも感じました。

(*><)「どうしたんですか?いくんです。」

( <●><●>)「虫取りなんて子供の遊びです。つまらないんです。」

(*><)「ムッキー!!そんなことないんです。楽しいんです。」

( <●><●>)「そんなことはないとわかってます。」

(*><)「じゃあつまるかつまらないか試すんです。やってみるんです。」

( <●><●>)「ふん、仕方ないですね。」

本当はすごく嬉しかったんです。
虫取りもやってみたいと思っていたんです。



58: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/11/20(火) 18:33:31.08 ID:VljPOLaz0

(*><)「こんなの取れたんです。」

( <●><●>)「それはのこぎりクワガタのオスですね。」

(*><)「じゃあコッチは?」

( <●><●>)「それはカブトムシです。」

(*><)「ワカッテマスはなんでもしってるんです、すごいんです。」


そして、僕とワカンナインデスは虫取りに熱中しました。
楽しかったのです。



61: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/11/20(火) 18:35:02.32 ID:VljPOLaz0

( <●><●>)「ほら見るんです。こんな大きいのが取れました。」

(*><)「ふん僕のが大きいんです。」

( <●><●>)「じゃあ計ってみるんです。
      この木の棒で計って見ましょう。」



( <●><●>)「僕の虫はここまでなんです。
      ここに届かなかったら君の負けです。」

彼には黙って僕はしるしをつけました。
いんちきをしないように。

(*><)「やったぁ僕のが大きいんです。
     僕の勝ちなんです!!」

( <●><●>)「ちょっと貸してください。」

(*><)「えっ、いやなんです……」

そう言い彼は棒を後ろに両手で持ちました。
まるで何か隠そうとしているような仕草です。


( <●><●>)「君はいんちきをしました。
      そんなことはわかってます。」



65: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/11/20(火) 18:36:29.95 ID:VljPOLaz0

(*><)「……」

( <●><●>)「君にとやかく言うつもりはありません。
      ただ、認めてください。」

(*><)「……」

( <●><●>)「じゃあ帰りましょうか。」

僕は急に胸の奥が冷め、ため息ともつかない息を出しました。


そして僕と彼は黙って村へと帰りました。
彼は僕の後ろを歩きましたが俯いてるのが雰囲気からわかりました。
影法師が随分と長くなったことでした。
ふと彼が声を出したのです。

(*><)「……ごめんなんです。」

( <●><●>)「いえ、いいんです。」

それだけでした。



67: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/11/20(火) 18:36:49.42 ID:VljPOLaz0

もう少し歩いてからまた彼が言いました。

(*><)「ワカッテマス君も認めるんです。」

( <●><●>)「なにを?」

(*><)「虫取りなんてつまらないって言ったのに楽しそうだったんです。
     僕だけ謝るのはずるいんです。」

痛いところを衝かれました。
確かに僕はとても楽しんでいたからです。



68: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/11/20(火) 18:37:06.16 ID:VljPOLaz0

(*><)「さ、謝るんです。」

彼は僕の目の前に来て言いました。
大きくなった太陽を上手に頭で隠した、彼の顔はよくわかりませんでした。
でも、赤い唇だけが妙に動いていたのが印象的でした。
僕は俯き正直に言いました。


( <●><●>)「確かに楽しかったです。」

すると彼は唇を目一杯吊り上げ小躍りをするのです。

(*><)「わーいわーい、やっぱり楽しかったんです。
     ワカッテマス君は嘘ついてたんです。」

(;<●><●>)「き、君がそう言うのはわかってました。」

僕は苦し紛れにそう言いました。
また黙って僕たちは歩きました。



76: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/11/20(火) 18:47:37.02 ID:VljPOLaz0

僕たちは村に着きさよならをしました。
彼は急ぎ足で帰っていきます。
きっと彼を待っている人がいるのでしょう。

家に帰ってから、とても寂しいのに気がつきました。
もっと素直になってもよかったんじゃないかとも思いました。
しかし、それでは大人ではない、と、そうも思いました。

ただ、彼は機嫌を損ねて僕ともう遊ばないんだろうなと思いました。
その日は早く、寝ました。



77: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/11/20(火) 18:49:15.30 ID:VljPOLaz0

次の日の朝。
こんこんと弱弱しい音に促され、夢の時間から引っぺがされた僕は
眠い目をこすりつつドアを開けました。
するとそこには彼がいたのです。

(*><)「遊びに行くんです。今日は何をするんです?」

( <●><●>)「えっ……」

(*><)「あ、寝起きなんです。ワカッテマス君のねぼすけなんです。」

うっかりしていました。もう起きている時間なのです。
目は起き抜けのぼんやり腫れで、寝巻きがだらしなくへたっているのです。
僕はつい

(;<●><●>)「き、君がそういうのはわかってます。」

と。

……………………

……………

………





79: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/11/20(火) 18:51:14.53 ID:VljPOLaz0

ある日のことなんです。
お父さんとお母さんがデンデン熱にかかりました。
なんでデンデン熱とわかったかというとワカッテマスが診たからなんです。

ワカッテマスの言うとおり薬草を煎じたスープを飲ませると
一週間くらいで赤い斑点が消えたんです。

そしてお礼に言ったとき、今日の朝来るように言われたのです。

( ><)「なんなんですかね?ワカッテマスが呼ぶなんて。」

(*‘ω‘ *)「ぽっぽ。」

珍しいのです。
ワカッテマスから言われるのは珍しいんです。

僕達二人はそろって彼の家の扉をノックしたんです。
すると中からいつもの声が聞こえたんです。
ただ、すこし遠いような気もしたんです。


( ><)「お邪魔します。」

(*‘ω‘ *)「ぽいん。」



81: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/11/20(火) 18:52:56.32 ID:VljPOLaz0

珍しく朝から暖炉です。
目をちらちらと周りにやってもワカッテマスはいないです。
おかしいなと思いながらも、ははぁ、さては何か悪戯をするつもりなのだと思いました。

僕はちんぽっぽちゃんに目配せをすると
わかったかのように小さく跳ねました。

どっちがびっくりするか勝負なんです、わかってます。
右手にはクロスのかかったテーブル。
正面には少し大きめのクローゼット。
左手には火が燻ぶる暖炉。このなかにはいないんです。


( ><)「ここなんです!!」

一気呵成にクローゼットを開けたのです。
しかし服がすらすらと揺れるだけでした。

ちんぽっぽちゃんも探しています。
だけれどもクロスとテーブルの間を探したり頓珍漢なんです。



87: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/11/20(火) 18:55:40.62 ID:VljPOLaz0

「君たちが勘違いをしているのはわかっています。」

僕達の探す音が聞こえたのか、奥の部屋から声が聞こえました。
若しかしたら、うその声かもしれません。ワカッテマスは騙すつもりなんです。

( ><)「ちんっぽっぽちゃん、静かに開けるんです。」

(*‘ω‘ *)「ぽぽっぽ。」

ちんぽっぽちゃんが開け、僕が突入するんです。



( ><)「こちらアルファ、突入を開始するんです。
     ブラボーは援護を頼むんです。」

(*‘ω‘ *)「ぽ。」

ノブの音が小さくかちゃり。
古びた鉄と鉄を重ね合わせたみたいな開閉音。

そこで一気に行くんです。



88: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/11/20(火) 18:56:52.94 ID:VljPOLaz0

飛び込み前転。
百点満点。

横に転がりすぐさま壁際にいくんです。

( ><)「あっ、いたんです。」

ブラボーの援護もいらず、すぐに見つかったんです。


( <●><●>)「まったく、君たちは普通に入ることは出来ないのですか?」

ワカッテマスは枕の方を窓際に寄せたベッドの上にいたんです。
心なしか、やつれているのは気のせいでしょうか。

( ><)「どうしたんですか?風邪ですか?」

( <●><●>)「そんなようなものです。」

( ><)「大変なんです。看病するんです。
     この間のお礼なんです。さ、何かして欲しいことはありますか?」

僕のお父さんとお母さんはワカッテマスに助けられました。
今度はワカッテマスが困ってます。だから僕が助けるんです。



4: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/11/20(火) 19:08:25.36 ID:Gwb+OuW10

( <●><●>)「して欲しいことはあります。」

(*‘ω‘ *)「ぽ?」

( ><)「なんですか?ちんぽっぽちゃんも手伝ってくれるんです。」

( <●><●>)「それはよかった。ではお願いしましょうか。」

ワカッテマスが目を俯けたんです。
しかし唇はゆがんでつりあがっていたんです。

その表情に少しぞっとしながら僕はつばを飲んだんです。
ワカッテマスの頭の後ろの窓がかたかたなりました。
まるでなにか起きる予感がしたんです。

そしてそれは当たりました。

ワカッテマスの唇が開きそこから漏れた言葉が予感を現実にしたんです。


( <●><●>)「二人とも旅に出てください。」

僕はワカッテマスの目に射竦められてしまったんです。
蛇に睨まれた蛙みたいなんだと思うんです。



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