( <●><●>)は最後に一つわからなかったようです
- 62: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/11/20(火) 19:57:19.57 ID:Gwb+OuW10
( ><)「ただいまなんです。」
(*‘ω‘ *)「ぽぽ。」
(*゚ー゚)「あらおかえり。大丈夫だった?怪我しなかった?」
(,,゚Д゚)「おう、おかえり。」
(,,゚Д゚)「ん?背でも伸びたか?」
あれ、もっと大げさに迎えてくれるかと思ったら案外淡白なんです。
そして、心なしかどこか暗い表情をしてるんです。
( ><)「わかんないんです。」
(,,゚Д゚)「そうか。どうだった?色々あったろう。」
( ><)「とくにないんです。ね、ちんぽっぽちゃん。」
(*‘ω‘ *)「ぽ。」
- 63: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/11/20(火) 19:59:00.04 ID:Gwb+OuW10
(*゚ー゚)「はい、暖かい牛乳よ。ちんぽっぽちゃんも飲んでって。」
( ><)「あ、そんな暇はないんです。
ホラ見てください。一杯藤の花持ってきたんです。
これで、ワカッテマスの病気も治るんです。」
(*゚ー゚)「……」
(,,゚Д゚)「……」
あれ?何も言わないんです。
まあ、いいんです。早くもって行くんです。
ワカッテマスのことだから、きっと僕達が戻ってくるのを予想してたんです。
あのお澄まし顔で言うんです。わかってますと。
そしてお薬を作る準備もしてあるんです。早く行くんです。
( ><)「じゃ、ちんぽっぽちゃん、行くんです。」
(*‘ω‘ *)「ぽっぽぽ。」
(,,゚Д゚)「ちょっと待てゴラァ……」
玄関を飛び出す背中にお父さんの声が聞こえたんです。
でも、今はこっちの方が大事なんです。
- 66: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/11/20(火) 19:59:48.20 ID:Gwb+OuW10
( ><)「あれ、なんかおかしいんです。」
ワカッテマスに家はどうにもおかしいんです。
どこか古ぼけたような、急に昔の家が現れたような。
( ><)「おじゃまするんです。」
(*‘ω‘ *)「ぽぽぅ。」
きぃ、と、音を立ててドアが開きました。
風がふきました。
背中を通り越して家の中へ入っていきます。
埃が、舞い上がったんです。
( ><)「ワカッテマス?どこにいるんです。」
僕の声は埃に吸収されて、まるで流れ星の終わりみたいにしゅっと消えていったんです。
(*‘ω‘ *)「ぽっぽーーー!!」
ちんぽっぽちゃんの声にも反応はないんです。
なんとなく奥まで進むのが怖くて玄関に立っていたんです。
ほんの少しまっていたら後からお父さんがきました。
- 69: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/11/20(火) 20:00:58.37 ID:Gwb+OuW10
(,,゚Д゚)「あのな、ワカッテマスから預かり物だ。」
何故か僕の目を見ようとしません。
お父さんは手に持った紙の封筒を僕に渡しました。
中をあけて見ます。
手紙なんです。
ちんぽっぽちゃんが覗き込んできます。
- 70: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/11/20(火) 20:02:23.32 ID:Gwb+OuW10
( <●><●>)
さて、君たちがこの手紙を読む頃には僕はもういないでしょう。
率直に言うと僕はもう死んでいるのです。不思議ですね、僕はいないのに君たちには僕の想いが伝わります。
そこまで読んで僕は走り出しました。
ちんぽっぽちゃんもついてきます。
(;><)「そんなはずないんです。
藤の花持ってきたんです。
これで病気を治せるんです。」
(;*‘ω‘ *)「ぽぽっぽぽぽぽ。」
僕達が遅かったからなんですか?
もっと早く帰ってきたらよかったんですか?
- 75: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/11/20(火) 20:04:03.13 ID:Gwb+OuW10
(;><)「はぁはぁ……」
僕は村のはずれにある墓地にきました。
ワカッテマスの言葉が思い出されたんです。
僕のお墓は両親の隣にしてくれって。
何十もあるお墓の中から僕はワカッテマスの両親のお墓を探しました。
(;><)「な、なんで……」
(;*‘ω‘ *)「ぽぽっぽぽぽ……」
ちんぽっぽちゃんが彫ってある字を読みます。
(;><)「読まないでください!!
嘘なんです。こんなの嘘なんです!!」
お父さんがまた走ってきて、僕達に追いつきました。
ぼやけているようで、それでいて妙にはっきりとしていました。
どういう顔をしていいのかもわかりません。
- 78: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/11/20(火) 20:06:36.83 ID:Gwb+OuW10
(,,゚Д゚)「はぁはぁ。お前らよく聞け。
ワカッテマスはお前達二人が旅に出ている間に亡くなったんだ。」
(;><)「なんでなんですか?あと一ヶ月は大丈夫だって。」
(,,゚Д゚)「ワカッテマスは親と同じ病気で亡くなったんだ。」
亡くなったという言葉が引力を帯びて僕の心に落ちたんです。
それを否定しようにもお父さんの言葉はどうしても離れないんです。
(,,゚Д゚)「言ってたよ。お前ら二人が心配だってな。
だから旅に行かせたってよ。自分のこともわかってるってよ。」
(,,゚Д゚)「手紙。読んでみろよ。俺は知らねぇがなんか書いてあるだろう。」
手を強く握っていた僕は慌ててくしゃくしゃの手紙を伸ばしました。
よく見るとワカッテマスらしい、几帳面な字で書かれています。
- 79: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/11/20(火) 20:08:06.28 ID:Gwb+OuW10
( <●><●>)
さて、君たちがこの手紙を読む頃には僕はもういないでしょう。
率直に言うと僕はもう死んでいるのです。不思議ですね、僕はいないのに君たちには僕の想いが伝わります。
実は薬なんて嘘です。僕の病気は遺伝的なものでどうにも対処できなかったのです。
僕は、ああ、どうしようかと思いました。お父さんとお母さんとのことが思い出されて
君たちが行った所へもう一度足を向けようかと思いました。
そんな時、君たち二人の顔が頭に焼きついたんです。僕がいなくなった後二人はどうするのかなって。
旅に出た今だから言いますが、二人は少し子供っぽいのです。
ワカンナインデスのお父さんも言っていました。そこで僕は考えたのです。
薬に必要な材料を取ってきてもらうために二人に旅に出てもらおうと。
多分、一杯けんかもしたでしょう。お互いが嫌いになったりもしたでしょう。
でも仲直りしたと思います。何回もケンカして何回も仲直りしたと思います。
もしかしたらずっとケンカしっぱなしだったかもしれません。でも最後に仲直りをするでしょう。
僕がそうだったのです。両親が僕と同じ病気になったとき、僕を旅に連れて行きました。
僕は何回もわがままをいい、その度に反省をして成長したと思っています。二人にはそれ
を体験してもらいたかったのです。
- 82: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/11/20(火) 20:09:14.13 ID:Gwb+OuW10
もし、本当のことを言ったら君たちは僕を看病してくれると思うんです。
それはとてもありがたいし、嬉しく思うんです。
けれども、僕が死んだ頃には泣いて悲しむと思うんです。それだけなんです。
きっと君たちは自分の看病が足りなかったから死んだのだと思うでしょう。
そんなはずは無いのだけれども、君たちはそういう風に自分を責めるのだと考えます。
そしてずっと僕の影に追い回されて、何か喜ぶごとに僕を思い出しては暗い感情に襲われ
何か楽しむたびに自分は楽しんじゃいけない人間なのだと思うのでしょう。
だから、僕は旅に出てもらいました。
一人は寂しいけれども君たちの事を想像するととても楽しいです。
今の僕の一番の楽しみです。
そして君たちなら大丈夫。勝手にそう信じています。
信頼とは相手の心を信じてこういうことはしないと思うことだと思います。
そして君たちが信頼を持って帰ってきて、僕の心を察してくれることはわかってます。
僕は君たちが、僕の死を悲しんで涙を流すことを好みません。
この手紙を読んで、君たちが涙を流さないことはワカッテマス。
信頼を得た二人は、僕のことも信頼してくれるでしょうから。僕の気持ちを信じてくれると、信頼してます。
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