( ^ω^)ブーンは小説を書くようです

64: ◆rN.flykscI :2006/10/14(土) 10:32:47.59 ID:in1+hfUK0
  
3、情景描写


( ^ω^)「できましたおっお」

(´・ω・`)「ほう、どれどれ」


王国暦30年。この世界はある危機に瀕していました。
それは魔王です。魔王が復活したのです。

ここは山奥のとある町ビップ。
そこに住む少年ブーンはどこにでもいる平凡な少年でした。


(´・ω・`)「もうここまでで結構」

( ^ω^)「ちょwwwまだ続きがwww」

(´・ω・`)「この冒頭に足りないのは情景描写だ。君は地の分を知っているか?」

( ^ω^)「kwsk」

(´・ω・`)「辞書引け」

( ^ω^)「のっていないお」

(´・ω・`)「地の分って言うのは、会話文じゃない文。つまり、心理や情景の描写を総したものだ」

(;^ω^)「いまいちわからないお」



67: ◆rN.flykscI :2006/10/14(土) 10:39:16.77 ID:in1+hfUK0
  
(´・ω・`)「王国暦はおいておいてさ。ビップの町ってどんなとこなの?」

( ^ω^)「え? 小さな山奥の町だお」

(´・ω・`)「ほかには?」

( ^ω^)「それだけだお」

(´・ω・`)「………そうか」

(;^ω^)「?」


(´・ω・`)「例えばさ、物語が始まったときの季節はいつなの?」

( ^ω^)「え……じゃあ夏でいいお」

(´・ω・`)「昼? 夜?」

( ^ω^)「昼間だお」

(´・ω・`)「じゃあ、もっとビップの町についての描写が増やせるでしょ?」

(;^ω^)「え………?」

(´・ω・`)「ちょっと、それを意識して書いてみな」



72: ◆rN.flykscI :2006/10/14(土) 10:44:37.45 ID:in1+hfUK0
  
季節は夏の半ば。照りつける日差しがまぶしい。
せみの鳴き声が山々から聞こえる。
そんな山の中にある小さな町、ビップ。


( ^ω^)「どうですかお?」

(´・ω・`)「そんな山ってどんな山?」

(;^ω^)「せみの鳴き声の聞こえる山だお」

(´・ω・`)「それだけ?」

(;^ω^)「それだけですお」

(´・ω・`)「もっと考えて書いてみなよ。山って行ってもいろいろあるでしょ。標高が高いとか」

(;^ω^)「小さな山の中腹にあるんですお。人々は農業で自給自足をして生きていますお」

(´・ω・`)「それじゃあ、町じゃなくて村でしょうが」

(;^ω^)「違いが分からないお」

(´・ω・`)「ささいなことかもしれないけどね。分からなくなったら辞書を引いてみるのも手だよ」

(;^ω^)「難しいお……」

(´・ω・`)「もう一回だけ書いてみ」



77: ◆rN.flykscI :2006/10/14(土) 10:52:28.84 ID:in1+hfUK0
  
季節は夏。すでに半ばを迎えていて、照りつける日差しはいっそう強さを増した。
山の中からは絶え間無く夏虫の声が聞こえ、耳に木霊する。
夏ということもあり、若草が山いっぱいに広がり、澄み渡る風はどこか心地よい。

そんな小さな山の中腹にあるビップの村では、今日も人々は自給自足で生活していた。

そんn(´・ω・`)「ハイ結構!」

(;^ω^)「お…」

(´・ω・`)「小説を辞書で引いてみな」

( ^ω^)「また辞書かお」

(´・ω・`)「いいから引けや。ぶち殺すぞ」


(;^ω^)「作者の奔放な構想力によって、登場する人物の言動や彼らを取り巻く環境・風土の描写を通じ」

(;^ω^)「非日常的な世界に読者を誘い込むことを目的とする散文学」

(;^ω^)「読者は描出された人物像などから各自それぞれの印象を描きつつ、読み進み、独自の創造世界を構築する(新明解国語辞典より)」


(´・ω・`)「何が言いたいかわかる?」

( ^ω^)「わかりません……」

(´・ω・`)「では教えてあげよう」



81: ◆rN.flykscI :2006/10/14(土) 10:57:20.07 ID:in1+hfUK0
  
(´・ω・`)「つまり小説というのは、作者の描写によって、読者に物語のイメージを想像……いや、創造させることに意義があるのだ」

( ^ω^)「お?」

(´・ω・`)「例えばこの文章を見たまえ」


皿の上には林檎が一つあった。


(´・ω・`)「どう思う?」

(;^ω^)「どうって、林檎が皿の上にあるだけじゃないかお」

(´・ω・`)「どんな林檎? 青いの? 赤いの? それともゴールデンデリシャス?」

(;^ω^)「知るわけないお」

(´・ω・`)「それにどんな皿なの? 色とか形は?」

(;^ω^)「………僕の頭では、白くて丸い皿に赤い林檎が乗っているお」

(´・ω・`)「そんな描写はどこにもされていない」

(;^ω^)「!!」

(´・ω・`)「読者に自分のイメージを伝えるには、明細な情景描写が要求されるんだ。
      例えば作者は、銀の皿の上に青い林檎が乗っていると思っているんだがね」

(;^ω^)「これだけじゃ、そこまで読み取れるわけが無いお………」



84: ◆rN.flykscI :2006/10/14(土) 11:03:12.65 ID:in1+hfUK0
  
(´・ω・`)「当然といえば当然だ。では、これならどうだい?」


鉛色の丸く小さな皿の上に、まだ熟していないのか、若々しい青色の林檎が一つ乗っていた。


(´・ω・`)「これならどうだい?」

( ^ω^)「文章そのまんまの光景が想像できたお」

(´・ω・`)「追求すれば追及するほど情景描写はかけるけどね。
      句読点とかと同じで、書きすぎるのもよくないと思うよ」

( ^ω^)「ふうむ……。情景描写は難しいお」

(´・ω・`)「では、さっきのブーンの文章に戻ろうか」



91: ◆rN.flykscI :2006/10/14(土) 11:12:41.10 ID:in1+hfUK0
  
季節は夏。すでに半ばを迎えていて、照りつける日差しはいっそう強さを増した。
山の中からは絶え間無く夏虫の声が聞こえ、耳に木霊する。
夏ということもあり、若草が山いっぱいに広がり、澄み渡る風はどこか心地よい。

そんな小さな山の中腹にあるビップの村では、今日も人々は自給自足で生活していた。



(´・ω・`)「いきなり山の中からといわれても困る」

(;^ω^)「………確かに、どんな山か分からないお」

(´・ω・`)「下の行で小さな山と書かずに、山についての描写はそこでするべきだろうね」

(;^ω^)「はぁ……」

(´・ω・`)「それに、澄み渡る風が心地良いって何?」

(;^ω^)「え?」

(´・ω・`)「虫の声が耳に木霊するとか、風が心地よいとか誰が感じてるのよ。おかしいよね」

(;^ω^)「…………」

(´・ω・`)「その顔むかつくからやめろ」



96: ◆rN.flykscI :2006/10/14(土) 11:21:47.50 ID:in1+hfUK0
  
(´・ω・`)「手直ししてみた」


季節は夏を迎えていた。
梅雨も明け、気温もどんどんと漸増する中、変わらない太陽が今日もさんさんと輝いている。
その太陽の下にある小さな山の中腹の草原は、何十という種類の花々に埋め尽くされ、青空を飛ぶ夏鳥達の声も聞こえるようになっていた。

そんな草原の近くにある小さな村ビップでは、今日も男たちがせっせと畑で働いている。
ビップは辺境の村で人口が少なく、その為村民は自給自足で生きているのだ。


(´・ω・`)「これでもまだ情景描写が少ないという人もいるだろうし、十分という人もいるだろう。
      実際のところ、僕だってプロじゃないからね。みんなが満足できるような文章を書けるわけじゃないさ」

( ^ω^)「でも、先ほどの僕の文章よりは情景を想像することができますお」

(´・ω・`)「そうだね。情景描写にしても何にしても、少しこだわってみるのが良いことだよ」

( ^ω^)「おっお」

(´・ω・`)「夏と言っても、一概にそれを言えるわけじゃない。
      自分が夏だと思うものを挙げて、その中から描写してみるのが良いと思うよ」

( ^ω^)「参考になります」



98: ◆rN.flykscI :2006/10/14(土) 11:25:34.98 ID:in1+hfUK0
  
(´・ω・`)「話をぶり返すけど、例えば目の前にドアがあったとするよ」

( ^ω^)「おっお」

(´・ω・`)「どんなドア?」

( ^ω^)「そうだおね……マホガニーでつやつやの大きなドアだお」

(´・ω・`)「ノブは?」

( ^ω^)「金色で、引くタイプだお」

(´・ω・`)「うん。こうやって、ドア一つでもいろいろ考えられることがあるだろ?
      情景描写は読者に場面を想像させる上で最も重要だ。使えるようにしておこう」

(;^ω^)「どうすれば使えますかお?」

(´・ω・`)「作品を書いて、総合の人に見てもらうとかね。練習あるのみさ」

(;^ω^)「おっお………」

(´・ω・`)「最初からうまい人なんていないんだよ」



103: ◆rN.flykscI :2006/10/14(土) 11:31:47.70 ID:in1+hfUK0
  
(´・ω・`)「男の身長は160センチ程です」

(;^ω^)「?」

(´・ω・`)「さて、どのくらいの大きさですかね」

(;^ω^)「わかんないお。そんな、160センチなんて」

(´・ω・`)「そうだね。新しいキャラを登場させたときに色々描写したいよね。
      そこで身長160センチとか具体的に言われても正直よく分からないよね」

(;^ω^)「そうだお」

(´・ω・`)「じゃあ、身の丈はブーンの二倍ほどある男だったら?」

( ^ω^)「すさまじい大男だお」

(´・ω・`)「じゃあ、近くにある石柱ほどしかないだったら?」

(;^ω^)「小さいようなイメージがあるお」

(´・ω・`)「うん、正解。あんまり具体的過ぎると、かえって分からなくなることもあるからね」

(;^ω^)「小説は難しいお」



105: ◆rN.flykscI :2006/10/14(土) 11:35:49.65 ID:in1+hfUK0
  
(´・ω・`)おさらい(^ω^ )


(´・ω・`)「読者に情報を与えるのは情景描写。
      みっちり書く必要は無いけど、自分の持つ像を与えられるくらいは書く」


(´・ω・`)「情景描写させるものについて深く考えてみるのも良いぞ」


(´・ω・`)「そこは読んでくれる人の想像にお任せは駄目だ。
      作者として居座るなら、自分で世界を作ること。嫌なら読者になれ」


(´・ω・`)「風が心地良いとか、誰が感じているのかしっかり書こう」



(´・ω・`)「いよいよ本格的になってきたね」

(;^ω^)「むずかしいおー」

(´・ω・`)「じゃあ、心理描写に行く前に息抜きをしようか」

( ^ω^)「おっお」



情景描写、終



戻る4、ブーン小説でのキャラ