( ´_ゝ`)兄者は果てしなく不審者のようです

3: ◆ozOtJW9BFA :2006/09/18(月) 00:18:00.71 ID:/VxST9jZ0


どんな色も受け入れず

どんな色にも染まらない 最強の象徴だ。



夕暮れ時、その黒パーカー黒ズボンの男は太陽に背を向け歩く。

真正面から見たら闇に溶けているようにも見えるそいつは……










(#´・ω・`)「こっちへ来い!この不審者!」

(;´_ゝ`)「ちょwww誤解です!!」

捕まった。

( ´_ゝ`)兄者は果てしなく不審者のようです



4: ◆ozOtJW9BFA :2006/09/18(月) 00:19:18.62 ID:/VxST9jZ0
(´・ω・`)「いやね、困るんだよそーゆー格好されてると……
     ただでさえここは小学生の通学路で最近不審者が増えてるってのに」

( ´_ゝ`)「すみません、僕服は黒しか持ってないんですよ」

(´・ω・`)「逮捕したかったな……えぇ?黒しか無いってどんだけファッション
     にこだわり無いんだよ!……逮捕したかったな……」

(;´_ゝ`)「(逮捕される……)じゃあ僕帰っていいですか?」

(´・ω・`)「んー……いいけど今度からは気をつけるようにな」

( ´_ゝ`)「はい、今度からはおまわりさんに見つからないよう気をつけます」

(´・ω・`)「そうじゃねぇだろ、ぶち殺すぞ」

俺の名は兄者、無職だ。なんか急に頭の中で説明したくなったから説明する。

黒い靴、黒い靴下から黒パンツ、黒パーカー、頭には黒い帽子の全身真っ黒ってだけで
不審者と決めつけた駄目おまわりのせいでもう夜になってしまった。

ここらは街灯も少ないし民家もさほど無い、全身黒に覆われた俺は今
花に潜むハナカマキリや海底の砂に隠れるヒラメやエイにも負けないくらいの
保護色っぷりを見せている。



5: ◆ozOtJW9BFA :2006/09/18(月) 00:20:54.03 ID:/VxST9jZ0
俺は自分が不審だなんてこれっぽっちも思ってない。
人が多い場所に出ると大抵変な目で見られるが不審だからじゃない、
俺が黒いせいだ。俺ほど黒い人間はこの世にゃいないだろう。
もの珍しさに俺を見てるんだろう?もの珍しさに俺を通報するんだろう?

( ´_ゝ`)(ちょっと寒くなってきたな……おでんでも食うか)

季節はもう秋、学校の先公はよく
「季節の変わり目に不審者が出ますよ」
とか言うがわけわからん、本当に不審な奴は365日不審なんだよ。

まあ俺には関係ないが。

ガ―――――ッ

('、`*川「いらっしゃいませー」

コンビニに入る俺、向こうでおばちゃん従業員二人が俺を見てコソコソ言ってる。

聞き取れないが。



6: ◆ozOtJW9BFA :2006/09/18(月) 00:22:01.94 ID:/VxST9jZ0

( ´_ゝ`)「こんぶとこんぶと……それとこんぶで」

('、`;川「はっはい!」

レジの女がちょっと戸惑う、お客様に失礼じゃないか?

ガ―――――ッ

('、`;川「あっ、ありがとうござまたァ!」

……噛んだよ……

ったく世の中ダメダメだな……さっきのレジといいおまわりといい。

( ´_ゝ`)「ハフハフ……久々に食うとうめぇな……」

こんなんで世界は大丈夫なのかね。



7: ◆ozOtJW9BFA :2006/09/18(月) 00:23:55.04 ID:/VxST9jZ0

俺の帰る場所は山元さん家と加藤さん家の間にある。

ちょっと古いこの家は今は亡き父者と母者の遺産でもある。

( ´_ゝ`)「ただいマッスル協会の陰謀が金剛くんを追い詰める」

(´<_` )「古いな、そして遅いぞ兄者
      どこほっつき歩いてんだ馬鹿」

こいつは双子の弟である弟者だ。俺と同じ遺伝子を受け継いでる癖にイケメンだ。
対して俺は角度によってイケメンにもキモメンにも見られるビミョメンだ。不審ではない。

そんでこの弟、女にモテる。

(´<_` )「時に兄者よ、困った事があって……合コンの人数が男一人足らなくてな」

(;´_ゝ`)「なんと」

(´<_` )「あ〜、なんとか人数を合わせたいのだが……」

(;´_ゝ`)「……」

(´<_` )「どいつもこいつも予定が入ってるらしくて一人がなかなか見つからんのだ」



9: ◆ozOtJW9BFA :2006/09/18(月) 00:26:40.34 ID:/VxST9jZ0

(;´_ゝ`)「お、弟者よ……」

(´<_` )「ん?」

(;´_ゝ`)「合コン……俺が行こうか?」

(´<_` )「姿慎めよ」



12: ◆ozOtJW9BFA :2006/09/18(月) 00:27:26.64 ID:/VxST9jZ0
そんでこの弟、かなりのイヤミ野郎である。

(´<_` )「お前なんかがきたら真っ先に女の子が泣き出すだろう
      物事はよく考えてから発言するものだぞ」

(;´_ゝ`)「すまなかった……」

(´<_` )「ったく……自分の立場ってのを分かってるのかねぇ……この無職は」

(;´_ゝ`)「うぐぅ〜」

(´<_` )「父者と母者の残した財産に頼ってニートとは天国であの二人泣いてるだろう」

そういう弟者こそバイトを転々と乗りかえてる坊主野郎じゃねぇか!とは言えない。

どう考えても仕事もせずにブラブラしてる俺の方が下だからだ。逆らえるワケない。

(´<_`#)「分かったらクソして寝ろ!このブタ!」

(;´_ゝ`)「ヒェェェ!私はブタです!ブタですいません!生まれてきてごめんなさい!」



13: ◆ozOtJW9BFA :2006/09/18(月) 00:28:54.72 ID:/VxST9jZ0
その日兄者は不思議な夢を見た。


彼女「ほんのちょこっとなんだけど髪型を変えてみた
ほんのちょこっとなんだけど気が付いて欲しいぞ
愛しのママママイダーリン
ほんのちょこっとなんだけど勇気を振り絞った
ほんのちょこっとなんだけど前に進んだ気がする
愛しのママママイダーリン
ねぇねぇもっと楽しい事から始めませんか?
ほらほらGOOD!ステキな恋愛いたしましょ(シャバダバダ)
おやおやもっと刺激の強いのお望みですね?
そいつはこまった ですねですねですねですねですねですねですねですねですね
恋という字を(オーベイベー)
辞書で引いたぞ(オーベイベー)
あなたの名前そこに足しておいたぞー」

彼氏「 よ け い な こ と を す る な 」


(;´_ゝ`)「はっ!」



15: ◆ozOtJW9BFA :2006/09/18(月) 00:30:34.16 ID:/VxST9jZ0
(;´_ゝ`)「何かの暗示なのか……?」

困惑しながらも目覚まし時計に目をやる。

(;´_ゝ`)(三時か……しっかし寝汗が凄まじいな)

グッチョリグピョグピョの黒パジャマを脱いで再び黒布団に体をうずめた。



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