らき☆すたでSAWのゲームが行われるようです

349: ◆g4b7GjYsgg :2007/12/26(水) 21:00:01.92 ID:1dZoOmN/O
ドアがゆっくりと開けられ、人影がのっそりとした様子で室内に入ってくる。


つかさは薄暗闇に目を凝らして、その人影を見つめた。

それは全てに疲弊したような、虚ろな目をしたこなただった…。

制服が血で真っ赤に汚れ、手には乾きかけの血のりで赤黒く濁ったガラスの破片が握られていた。


つかさはとっさに考えた。


今なら先制攻撃が出来る……だが相手は、いくら自分より背が小さいこなただったとしても、格闘技の精通者…。

反撃を喰らい、やられてしまう可能性もある。

ここは確実に悲劇の犠牲者を演じ、こなたの隙を見て奇襲をかける方が得策だろう…。

つかさはわざとらしく顔を歪めると、顔を両手で覆い、時々鼻をすすりながらしゃくり上げ、泣いている振りをした。



360: ◆g4b7GjYsgg :2007/12/26(水) 21:11:58.64 ID:1dZoOmN/O
つかさは顔を覆いながら耳を澄ませ、足音でこなたの出方を伺った。


こなたの、ズルズルと足を引きずるような足音がかがみの亡骸のすぐそばで止まり、ガラスの破片が床に落ちる音がした。


つかさは泣き真似を続けながら、覆っている手の間からチラリとこなたの方を覗き見る。


やはりこなたはかがみの側に呆然と立ち尽くしていた。足元にガラスの破片が転がっている。

「つかさ……かがみが……。」


弱々しくかすれたこなたの声が聞こえた。


今だ…

「こなちゃあん!!」


つかさは、まるで助けを待っていたかのようにこなたに抱きついた。



365: ◆g4b7GjYsgg :2007/12/26(水) 21:18:21.37 ID:1dZoOmN/O
「つかさ……かがみが…。」


「…ゆきちゃんが……ゆきちゃんが来て…お姉ちゃんを……。」


つかさが鼻をグズグズと鳴らしながら言った。

こなたはつかさを受け入れるように、背中に腕をまわして来た。
つかさは心の中で勝利を確信した。

「つかさ…大丈夫だよ。かがみの敵は取って来たよ。」


つかさは鼻をグズグズさせ、泣く真似をしながらポケットに手を滑り込ませた。

なかには尖った材木が入っている。



374: ◆g4b7GjYsgg :2007/12/26(水) 21:26:34.00 ID:1dZoOmN/O
「つかさ…ここから逃げよう…そうすれば助かる道はきっと開ける…。」

こなたがつかさをギュッと抱きしめながら言った。

つかさはこなたに悟られないように、材木をゆっくりと握り締めた。


「こなちゃん…ありがとう……。」

そう言いかけた所で、急につかさを強烈な不快感が襲った。

肺と心臓が見えない手で握り潰される様な得も言えぬ激痛と違和感…。


つかさは耐えきれずに、演技を中断し、激しく咳き込んだ。やはり毒が回って来ている。
もう時間が無い…茶番は終りだ…。


「つかさ…大丈夫…?」


こなたの気遣いの言葉に返事をするように、つかさはこなたの脇腹に思い切り材木を突き入れた。



380: ◆g4b7GjYsgg :2007/12/26(水) 21:36:43.46 ID:1dZoOmN/O
思い切りやったせいか、材木はこなたの脇腹の中程で折れてしまった。

こなたはびっくりして、つかさを突き飛ばして尻餅をついた。


傷口を中心に制服に血がにじんでいる。


つかさは使い物にならなくなった材木を放り投げると、先程かがみを殺害するのに使用した電気コードを拾い上げた。


「つかさ……どうして…?」

まさかの奇襲に、こなたは驚いて尻餅をつきながらつかさの方を向いた。

毒の作用だろうか、つかさの青白くなった顔が一層凄味をもって、こなたの事を見据える。


「こなちゃん…ごめんね…でも、私こなちゃんの事大嫌い…。」

つかさはこなたの顔を蹴り上げた。



390: ◆g4b7GjYsgg :2007/12/26(水) 21:45:58.74 ID:1dZoOmN/O
顔を思い切り蹴り上げられたこなたは、仰向けに倒れてしまった。

中が切れたのだろうか…口から一筋の血が垂れた。


「…痛い…もう止めてよ…つかさ…。」


こなたが肘を床につけて、体を起こした。


両手に巻き付けた電気コードをひけらかすようにこなたにニジリ寄る。


こなたは肘を床につけ、仰向けのまま、体を引きずるように手だけでズルズルと後退った。

だが、つかさはすぐに追い付くと、こなたのお腹に突き刺さった材木を足で更に押し入れた。


「うぁ……。」


こなたが苦痛のうめきをあげた。

こなたがだいぶ大人しくなったのを確認すると、つかさはこなたの胸の辺りにドスンと馬乗りになった。

つかさの尻がこなたの胸を圧迫し、呼吸が苦しくなる。



405: ◆g4b7GjYsgg :2007/12/26(水) 22:03:15.77 ID:1dZoOmN/O
つかさは素早くこなたの首に電気コードを巻き付けると、思い切り力を入れて締め上げた。


か細い首に電気コードが食い込む。


「つ…つかさ……。」


こなたもかがみと同じように首をひっかいて、何とかコードを解こうともがいた。


だが一旦食い込んだ電気コードなどそう簡単に解けるはずもなくジリジリとこなたの意識をかすめ取っていく。


つかさは更に手早くやるために、首を絞めながら、尻でこなたの胸をズンズンと押し付け、圧迫し、肺の空気を絞り出そうとした。



414: ◆g4b7GjYsgg :2007/12/26(水) 22:13:21.57 ID:1dZoOmN/O
つかさのプニプニとした柔らかい尻が、こなたの胸の上で跳び跳ねて、残酷にも窒息させようとする…。


こなたの意識が途切れ途切れになる。

目が白眼を向き始め、息を求め、あがくように舌が口から飛び出た。


つかさはうすら笑いを浮かべながら、こなたの窒息顔に接吻しそうな程に顔を近付け、間近でこなたが苦しむ様を堪能した。


「こなちゃん…苦しい…?ねぇ…苦しい?」


つかさは飛び出たこなたの舌先をチロチロと舐めながらたずねた。



424: ◆g4b7GjYsgg :2007/12/26(水) 22:21:24.82 ID:1dZoOmN/O
こなたは口をパクパクさせた。

どうやら何かを繰り返し口ずさんでるようだ。

「え…?聞こえない…どうしたの、こなちゃん…。」

つかさは相変わらずうすら笑いを浮かべていた。

「……れ……。」

「え…?なに?」

つかさがこなたの口に耳を向けた。

「……ば…れ…。」

こなたは床に落ちていたガラスの破片に手を伸ばした。

「く…た…ばれ…。」
こなたはそう言うと力を振り絞ってガラスの破片を握り締め、横に振り払った。

パツッ、と音がしてこなたの首に巻き付いていた電気コードがまっぷたつにちぎれた。



427: ◆g4b7GjYsgg :2007/12/26(水) 22:27:31.25 ID:1dZoOmN/O
コードの呪縛から解放されたこなたは、唖然とするつかさを思い切り突き飛ばすと、喉を押さえてしきりに咳き込んだ。


「キャッ!」


今度はつかさが短い悲鳴を上げて仰向けに倒れた。


こなたは床に手を突くと、くじいた足を労りながら、ゆっくりと起き上がろうとした。


しかし後ろから突進してきたつかさがこなたを再び床へと打ち倒した。

二人は床の上で激しく揉合った。



442: ◆g4b7GjYsgg :2007/12/26(水) 22:37:59.59 ID:1dZoOmN/O
二人は互いに有利になろうと相手の胸ぐらを掴み合い、頬を張りあった。


つかさが再びこなたの上に馬乗りになると、今度は手で首をしめあげた。


「こなちゃんのくせにぃ!」


こなたは顔をしかめさせながらも、スカートの中に隠していたみゆきの折りたたみナイフを取り出すと、つかさの太ももに突き刺した。


つかさは金切り声を上げた。



449: ◆g4b7GjYsgg :2007/12/26(水) 22:42:14.82 ID:1dZoOmN/O
こなたはつかさが手を離すまで何度もナイフを太ももに突き刺した。

つかさが悲鳴を上げながら涙を流しついに喉から手を離した。

その期を逃さずに、こなたはつかさの背中に膝で蹴りを入れると横に押し倒し、今度はこなたが馬乗りになった。


そして手に握られたナイフをつかさの胸に突き立てんと力を込めた。


だかつかさは泣きながらも必死でナイフを押し留めた。



457: ◆g4b7GjYsgg :2007/12/26(水) 22:49:10.39 ID:1dZoOmN/O
「ごめんなさい…こなちゃん…ごめんなさい…。」


つかさは両手でこなたの手首を掴みながら必死で命乞いをした。

こなたは更に力をこめんと、ナイフの柄にもう片方の手を添えて、つかさの胸に向かってナイフを押し込んだ。

徐々にナイフの刃がつかさの胸へと降りていく。

そして切っ先がつかさの制服の胸の辺りにまで到達した。



465: ◆g4b7GjYsgg :2007/12/26(水) 22:56:30.71 ID:1dZoOmN/O
切っ先が胸に触れ、それが徐々につかさの胸の皮膚を突き破らんとしていた。
つかさはうわ言のように懇願し続けた。

「止めて…本当に…お願い、止めて止めて止めて………ア"アッ…アハッ…。」


遂に切っ先が皮膚を突き破り、徐々につかさの胸へと埋まっていく。


つかさは体を小さく痙攣させながら、なすすべもなく刺さっていくナイフを見つめた。


つかさの両手から力が抜けていく…。


こなたはそのままゆっくりとナイフをつかさの胸へと埋めていった。


そしてナイフが柄までつかさの体内に入った頃には、時折うめき声を上げて小さく痙攣をしていたつかさは目を見開いて動かなくなっていた。



478: ◆g4b7GjYsgg :2007/12/26(水) 23:04:46.50 ID:1dZoOmN/O
終わった……。


こなたはつかさからナイフを抜き取ると、首を押さえて再び咳き込んだ。


これで…終わったんだ……。

こなたはつかさの服を捲ると、先程みゆきにしてきた時のように、ナイフを腹に突き立て、下腹部まで切り裂いた。


つかさの柔らかいお腹はたやすくナイフを受け入れた。


そして…解毒剤がある事を祈りながら、切口に手を入れた…。



501: ◆g4b7GjYsgg :2007/12/26(水) 23:19:09.34 ID:1dZoOmN/O
「あれ…?あれ…?」

こなたもつかさがかがみにしたのと同様に内蔵を切り刻んでくまなく解毒剤を探した。

だが、無情にも解毒剤は無かった…。

と、すると……?

出来れば考えたく無かった…起こって欲しく無かった事が現実味をおびて来る。

解毒剤は私の体内に…あるの……?

人生最悪の事実が目の前に突きつけられた…。

そして…取り出す方法は……?


「嫌だ……いやあああああ!」

こなたはナイフを取り落とすと半狂乱になって叫んだ。

「ねぇ……かがみ…助けてよ!手伝ってよ…私…出来っこないよ…!」

こなたがかがみの死体に取り付くと、何とかして起こそうと必死になって飛び出た内臓をかき集めて、腹に押し込み、体を揺さぶる…。

当然…返事は返ってこない…。



524: ◆g4b7GjYsgg :2007/12/26(水) 23:40:00.12 ID:1dZoOmN/O
「かがみん…ここから助けてよ!……一人にしないでよ…かがみん…」

だが、頼りのかがみは天井をドロリとした視線で仰ぐばかりだった


こなたは床に手をつくと、泣き出した。






幻想的な現実なら現実じゃないかもしれない。





現実が幻想なら現実は無いのかもしれない…。



そしてこなたは再び顔を上げた。


そこには黒いローブをはおり、フードを目深に被った人物が、こなたを見下すように立ち尽くしていた。

いま、全ての現実が一つになろうとしていた。



563: ◆g4b7GjYsgg :2007/12/27(木) 00:10:56.43 ID:+sknUr0BO
こんな、死体に埋もれた部屋で、自分まで死体になるなんて真っ平だ。
死んでも嫌だ。


てことは、このナイフで自分の体を切り裂き、解毒剤を見つけなければならない。


やるしか…生き延びる道はない…。


だが、いつ…?時間はない…。もう五分を切った。


こなたは壁にもたれた。部屋全体が、視野に入る。
そこには二人の友人の死体とガラスの破片、そしてゲームの主催者…。


こなたは…ナイフを逆手にもつと、自分の腹に向けてナイフを振り上げた。


「それが…答えか…?」


機械的なしわがれ声で、ゲームの主催者は言った。


こなたは無言でうなづくと、思い切りナイフを突き入れた。



576: ◆g4b7GjYsgg :2007/12/27(木) 00:18:03.19 ID:+sknUr0BO
「ンアアアッ!…クッ……。」


脇腹の傷の脇に新たにナイフを突き入れ、そして横に引いて傷口を広げる。


「ああっ!」


あまりの激痛に、こなたは気絶しかけた…だが、なんとか気を取り戻すと、歯をくいしばり、手を傷口に押し込んだ。

自分の臓物のヌメヌメした感触と激痛があいなり、こなたは嘔吐した。

出てきたのは黄色くて苦い胃液と胆汁…。



600: ◆g4b7GjYsgg :2007/12/27(木) 00:26:50.05 ID:+sknUr0BO
激痛に悶えながら、散々体内をこねくり回した…血が後から後から出てきて止まらない…。


解毒剤なんて……どこにも…ないじゃん……。

こなたはついに激痛に耐えきれずに、床に倒れてしまった…。

目が霞む……そして妙に寒い…典型的な失血性のショック症状だった…。


肩で息をしながら、こなたは黒いローブの人物を見た。

やはり微動だにせずにこちらを凝視するばかりだった…。


もう駄目だ…どんなに頑張っても…みつかりっこないよ…次第にこなたの意識が薄れていく…。



656: ◆g4b7GjYsgg :2007/12/27(木) 00:58:58.85 ID:+sknUr0BO
ゲームの主催者は腕時計を見て、ため息をつくと、息も絶え絶えのこなたの近くまで歩み寄り、そして言った。


「時間切れだ…。率直に言う…このゲームはお前の負けだ…。私は最初に言った筈だ…。全てを見逃さず…そして全てを見捨てるな…と。」


「じ…じゃあ…解毒剤は…。」


「確かに体内にあるとは言ったが……腹の中にあるとは言ってない…。」


そう言うと、そのゲームの主催者は地面に広がる、こなたの血をすくい上げると、それをジャムか何かを舐めるかのように口に含んだ。

「実はお前にだけ…解毒剤を注射したんだ…。」


「じゃあ…あたしの血が……解毒剤…?そんなの……分かりっこ無いよ……。」


しかしゲームの主催者は首を横に降った。


「みさおのヒントは…?」



717: ◆g4b7GjYsgg :2007/12/27(木) 01:35:44.82 ID:+sknUr0BO
「……え…?」

こなたは虚ろな目をゲームの主催者へと向けた…。

「このゲームのルールは全てを見逃さず…全てを見捨てるな…みさおにはこう吹きこんだ……。
四人の中で、もし一人異端者が現れれば、それは光への鍵…何が起きようとも最後まで鍵を失わず、四人で道を歩み、四人で答えを出せ……。
全てを見捨てなければ、見逃さなければ、こんな事にはならなかった…他の三人が、異端者のお前を見逃さず、私に差し出せば、それで助かった…。お前の血は言わばベースだ。」

こなたはその時初めて、ゆたかの身をていした犠牲と笑顔の意味を理解した…。

皆を助けられるのはお姉ちゃんなんだよ…。だからここで死んじゃいけない…。

「ベースって…何?」
主催者は無言のまま、みゆきのナイフを手に取ると、自分の腕を切った。
血がにじみ出て、滴り落ちて、こなたの血と混じり合う…。
「血は水よりも…酒よりも濃い物だな…こなた。」



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