( ^ω^)ブーンがあの世で死んだようです
- 45: ◆xh7i0CWaMo :2006/10/15(日) 00:51:23.72 ID:M2Gge9g00
- ーーー高校ーーー
日が沈んで、また昇った。
ドクオとしょぼん、そしてクーは脱力感丸出しで授業を聞いていた。
('A`)「……なぁ、しょぼん」
(´・ω・`)「何?」
('A`)「俺も死んだら、あの世とやらに行けるのかなあ?」
(´・ω・`)「何言ってんだよ」
しょぼんが咎める。
(´・ω・`)「昨日の事は忘れようよ」
('A`)「でも気になるだろう。夢や幻覚じゃすまねえぞ」
川 ゚ -゚)「無理なんじゃないか? 恨みやねたみを持っていないと」
('A`)「……ブーン、何があったんだろう」
この瞬間も彼は死んでいるのか。
考えると、気が重い。
- 47: ◆xh7i0CWaMo :2006/10/15(日) 00:57:33.19 ID:M2Gge9g00
- 川 ゚ -゚)「……あぁ、そうだ」
クーはポケットを探る。
取り出したのは、昨日拾った生徒手帳だった。
川 ゚ -゚)「これを返しに行かないと」
(´・ω・`)「あー、そうだね」
川 ゚ -゚)「ついてきてくれないか?」
(´・ω・`)「え。いいけど、どうして?」
川 ゚ -゚)「いや、昨日からどうも一人でいるのが怖くてな……恥ずかしい話だが」
('A`)「じゃあ俺も行く」
川 ゚ -゚)「……」
('A`)「すんません」
川 ゚ -゚)「いやいや、別に構わないよ」
???「あ、その手帳……」
- 50: ◆xh7i0CWaMo :2006/10/15(日) 01:08:50.37 ID:M2Gge9g00
- 川 ゚ -゚)「……ツン?」
ξ゚听)ξ「私の、かも。昨日から無くなってるんだけど」
声をかけてきたのはツン。やはり、同じクラスの女生徒である。
彼女も、ブーンが死んでからというもの、元気が無い。
だがそれは、同級生が死んだことによるショック、といった程度のものである。
それにしては、少々引きずりすぎのような気もするが。
川 ゚ -゚)「……そうなのか?」
ξ゚听)ξ「ちょっと貸して……あ、やっぱり。ほらここに名前あるでしょ」
川 ゚ -゚)「確かに……でも、これ昨日ブーンのお墓のところで拾ったんだがな」
ξ゚听)ξ「え……?」
そこでツンが言葉を失う。
川 ゚ -゚)「ほら、昨日は月命日だったから」
ξ゚听)ξ「あ、そ、そうだったの……」
川 ゚ -゚)「行ったのか?」
ξ゚听)ξ「へ?」
川 ゚ -゚)「いや、ブーンのお墓に」
ξ゚听)ξ「い、行ってないけど」
川 ゚ -゚)「だとすると、妙だな……」
むぅ、とクーが考え込む。
ξ゚听)ξ「……」
- 54: ◆xh7i0CWaMo :2006/10/15(日) 01:15:55.28 ID:M2Gge9g00
- ーーー昼休みーーー
('A`)「ツンのだったって?」
川 ゚ -゚)「あぁ。よく見たら名前も書いてあったよ」
(´・ω・`)「でも、なんであんなところにツンの手帳が?」
('A`)「さあな……ああもう、昨日からわけわからんことばっかりだ」
とりあえず問題が一つ解決した。
しかし、クーは未だに浮かない顔をしている。
川 ゚ -゚)「これで、しぃさんのところに行く理由を失ってしまったな」
(´・ω・`)「行きたかったの?」
川 ゚ -゚)「うん……」
('A`)「だったら、クラスメイトとして行けばいいじゃないか」
川 ゚ -゚)「なるほど……そうだな。ついてきてくれるか?」
(´・ω・`)「うん」
('A`)「もちろん」
- 57: ◆xh7i0CWaMo :2006/10/15(日) 01:20:59.27 ID:M2Gge9g00
- ーーー放課後 しぃの家ーーー
大通りから路地に入り、数分ほど進んだ場所にそのアパートはあった。
くすんだ木製のアパート。そこだけ昭和のような雰囲気を醸し出している。
川 ゚ -゚)「ここだな」
('A`)「噂には聞いていたが、こりゃひどいな」
(´・ω・`)「住人に失礼だよ」
('A`)「でもよ、これはどうみても廃墟だぜ……」
川 ゚ -゚)「えっと、ここの201号室か……」
階段を踏むたびに軋んだ音が周囲に響く。
生活音が聞こえてこない。
果たして本当に人が住んでいるのか、と疑いたくなる。
川 ゚ -゚)「ここだ」
呼び鈴が壊れているのでドアをノックする。
川 ゚ -゚)「しぃさん?」
- 60: ◆xh7i0CWaMo :2006/10/15(日) 01:28:00.33 ID:M2Gge9g00
- しばらく、返事は無かった。
しかし二度目のノックの後、ぱたぱたと、ドアの向こう側から足音が聞こえてきた。
('A`)「薄いドアだな」
(´・ω・`)「うん……」
そして、ドアがわずかに開かれる。
(*゚ー゚)「!……クー、さん」
川 ゚ -゚)「や、やあ」
ここでも会話に詰まってしまいそうになる。
(*゚ー゚)「どうしたの? 何か、用?」
(´・ω・`)「!」
川 ゚ -゚)「い、いや。べつにそういうわけでもないんだ」
(*゚ー゚)「じゃあ、何……」
川 ゚ -゚)「最近学校に来てないだろう? 心配になって」
(*゚ー゚)「昨日会ったばっかりなのに」
気まずい会話が繰り広げられる。
('A`)(しっかし、俺たちを中に入れる気はゼロみたいだな)
ドアから覗くようにしてこちらを伺うしぃに向かって、ドクオはそんなことを考えていた。
- 62: ◆xh7i0CWaMo :2006/10/15(日) 01:32:24.60 ID:M2Gge9g00
- (*゚ー゚)「帰って欲しい」
川 ゚ -゚)「でも……」
(*゚ー゚)「いいから!」
少し声を荒げるしぃ。
そんな彼女を見たことが無い3人はたじろぐ。
(*゚ー゚)「一人にしといてよ……私はずっと、独りでいたいの」
川 ゚ -゚)「……」
(´・ω・`)「クー、帰ろう」
しょぼんがクーに囁く。
川 ゚ -゚)「しかし……」
(´・ω・`)「嫌がってるのも無理やり引き止めても仕方ないよ」
(*゚ー゚)「……」
川 ゚ -゚)「連絡もなしに来てすまなかった。帰るよ」
(*゚ー゚)「早く帰って」
それだけ言い残して。
ピシャリ、としぃは扉を閉めた。
- 65: ◆xh7i0CWaMo :2006/10/15(日) 01:38:25.20 ID:M2Gge9g00
- ('A`)「余所余所しさマックスだったな」
階段を下りながら、ドクオが毒づく。
('A`)「もうちょっと友好的でもいいと思うんだが」
川 ゚ -゚)「気が立っていたんだろうな……」
一方のクーは、少し落胆気味である。
そんな中、しょぼんが口を開いた。
(´・ω・`)「……ねぇ、変な話していいかな?」
('A`)「なんだよ、急に」
(´・ω・`)「しぃの部屋……201号室から、変なにおいがしたんだよ」
('A`)「そうかあ?」
(´・ω・`)「僕だけかもしれない、でも、あれは間違いないよ」
(´・ω・`)「何かが腐ったようなにおいだった」
川 ゚ -゚)「それは、つまり?」
(´・ω・`)「はっきりとはいえないよ……」
('A`)「おい、まさか死臭、とか言い出すんじゃないだろうな?」
(´・ω・`)「……」
しょぼんは肯定しない。
しかし否定もしなかった。
- 68: ◆xh7i0CWaMo :2006/10/15(日) 01:43:59.03 ID:M2Gge9g00
- ('A`)「いくらなんでもそれはねーよ。大体お前、死臭とかかいだことあるのかよ」
(´・ω・`)「いや、それはないよ……でも、そんな感じのにおいだったことは間違いない」
('A`)「はっ」
呆れたように息を吐く。
クーはその会話を、黙って聞くのみだった。
('A`)「考えすぎなんだよ。昨日のこともあって、デリケートになってんだろ」
(´・ω・`)「そうかも、しれない」
そんな会話も、一時中断することになる。
( ,,゚Д゚)「……おぅ?」
('A`)「ん、ギコじゃねえか」
やたらと頬を高潮させた男。
同級生のギコがそこに立っていた。
- 75: ◆xh7i0CWaMo :2006/10/15(日) 01:51:03.00 ID:M2Gge9g00
- ( ,,゚Д゚)「お、おう、どうしたんだよ、お前ら」
('A`)「何あからさまなキョドり方してんだ。お前こそ、何やってんだよ」
( ,,゚Д゚)「いや、ま、まあ」
川 ゚ -゚)「しぃに会いに来たのか?」
( ,,゚Д゚)「……」
(´・ω・`)「相変わらずわかりやすいというか……」
ギコとて、チョイ悪を気取りたい年頃なのである。
( ,,゚Д゚)「るせーな! ちょ、ちょっと気になったから来てみたんだよ!」
('A`)「へー、ギコくんやさしー」
( ,,゚Д゚)「殺すぞてめえ」
川 ゚ -゚)「会いに行くのはいいが、追い返されるのがオチだと思うぞ」
(´・ω・`)「事実、僕たちも追い返されたし」
( ,,゚Д゚)「そ、そうなのか。それじゃ、また今度にする!」
踏ん切りがつかなかったのだろう。
帰る理由を見つけて、ホッとしたのかもしれない。
('A`)「……ギコ、しぃのこと好きだったんだな」
(´・ω・`)「みたいだね」
・・・
・・
・
- 79: ◆xh7i0CWaMo :2006/10/15(日) 01:59:15.36 ID:M2Gge9g00
- ーーーあの世ーーー
( ・∀・)「私とて、いつまでも貴方の相手をしているわけにもいきません」
( ^ω^)「お」
今日も死に、明日も死ぬ。
死ぬ毎日は無意味のようで、意味はある。
ここは海岸。
今日試した死亡方法は、入水自殺。
死に方に意味があるのかは、誰にもわからない。
( ・∀・)「私の管轄下に、あなたと同じように、魂が消えない者がもう一人います」
びしょぬれのブーンを前にして、モララーが言う。
( ^ω^)「誰だお?」
( ・∀・)「さあ。私の知ったことではありません」
( ^ω^)「で、その人と僕にどういう関係が?」
( ・∀・)「いえ、殺し合いでもしてもらおうかと」
( ^ω^)「……」
( ・∀・)「といっても相手は中年女性ですからね。おそらく貴方が勝つでしょう……あ、きましたよ」
???「……」
( ^ω^)「!」
( ・∀・)「?」
( ^ω^)「あ、あんたは……」
その人間の名前を、ブーンは知っている。
- 111: ◆xh7i0CWaMo [AAはカーチャンですがブーンのカーチャンではないので、悪しからずorz] :2006/10/15(日) 10:06:53.65 ID:M2Gge9g00
- ( ・∀・)「知り合い?」
( ^ω^)「……お。知ってるお」
( ^ω^)「この人は、この人は」
わずかに残っている生前の記憶。
死ぬ直前の記憶の中に、この女は登場している。
軽トラック その運転席。
( ^ω^)「僕を殺した……」
( ・∀・)「おやおや。そうなのですか?」
J( 'ー`)し「……」
ボサボサの髪の毛。薄汚れた衣服を身に纏った女は、疲れきった表情のまま、何も答えない。
( ^ω^)「あのトラックを運転していたのはあんただお」
J( 'ー`)し「……」
- 112: ◆xh7i0CWaMo :2006/10/15(日) 10:10:24.75 ID:M2Gge9g00
- ( ・∀・)「まぁ、なんでもいいんですけどね。とりあえず、殺しあってみてください。武器は」
と、男は二人の間にナイフを二本、放り投げる。
( ・∀・)「ルールは簡単ですよ、殺したほうが勝ちです」
( ^ω^)「そんな勝負に、意味はあるのかお」
( ・∀・)「今更、行動に意味を求めますか?」
( ^ω^)「……」
( ・∀・)「なるべく醜い死に方をしたほうが、いいかもしれませんねえ……では」
嘲るような笑みを浮かべ、男はその場から立ち去っていく。
打ち寄せる波の音が静かに響いた。
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