( ^ω^)ブーンがあの世で死んだようです

210: ◆xh7i0CWaMo :2006/10/15(日) 15:05:24.87 ID:M2Gge9g00
  
ーーーあの世ーーー

夜を迎えていた。
辺りは闇に包まれる。
このあたりは、あの世の中でも街灯が少ない方だ。
星が瞬き、輝くのが良く見える。

( ^ω^)「あんたは、どうしてここにいるんだお?」
J( 'ー`)し「……?」
( ^ω^)「相当の恨みを持っていないと、こんなところにはこないで天国に直行するはずだお」
J( 'ー`)し「貴方こそ、どうして」
( ^ω^)「質問に質問で返すのはルール違反だお」

J( 'ー`)し「私は夫を恨みます」
( ^ω^)「……」
J( 'ー`)し「もっとも、顔も名前もわからないので恨みようもありませんが」
( ^ω^)「どういうことだお?」

J( 'ー`)し「17年ぐらい前のことですが、私は男どもに襲われました」
( ^ω^)「……」
J( 'ー`)し「野獣のような奴らです。次から、次へと」
( ^ω^)「便器ってやつかお」
J( 'ー`)し「その時、娘を身篭りました」
( ^ω^)「へぇ」
J( 'ー`)し「娘の名前は、しぃと言います」
( ^ω^)「しぃ……」

その名前には、当然、ブーンには聞き覚えがある



217: ◆xh7i0CWaMo :2006/10/15(日) 15:11:49.69 ID:M2Gge9g00
  
( ^ω^)「あんた、しぃの母親だったのかお」
J( 'ー`)し「ご存知でしたか」
( ^ω^)「同じクラスだったお」
J( 'ー`)し「……そうですか。見苦しい子だったでしょう?」
( ^ω^)「可愛いとは思ったお」
J( 'ー`)し「妊娠した当時は、まだ私も裕福でした。だから私は出産を決意したんです……元々、子供は好きでしたし、堕胎するのも気が引けましたから」

J( 'ー`)し「でも、世間というものは予想以上に冷たかった」

J( 'ー`)し「私の家族は不景気の下り坂を見事に転がり落ちていった。そうすると、親族はどこの誰のものかも知れない子を孕んだ私をのけ者にし始めた」

J( 'ー`)し「アパートに追いやられ、家族の縁も一方的に切られた。私は自分で稼ぐしかなかった」

J( 'ー`)し「しかし、まぁ自分でもいうのもなんですが、私はダメ人間です。どの仕事もうまくいきません」

( ^ω^)「不幸な話だお」

J( 'ー`)し「パートで稼ぐ生活が続きましたが、やがてお金は底についた。自暴自棄になった私は、娘をつれてトラックを盗んだ」

( ^ω^)「そして、僕を殺したお」

J( 'ー`)し「そういうことですね」



221: ◆xh7i0CWaMo :2006/10/15(日) 15:25:52.03 ID:M2Gge9g00
  
J( 'ー`)し「そもそもの原因は私を妊娠させた男……事実上、夫とも呼ぶべき人物です。だから私は、その男を恨みます」
( ^ω^)「その恨みが晴れれば、あんたは成仏できるのかお?」
J( 'ー`)し「自覚している限りは、おそらく」
( ^ω^)「おー……」

J( 'ー`)し「それで……貴方のことは教えてもらえますか」
( ^ω^)「……」
J( 'ー`)し「まぁ、別に知りたい、というわけでもないのですが」
( ^ω^)「それなら、聞かなくていいお」

( ・∀・)「また、妙に和やかですねえ。こちらとしては、仕事が終わらないので困ってしまうのですが」

( ^ω^)「別に急ぐことは無いお」
( ・∀・)「あなたが決める問題じゃないでしょう」

( ^ω^)「夜ですお」
J( 'ー`)し「そうですねえ」

( ・∀・)(やれやれ……いい具合に壊れちゃって)



224: ◆xh7i0CWaMo :2006/10/15(日) 15:37:43.78 ID:M2Gge9g00
  
ーーー翌日 高校ーーー

今日は金曜日。
明日から二連休が始まる。
そんな日。
ドクオたち3人の気は相変わらず重い。

ξ゚听)ξ「……何?」

放課後、その3人に近づかれたツンが、少しオドオドとした声を出す。

川 ゚ -゚)「ん……いや、聞きにくいことなんだが」

川 ゚ -゚)「ブーンと何かあったのか?」

聞きにくい、といった割には単刀直入である。

ξ゚听)ξ「ブーンと?」
川 ゚ -゚)「あぁ。その、何かうらまれたりするようなことは……」
ξ゚听)ξ「なんでそんなこと聞くの?」
川 ゚ -゚)「それは……」

ξ゚听)ξ「何も、別にうらまれるような覚えはないわよ」
川 ゚ -゚)「そう、か」
ξ゚听)ξ「何で今更ブーンのことなんか……」

げんなりしたような表情のツン。

川 ゚ -゚)「君の生徒手帳がお墓の前に落ちていただろう?」
ξ゚听)ξ「……」



229: ◆xh7i0CWaMo :2006/10/15(日) 15:51:11.48 ID:M2Gge9g00
  
川 ゚ -゚)「でも君は、お墓には行ってないと言い張る」
ξ゚听)ξ「当たり前でしょ。行ってないもん」
川 ゚ -゚)「じゃあなぜ……」
ξ゚听)ξ「知らないわよ!」

突然ツンが声を荒げた。

ξ゚听)ξ「私はブーンのことも、手帳のことも何も知らない! もう、詮索しないでよ、気持ち悪い」
川 ゚ -゚)「む……すまない」
ξ゚听)ξ「まったく……」
(´・ω・`)「そんなに怒らないで。というか、クーも直接過ぎるよ」
ξ゚听)ξ「何よ、副委員長まで」
(´・ω・`)「実はね、遺品を整理していたブーンの家族から連絡があったんだよ。ほら、僕ってブーンと仲良かったから」
ξ゚听)ξ「……それで?」
(´・ω・`)「日記が見つかったんだよ。そこにはこう書かれていたらしいんだ」

(´・ω・`)「ツンのことが、心配だって」
ξ゚听)ξ「本当に?」
(´・ω・`)「さあ。僕が実際にその日記を見たわけじゃないからなんともいえないけど」

(´・ω・`)「でも、ブーンの家族に、ツンさんにそのことをさりげなく聞いてみてほしいって頼まれたんだ」
ξ゚听)ξ「……」
(´・ω・`)「ツン、君は何か知ってるんじゃないかな?」
ξ゚听)ξ「……あの、バカ」
(´・ω・`)「?」



231: ◆xh7i0CWaMo :2006/10/15(日) 15:57:11.47 ID:M2Gge9g00
  
ξ゚听)ξ「……別に、たいしたことは無かったわよ」
(´・ω・`)「じゃあ、何かあったのは事実なんだね」
ξ゚听)ξ「……前の日に、ちょっとね」
(´・ω・`)「ブーンが亡くなった前の日?」
ξ゚听)ξ「そう」
(´・ω・`)「それ以上は……」
ξ゚听)ξ「話したくない」
(´・ω・`)「そう……」

(´・ω・`)「うん、わかったよ。ご家族にはそう伝えとく」
ξ゚听)ξ「……」

ξ゚听)ξ「その、家族の人に言っといて」
(´・ω・`)「え?」
ξ゚听)ξ「ごめんなさい、って。それじゃ」
(´・ω・`)「あ、ちょっと……」

カバンを引っつかみ、足早に教室から出て行くツンを、3人はただ見送っていた。

('A`)「……しょぼん、えげつない引っ掛け方したもんだな」

言うまでも無く、しょぼんの話した日記云々は嘘である。

(´・ω・`)「まぁ、ね。全てが丸く収まったら謝るよ」
川 ゚ -゚)「丸く収まるのかな……」



233: ◆xh7i0CWaMo :2006/10/15(日) 16:05:31.71 ID:M2Gge9g00
  
( ,,゚Д゚)「えらく修羅場っぽかったぞ」
('A`)「……おう、ギコ」

ツンが出て行った教室のドアのほうを見やりながら、ギコがドクオたちに話しかける。

(´・ω・`)「どうかしたの?」
('A`)「告白は成功したのか?」
( ,,゚Д゚)「そのこと、なんだが。委員長たちに言っておきたいことがある」
川 ゚ -゚)「むぅ、なんだ?」
( ,,゚Д゚)「しぃのことなんだが……他の奴らには言うなよ」
川 ゚ -゚)「心得た」
( ,,゚Д゚)「ドクオも」
('A`)「信用しろよ」

( ,,゚Д゚)「ともかく、重要なことなんだ」

そう前置きして、ギコは語った。
昨日、しぃから聞いたこと。その全てを。
その理由は他でもない、しぃを助けたいから。
しかし、それは自分だけでできることではないと思ったからである。



235: ◆xh7i0CWaMo :2006/10/15(日) 16:13:38.15 ID:M2Gge9g00
  
(´・ω・`)「……」
川 ゚ -゚)「……」

聞かされた3人。絶句するほかない。

( ,,゚Д゚)「……って話なんだが、どうすればいいと思う?」
('A`)「そいつは……はっきりいって、俺たちにどうこうできる問題じゃないだろ」
川 ゚ -゚)「うん。そこまでいくと、警察などに頼るしか」
( ,,゚Д゚)「そうか。やっぱりそうだよな……」

(´・ω・`)「今日もう一度、しぃの家に行ってみようよ。そして、色々聞いてみよう」
川 ゚ -゚)「うん……そうだな。ギコも来るか?」
( ,,゚Д゚)「もちろん」
('A`)「好きだもんな」
( ,,゚Д゚)「……あぁ」
('A`)「その反応はつまらんぞ」
( ,,゚Д゚)「いや、そのつもりだったよ。好きだった……でもな、昨日の話し聞いて、なんつーか、引いちゃったんだよな」
川 ゚ -゚)「……まぁ、仕方ないかもしれないな」

( ,,゚Д゚)「だが、どうにかしてやりたいとは思う」
('A`)「……そうだな」



239: ◆xh7i0CWaMo :2006/10/15(日) 16:21:52.31 ID:M2Gge9g00
  
・・・

・・




ーーーしぃの家ーーー

(*゚ー゚)「……」

昨日辺りから、信念が揺らぎ始めている。
独りでいたい、今まではそう思っていた。
だが、今は。
独りでいるのがとてつもなく怖い。
時折聞こえる虫の音が非常に恐ろしい。
壊れたのは、人格ばかりではなかった。

(*゚ー゚)「どうしたいのかなあ、私」

昨日はフラフラと外出してみた。
そしてフラフラと帰ってきた。
収穫は無い。
何も変わらない。現状維持である。
変わったものがあるとすれば、それは空腹の度合いぐらいだろう。

(*゚ー゚)「……おなかすいたなあ」

その時、ノックの音が聞こえてきた。



246: ◆xh7i0CWaMo :2006/10/15(日) 16:42:45.64 ID:M2Gge9g00
  
面倒だが、とりあえず立ち上がって玄関に向かう。

そして、小さく扉を開いた。

が、その扉は無理やり大きく開放された。

(*゚ー゚)「!」
<ヽ`∀´>「どうも、長岡金融ニダ」
( ゚∀゚)「返済が滞ってるし電話も繋がらないし、ということで直々に来てやりましたよ……って、ガキかよ」
(*゚ー゚)「あの……ど、どういうことですか?」
<ヽ`∀´>「さっさと150万、返せニダ!」
( ゚∀゚)「あんたの母親が借りてんだよ、うちから金をな!」
(*゚ー゚)「あ……その……」

剣幕に気圧されて、しぃはうつむく。

(*゚ー゚)「お母さんは、死んじゃって」

( ゚∀゚)「何ィ……?」
<ヽ`∀´>「長岡さん、ここ、変な臭いがするニダ」
( ゚∀゚)「ッ……じゃあお前でいい。さっさと返せ」
(*゚ー゚)「そ、そんなお金……ない、です」
<ヽ`∀´>「金が無い? こっちはずっと待ってやってたんだニダ! 耳をそろえて返しやがれニダ!」
( ゚∀゚)「まぁ落ち着けニダー……お嬢ちゃん、ちょっと上がらせてもらうよ」

(*゚ー゚)「あ、だめ……」
<ヽ`∀´>「黙れニダ!」

止めようとしたしぃを、ニダーが蹴り飛ばす。



247: ◆xh7i0CWaMo :2006/10/15(日) 16:45:25.40 ID:M2Gge9g00
  
( ゚∀゚)「うわ……こいつはひでえな」
様々なものが散らかった部屋を見たジョルジュが吐き捨てた。
<ヽ`∀´>「金目のものは……」

そういって、ニダーは片っ端から漁り始めた。
しぃはおろおろするばかり。

( ゚∀゚)「……ん、こっちにも部屋があるのか」

ジョルジュが目をつけたのはふすま。禁断のふすまである。

(*゚ー゚)「だめ、そこは!」

しぃの抵抗はニダーによって阻まれる。
ガラリとふすまの開く音。

( ゚∀゚)「うぉ……」

中の惨状をジョルジュは見てしまった。
慌てて鼻を押さえてふすまを閉める。

( ゚∀゚)「……なるほどなあ」

それでも気丈に、ジョルジュは言い放った。

( ゚∀゚)「どうやら、母親が死んだのはマジらしいな」
(*゚ー゚)「……」

しぃは応じない。
代わりに、涙が頬を伝った。



248: ◆xh7i0CWaMo :2006/10/15(日) 16:48:48.96 ID:M2Gge9g00
  
( ゚∀゚)「こりゃあ、マジで金はなさそうだ」
<ヽ`∀´>「じゃあどうするニダ!?」
( ゚∀゚)「んー……このまま損するだけで終わるのは癪だな」

しばらく部屋を見回していたジョルジュ。
やがて床に崩れているしぃに目を留めた。

( ゚∀゚)「ニダー」
<ヽ`∀´>「ニダ?」
( ゚∀゚)「ヤっちまうか」
(*゚ー゚)「え……」
<ヽ`∀´>「了解しましたニダ」

二人の表情が、みるみるうちに猟奇的なものへと変わっていった。

(*゚ー゚)「……!」

とっさに悲鳴を上げようとする。
しかしその口は、ニダ−によって塞がれた。

( ゚∀゚)「やせ気味なのが問題だが、結構いい体してるじゃねえか」
(*゚ー゚)「んー、んー!!」
( ゚∀゚)「黙ってろ便器!」

抵抗するしぃの頬をジョルジュが張る。

( ゚∀゚)「おとなしくしていれば、すぐ済むって」
<ヽ`∀´>「まったく、金のない女は便器の役目しか果たさないから困るニダ」

しぃの、無音の悲鳴がこだました。



249: ◆xh7i0CWaMo :2006/10/15(日) 16:52:42.24 ID:M2Gge9g00
  
・・・

・・



ーーーあの世ーーー

( ・∀・)「さて、あなた方を戦わせると、どうやら刺し違えてしまうようです。そうなると、私の仕事が増えて困ります」

( ^ω^)「……」
J( 'ー`)し「……」

( ・∀・)「というわけで今日は先ず、あなたから」

と、男はしぃの母親を指さした。

J( 'ー`)し「はい」
( ・∀・)「まったく、さっさと消えてくださいよ……」

男の愚痴を聞く者はいない。

・・・

・・





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