( ^ω^)ブーンがあの世で死んだようです

347: ◆xh7i0CWaMo :2006/10/15(日) 20:28:13.92 ID:M2Gge9g00
  
ーーー路上ーーー

すでに外は夜を迎えていた。
彼らはその後、しぃと共に警察に行った。
「あとはこちらに任せてほしい」との言葉に、クーたちは素直に従うことにしたのだ。

とりあえず、最悪の方向に進行することは回避できた、はずである。




(´・ω・`)「……ブーンは、恨みを晴らさない限り死に続けるんだよね」

夜道。
時間の感覚が狂ったらしいセミが未だに叫んでいる。

川 ゚ -゚)「だな」
('A`)「でも、恨みを晴らしたら消えるんだろう?」
( ,,゚Д゚)「消えちまったら、どうなるんだ?」
(´・ω・`)「それこそ、僕らがちょっと前まで考えてた『死んだらどうなるんだろう』みたいな疑問になっちゃうんじゃない?」
川 ゚ -゚)「どちらがいいのか、わからないな」



351: ◆xh7i0CWaMo :2006/10/15(日) 20:34:16.80 ID:M2Gge9g00
  
('A`)「それに恨みを晴らすには、あいつの場合……」
(´・ω・`)「ツンを殺す」
( ,,゚Д゚)「マジかよ……」
川 ゚ -゚)「疑問も多いよ」
('A`)「例えば?」
川 ゚ -゚)「なぜ、ブーンが死んでからもう一度こちらに生き返ってくるまでに、最初だけ一ヶ月もかかったのか」
(´・ω・`)「確かに」
川 ゚ -゚)「ツンに覚えの無い恨み程度で、なぜブーンは通常とは違う、魂をすり潰されるほどの酷刑に処されないといけないのか」
( ,,゚Д゚)「わっけわからん」
('A`)「ああもう俺いいよ。考えるだけムダな気がする」
(´・ω・`)「ま、とりあえず明日は休みだし、脳を休めるにはいい機会なんじゃない」
川 ゚ -゚)「……探偵団でも開業しているかのような会話だ」
('A`)「俺、麻酔針が欲しい」

そんな会話の中で、一人、また一人と別れていく。

そして最終的には、皆それぞれの帰路についたのだった。



355: ◆xh7i0CWaMo :2006/10/15(日) 20:38:10.18 ID:M2Gge9g00
  
ーーー路上ーーー

('A`)「あーとーきーのうーずーのーなーかー」

ドクオが家に帰るには繁華街を通り抜けないといけない。
夜の繁華街はチョイ悪少年たちのたまり場である。
ボーッとしているとたちまち、カツアゲに遭遇する。

('A`)「おーぼーれるーものーたーちー」

そもそも人ごみが好みではないドクオである。
自分の恐怖心を、歌を口ずさむことでごまかしていた。

('A`)「すーがーりついたー……ん?」

そこで、ドクオは足を止めた。

見てはいけないものを、見たような気がした。



365: ◆xh7i0CWaMo :2006/10/15(日) 20:43:05.81 ID:M2Gge9g00
  
人ごみの向こう。
知り合いは、妙に目に付くものだ。

('A`)「あれ、ツンじゃねーの?」

口に出していってみる。
ツインテールや体格から考えても、どう見てもツンである。

('A`)「あいつも、夜遊びとかするんだな」

ちょっとした虚脱感を覚える。
もう少し堅物だというイメージがあったからだ。

('A`)「……」

今、ツンは繁華街を早足で歩いている。
とおりすがる人を上手くよけている辺り、この時間帯の繁華街に慣れているのだろうと思わせる。

('A`)(そういえば、ブーンが……)

('A`)(ついていってみるか……)



373: ◆xh7i0CWaMo :2006/10/15(日) 20:48:18.64 ID:M2Gge9g00
  
ドクオの、よくいえば尾行
悪くいえばストーキングが始まった。

ツンは繁華街の中心部へと進んでいく。

('A`)「……カラオケとか、そんなのか」

とりあえず、頭に浮かぶのはポジティブな考えだ。

('A`)「明日は休みだからな。オールナイトって奴かな」

さらに歩き進んでいく。
そして、やがて少し開けた場所に出た。
そこは広場である。カップルなどが、よく待ち合わせ場所として使う場所だ。

('A`)(……あれ。立ち止まるの)

角で立ち止まったツンにあわせて、ドクオも歩くのをやめる。

('A`)(ここで友達と待ち合わせしてるのか……それとも)

('A`)(か、か、彼氏なのか……?)



384: ◆xh7i0CWaMo :2006/10/15(日) 20:53:53.90 ID:M2Gge9g00
  
だが、実際はドクオの予想の、斜め下を行くものだった。

('A`)「……ん?」

中年男が歩いてきた。
その男は首を回して、広場全体を眺望している。

('A`)(まさかねえ)

男はやがて目標を見つけたのか、歩き始めた。

('A`)「お、おい。そっち……」

思わず声が出る。
隣を歩いていた女が生ゴミを見るような目でドクオを睨んだ。

やがて中年男は立ち止まる。
ツンの前に。
そしてツンと二言三言何か会話した後、二人揃って歩き始めたのだ。

('A`)(……)

いやでも、援助交際の4文字が頭に点灯する。



395: ◆xh7i0CWaMo :2006/10/15(日) 20:59:05.64 ID:M2Gge9g00
  
('A`)「いやいやいや、待て待て待て。落ち着け俺、落ち着け俺」

ストーキングを再開しながら、ドクオは最もネガティブな考えを振り払う。

('A`)(あの人はもしかしたらツンの小学校時代の恩師かもしれねえ)

('A`)(生き別れになった実の父親との再会なのかもしれねえ)

('A`)(実はツンは渋い男が好きで、これは純愛なのかもしれねえ)

二人は手を繋いでいる。
恐ろしいことだ。

('A`)「……」

そして、やがて彼らは一つの建造物の中に消えていった。

('A`)「……」

派手なイルミネーションがドクオを潰すように輝いている。

('A`)「ラブホテルって……直行かよ」

ドクオはその場に崩れ落ちた。

・・・

・・





413: ◆xh7i0CWaMo :2006/10/15(日) 21:06:20.40 ID:M2Gge9g00
  
ーーーあの世ーーー

( ・∀・)「わかりましたよ。貴方の私怨」
( ^ω^)「……夜中にうるさいお」
( ・∀・)「ふふ」

目をこするブーン。
顔を輝かせている男。

( ・∀・)「ずばり、色恋沙汰ですね」
( ^ω^)「……」
( ・∀・)「あなたには好きな人がいた。でも、そんな彼女は実は別の男性と付き合っていた」

( ・∀・)「真実を知った貴方は彼女に真意を問いただそうとしていたそんな矢先、事故で死んだ。そうでしょう?」
( ^ω^)「……お」
( ・∀・)「はは、なるほどねえ」



419: ◆xh7i0CWaMo :2006/10/15(日) 21:10:26.46 ID:M2Gge9g00
  
( ・∀・)「見当違いですよ」
( ^ω^)「!」
( ・∀・)「彼女とその男性は、援助交際をしていたわけでも本当に付き合っていたわけでもありません」
( ^ω^)「どういう、ことだお?」
( ・∀・)「さあ」
( ^ω^)「教えてくれお!」
( ・∀・)「それを知ると貴方は」

( ・∀・)「死にたくなくなるでしょうね。それに恨むべき対象が消えるのだから、消失してしまうかもしれない」
( ^ω^)「……」
( ・∀・)「ほら、そう考えると知りたくなくなるでしょう?」
( ^ω^)「お……」
( ・∀・)「自分で考えてごらんなさい……ですが、一つヒントを」
( ^ω^)「?」
( ・∀・)「女が一番重要としているものは、上辺です」
( ^ω^)「……」

・・・

・・





442: ◆xh7i0CWaMo :2006/10/15(日) 21:23:17.35 ID:M2Gge9g00
  
ーーー某ラブホテル ロビーーーー

/ ,' 3「気は済んだか?」

中年男がツンに問いかける。
ツンは黙って頷いた。

/ ,' 3「しかし、こんなこと、僕は嫌だったんだよ。ホテルの前だけでよかったんじゃない?」
ξ゚听)ξ「……だって」
/ ,' 3「この老け顔だと、絶対援助交際と間違われてるよ」
ξ゚听)ξ「……かもね」
/ ,' 3「それにしても、ここが初体験の場所ねえ……いやはや、最近の子供はませておられる」
ξ゚听)ξ「うるさい! だって、だって友達が……」

中年男の名前は荒巻。
ツンとは叔父と姪の関係にあたる。
今年で30歳。まだまだ現役である。いろいろな意味で。



455: ◆xh7i0CWaMo :2006/10/15(日) 21:33:18.87 ID:M2Gge9g00
  
/ ,' 3「とにかく早く出よう。僕にこの雰囲気は似合わないんだよ」
ξ゚听)ξ「うん……」

ツンは実際、人に話したら笑われるか、あるいは引かれるような行動をしているのだ。

二ヶ月ほど前の話である。
ここにツンがブーンと共にやって来たのは。

結局、最後までは至らなかったが。

そもそもここに来た理由も、同学年のチョイ悪女にツンが散々煽られ、
ツンが彼女たちの言葉を真に受けてしまったから、なのだ。
当人たちの意思ではない。

ツンはクーに、月命日のことを聞かされた。
その時、彼女はそれを忘れていた自分を激しく責めた。

その日のうちに墓参りを済ませる。
だが、自分は元、ブーンの彼女だった女である。
そんな自分は、ブーンと何か特別な体験をしただろうか。
そう考えた挙句、たどりついたのがここなのだ。

一人で行くのは気恥ずかしいと、ツンは馴染みの親戚である荒巻と共にここを訪れたのだった。
今もツンは知らない。ブーンが、自分をどれほど恨んでいるか、ということを。
外に出ると、喧騒が耳を貫いた。

/ ,' 3「……ところで、僕に相談があるんだよね?」
ξ゚听)ξ「……うん」
/ ,' 3「……とにかく、繁華街を抜けよう。ここはうるさくてしょうがない」



460: ◆xh7i0CWaMo :2006/10/15(日) 21:40:04.28 ID:M2Gge9g00
  
ドクオの姿はすでにない。
そもそもツンたちはドクオに尾行されていたことすら知らない。


繁華街を出てできるだけ静かな方向へと足を向けた。

やがて若者の姿も少なくなり、夜闇が包む場所にたどりつく。

/ ,' 3「それで、相談って?」

住宅街の角で荒巻は立ち止まった。

ξ゚听)ξ「……最近、いたずら電話がかかってくる」
/ ,' 3「携帯に?」
ξ゚听)ξ「うん」
/ ,' 3「着信拒否は?」
ξ゚听)ξ「非通知だから……」
/ ,' 3「なるほど」
ξ゚听)ξ「たまにメールも来る」
/ ,' 3「どんなの?」
ξ゚听)ξ「殺す、とか」
/ ,' 3「……それは物騒だ」
ξ゚听)ξ「しかも、毎回違うメールアドレスで」
/ ,' 3「今の時代、やろうと思えばメールアドレスなんていくらでも取得できるからねえ……」



463: ◆xh7i0CWaMo :2006/10/15(日) 21:46:05.31 ID:M2Gge9g00
  
ξ゚听)ξ「なんか怖い」
/ ,' 3「親とかには言ったのかい?」
ξ゚听)ξ「うちの親が能天気なの知ってるでしょ」
/ ,' 3「うーん……」

/ ,' 3「実害が出ていない以上、どうしようもないんじゃないかな。僕もあまりそのへんに詳しいわけじゃないから……」
ξ゚听)ξ「……そう」
/ ,' 3「あまりひどいようだったら、警察に相談するとかしてみればいいよ」
ξ゚听)ξ「うん、わかった」

/ ,' 3「それじゃあ、僕は帰るよ」
ξ゚听)ξ「うん、夜遅くに、ごめん」
/ ,' 3「こんな時間帯に君たちはセック……」
ξ゚听)ξ「黙れ、死ね」
/ ,' 3「……ごめんなさい」

ふざけたようにお辞儀をして、荒巻はそそくさと帰っていった。

ξ゚听)ξ「……」

ξ゚听)ξ「私も、早く帰ろう」



471: ◆xh7i0CWaMo :2006/10/15(日) 21:54:19.20 ID:M2Gge9g00
  
ーーー路上ーーー

ξ゚听)ξ「……」

ここからツンの家までは結構な距離がある。
早足で歩いても10分はかかってしまうだろう。

ξ゚听)ξ(あー、やっぱりこんな時間に外出するんじゃなかった)

突発的で感情的な己の行動に後悔する。

その時だ。
コツ、と。

どこかから足音が響いた。



487: ◆xh7i0CWaMo :2006/10/15(日) 22:00:25.89 ID:M2Gge9g00
  
人間、実際の危機に出会うとその対象が自分でないことを願ってしまい、行動が鈍くなってしまう。
今のツンがそうだ。

ξ゚听)ξ(誰……)

そう思ったが、まさかそれが自分に関係するとは思わない。

コツ、コツと。
足音は次第に大きくなる。

ここでやっとツンは本当の危機感を覚え、歩調を速める。それでも足音はついてくる。

ついにツンは走り出そうとした。
だが、その時。

ゴス、という鈍い音が後頭部に響いた。

濁る意識の中、最後に聞いたのはこんな言葉だった。

???「お前を壊してやるお」

それ以上意識を保持するのは不可能だった。
ツンは、路上に昏倒した。



563: ◆xh7i0CWaMo :2006/10/15(日) 23:03:29.93 ID:M2Gge9g00
  
ーーーあの世ーーー

( ・∀・)「……おや?」

真夜中。
男が突然声を上げた。

( ・∀・)「……ふむ」

彼には、管轄下に存在するブーンやしぃの母親など、彷徨う魂を見分ける能力がある。
それは、仕事柄、必須のスキルなのだ。

その能力が、男に警鐘を鳴らしていた。

( ・∀・)「少年は……ここにいる」
( ^ω^)「お」
( ・∀・)「なのにどうして」

( ・∀・)「向こうの世界にも少年がいるんでしょう」

( ^ω^)「……どういうことだお?」
( ・∀・)「知りませんよ……ああもう。わけがわかりません」

( ^ω^)「……」

( ・∀・)「とにかく、会ってきます」
( ^ω^)「……」



568: ◆xh7i0CWaMo :2006/10/15(日) 23:10:10.82 ID:M2Gge9g00
  
J( 'ー`)し「何か、ありましたか」

彼らの言動に気付いたらしい、しぃの母親が声をかけてきた。

( ^ω^)「なんかおかしなことが起こってるらしいお」
J( 'ー`)し「……」

( ^ω^)「ところで、一つ聞きたいことがあるお」
J( 'ー`)し「?」
( ^ω^)「女が一番重要としているものは、上辺……これはどういう意味だお?」
J( 'ー`)し「……ふふ」

しぃの母親は小さく笑った。

( ^ω^)「?」
J( 'ー`)し「それは、女だけではないと思いますが。上辺さえ良く見せればあとはどうにでもなります」
( ^ω^)「……」
J( 'ー`)し「逆に言えば、一番努力すべきところは本質ではなく、上辺なのです」

淡々と説く彼女だったが、ブーンには理解しがたいことでもあった。

J( 'ー`)し「まぁ、あなたの前に現れる人はたいてい、現れるまでにそれ相応の努力をしている、ということでしょうか」
( ^ω^)「あんたもかお?」
J( 'ー`)し「私は、努力する暇がありませんでしたから」



570: ◆xh7i0CWaMo :2006/10/15(日) 23:14:27.15 ID:M2Gge9g00
  
しばらく、頭の中で彼女の言葉を噛み砕いていたブーンだったが、やがて首を横に振った。

( ^ω^)「……やっぱりよくわからないお」
J( 'ー`)し「そうですか」
( ^ω^)「まぁでも、参考にはなったと思うお」
J( 'ー`)し「それはそれは」
( ^ω^)「お礼に、なんかしてやろうかお」

暗闇のおかげで、お互い相手の顔が良く見えない。

J( 'ー`)し「と、いいますと?」
( ^ω^)「殺す、とか」
J( 'ー`)し「あぁ、それ」

J( 'ー`)し「いいかもしれませんねえ……」

・・・

・・





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