( ^ω^)ブーンがあの世で死んだようです

247: ◆xh7i0CWaMo :2006/10/17(火) 19:18:25.16 ID:5f1YD0a90
  
ツンは大事をとって数日間入院することとなった。

病院の消灯時間は9時。これが最も辛い。

ツンは眠れるはずもなく窓の外を見ていた。

どこぞの「夜景スポット」などに行かなくても、街の明かりはそれなりに綺麗なものである。

と、そんなときである。

( ・∀・)「こんにちは」
ξ゚听)ξ「!」
( ^ω^)「……」
( ・∀・)「いやはや、不法侵入も二回目ですよ」
( ^ω^)「お」
ξ゚听)ξ「ブ、ブーン……?」



248: ◆xh7i0CWaMo :2006/10/17(火) 19:20:02.61 ID:5f1YD0a90
  
ツンは泣きそうになってしまう。
精神的には耐えられても、身体が無条件で反応してしまうのだ。

( ・∀・)「ま、そう驚かずに。今日は少し話をしにきただけですから」
ξ゚听)ξ「……」
( ・∀・)「ご安心ください。こちらにいるブーンはあなたを殺そうとしたブーンではありません」
ξ゚听)ξ「……?」
( ^ω^)「ツンと話がしたいお」
( ・∀・)「と、いうことです」
ξ゚听)ξ「ブーン……」

( ・∀・)「では、気の済むまで、どうぞ」



249: ◆xh7i0CWaMo :2006/10/17(火) 19:24:25.77 ID:5f1YD0a90
  
( ^ω^)「……」
ξ゚听)ξ「……」
( ^ω^)「死ねばいいお……でも、その前に聞きたいことが色々あるお」
ξ゚听)ξ「何?」

少し無愛想を装って、ツンは答えた

( ^ω^)「勘違い、というのは本当かお?」
ξ゚听)ξ「……本当よ」
( ^ω^)「僕は、お前が変な男と歩いているのを見たお」
ξ゚听)ξ「あれは、私の親戚……」
( ^ω^)「……」
ξ゚听)ξ「べ、別に信じてくれなくても、いいけど」
( ^ω^)「……僕は壊れてるお」
ξ゚听)ξ「え?」



251: ◆xh7i0CWaMo :2006/10/17(火) 19:29:26.26 ID:5f1YD0a90
  
( ^ω^)「ツンを殺したいお。僕は死にたいお。もう何がなんだかわからないお」
ξ゚听)ξ「……」
( ^ω^)「要約してみると、こんな感じだお」

( ^ω^)「僕はお前を殺さないと消えることが出来ないお。でも、なんとなく殺したくないような気もしてきたんだお」
ξ゚听)ξ「ブーン……」
( ^ω^)「僕はどうすればいいお?ツンを殺すのが正解なのかお?」

ξ゚听)ξ「……バカ」

ツンの声には笑みが含まれている。

ξ゚听)ξ「あんた本当に大バカよ。殴り飛ばしたいぐらい」
( ^ω^)「……」
ξ゚听)ξ「しっかりしなさいよ。ずっと悩んでた私がバカみたい」



255: ◆xh7i0CWaMo :2006/10/17(火) 19:35:02.36 ID:5f1YD0a90
  
( ^ω^)「お……」
ξ゚听)ξ「私は死にたくないわよ。当然。でも、あんたを助けたいよ」
( ^ω^)「……」
ξ゚听)ξ「……ごめんね、ブーン」
( ^ω^)「……」
ξ゚听)ξ「勘違いかもしれないけど、原因をつくっちゃったのは私。あんたより色々知ってるフリしたくて、バカなことしちゃってた私のせい」
( ^ω^)「……」
ξ゚听)ξ「上辺だけ綺麗にしてもしょうがないのにね。それにも気付かなかった」

ξ゚听)ξ「本音で語るってこと、忘れてた。そのおかげで、あんたがこんなことになっちゃった」

( ^ω^)「……」

いつか、男がブーンにいったこと。
それを、今、ブーンはやっと理解した。

薄く笑っているその目から、涙が落ちる。



259: ◆xh7i0CWaMo :2006/10/17(火) 19:40:57.93 ID:5f1YD0a90
  
ξ゚听)ξ「だから謝ろうって、思ってさ……」
( ^ω^)「ツン」
ξ゚听)ξ「……?」
( ^ω^)「ごめんだお」
ξ゚听)ξ「!」
( ^ω^)「僕の勘違いだったお。ごめんだお」

ブーンの表情は崩れない。
しかし、身体が徐々に崩れ落ちていく。
涙の量も増えていた。

ξ゚听)ξ「……バカ、謝らないでよ」

ベッドにもたれかかるブーンの頭を、ツンがやさしく撫でた。

ξ゚听)ξ「あんた、壊れてなんかないじゃない」
( ^ω^)「……」
ξ゚听)ξ「……でも、やっぱり残念」

ξ゚听)ξ「こんなアンタ見てたら、また後悔しちゃうよ。本音で語り合えるぐらいになりたかったってさ」



261: ◆xh7i0CWaMo :2006/10/17(火) 19:46:07.33 ID:5f1YD0a90
  
( ・∀・)「いやはや、いいですねえ。若者の恋物語。臭いけど、この臭さもたまにはいい」
ξ゚听)ξ「……」
( ・∀・)「おや、お邪魔でしたか。そろそろ少年を連れ帰ろうと思うのですが」

( ・∀・)「あなたも、辛そうですし」
ξ゚听)ξ「……」
( ・∀・)「ま、これで手堅く終息したといった感じでしょうかね」
ξ゚听)ξ「私は……」
( ・∀・)「酷なことを言いますが」

( ・∀・)「あなたも、忘れなさい。彼のこと。その他全てを」
ξ゚听)ξ「……嫌よ」
( ・∀・)「おや」
ξ゚听)ξ「なんで忘れないといけないのよ! 別に、辛くない……」
( ・∀・)「そうです、か」

( ・∀・)「それでは、そろそろ失礼しますよ。見回りの看護婦さんに見つかってしまいます」

崩れたブーンを引っ張り起こす。

( ・∀・)「ああ、あと一つだけ」
ξ゚听)ξ「?」
( ・∀・)「私たちが消えたら、思う存分泣いてください。それでは」

ξ゚听)ξ「余計な、お世話よ……」

・・・
・・




265: ◆xh7i0CWaMo :2006/10/17(火) 19:51:24.85 ID:5f1YD0a90
  
ーーーあの世ーーー

( ^ω^)「……僕は、消えるのかお?」

涙の消えたブーンが問いかける

( ・∀・)「ですね」
( ^ω^)「……そうかお」
( ・∀・)「あなたが選んだ道じゃないですか」
( ^ω^)「……」
( ゜ω゜)「いやだお! 僕は、僕はツンを殺すお!」
( ・∀・)「あらあら」

半狂乱で叫ぶブーンを
もう一人のブーンが殴り飛ばした。

( ^ω^)「うるさいお」
( ・∀・)「……ははは……さて」

男は、ナイフを取り出す。



269: ◆xh7i0CWaMo :2006/10/17(火) 19:57:21.95 ID:5f1YD0a90
  
( ^ω^)「……何をするつもりだお?」
( ・∀・)「いえ、後追い自殺でも」
( ^ω^)「……僕は消えるお。そんなことしても、ムダだお」

( ・∀・)「私、こう見えて結構反抗期なんですよ」
( ^ω^)「?」
( ・∀・)「腹立たしいと思いませんか? こんな手帳に監視までされて。中学三年生ぐらいなら絶対に反抗しています」
( ^ω^)「……」
( ・∀・)「といっても、反抗の手段など見つかりません。だから死にます。死んで反抗させていただきます」
( ^ω^)「むちゃくちゃだお」
( ・∀・)「私だって元はあなたとおなじ境遇を経た人間ですよ? 壊れてるに決まってるじゃありませんか」



273: ◆xh7i0CWaMo :2006/10/17(火) 20:04:17.91 ID:5f1YD0a90
  
( ^ω^)「……そういえば、結局」
( ・∀・)「はい?」
( ^ω^)「その手帳のことは、謎のままだったお」
( ・∀・)「……仮説ですが」

( ・∀・)「貴方やあの女性がここに来させるために、こんな手帳がつくられたんでしょうね」
( ^ω^)「どういうことだお?」
( ・∀・)「手帳の最初の行を……」

『6月14日 死亡』

( ・∀・)「あなた、死んだの1ヶ月も前なんですよね」
( ^ω^)「……」
( ・∀・)「1ヶ月のタイムラグが何を意味するか」

( ・∀・)「貴方は、選ばれたのですよ。管轄者に」
( ^ω^)「なんでだお?」
( ・∀・)「どこかの管轄者が死んだのでしょう。今の私のように」
( ^ω^)「……」
( ・∀・)「ちょうどいい恨みを持って死んだ人間がいた。それが貴方とあの女性。それを、どこかの誰かさんが管轄者として選んだのですよ」

( ・∀・)「ただ、私が知っている知識にも沿わないといけない。恨みを晴らす必要があるわけです」
( ^ω^)「……意味がわからないお」
( ・∀・)「簡単にいえば」

( ・∀・)「あなたはこれから管轄者になる。それだけです」
( ^ω^)「……そうかお」



275: ◆xh7i0CWaMo :2006/10/17(火) 20:11:14.70 ID:5f1YD0a90
  
( ^ω^)「……ツンに」
( ・∀・)「はい?」
( ^ω^)「ツンに悪いことをしたお」
( ・∀・)「……」
( ^ω^)「死にたくなかったお。やっぱり」

( ^ω^)「死ぬのは、悪いことだお」
( ・∀・)「……かも、しれませんねえ」

ブーンが悟った瞬間。
一陣の風と共に。
ブーンの姿が消えた。
二人とも、である。

( ・∀・)「……」

その場に、男は独り、立ち尽くしていた。



281: ◆xh7i0CWaMo :2006/10/17(火) 20:15:56.31 ID:5f1YD0a90
  
( ・∀・)「一件落着、と」

そこは久しく見なかった、いつもどおりの光景。
誰もいない、独りで存在するためには広すぎる空間。

( ・∀・)「さて、私も行くとしましょうか」

ナイフを自分に向ける。

( ・∀・)「……感謝しないといけないのかもしれませんねえ」

ザクリ、と。

肉を貫く音が響いた。

・・・

・・





287: ◆xh7i0CWaMo :2006/10/17(火) 20:24:45.60 ID:5f1YD0a90
  
ーーー数日後 ツンの家ーーー

ξ゚听)ξ「ブーン……」

ツンは生徒手帳を持っていた。
彼女が帰っていた時には、すでに手帳は、彼女の部屋に転がっていたのである。
だが、あの記述は消え去っていた。
代わりに、別の記述が復活していた。

恥ずかしい過去である。

消しゴムで何度も消した文字列。

一ヶ月前までブーンと話すことを、色々考えて書き込んでは、消していた。
ネタ帳のようなものである。



288: ◆xh7i0CWaMo :2006/10/17(火) 20:25:45.62 ID:5f1YD0a90
  
ξ゚听)ξ「……うん」

誰にともなく頷いて、ツンは笑う。そして手帳を放り出した。
一ヶ月と少し前と変わらず、元気で明るい笑顔

ξ゚听)ξ「これでよかったんだよね、ブーン」

ξ゚听)ξ「……」

ξ゚听)ξ「す、好き……だったわよ」

そんな彼女の本音は、ブーンに届くのかもしれない。
青臭い願望ではあるが。

ξ゚听)ξ「……よし」

ξ゚听)ξ「お墓参り、私も行こうっと」





完。



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