吉良吉影が雛見沢にやってきたようです

312: ◆0y9Us4tj3E :2008/02/17(日) 23:55:40.26 ID:AOlHaVxi0
午後6時10分

一瞬も油断していない
自分の中では既に、24時間が立っている程、僕の精神は何時間をもの時間を越えてきた

その間に聞けたものは、せいぜいロッキーのテーマと、字幕を見なければよくわからない言語のみ…

その時だった

ガシャン!

沙都子「あ、あーっ!す、すみませんですわ!ごめんなさいごめんなさいごめんなさ」

鉄平「さぁ〜とぉ〜こぉーッ!!よくもワシの家の皿を…!!」



313: ◆0y9Us4tj3E :2008/02/17(日) 23:57:26.83 ID:AOlHaVxi0
ドッドッドッ!!

早人「う…うわっ…」

ドガッ!バキッ!

早人「そ、そんな…こんなに簡単に…」

鉄平「壊すんやったら、男はもっと派手に壊すもんじゃあッ!!」

バリーン!バリバリーン!

早人「う…う…」

鉄平「その皿捨てとけ!」

沙都子「はい…ごめんなさいごめんなさいごめんなさい…」



316: ◆0y9Us4tj3E :2008/02/17(日) 23:59:09.50 ID:AOlHaVxi0
早人「……」

ピーンポーン

鉄平「動くなよ。だらずが…。…ハイ、北条です…」

早人「……」

早人「ハッ…、ぼ、呆然としてしまった…あ、あの迫力に…でも、早くいかなきゃ!」

6時11分…もう学校は終わっている…。
ここから一番近い家、圭一さんの家に…ッ!!

早人「えっ…」

あの男…一体どうしてこんな所を歩いて…



317: ◆0y9Us4tj3E :2008/02/18(月) 00:01:08.21 ID:yF9pCiHu0
お父さん(川尻浩作)…!
こんな所、家から会社までの道じゃないぞ…?
散歩…。僕の父は、どちらかと言えば会社帰りには何処にもいかないタイプだったのに…

そんなことは関係が無い、早く圭一さんの家、僕が目指すのは

そこ

待て、くそ、やはり、何か、危険な、臭い…
僕は結局、父さんが通り過ぎるまで、林の影で待つことにする
何かしらの、嫌な予感が胸を覆う

「す、すいません」

「間違いってなんじゃい…なめとんのか。ここはな、24時間前は空き家だったんじゃ、そんな所に
 誰が郵便を送ってくんのや、おらんやろ!」

「すいませんでしたー!」

「全くもって…なめとる…」

トットットッ

何だ…?僕のお父さん、あんなどうみても火中の人間のいる方向に歩いていくぞ、
正常な人間なら普通遠回りになってでもUターンする…。まるで、回りが見えていないかのようだ…



318: ◆0y9Us4tj3E :2008/02/18(月) 00:05:00.59 ID:yF9pCiHu0
見られている…
この感覚が、今日一日中、私をずっと縛っている
警察と、富竹の組織―大体見当は付いている。警察はスタンドで行動する分あまり問題がないが

肝心なのは富竹の組織…
またしても強力なスタンド使いと戦うかもしれない。
そして、それならば、見ているのは、スタンド…

小此木「こちらに気付いているようだな」

鷹野「面白いじゃない、くすくす。あそこからここまで、何100メートルとあるのよ。わかりっこ無いわ」



319: ◆0y9Us4tj3E :2008/02/18(月) 00:08:26.47 ID:yF9pCiHu0
鉄平「おい」

吉良「……」

鉄平「おい、聞いとんのかコラァ」

吉良「聞いている。失せろ」

鉄平「あーん!?なんやとぉーッ!!」

早人「うわっ…やっぱり…!」

鉄平がお父さんの首根っこを掴む
10秒程で落としてしまいそうな強い締め方だ

吉良「そうか…見ている人間は…」

鉄平「何をよくわからんことを言っとるんじゃい!おいおい!!」



322: ◆0y9Us4tj3E :2008/02/18(月) 00:13:20.71 ID:yF9pCiHu0
吉良「富竹か…う…やはり殺しておけばよかった…」

小此木「富竹を疑ってますね」

鷹野「くすくす、案外当たっているかもね」

吉良「(手を…出せない…こんなクソにも…。…私は…監視されている…)」

ガチャッ

沙都子「そ、その…もしかして、にーにーからの手紙で…」

鉄平「なんじゃい、今取り込み中じゃ」

沙都子「ご、ごめんなさいごめんなさい…」



325: ◆0y9Us4tj3E :2008/02/18(月) 00:17:12.40 ID:yF9pCiHu0
ガチャリ

鉄平「おら、本当に落とすぞ」

吉良「彼女の名前は?」

鉄平「彼女ぉー?誰じゃ、沙都子のことか」

吉良「ああ、沙都子ちゃん、子供から話は聞いている。随分と私の子は気に入っているみたいだったが」

鉄平「なんじゃい、PTAの話なんて聞きたくも無いわ」

吉良「あの子…綺麗な手をしてますよね。
   わたしは…‥子供のころ‥…レオナルド・ダ・ヴィンチの『モナリザ』ってありますよね……あの絵‥画集で見た時ですね‥…
   あの『モナリザ』がヒザのところで組んでいる『手』
   ‥…あれ…初めて見た時……なんていうか…‥その…‥下品なんですが…フフ…勃起しちゃいましてね…‥」

鉄平「!?な、なんじゃい今…」

吉良「汚い手で私に触るな」

ドウン!

鉄平「あがっ!!」

小此木「やった、これでクロだぜ!」



328: ◆0y9Us4tj3E :2008/02/18(月) 00:20:38.99 ID:yF9pCiHu0
富竹「くそ…僕の『フラッシュ』に偵察をさせていたが…まさか本当に…」

吉良「見る…聞く…撮る…そう奴は言っていたな…私の犯行の瞬間、撮りたいんだろう?
   撮るんだったら…『光る』だろう…この、暗さ、圧倒的な夕方に…」

吉良「そこを捕まえる!キラークイーン!」

ブチッ

富竹「うぐっ…」

小此木「三佐!富竹二尉のスタンドが!!」

鷹野「えっ…?ジ、ジロウさん!」

吉良「死ね…」

富竹「うっ、うぐっ!!」



332: ◆0y9Us4tj3E :2008/02/18(月) 00:24:50.91 ID:yF9pCiHu0
富竹「う、うわあああーっ!!」

ブチブチッ

吉良「フン…これで私は、『自由』だ!何だって出来る!」

小此木「三佐、どうやら敵は富竹二尉以外の監視がいるとは思ってないようだぜ
    俺達は完全にバレてない…。三佐、おい三佐!?」

鷹野「ジ…ジロウさん…」

吉良「フゥゥゥゥゥゥ〜〜〜〜〜ッッ!!自由!私は自由だ!元々…監視されている状況こそ怪しいとも言えど!
   こうなってしまうと更に元の平穏が恋しくなる!
   まだ警察が見張っているだろうが…元々室内相手には無力!スタンドも見えないし、私を立件することは完全に不可能だ!」



334: ◆0y9Us4tj3E :2008/02/18(月) 00:28:43.42 ID:yF9pCiHu0
早人「あ…あいつは誰なんだ!!僕の…パパじゃない!!」


キィィ〜、ガチャッ

沙都子「ひ、ひぃ、許してください許してください…」

吉良「ふふ…特に君をどうしようという訳じゃないよ」

沙都子「叔父さん叔父さん叔父さんすいませんすいません」

吉良「何だぁ、コイツ、目がクソにでもなっているのか?どうやら私のことを叔父だと思い込んでいるようだな…」

吉良「まぁ、心底、同情するよ。まさか虐待されているだなんてな。
   幼い頃の虐待は、後々に深いひずみを残すということが心理学的にも知られている」

沙都子「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい…」

吉良「そうだな、コーヒーを汲んでくれ」



337: ◆0y9Us4tj3E :2008/02/18(月) 00:31:16.03 ID:yF9pCiHu0
吉良「ふふ、おいしいよ、随分と君はコーヒーをくむのが上手だね」

沙都子「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい…」

吉良「おいおい、謝りなんかいらないぜ」

吉良「!!」

私の視線の端に、この部屋にはあってはならないもの!!

吉良「…盗聴器…!!」


早人「は、はやく、大石さんに、奴は…悪魔だ!!」



345: ◆0y9Us4tj3E :2008/02/18(月) 00:36:16.49 ID:yF9pCiHu0
吉良「(くそっ…組織のか…それとも早人…?
   好きだと言ってたし、あいつなら盗聴もやりかねないかも…)」

吉良「マジックで塗った後…多分、名前を消したか…」

沙都子「ビクビク…」

吉良「もう一杯」

沙都子「は、はい!」

吉良「組織のではないな。元はラクガキがしてあったか名前が書いてあったってことだ。
   まさか盗聴器に身元を特定されかねないものは残すまい。
   そうすると…この雛見沢で組織以外に盗聴器を持っている可能性のあるもの…」

吉良「多分何処かの遠距離で録音している…テープがついて無いからな
   何処か遠くからここで起こった音を聞き録音している…」



347: ◆0y9Us4tj3E :2008/02/18(月) 00:40:54.44 ID:yF9pCiHu0
吉良「そして私が気付いたことにも気付いただろう…つまり、次の行動
   第三者に、そのテープを譲渡する!!」

沙都子「お持ちしました…」

吉良「君は…」

沙都子「は、はい!」

吉良「虐待を受けているのか?」

沙都子「受けていません仲良し家族本当に仲良し家族です」

吉良「クロ…だな…」

吉良「最後は壊れたテープレコーダーみたいだけど、君は実に可愛かったよ…」

ドウンッ!!

吉良「早人が盗聴したのは虐待を突き止めるためと考えれば辻褄が合う
   やはり…早人…。まだ半信半疑なのは自分だが…とりあえずここは決めてかかるべきだろう…
   あんなものを警察に渡されれば、私の平穏な生活への夢は……瓦解する…」



353: ◆0y9Us4tj3E :2008/02/18(月) 00:46:35.48 ID:yF9pCiHu0
吉良「警察に渡すとすれば考えられるのは、単独犯として、この近くの電話ボックス、
   前原圭一の家、そして川尻家か…
   そして複数犯だと、『部活メンバー』とやらの状況から、
   園崎家か古手家など、家の中からここの音を聞いていた可能性がある…」

早人が一人でやれるか…?いや、複数でも出来ないな…
ああ見えて意外と根性があるのかもしれない

吉良「最初に調べるのは…」

今、今と決めよう。ただいま6時13分。今、早人が警察に連絡したとする
警察が来るのは、最速でも6時33分!
それまでに、早人、奴を絶対に…殺す

吉良「最初に調べるのは…私の家だ…
   器具を動かすのは恐らく重い、早人はそこにいると考えるのが一番簡単だ…」



355: ◆0y9Us4tj3E :2008/02/18(月) 00:50:06.11 ID:yF9pCiHu0
「も、もしもし!大石さんに代わってください!
 はい!はい、川尻早人と言います!」

「ンッフッフ、どうかしましたか?」

「犯人がわかりました…犯人は、僕が一番よく知る人物…」

「川尻浩作…」

「本当ですか!その根拠は…?」

「無理です。いえません、恐らく今僕は追われている
 それはつまり時間が無いってことなんです。
 …でも、根拠なら端的にいえます。僕が今持っている録音テープに、全てがあります!」

「わかりました。取りに行かせましょう。場所は…」

「あっ、多分覆面パトカーの方がいいと思います」

「わかってます。熊ちゃんにいかせます、それで場所は…」



358: ◆0y9Us4tj3E :2008/02/18(月) 00:54:16.83 ID:yF9pCiHu0
吉良「しのぶ!」

しのぶ「ハイ、ハイ、あなた」

吉良「早人は来なかったか?」

しのぶ「昼間に一度来たけど、それ以降来てないわよ」

吉良「(すると…今日の内に虐待を知って、それをすぐに録音するために走ってここまで来たか…)」

私は早人の部屋に入る

吉良「(色々あるが、大概ダンボールだな…、盗聴セットをセットしたような形跡は無い…
   ダンボールの中を見る…が、子供が隠れられるような場所は無い
   大体、ここまでパトカーがこれたとしても、帰り道で破壊されたら終わりなんだ…こんな簡単な待ち合わせ場所は選ばない…)」



359: ◆0y9Us4tj3E :2008/02/18(月) 00:58:14.05 ID:yF9pCiHu0
吉良「すると、『部活メンバー』とやらの家!」

しのぶ「どうしたの?電話の子機なんて自分の部屋に持っていって…」

吉良「うるさい、用事だ」

吉良「(くそ…あと15分。一応電話をしてみるか…それで何かわかるかもしれない。馬鹿正直な親がいるとか…)」

吉良「(まず…前原家)」

プルル、ガチャッ

圭一「ハイ、前原です」

吉良「(チッ…こいつか)そちらに家の早人はあがっていないか?」

圭一「いないですよ、まだ帰っていないんですか、ど…」

吉良「ああ、さよなら(ガチャッ)」

吉良「(チッ…かばっている可能性は大きい、あまり意味は無いか…?)」



361: ◆0y9Us4tj3E :2008/02/18(月) 01:01:04.67 ID:yF9pCiHu0
吉良「園崎家…」

プルルルルル、プルルルルル、プルルルル、ガチャッ

お魎「はい、ワシじゃ」

吉良「(ゲッ…ボケ老人…)そちらに、うちの早人は」

お魎「いない!(ガチャッ)」

吉良「くそ…。いや、これは確定。あんなもし隠しているなら、あんなボケ老人、嘘をつけるか不安すぎて電話口に出せない…」

吉良「次…」

私の手が止まる

吉良「古手家…」



363: ◆0y9Us4tj3E :2008/02/18(月) 01:04:02.78 ID:yF9pCiHu0
吉良「(盗聴が部活メンバー全員による作戦なら…この家にあることも充分ありえる)」

しかし―

吉良「こいつと会話した所で、本当かどうかなんてわかりやしない
   いや―人がいるかいないかぐらいならわかる…が。一応、電話するか」

プルルルルル、プルルルルル

梨花「もしもし、僕なのですよ」

吉良「私だ」

梨花「……くすくすくすくすくす」



366: ◆0y9Us4tj3E :2008/02/18(月) 01:11:08.65 ID:yF9pCiHu0
ガチャン

吉良「早人は古手梨花の家…恐らく…1割。例えば早人が全員に盗聴を提案したら、
   アイツはまず自分の家でやらせる気がする…。
   いやしかし、奴は私に宣戦布告している身ッ!で…それは迂闊…いや、逆に…」

くそっ…

吉良「行くしかない…ここで行けば、電話をした場所は残り二つ、圭一の家と電話ボックスのみ
   いやしかし、受け渡し場所を全く違う場所にする可能性もある。例えば…公園」

いや…複数犯ならそれは目立つ。しかし、公園の下にバッグを置き、その中にテープを入れる、それだけでも
私が阻害する方法は随分と限られる。

一応その場合でも方法は三つある
一つ目は、奇跡を起こしてテープを発見する
二つ目は、ここに来る前のパトカーを破壊する
三つ目は、ここに来た後のパトカーを破壊する

吉良「(一つ目は無いし…二つ目三つ目をやるにはまだ早すぎる…
   ここは、無理にでも一つ目の可能性を増やす!)」



369: ◆0y9Us4tj3E :2008/02/18(月) 01:16:19.86 ID:yF9pCiHu0
吉良「大体…残り13分。これで一つ目の方法に浪費する時間は9分、二つ目が4分、三つ目がせいぜい3分といった所か…」


梨花「どう思う?羽入。」

羽入「何をやったのかは見当もつきませんが、多分早人なのです。吉良が焦っているのです」

梨花「そうね、どう見ても余裕が無いって感じだったわ
   私の家には何もないのに…くすくす」

羽入「吉良は、自分がグループで追い詰められていると思っているのです
   でも大きな間違い、全ては早人一人なのです」

梨花「でも…来るのよね、吉良、ここに」

羽入「そうです、だから逃げるのです」

梨花「逃げる…?それもいいわね、くすくす」



371: ◆0y9Us4tj3E :2008/02/18(月) 01:20:15.30 ID:yF9pCiHu0
重厚なバイクの発進音が鳴る。古手梨花の家、私はそこを目指す
どこにでもあるようなボロい家、無駄に広い庭が私の無駄な想像力をかきたてる

スタンド攻撃…

今は監視されている感じは全くしない…
しかし、ここに、古手梨花の仲間のスタンド使いが、そう、富竹のようなスタンド使いが、何人といるかもしれない

キラークイーンを出す。戦闘準備は完了だ
一見何も無いように見えるこの庭、おそらく、この私を、誘っている…



私が庭にも家の中にも本当に何もないことをしるのは、その5分程後だった。



373: ◆0y9Us4tj3E :2008/02/18(月) 01:24:52.31 ID:yF9pCiHu0
吉良「くそ…あのアマ!」

これで本気で、一つ目の作戦に使えるのはあと4分―
この程度の時間では何も出来ない

もう二つ目の作戦に移るか…。
確か雛見沢に入る道は一つ、あんなところをパトカーが入って来るんだ、直ぐにわかる
それを爆発させれば、私の暮らしに新たな平穏が帰ってくる…


圭一「で、大丈夫なのか?早人」

早人「大丈夫だよ。奴はまさかここにいるとは思わないよ
   難しく考えすぎて、今頃雛見沢に入る唯一の道を必死にマークしてる頃だと思う」

圭一「それは大丈夫なのか?」

早人「ああ、覆面パトカーだよ、奴には絶対にわからない」



377: ◆0y9Us4tj3E :2008/02/18(月) 01:28:07.20 ID:yF9pCiHu0
圭一「ハハ、そりゃ傑作だなあ。お前、部活で大活躍出来るぜ」

早人「それ褒めてるのかけなしてるのかわからないよ」

圭一「ハハハ、そりゃそうだな」

圭一「で、警察が来るのはいつ頃だ?」

早人「大体6時33分って所だと思う。あと3分、多分奴は今頃来ないパトカーをずっと待ってる
   あと3分ぐらいした後、手遅れって気付くんじゃないかな」

圭一「ハハハ、それくどいぜ」



379: ◆0y9Us4tj3E :2008/02/18(月) 01:31:29.04 ID:yF9pCiHu0
ボソボソボソボソ…

圭一「ん?早人、何か言ったか?」

早人「え?別に何も」

ボソボソボソ…

圭一「な、何だこの……声!!」

バリン!

早人「窓が割れ…ば、馬鹿な!」

吉良「苦労したよ、お前らの居場所を…探すこと…なッ」

早人「川尻…浩作!!どうして!」

吉良「土壇場で思い出したんだ。お前らの犯した、最大のミスッ!」



383: ◆0y9Us4tj3E :2008/02/18(月) 01:36:06.98 ID:yF9pCiHu0
吉良「人間の中には、電話のワンコール目で…つい躊躇をするような人間が沢山いる
   しかし前原圭一。お前は逆だったッ!お前はワンコール目であえて出るような人間だったッ!」

圭一「どうしてそれで…」

吉良「一階に両親がいるだろう…?私が二階の窓から入ってきたのもそれが理由なんだが
   君は両親に電話を取られたら…バレると思った…」

圭一「……」

吉良「お前の両親は、二人は今楽しく遊んでいて、ここにいるということに、何のやましさも無い状況だと思っている…」



384: ◆0y9Us4tj3E :2008/02/18(月) 01:40:10.84 ID:yF9pCiHu0
吉良「それは電話を取られたらいけないってことだよなァ?私が電話をかけることッ!
   それがたとえ10%の可能性だったとしてもッ!早人のいる時間は、絶対に電話は全て取らないとならないッッ!!」

圭一「……」

吉良「これだけじゃ確信とは言えない…五分前…無言電話がかかってきただろう?あれは言うまでもなく私なんだが…
   あの電話も、また取ったのはお前で、ワンコール目で取られた…
   クサレ脳味噌でもない限り、絶対にわかる。二回電話をかければ…絶対にわかる…」

吉良「答え合わせは終わりだッ!!採点と行こうか!!」

圭一「う、うわあああああああああっっ!!」

ドガァァーンッッ!!



387: ◆0y9Us4tj3E :2008/02/18(月) 01:43:40.30 ID:yF9pCiHu0
早人「う…うぅ…」

吉良「泣いているのか?最後まで小うるさいガキだ」

早人「お前は…」

早人「パパじゃない!」

吉良「ああ、合っている、というよりも、見ればわかるだろう?」

吉良「私の名前は吉良吉影、吉良吉影だ…」

早人「吉良吉影…」

吉良「ああ…。それじゃあ、殺そうか」

早人「僕はまだ殺さない方がいい」

吉良「圭一を見習え、あんなにも簡単に死んでいったのに…」

早人「僕を殺すと、テープの位置は永遠にわからなくなる」

吉良「ッ!?」



389: ◆0y9Us4tj3E :2008/02/18(月) 01:46:18.81 ID:yF9pCiHu0
吉良「もう一回言ってみろ…」

早人「このボケ老人が…試しに僕の体を調べてみるがいい。お前が期待するようなものは何も出ないぞ」

吉良「くッ…くそ…たわけた罠を」

ドカァァーン!

吉良「6時…32分…くっ…クソがっ…」



395: ◆0y9Us4tj3E :2008/02/18(月) 01:49:59.87 ID:yF9pCiHu0
私はバイクに飛び乗る、こうなれば、もうこの町を出るパトカーを探し破壊するしかない…
そんなこと出来るのか…くそっ…覆面パトカーだぞ…

吉良「…」

気がつくと、私は家にいた。6時35分。フルスピードで走りこの…家まで…

吉良「しのぶ…」

おかしい、返事が無い…

その時、私の足に何かが触れる

吉良「しのぶ!?」



397: ◆0y9Us4tj3E :2008/02/18(月) 01:54:01.41 ID:yF9pCiHu0
それはしのぶだった。酷い汗だ。顔面も蒼白でゼェゼェと喘いでいる。
状態を見るに、電話をかけた後力尽きて倒れたようだ

吉良「どうした?」

しのぶ「あ…あなた、大丈夫、もう救急車は呼んだから…」

吉良「…」

朝にはあれだけ容態が良かったのに…どうみても急変だ
しかし、演技とは思えない。これはどう見たって発熱している

外にブルルと、救急車の止まる音がした。午後6時36分



466: ◆0y9Us4tj3E :2008/02/18(月) 18:18:53.31 ID:yF9pCiHu0
私は鍵をかけてしまったことを思い出し、玄関にドアを開けに行く
担架を持った救急隊員が私の前を抜けて行った

「ハイ、大丈夫ですよー!」

しのぶ「ありがとう…ございます…」

「はい、いっせーのーで!ハイ!」

私はその後姿を呆然と見つめる
あのテープはもう相手に渡っているのだろうし、もう何から何までどうでもよかった。

「はい、お父さんも救急車に入ってー!」

吉良「…」

「はい、早く、乗らないのなら出発しますよー!」

吉良「……」

違和感…

しのぶ「あなた…?」



467: ◆0y9Us4tj3E :2008/02/18(月) 18:21:22.73 ID:yF9pCiHu0
吉良「…」

しのぶ「そういえば…あなた…私を呼んでいたわね…
    一体、何の用事…?『ただいま』も言わないし…」

吉良「隠し事…」

しのぶ「え?」

吉良「君は何か私に隠し事をしていないか?」

しのぶ「!!」

救急隊員「……?」

しのぶ「いや、何もしてないわ…」

吉良「そうか…」

吉良「行ってくれ、私は少し遅れて行く…」

この違和感の正体…



471: ◆0y9Us4tj3E :2008/02/18(月) 18:24:57.18 ID:yF9pCiHu0
ブロロロロロロ、ピーポーピーポーピーポー…

しのぶ「ハァ…ハァ…」

「気を確かにして下さい、直ぐに助けます」

しのぶ「ハァ…ハァ…。…?
    あなた、会いませんでしたか?私に…もしかしたら何処かで…」

「あっ、こいつを覚えとりますか、大した記憶力ですわ」

しのぶ「え…?」

「ワシは小此木って言いますん。いや、小此木っていう。
 昼間の警官に見覚えがあるか?」

しのぶ「…、まさか…」



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