吉良吉影が雛見沢にやってきたようです

6: ◆0y9Us4tj3E :2008/02/20(水) 23:47:10.22 ID:L5fJXCg+0
朝日が目を差す
恐らく今日が、この世界での最後の日になるだろう。いい意味にしろ悪い意味にしろ…

ふと喉に違和感があることに気付いた

間違いない…掻き毟った後がある…

確かに少しおかしいとは思っていた、魅音の提案は、いつもの魅音からしたら確実に粗暴だし、
今回も何処か私の知らない所で、いつものように惨劇のトリガーが押されているとは思っていたのだが、

今確信した。そのトリガーとは、私だ



8: ◆0y9Us4tj3E :2008/02/20(水) 23:50:49.75 ID:L5fJXCg+0
いつもは、圭一やレナ、詩音が率先して(率先してという言い方もおかしいが)惨劇のトリガーを押す
今回の惨劇の首謀は確かに吉良、しかしトリガーを押しているのは間違いなく私…

何という不運…いや、ただ不運という訳でもないか
このタイミングで自覚症状が表れたということ…そのことについてだけはむしろ幸運だ

私の他にも誰か雛見沢症候群が進んでいる人間がいる…その可能性を示唆出来たのはとてもありがたい



9: ◆0y9Us4tj3E :2008/02/20(水) 23:53:04.15 ID:L5fJXCg+0
発言の内容からしてやはり魅音、
いや、逆に言えば圭一はあの魅音の優しい言葉使いさえも、頭の中で粗暴な声に変換した

今回は私が彼女の声を頭の中で変更したのかもしれない…

いや、考えすぎはよくない。もうすぐ集合時間だ
私は集合場所として決められた魅音の家に向かった



11: ◆0y9Us4tj3E :2008/02/20(水) 23:56:18.96 ID:L5fJXCg+0
魅音「おはよー、梨花ちゃん」

梨花「おはよーなのです。にぱー☆」

詩音「どうしたんですか?そんな詰襟の服を着て、熱いと思いますよ」

梨花「ちょっと寒気がするだけなのです」

入江「寒気…、それはいけませんねぇ。
   あらゆる病気の自覚症状も、最初は寒気ということがよくあります」

梨花「みー、本当になんでもないのです」

入江は、本当はこんなものには絶対に参加したくないだろう
今回だって、多分…誰かが吉良を殺そうとしたら、それを止めて殺しまではしないようにするに違いない

それとももしかして、吉良自体が雛見沢症候群とすら思っているかもしれない



12: ◆0y9Us4tj3E :2008/02/21(木) 00:03:34.91 ID:nuKiCSze0
いや、逆か。私達自身が雛見沢症候群だと思われているかも
しかし、入江は、それをわかっていても止められない
なんせ今入江は、今用事ということでいなくなっている山狗(その真相は人質作戦なのだが)への連絡手段が無い
富竹もいない、鷹野も今失意で病院を休んでいるそうだ。そう、入江には私達を止める手段が一つも無いのである

それでも、自分が参加しなくてもやるつもりなら、と監視役のつもりで今回は参加した
恐らく黙認するよりかはマシという苦肉の策…

梨花「入江には悪いと思っているのです」

入江「本当に思っているのならやめてください」

強い口調だ

梨花「みー、もう無理なのです」

それならば入江を呼ばない方が良かったのではないかという話もあるが、
やはり私としてもこの雛見沢を背負った作戦を、入江の視野外でやろうという気にはならなかった



13: ◆0y9Us4tj3E :2008/02/21(木) 00:08:06.62 ID:nuKiCSze0
魅音「それじゃあ街に出発っ!」

詩音「おやつは300円までですよっ」

梨花「なんだか二人とも軽いのです」

詩音「いや、案外お姉は重いんですよ」

魅音「詩音ーっ!それ意味違う!それに私重くない!」



14: ◆0y9Us4tj3E :2008/02/21(木) 00:12:37.54 ID:nuKiCSze0
12時
大石からの連絡が入る。
吉良は―街へ、

吉良「ふふふ…今日はどんなものを食べようか…」


大石「どうします?余裕で手首出してるんですけど取り押さえますか」

梨花「そんな人の少ない場所でやっても殺されるだけなのです
   というよりも、手首を爆破されて僕達唯一の証拠が無くなるのがオチなのです」

大石「ンッフッフ、考えてますね」

魅音「この時間、何処に行くと思う?」

詩音「そうですね、やっぱり飯じゃないですか?」

魅音「飯…だよねえ」



16: ◆0y9Us4tj3E :2008/02/21(木) 00:19:33.07 ID:nuKiCSze0
詩音「お姉、吉良はどの店に入ると思いますか?」

魅音「ん?そんなこと聞かれても…」

詩音「じゃあお姉の立場で考えてください、お姉の立場で
   そうですね、じゃあ彼氏と一緒に行くと考え…あ、いやなんでもないです」

魅音「…あっ、いいよ。
   う〜ん…お腹が減ってる時だとエンジェルモートって感じでも無いし、
   やっぱり義郎叔父さんの友達のやってる、あのお好み焼き屋とかって感じかな、今は」

詩音「でもあの店裏道にあるんですよね、吉良が知っているとは思えないし…
   それに多分吉良は、初めて行くような店には行かないと思うんですよね」

魅音「詩音が自分の立場で考えろって言ったじゃん!それにどうして?」

詩音「彼女と一緒なんです。知らない店を選んで失敗は出来ませんよ
   そう考えると…やっぱり何処にでもあるチェーン店が怪しいですね」

魅音「あっ、それだったら雛見沢から来て直ぐの所にあるね」



19: ◆0y9Us4tj3E :2008/02/21(木) 00:22:49.74 ID:nuKiCSze0
詩音「デリーズですか、ちょっと怪しいですね」


大石「吉良がデリーズに入りましたよー、おっぱじめるんですか?」

梨花「そんな人の多い所じゃ無理なのです
   というよりも、そろそろ僕の答えがわかっているのに質問するのやめて欲しいのです」

大石「手厳しいですねぇ、ンッフッフッフ」


魅音「ここから行ける遊ぶ店って言えば?」

詩音「う〜ん、そうですねぇ、カラオケがあります」

魅音「カラオケ、そりゃまずいね、誰も窓なんて開けないし、狙うなんて無理だよ」



20 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日: 2008/02/21(木) 00:25:42.70 ID:nuKiCSze0
詩音「大丈夫、葛西ならきっと透視してくれます♪」

魅音「ちょ、ちょ、詩音、そりゃ無理だよ!」

梨花「葛西はすごいのですよ」

岡村「…」

少しばかりの楽しい雰囲気に身を触れさせていた私だが、
横に座っている岡村の、何かいいたげな沈黙に気付いた

岡村「あの…ちょっといいですか?」

梨花「なんですか?」

岡村「あの…やめにしません?」

詩音「………」



21: ◆0y9Us4tj3E :2008/02/21(木) 00:29:55.12 ID:nuKiCSze0
その場はいつの間にか、ありえないほどの沈黙に包まれていた
まさかさっきまでの喧騒が嘘のように

岡村「昨日…家でじっと考えて…気付いたんですよ…
   吉良の殺人なんて、成功したって何も得られない…やっぱり、アレ…その」

詩音「怖いんですか?」

詩音が言う、いつもからは考えられない程の冷たい声だ
いや、私は確かにこの声色には聞き覚えがあった

詩音「てめえそれでも金玉ついてるんですか?」

この声は―詩音が狂気に走る世界で毎回聞く声色…

魅音「し、詩音、やめなよ」

詩音「いや、お姉、こういうのははっきりしとかないといけません
   こういう大事なとこでチキンな奴ってのは、根元からどんどん広がって行くんですよ」



22: ◆0y9Us4tj3E :2008/02/21(木) 00:33:29.51 ID:nuKiCSze0
確かに、今までいつも目を合わせていた友達が何人も消えて行くこの精神的不安定に
悟史のことを思い出したか、この女は…

岡村「…す、すいません」

詩音「誰が謝れなんて言ったんですか?」

岡村「?はい…あの、すいません」

詩音「謝るしか出来ないんですか?この腐った鶏は…」

魅音「だからやめなって詩音!仲間のことをチキンだとか腐ってるとか、おかしいよ!」

詩音「…」

岡村「…」

岡村は半泣きだ。少し可哀想になってきた



24: ◆0y9Us4tj3E :2008/02/21(木) 00:37:34.33 ID:nuKiCSze0
岡村「わかりました…」

詩音「何がわかったの?」

岡村「ハイ」

岡村「吉良吉影というダニは、絶対に殺さなくてはいけないこと…」

梨花「!?」

おかしい…、今までの雛見沢症候群とは、何かが違う…
これは…間違いない、伝染しているッ!!まかり間違っても岡村は人間のことを指して『ダニ』とは呼ばない!
まさか、私達が脅かされているのは、雛見沢症候群とは…また違った病魔ッ…

見たことも、聞いたことも無い…雛見沢症候群以外の…病魔?



25: ◆0y9Us4tj3E :2008/02/21(木) 00:40:07.66 ID:nuKiCSze0
入江は…知っているのか?
私達は、実は雛見沢症候群でない病気で、今回はその研究の為について来たとか…

入江を見る、腕を組んで表情を変えない。厳しい顔だ

プー、プー

手元のトランシーバーが鳴る

大石「やっこさん、レストランから出ましたよ、北に向かってます」

魅音「北…?」

詩音「お姉、カラオケの方向じゃないですか!」



26: ◆0y9Us4tj3E :2008/02/21(木) 00:43:33.01 ID:nuKiCSze0
吉良「……」

カラオケ、本日休業

吉良「うぅむ…折角彼女と遊ぶのに丁度いい場所を思い出したと思ったのに…
   何処で…遊ぶか…、この日を逃がしたら街で遊べる日なんてもう無いというのに…」

魅音「ふぅ…電話で何とか休業の看板出してもらったよ…」

詩音「お姉えらい!さて、奴が次に行く場所は?」

魅音「反対側に…回って…」

吉良が行く方向…そちらにはビリヤードの看板!

魅音「…ビリヤード場!」



27: ◆0y9Us4tj3E :2008/02/21(木) 00:46:04.43 ID:nuKiCSze0
梨花「プランAでいけるわ、ビリヤード場」

詩音「トランシーバー貸して下さい、葛西に連絡します」
詩音「葛西ー!」

葛西「はい、こちらそちら園崎ビルの屋上です」

詩音「見えてますか?」

葛西「見えてます」

ポツ…ポツ…

詩音「うわっ…雨…。大丈夫?見えますか?」

葛西「はい、ちゃーんと見えてます」



28: ◆0y9Us4tj3E :2008/02/21(木) 00:49:06.72 ID:nuKiCSze0
コン…パーン

吉良「今日は…いつもより調子がいいな」

コン、パーン…

吉良「心なしか空が暗い…と思えば雨か…」

吉良「(職員は…今はいない…)」

吉良「触ってみるかい?沙都子さん…スティック…」

「…」

吉良「そうです、いい持ち方ですよ」

コン、パーン

吉良「惜しい、しかしスジはいいかと思いますよ
   ではもう一回…」



29: ◆0y9Us4tj3E :2008/02/21(木) 00:52:55.14 ID:nuKiCSze0
トトトトト

職員が開いた机の机拭きを始める

吉良「(ちっ…職員か…。少しばかりのお別れです、沙都子さん…)」

詩音「吉良の様子は?」

詩音は葛西と連絡を取っている
なんせ葛西は、ビルの頂上からスコープでビリヤード場の窓から吉良の様子が覗けるのだ

葛西「今は打ってませんね」

詩音「打ってない…、大丈夫?」

葛西「おやすい御用です。詩音さんを危険な目にはあわせたりはしません」

詩音「うわー、そのセリフ葛西が10才若かったら惚れてたんだけどなー」

葛西が取り出すのは長い、狙撃用の銃だ!



30: ◆0y9Us4tj3E :2008/02/21(木) 00:55:53.49 ID:nuKiCSze0
職員には既に詩音からの命令が伝わっていた。

ガラガラガラガラ

職員は何食わぬ顔で窓を開けた

詩音「これで窓を割ることもありません。葛西、思う存分狙っちゃってください」

葛西「わかりました」

吉良「…雨…?窓、換気と言えばそれまでだが…?
   いや、馬鹿な、警察がこんなこと出来る訳が無い、スタンド攻撃…?」

葛西「……」



31: ◆0y9Us4tj3E :2008/02/21(木) 00:58:31.98 ID:nuKiCSze0
吉良「(私が攻撃を仕掛けられている…いや、この場だとそれ自体が杞憂か…)」

詩音「吉良が窓から目を反らしました!」

葛西「!!」

チュンッ

短い音が跳ねる!銃弾は、吉良吉影の体に―

吉良「うぐぅ!」

吉良はその場で倒れこみ、ビリヤード台にもたれかかった!



33: ◆0y9Us4tj3E :2008/02/21(木) 01:02:20.91 ID:nuKiCSze0
詩音「や、やりましたか?」

吉良「フゥ〜〜……」

魅音「い、いややってない!吉良は、」

吉良「もしもの用心のためにキラークイーンを後ろに出現させた、そのコンマ一秒程の『直後』だッ……ッ!
   あと1秒程でも遅かったならッ…」

詩音「葛西、二発目を!」

葛西「わかってます!」

チュンッ

吉良「ふ…狙撃と気付けばもうそれまでだッ!キラークイーンッ!」

キラークイーンの拳が銃弾を捕える!
銃弾は弾き飛ばされ遥か向こうへ!

吉良「キラークイーンは無敵!もう当たりはしない!」



34: ◆0y9Us4tj3E :2008/02/21(木) 01:06:36.60 ID:nuKiCSze0
葛西「くっ…失敗です…!」

吉良「(狙撃の方向は窓の方から…)」

吉良は窓まで歩き、背中を窓につけ、少し足をかがませそのまま座る
吉良の頭は、窓よりも下の位置へ…

吉良「これで、物理的にもう狙われはしない」

詩音「これは…プランBですね!」

私達がいたのはビリヤード場のちょうど一角
関係者以外立ち入り禁止の事務室!吉良の座った窓とは対角線側にある場所だ。そこから勢いよく詩音が飛び出した!



35: ◆0y9Us4tj3E :2008/02/21(木) 01:09:24.15 ID:nuKiCSze0
吉良「君が…この狙撃の首謀者か?」

詩音「当たらずとも、遠からずと言った所ですね
   ここはキラークイーンの移動可能範囲から随分と外です、あなたは私を攻撃することが出来ない…」

吉良「そんなもの、少し歩いて近づけばいいだけの話だ」

吉良がよっこらせと立ち上がる

詩音「狙撃させますよ」

吉良「キラークイーンで銃弾を弾き、君に近づく…」

一歩、吉良が詩音に歩み寄った



36: ◆0y9Us4tj3E :2008/02/21(木) 01:13:38.99 ID:nuKiCSze0
詩音「それでも、その作戦は出来ますか?」

詩音が取り出したのは、銃!

梨花「同時攻撃、これは避けられない!」

吉良「子供の時ねぇ…よく『機関車トーマス』を見ていたんだ。
   ほのぼのとした、駅員と喋る機関車の1ページさ」

詩音「ほお、じゃあ続きは地獄で語ってもらいましょう!!」

詩音の銃弾が、吉良に向けて発射される!
葛西とのタイミングは完璧!ほぼ同時に吉良に着弾する計算だ!



37: ◆0y9Us4tj3E :2008/02/21(木) 01:17:47.21 ID:nuKiCSze0
吉良「でもあれおかしいよなあ、自分の真横にいる駅員と喋っているんだ
   あんな『ド根性ガエル』みたいに顔が張り付いちまったら、中々早々喋れないよな」

『コッチヲ見ロォ!』

詩音「こ、これは!」

ドゴン!

梨花「謎のスタンドが、銃弾に走って行って爆発したわ!」

吉良「おや、勝手に爆発しちまったみたいだな
   僕は片方の銃弾を弾くだけで済んだけど」

シアー・ハート・アタックは温度反応だ!このシアーハートアタックをタイミングを見計らって発射すれば、
ちょうど銃弾に吸い込まれて勝手に爆発する!



38: ◆0y9Us4tj3E :2008/02/21(木) 01:21:29.36 ID:nuKiCSze0
吉良「次は私の番だ。園崎詩音」

詩音「(謎のスタンドとキラークイーンの同時攻撃!)」

梨花「詩音!」

詩音「ここは…銃弾で謎のスタンドを撃ち抜く!当たった瞬間に爆発するけど、それでも!」

カーン!

吉良「うぐっ!」

詩音「衝撃は吉良の左手に通じる!」

吉良の体が左手から吹っ飛び、また元の窓側に叩きつけられた!

吉良「小娘が…」



40: ◆0y9Us4tj3E :2008/02/21(木) 01:25:30.92 ID:nuKiCSze0
吉良「また…逆戻りか…
   まるで大人の恋愛みたいじゃないか、なあ、古手梨花」

詩音「な、何こいつ…」

吉良「余裕があるってことだよ、私には」

吉良の左手の方に魅音が登場する
いつの間にか、詩音のように手には拳銃が握られていた

吉良「フフ…二方向ならキラークイーンがはじけないと思ってか
   随分と強気だな、園崎魅音」

詩音「追い詰められているのは、どう見てもあんたの方なんですけど」



41: ◆0y9Us4tj3E :2008/02/21(木) 01:29:05.40 ID:nuKiCSze0
吉良「その…今あなたが踏んでいる100円玉」

詩音「何ですか、時間稼ぎなら、後にして下さい」

吉良「それは私の物なんだ、返してくれ」

詩音「いいですよ、土葬する時一緒に埋めてやります
   今は拾いませんけど」

梨花「まさか!」

吉良「踏んでいるだけで充分だッ!!」

吉良が人差し指のボタンを押す!
詩音の足元から、白煙が立ちのぼった!

詩音「お姉ェーッ!!」

ドウンッ!!



42: ◆0y9Us4tj3E :2008/02/21(木) 01:32:34.17 ID:nuKiCSze0
魅音「し…し…詩音…?」

詩音がいた場所には、変わり果てた手首が一つ…

吉良「土葬する時に、一緒に埋めてやるか?この100円玉を」

魅音「う、うわあああああああ!!!」

魅音が銃を乱射する!弾装を全て撃ち尽くすも、その全ては吉良のスタンドが弾き飛ばしている

吉良「そんなに撃つんだったら、一発ぐらい当てさせてあげても良かったかッ!?園崎魅音!」



43: ◆0y9Us4tj3E :2008/02/21(木) 01:35:11.11 ID:nuKiCSze0
誰がどう見ても…この状況は、アレだ
作戦失敗…

ピーポー、ピーポー、ピーポー…

梨花「!?」

その時初めて気付く、外からの、パトカーの音だ

梨花「パトカー?大石じゃないわね、誰が呼んだの?」

岡村「…ぼ、僕です…」

梨花「岡村?…一体どうして…
   呼んだって、どう見ても私達が加害者側よ。吉良は武器も何も持って無い…しらばっくれるだけで何とでもなるわ
   一体どうして…」



44: ◆0y9Us4tj3E :2008/02/21(木) 01:37:59.20 ID:nuKiCSze0
岡村「僕の命を…守るため…」

梨花「はあ?」

岡村「実はこれ、葛西さんが狙撃をする前に呼んだパトカーなんです…」

梨花「それだったら更に不可解ね、どうして呼んだの?」

岡村「殺すつもりだったでしょ?」

梨花「……え?」

岡村「詩音の奴は、全てを終わらせた後、口封じに全員を殺すつもりだった。そうは思いませんか?」

梨花「な、何を言っているの?岡村…」



46: ◆0y9Us4tj3E :2008/02/21(木) 01:41:34.17 ID:nuKiCSze0
岡村「いえ、きっとそうなんです。今回はたまたま詩音が死んで『良かった』けど
   本当なら僕達は殺されていた
   それに、これで吉良は僕達を殺せません。被害者面しないといけないですから加害者側に死んでもらっては迷惑でしょう
   ほら、バンバンザイじゃないですか」

梨花「(雛見沢症候群……くそ…こいつは肝心な時に…)」

魅音「あっ!」

吉良がビリヤード場である二階の窓から飛び、パトカーの上に着地する

吉良「助けて下さいよォ〜、奴ら、頭おかしいんです!」

梨花「くそ…あいつあんなこと言いやがって、セコい奴…」



47: ◆0y9Us4tj3E :2008/02/21(木) 01:45:18.67 ID:nuKiCSze0
入江「とりあえず、侵入されては困ります、鍵を閉めましょう」

さっきまで事務所にいた入江が、ビリヤード場の鍵を閉める

入江「自首…しませんか?」

梨花「……わかったの…です…」

ズガーン!

梨花「(銃声…!?)」

魅音「くそ…テメェのせいで、警察、また年少かよ!クサレ脳みそがッ!」

梨花「魅音!岡村君を撃って!」

魅音「もう知らない、ああ、この歳で年少…クソクソクソクソ…」

梨花「(やっぱり彼女も雛見沢症候群…!激烈ね…)」



48: ◆0y9Us4tj3E :2008/02/21(木) 01:48:22.99 ID:nuKiCSze0
梨花「(もう…終わり…元々狂った世界が…更に狂った。それだけ…)」

私は窓から顔を出す。もう顔を見られることに抵抗は無かった

梨花「アイツ…すごくニヤケてる…畜生…」

復讐…、手段を選ばないことを『選んで』も、結局は同じ
奴の殺人癖を変えることは…絶対に出来ない…

ドアに体当たりする警官の声が聞こえる。
もう直ぐにここは破られてしまうだろう。

そうなれば…行こう。新しい世界に



49: ◆0y9Us4tj3E :2008/02/21(木) 01:51:57.65 ID:nuKiCSze0
吉良がパトカーの後部座席に乗り込む
パトカーが発進する。もう誰も止められない

吉良の行く手は…もう

その時、目の前に広がる信じられない光景!
パトカーの後部座席に座っている人間が、吉良の頬に鉄拳を一発!

梨花「えっ……?」



54: ◆0y9Us4tj3E :2008/02/21(木) 01:56:16.63 ID:nuKiCSze0
思えば、入り口の外も随分と激しい音が鳴っている
さっきまでドアに体当たりをしている音かと思ったが、それとは違う!
これは明らかに…乱闘している?

外を見る、警官同士がしているのは、殴り合い!
警官同士の殴り合いだ!

梨花「な、何が起こって…」

魅音「ふぅ…」

梨花「魅音…あなたまさか…」

魅音「私のスタンド能力、昼間っからだったけど、目覚めちゃったみたい」

この光景…!
大昔、園崎家が、自分の仲間に人間の臓物を出させている時、
背後からその腹を割く男を見ているのは、スタンドだった!

梨花「『サバイバー』…」

昼間っからって、あの詩音があんなにも血気盛んだったのは、お前のせいか!



56: ◆0y9Us4tj3E :2008/02/21(木) 01:59:26.04 ID:nuKiCSze0
吉良「いたっ、いてっ、くっ、ち、畜生!
   何だァ、こいつら、狂ってやが…」

ドン!
一人の少女が、窓からボンネットに飛び降りた!

吉良「危ないぞ…」

梨花「こういうのは、体重が軽い方が安全なのよ」

吉良「なんだ…これもお前の策のうちとでも?それならば…随分とマヌケな策だな…」

梨花「策じゃないわ…偶然。本当に偶然よ」



58: ◆0y9Us4tj3E :2008/02/21(木) 02:02:27.98 ID:nuKiCSze0
梨花「入江の目の前で使うのは気がひけるけど…」

私がポケットから出したのはH173

梨花「さっきよりも更に狂ってる兵隊よ、料理して欲しいわね」

注射器を、暴れている警官の一人に勢いよく撃ち込んだ!

「グオオオオオオオオ!!」

吉良「何を馬鹿な…キラークイーンで…爆殺する…」

梨花「まだ気付いてないの?あなた」

吉良「?」

梨花「さっきの乱闘の時、そのブレザー、ちょっと破れてたでしょ
   内ポケット…確認した?」

吉良「!!…か、彼女が…!!」



60: ◆0y9Us4tj3E :2008/02/21(木) 02:06:19.02 ID:nuKiCSze0
魅音「ハイ、ナイスキャッチ、これ、警察とか持っていったら、立件とか出来るんじゃないかな」

吉良「見せびらかせている暇があるのかッ!?キラークイ…」

近くに新しいパトカーが通りかかる
その中には、大石!!

魅音「ハイ、大石さん、パス」

大石「ンッフッフッフ、今度は無事に警察署まで届けますよ」

吉良「……!!シアー・ハート・アタック!あの車を!」

梨花「無理よ…ここには体温丸出しで馬鹿みたいに戦っている奴がいっぱいいるわ
   そんなものじゃあ…追えないわ」



61: ◆0y9Us4tj3E :2008/02/21(木) 02:10:00.25 ID:nuKiCSze0
体の力が抜けていく…
私が…今まで必死に獲得しようとしていた…平穏…平穏…

吉良「『夢』だッ!これは、悪い『夢』ッ!
   覚めるッ…直に覚めるッ!!」

ハァ…ハァ…

吉良「私が求める…平穏…」

梨花「無理よ。あなたには、そしてこの世界の私にも
   もう平穏なんて絶対に訪れないの…」

吉良「訪れないかもしれないが…」

私は古手梨花を大きく持ち上げる!

吉良「生きてみせる!人質!お前は人質だ!
   山狗の所まで行けば、行けば、罪を、罪を全て消してくれる!!」



62: ◆0y9Us4tj3E :2008/02/21(木) 02:13:18.79 ID:nuKiCSze0
魅音「吉良吉影、いや川尻浩作が、梨花ちゃんを連れてパトカーに!」

吉良「興宮を…出てやる…」

吉良「動くな!このクサレ脳みそが!少しでも動いたら、この少女の命はない!」

魅音「うっ、うう…」

吉良「行ける、まだ私は、生きられる!
   私は人を殺さなければならない性を負ってはいるが…『幸福に生きてみせるぞ』ッ!」

梨花「哀れね」

プスッ

吉良「うっ…」

梨花「(二本目の…H173…)」

吉良「な、何だ…何を私に…注入した…」



63: ◆0y9Us4tj3E :2008/02/21(木) 02:16:31.78 ID:nuKiCSze0
梨花「H173…体に興奮物質が回り、
   自分の首をかきむしり死ぬ病原菌よ」

吉良「!!嫌だ!私はまだ生きる!
   『植物』のように!『植物』のように!」

梨花「諦めなさい、もう終わ…」

私は古手梨花の首に手をかける!

吉良「お・ま・え・さ・え・い・な・け・れ・ばッ!!」

梨花「うっ…うぐっ…」

古手梨花が両手からストンと落ちた

吉良「あがっ、うぐっ…痒い!喉が、か、グググ、ウグッ…!!!」



65: ◆0y9Us4tj3E :2008/02/21(木) 02:19:03.77 ID:nuKiCSze0
吉良「く、くそ…ぐ…くああああ、はぐっ!うああああああああ!!!!」

意識が…飛ぶ…
私は…私は…


魅音「り、梨花ちゃん!」

入江「梨花ちゃん!梨花ちゃん!!」

魅音「…!!」

入江「そ…そんな…
   私が、腕づくでも止めていれば…!!」



68: ◆0y9Us4tj3E :2008/02/21(木) 02:22:49.93 ID:nuKiCSze0
入江「うっ…う…う…」

梨花「い…入江……」

入江「り、梨花ちゃん!生きて…」

梨花「えっ…」

魅音「な、直ってる…」

入江「は、はあ、よかったです、本当に…どうしたらいいかと…」

梨花「(『クレイジーダイヤモンド』…
   あなたが自分で掴んだ才能よ。もっとも、クレイジーなのはメイド好きなとこの方だろうけど…)」


昭和56年、綿流しの次の次の日
雛見沢に大量の火山ガスが流れ込んだ
この空前のガス災害による死者は、2000人以上と呼ばれている



69: ◆0y9Us4tj3E :2008/02/21(木) 02:25:30.84 ID:nuKiCSze0
その6年後、雛見沢を個人的に調べていた公安の赤坂は妙なものを見つけた

「矢?…なんだ、これ…」

見つけて欲しいといわんばかりに地面の上に落ちていた…その矢

チクッ

「いてっ…あいたたたたた」

その矢を次に拾うものは、一体どのような物語を歩むのだろうか

「あれ?なんともないぞ?さっきの傷…」

「赤坂さーん、行きますよー!」

「あー!スマンスマン!」


吉良吉影が雛見沢にやってきたようです 完



71: ◆0y9Us4tj3E :2008/02/21(木) 02:26:16.23 ID:nuKiCSze0
これで全部終わりだ!お前ら最後までありがとう!それもこんな遅い時間に!
お前ら乙!!



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