( ^ω^)季節を旅する文猫冒険記のようです
- 405: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/24(月) 23:18:32.88 ID:81lxEDVB0
諸注意 これはブーンが書く記録には含まれない為、適当な物となっております。
- 411: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/24(月) 23:22:31.74 ID:81lxEDVB0
アレ?
∧,,∧
【 季節を旅する文猫冒険記のようです 】 ('ミ゚д゚;彡
ゞ,, つ
ミ ミ
し`J
412: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/24(月) 23:23:29.76 ID:81lxEDVB0
第一章 遠い地を目指したハジマリ
其の四(裏) 「 みんなのヒーローがやってくる!! 」
415: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/24(月) 23:24:42.65 ID:81lxEDVB0
一方その頃。
そんな訳で。
二匹の猫達がフサから離れた後。
外の二人がどうなってるかをここでは追います。
海の上は、いまや悲鳴と、助けを求める叫び声が場を埋め尽くす、正に地獄絵図でした。
今、海には半分になった船首が海面から直角に伸び、縦になって浮いていた。
一体何がどうしてこうなったのか、船は真っ二つに分断されてしまったらしく、
既に半分より後ろは海中に沈み、海面には大量の木片やらが漂っていた。
海に落ちたのであろう人々はその木片を浮きにして、どうにか難を逃れようとしている。
中には一際目立つ、白い帆を広げた巨大な柱も浮かんでいて、そこにも沢山の人がしがみついていた。
一見、死者が溢れかえる悲惨な現場になっているように見えるが。
意外にも、こうなる前にほとんどの乗員が脱出できたので被害は少なかった。
416: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/24(月) 23:26:23.69 ID:81lxEDVB0
特に船内から出てきた人々は、慌てるどころか恍惚の表情を浮かべながら出てきて。
そう混乱も起きず、非常にスムーズに避難と脱出が行えたようだ。
ちなみに、みな口々に「ぷにぷに」「肉球」などの言葉を呟いていて、
これは一匹の猫の協力があったおかげだと、後に語られている。
すでに港の方からはこれまた沢山の船が現場に到着し、
船乗りたち総出による救出活動が進んでいる。
そして防波堤では、そんな事態を固唾をのんで人が群れをなして見守っていた。
更に言えば、幸いな事にいまの時季は蒼季。
海に落ちたところで、寒さに凍える心配はなく。
むしろ人によっては心地よいくらいだろう、という事も救いだった。
419: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/24(月) 23:27:59.72 ID:81lxEDVB0
< お、おい…あれ
< 見ろ! 人がまだ残ってるぞ!
ただ、一部を除いて。
まるで海上にそびえ立つような、縦になった船首の先。
手すりになった部位に3名ほど、人が取り残されている。
そして、その中にはこの二人の姿があった。
ミli゚Д゚彡「ひ、ひぇええ…」
(*//Д/)「ぅ…あ、あ、あんまりひっつくんじゃねえ!!!」
ミliTДT彡「そそそ、そんな事言ったってええ!!」
(’e’)「若いもんはええのう、ほっほっほ」
船の先端部分にある手すりに、三人、性格には二人がぶら下がっている。
まずつー、そのつーにフサが正面から抱きつき、
その隣では老人が同じ様に手すりに掴まり、そんな二人を眺めていた。
421: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/24(月) 23:30:59.82 ID:81lxEDVB0
(;*゚∀゚)「てめえは、自分で掴まれよ!!」
ミli゚Д゚彡「動けないから! 落ちるから!」
(;*゚∀゚)「だ、だったら…せめて背中に…」
ミ;゚Д゚彡「え? う、うん」
(;//∀/)「くぅ…ぁ…くび、に、息かけんなぁ…」
ミ,;゚Д゚彡「よっ…」
(;*゚∀゚)「ヒャン!? てて、てめ、どどどどこ触っていやがる!!」
ミ;゚Д゚彡「うわわ!? ごめん!?」
(;* ∀)「ぁ…く、もう…いい…動くな、そのままでいろ」
ミ*゚Д゚彡「…ハァハァ」
(’e’)(おっきした)
(♯ ∀ )「アトデ コロス」
ミli゚Д゚彡「ひっ!?」
423: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/24(月) 23:31:51.45 ID:81lxEDVB0
なぜ二人がこんな状況になったか、時はブーンと二人が別れた辺りに遡る。
∧∧
ミ*゚∀゚彡 < マキモドシ!
ミ,,,,,,,,,,ミ
蒼季 60節
426: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/24(月) 23:33:29.47 ID:81lxEDVB0
ミ,,゚Д゚彡「いよいよだから」
(*゚∀゚)「…そーだな」
甲板の上、フサとつーは船の端にて、手すりに体を預け、
寄り添いながら徐々に離れ始めた港を眺めていた。
強まる海風は潮の匂いそのままに、見える景色さえも変えてしまう。
つーは一度、港の更に奥、山の方へと手を伸ばし、ゆっくりと引っ込める。
そんな様を見たフサは沈黙を破り、前を見つめたまま口を開いた。
ミ,,゚Д゚彡「つーちゃん、ありがとう」
(*゚∀゚)「はあ? 何が」
ミ,,。。彡「……一緒に、来てくれて」
(*゚∀゚)「別に…」
それから、再び沈黙が訪れた。
気まずいわけでもなく、ただ、不思議と言葉は必要じゃない。
これが自然だと思えるような、そんな空気だった。
429: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/24(月) 23:35:40.75 ID:81lxEDVB0
けれど、つーは何か思うところがあったのか、
決心したように首をまわし、視線を横に移した。
それに気付いたフサも姿勢を変え、疑問を浮かべた表情で視線を交わした。
(*゚∀゚)「それより、だ…いい加減、話してもいいんじゃねーか?」
ミ,,゚Д゚彡「なにが?」
(*゚∀゚)「お前、この旅の目的はなんだ? 何を目指してる?」
ミ,;゚Д゚彡「何って、俺はただ世界を見てみたいと思って」
(*゚∀゚)「本当にそれだけか?」
ミ,;゚Д゚彡「そう、だけど…なんでさ、そんなに変かな」
(*。。)「そうじゃねえけど……お前、知りたいんじゃないのか?
あれを、あの日のことを…」
ミ,, д 彡「え、あ……」
(*゚∀゚)「お前の言う、当ての無い見つけたい物、それは…」
431: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/24(月) 23:37:01.21 ID:81lxEDVB0
ミ,;゚Д゚彡「ちょっと待った、それはちg」
< うわ!! なんだこりゃああああ!!
その時だった、空気を読まない叫び声が響き渡り。
二人は驚き、そちらを見た。するとそこには海を指差す人々の姿があった。
習って海をみてみれば、青く澄んだ海の色が変色していく、
影が覆いつくすように黒く染まっていった。
船員や、他の乗客達が「何だこれは」と騒ぎ始める中。
その例に漏れず、フサ達も困惑した様子で海を見つめていた。
ミ,;゚Д゚彡「え、なになに、何が起きてんの? これは不味いの?」
(;*゚∀゚)「わかんねえ、他の連中の騒ぎっぷりからしてただ事じゃないみてえだが…」
船体に打ち付ける波は強まり、海は見るからに荒れていく。
ぐらぐらと足元が振動し、船体が大きく傾く、
ふと下の方から、何か砕けるような物凄い破裂音が響いたかと思うや否や、
荒れ狂う海にあやつられるように、激しく上下し、揺れに揺れる。
435: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/24(月) 23:38:58.72 ID:81lxEDVB0
しばらくして、先の大荒れが嘘のように静まり。
海は変わらず黒く染まったままだったが、波は静かに揺らめいていた。
しかし、その反対に船の上では大混乱が起きていた。
船員が慌てふためき、叫びながら駆け回っている。
ミ;゚Д゚彡「だからなんなんだ? サパーリわからないから!」
(*-∀-)')「ちょっと静かにしてろ、んー……」
ミ,,゚Д゚彡「?」
(*゚∀゚)「わかった、船底に馬鹿でかい大穴が開いたんだと」
ミ,;゚д゚彡(相変わらずなんでもアリだなぁ…)
ミ,,゚Д゚彡「んで、それって不味いの?」ソレニシテモ ドンナ ミミシテルンダカ
(*゚∀゚)「さあ? 知るか、でもまあこの様子だと不味いんじゃねーの?」
ミ,,゚Д゚彡「そっかー、でも普通に浮いてるしね」ヘイキソウ
438: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/24(月) 23:40:52.26 ID:81lxEDVB0
そうして、船についてよく分かってない二人は何がなんだか分からないまま。
慌しい船上の様子をぼけーっと眺めていたが、すぐに避難するようにと促された。
避難ってどうするのか? と訪ねれば。
なんと帆の貼られた巨大な柱を倒し、海に落とすから、
それに掴まって救助を待てと言う。
いや、どんなだよ、という突っ込みも虚しく。
もう港のほうに信号を送ったからとかなんとか、
抗議の言葉は無理矢理丸め込まれてしまった。
じゃあ仕方ない、そうしようか、と人の波に混ざろうとしたフサ達だったが、
そこでブーンとショボが居ない事を思い出し、船の奥から次々に出てくる列を睨んだ。
人々は誰もが不安げに、混乱した様子でぞろぞろと歩いてくる、
これでは下手に探しに行く事もできない。
そう考えた二人はその場で留まり、あの二匹が出てくるのを待つ事にした。
440: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/24(月) 23:42:20.57 ID:81lxEDVB0
だが、いつまで待っても列にその姿が現れない。
いい加減収まりつかなくなった頃、段々と出てくる人の様子が変わっていく事に気付いた。
何やら誰もかれもが気持ち悪い
…いや、嬉しそうな顔をしていた。
そしてこんな会話を耳にする事になる。
「いやー、あの猫のパンチはききましたなぁ…」
「もう一度喰らいたいものです…」
猫、と聞いてあいつらだと確信した二人は更に待った。
あの会話からして、あの二匹は無事で、これから出てくるのだろうと思ったからだ。
するとそれは的中した。
人波の中に、尻尾をだらりと垂れ下げた一匹の大きな猫を発見、ショボだった。
声をかけて二人が近づくと、その猫は安心したように泣き出した。
(´;ω;`)「怖かったよう…」
443: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/24(月) 23:44:11.01 ID:81lxEDVB0
そしてここからは大まかに事態を説明する。
尚、これが正しい事象か否かについては不明である。
浸水の続いた船は、そのまま沈んでいく事は無く、
重量の多い後部へと海水を溜め込み始める。
すると船尾が先に海の中へ沈み、シーソーのように船首が上へと上がっていく。
だがその過程、ただでさえ船底には穴が空き、傷ついているのもあり。
船体は自らの重量を支えきれず。持ち上がった船首が上に行く事を嫌うように、
悲鳴の様な音を立て、真っ二つに折れた。
船尾はそのまま沈んで行くが、まだそう遠い沖でも無いため。
海底に衝突し、巨大な波を作りながら横たわり、沈んでいった。
ついでに黒かった海水も流されたのか、霧を払うように青色に戻っていく。
そして、今度はそれを嫌がる事無く、船首が持ち上がり。
折れた部分を海面に沈め、縦に立ち上がった。
そして、船首には3名ほど。
最後まで彼の猫を待ち続けた二人と、不運な老人が取り残される形となった。
444: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/24(月) 23:45:24.70 ID:81lxEDVB0
∧∧
ミ*゚∀゚彡 < マキモドシ オワリ!
ミ,,,,,,,,,,ミ
蒼季 60節
447: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/24(月) 23:47:03.93 ID:81lxEDVB0
(;*゚∀゚)「はぁ…にしても…参ったなこりゃ」
ミ*´∀`彡(ああ…と、吐息が…)
(* ∀ )「…」
ミ;゚Д゚彡「!!」
ミ,;゚Д゚彡「あ、そこの爺ちゃん、大丈夫!?」シズマレ マイサン
(’e’)「大丈夫じゃて、わかいもんには負けんぞ」マダマダ ゲンエキジャ
正に絶対絶命の窮地。
だがそんな時。
遠い港から、海上に浮かぶ救助に勤しむ小船から、救助を待つ人々から、
わあ、と大きな歓声が上がった。
それは誰かの名を呼ぶ声だった。
450: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/24(月) 23:49:06.44 ID:81lxEDVB0
困惑するフサ達だったが、隣でぶら下がる爺さんが「あれを見い!」と叫んだ。
そうしてそちらを見れば、海面の上、腕を組みながら仁王立ちする誰かの姿があった。
( ゚∋゚)「……」
ミ,;゚Д゚彡「なんだ!?」
(’e’)「あれはクックルさんじゃ!! 海の英雄、みんなのヒーロー、
クックルさんが来てくれたんじゃ!! これで助かるぞ!!」
クックルと呼ばれたその人はどうやら鳥族。
両腕に生えた羽がロックスターのように風になびいている。
そして何より、全身を白い羽毛に覆われているが、
隠しきれないガチムチの肉体が見て取れる。
「クックール!! クックール!! クックール!!」
「海の英雄!! クックルーーーー!!」
人々の声は風に乗り、全ての音を掻き消してしまうほどに響き渡る。
爺さんは、そのクックルさんの素晴らしさを、よだれを垂らしまくって熱弁していたが。
それも周りの喧騒にかき消されて聞きとる事はできなかった。
455: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/24(月) 23:51:38.85 ID:81lxEDVB0
ミ,;゚Д゚彡「…どうでもいいけど、あれ、海の上に立ってない?」
(’e’*)「そりゃそうじゃて、彼は鳥じゃからな、水面に浮いて当たり前じゃ」ダラダラ
ミ;゚Д゚彡「ああ、そうゆう…」シカシ キタニャイ カラ
大歓声のなか、クックルはゆったりとした動作で組んだ腕を解き、
スッ、と船を指差した。すると応えるように、ピタリと大歓声が止んだ。
( ゚∋゚)「私は英雄などではない、そう、もしも居るとしたならば…
それは私をここへ呼んだ君達の心、そして助けを求める君の言葉だ!」
「「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」」
457: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/24(月) 23:53:01.93 ID:81lxEDVB0
( ゚∋゚)「私は君達の求めが生み出した、心の具現、心の化身!!
レスキューシグナルあるところ在りし存在!
そう、私は求めに応えし者、求応のクックル!!!
( ゚∋゚)「さあ!! 君は何を求める!? 君達の願いは何だ!?」
「「あの船をなんとかして!! 残された人を助けてください!!!!」」
一斉に叫ぶ声は見事にかさなり、海上に轟いた。
クックルは羽根の生えた腕を晴天に掲げ、声高々に叫んだ。
( ゚∋゚)「この胸に響いたその求め!! この翼が応えよう!!!!」
「「わああああああああああああああああああああああ!!!!!」」
(’e’)「うわあ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」
(*゚∀゚)「そんなこと言ってる間に爺さん落ちたぞ」
462: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/24(月) 23:56:28.68 ID:81lxEDVB0
ミ*゚Д゚彡「ハァハァ…つーちゃん…」モウ ガマンガ
(♯゚∀゚)「てめえも何考えてんだ!!」
ミli゚д゚彡「ごふぅっ!!」
つーは身をひねるように振り回し、フサの体が浮き上がる。
そこへ鋭い膝が腹部へ突き刺さった。
ミ,;゚Д゚彡「ぢ、ぢょ、まっ」
そのまま足裏を押し当て、ふわりと浮き上がらせた体に。
(♯゚∀゚)「アヒャヒャヒャヒャ!!!!」
目にも止まらぬ連続蹴りをその身に叩き込まれ。
フサは奇妙な声を上げながら宙をおどり。
やがて大きく吹き飛ばされながら海へと落ちていった。
ミ;゚Д゚彡「うわあ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」
465: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/24(月) 23:58:33.07 ID:81lxEDVB0
こうして、そのご、みんなクックルにたすけられた。
きょうもうみのへいおんはたもたれた。
そして、これからもうみのへいわをめざして。
がんばれ、クックル。
まけるな――――――クックル。
其の四(裏) 終了
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