( ^ω^)季節を旅する文猫冒険記のようです
- 4: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 : 2008/03/20(木) 22:18:00.67 ID:L92qaHDY0
∧,,∧
∧ ∧ 【 季節を旅する文猫冒険記のようです 】 ('ミ゚Д゚,,彡
( ^ω^) ゞ,, つ
と つ ミ ミ
〜(__) し`J
5: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 : 2008/03/20(木) 22:18:38.46 ID:L92qaHDY0
ミ,,゚Д゚彡「ひみつ?」
(*゚∀゚)「秘密ってーとあれか、あの言い争ってたときの話か?」
( ><)「そうなんです!」
ミ,,゚Д゚彡「あれかー、確か…なにかを掘るとか掘らないとか言ってたから」
そんな言葉にビロードは相槌をうち、
順を追って説明すると言ってゆっくりと語り始めた。
それはまず、この家のちょうど裏にある山には古くから、
この村を見まもる神様が住んでいる、との言い伝えがあること。
彼はその山に眠るという、ある物をさがして日夜発掘に勤しんでいるということ。
母親であるスタンさんは、その行為を罰当たりだと猛反対していること。
(;^ω^)(それで…掘るだの掘るなだの言い争ってたのかお…)
ミ,,゚Д゚彡「んで、発掘ってのは……何があるんだ?」
6: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 : 2008/03/20(木) 22:20:08.29 ID:L92qaHDY0
そうフサが問いかけると、ビロードは含み笑いをこめて、こう答えた。
( ><)b「神様、なんです」
ミ;゚Д゚彡「かみさま……を、掘るのか?」
(;><)「ちがうんです! ていうか意味がわかんないんです!」
そしてビロードは突っ込みのついでに、今度は僕らへ問いをなげかける。
( ><)「神さま、というのはどういうものだと思いますか?」
どういうものか、と言われて思いつくかぎりを羅列すれば。
やはり神様と謳われるからには、それなりの由来をもった存在、だろうか。
いわゆる奇跡や、不思議なできごと、エトセトラ。
大地が荒れて、水も枯れた場所にあめが降ったなら、
人はかならず神に感謝する、みたいな。そんなノリを想像するだろう。
8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 : 2008/03/20(木) 22:21:56.39 ID:L92qaHDY0
( ><)「では、精霊とは?」
( ^ω^)「あれだお?」
ミ,,゚Д゚彡「そそそ、あれだから」
ノパ听)「あれ?」
(*゚∀゚)「あれか」
(*><)「そう、あれなんです!」
(´・ω・`)(乗り遅れた…)ショボーン
さて、では回りくどい話もここでお開きにして。
はっきりすっぱり書き記してみよう。
要約すれば。
神様=精霊
ってことだ。
11: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 : 2008/03/20(木) 22:23:11.59 ID:L92qaHDY0
聡明な方なら、これだけですぐに全てを理解することだろう。
しかし、あえてもうちょっと掘り下げておこうと思う。
名ばかりで誰もじっさいに見た事のない、存在のあやふやな神さまたち。
それでも信じられていたのは、実際にふしぎな現象がおきていたからに他ならない。
ならば、その不思議な現象をおこす正体があばかれたなら?
そしてそれらが全くの別物、つまり精霊の仕業であると証明されたら?
という話だったとさ。
ミ,,゚Д゚彡「つまりビロードは精霊をさがしてるってことか…」
( ><)「はいなんです!」
(*゚∀゚)「でもお前、工房士を目指してるとか言ってなかったか?」
( ><)「それは―――――」
12: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 : 2008/03/20(木) 22:25:58.72 ID:L92qaHDY0
あらあらと知らないうちに過ぎていた、時代のうつり変わり、世界の変革。
歴史とは、知れば知るほどに面白いものだ。
どこへいくの季節、どこへいったの季節。
その問いかけはそのまま僕らの旅にも当てはまる。
だから尚更、僕はこれら全てをここに残そうと思う。
そんな僕らは季節の記録者。
名づけたなら、そう。
文猫冒険記、と。
さて……。ここまでに"あれ"って何回かいたかな?
見返しても、見返さなくてもいい。
それが歴史なのだから。
ああ、おもしろい。
14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 : 2008/03/20(木) 22:27:39.40 ID:L92qaHDY0
。。
゜●゜
。。
゜●゜
。。
゜●゜
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゜●゜
第三章 忘れ去られたオモイデ
其の三 「当たり前と信じ続けた時間とかだ」
。。
゜●゜
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゜●゜
。。
゜●゜
。。
゜●゜
15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 : 2008/03/20(木) 22:29:34.69 ID:L92qaHDY0
(*><)「僕が目指しているのは魔技士なんです!」
( ^ω^)「まぎし、かお?」
( ><)「はいなんです! ようは魔科学をあつかう専門職の名前です!」
ここにきて、またしても新たな用語の登場である。
いい加減パターン的にマンネリだ。
でも何となく言葉の凄みはかんじとれた。
ノハ*゚∀゚)「なんかかっこいいな!」
(;´・ω・`)「でも…そんなのあったっけ……?」キイタコト ナイ
(*><)「ないんです……ていうか、誰もわかんないのは当然なんです」
ビロードは、ショボの問いかけに気恥ずかしそうに答える。
どういうことだろう、と僕らがそろって疑問をうかべていると、
(;><)「実はそれ、僕がかってにつけた名前なんです」
くるりと前にまわしたしっぽを器用に手でつかみ、
もじもじとしながら言うビロード。
16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 : 2008/03/20(木) 22:31:46.39 ID:L92qaHDY0
そんな様子に僕らは「ああ、そう…」と相槌をうつのに精一杯だった。
ミ;゚Д゚彡「…でも、いいのか? 魔科学ってのはその、駄目なんだろ?」
( ><)「……僕には、あんなにすごいものを禁止することが、
そうする必要性がずっとわからなかったんです…」
(*><)「でも、さっきの船のはなしを聞いて、やっぱり確信したんです!
僕は間違ってなかった、やっぱり魔科学はすばらしいものなんです! 」
はなしの勢いそのままに立ち上がったビロードは、
ぐっと握りこぶしをつくり、天井をみあげながら叫び、さらに話をつづける。
(*><)「僕のゆめは、いつか魔科学を一般的に浸透させて
そして魔技士のなまえを世界中にひろめる事なんです!」
キラッ +ノハ*゚听)「おー」
ノハ。。)「?」
17: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 : 2008/03/20(木) 22:33:13.29 ID:L92qaHDY0
ミ*゚Д゚彡「そりゃ凄いから! 確かにもったいないよなぁ
喋ってかってに動いてくれる船なんてさ、俺でも凄いってわかるから」
(*><)「そうなんです! もっと広く扱われるべきなんです!」
興奮したビロードにあてられ、僕らもついテンションがあがってしまう。
だがそこで、きゅうに黙りこんだヒートの口から意外な言葉がとびだした。
ノハ; )「いや、それは、駄目だ……」
ミ;゚Д゚彡「え…ヒート?」
それに、どうも様子がおかしい。普段のむだに大きな声にも覇気がなく。
俯いたまま独り言のようにブツブツとなにかを囁いている。
さらによく見れば、その手には何かが握られていた。
(;><)「そ、それはどういう意味ですか?」
ノハ;--)「……進歩と革命は、ちがう……まだ、早すぎる」
(;><)「…っ!」
19: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 : 2008/03/20(木) 22:35:10.12 ID:L92qaHDY0
わずかに辛そうな表情をうかべ、淡々と言葉をつづるヒート。
僕らはその雰囲気におされ、なにも言えず、ただ見ていることしかできなかった。
ノハli-д-)「……それゆえに、"我等"は…………ぅ」
そこまで言いかけたところで。
握っていた手から髪飾りがすべり落ち、カラン、と小さな音をたてて転がった。
それに合わせるようにヒートも意識をうしなったのか、そのまま床に倒れ込む。
すると真っ先にフサが駆けより、伏せる彼女をだきあげた。
ミ;゚Д゚彡「ヒート!! おいっ! しっかりしろ!!」
(* ∀ )「……っ」
(;^ω^)「お…おお?!」
フサの腕に抱えられ、だらりと力なくうなだれるヒートは、
いくら揺らしても、大声で呼びかけても、ぴくりとも反応をしめさない。
これはいよいよもって不味い事態になったと息を飲んでいると。
ノハ--)...zzz
20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 : 2008/03/20(木) 22:37:08.75 ID:L92qaHDY0
やがてすやすや寝息をたてはじめ、ほっとため息をついた。
見れば先程までの辛そうな表情などかげもかたちも無く、
ひとつ寝返りをうつとフサの腕にすがりつき、甘えるような声を漏らしている。
それでようやく、僕らの思考もおちついてきた。
いったい、今のは何だったのだろう。
この場の誰もがそう考え、互いの顔をみまわす中。
つーちゃんはどこかそっぽを向いたまま口にした。
(*゚∀゚)「今の……あん時と、似てるな」
(;^ω^)「あの時…って」
聞き返そうとしたところで、"その時"の映像が脳裏をかすめる。
ノハ#゚ ゚)
炎のように揺らめく紅、そして髪飾りと一緒にあらわれた謎の仮面。
そして、もとのヒートとは似ても似つかない穏やかで、それでいて荘厳な口調。
何故かはわからない、わからないのだが、非常にそっくりだと感じてしまった。
22: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 : 2008/03/20(木) 22:39:10.48 ID:L92qaHDY0
(;><)「……あれ? これは………まさか…」
突然のことにおろおろしていたビロードだったが、
ヒートの手からこぼれて床をころがった物をみるなり表情を変え、
しばらく緊張の面持ちでみつめると、やがて驚きのこえをあげた。
(;*><)「せ、せせせ、精霊石?!」
ミ;゚Д゚彡「せーれーせき……って?」
(;*><)「うわっうわわっ! 本物!! 本物なんです!!」
ビロードは拾いあげたヒートの髪飾りを手にすると、
驚きと喜びのまざりあったような表情でさわぎはじめる。
(;*><)「うわマジかよなんです! やべーんです!!」
ミ;゚Д゚彡「ビロード?」
< ほあっ、ほああ、ほあああああああああーーーーーーーー!!
(;^ω^)(聞いちゃいないお……)
それからすっかり置いてけぼりの僕らは、
どうにかビロードが落ち着いてくれるまで待ち続けることになった。
23: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 : 2008/03/20(木) 22:40:16.47 ID:L92qaHDY0
.
∧∧
ミ*゚∀゚彡o彡゜ < コクーン! コクーン!
ミ,,,,,,,,,,ミ
紅季 4節
24: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 : 2008/03/20(木) 22:41:04.35 ID:L92qaHDY0
(;><)「はあっ、はあっ…取り乱しましてすいませんなんです」
ミ;゚Д゚彡「うん、いや……大丈夫?」
あれからずっと叫んだり踊り狂ったりしていたビロード。
正気をとり戻したと言うよりも、単純につかれきってようやく収まってくれたようだ。
ちなみに息は荒く、足元もおぼつかないようで膝をついている。
(;><)「それで、これはげほっげほっ!!」
それでも必死に説明をしようとする姿は痛々しく。
僕らはたまらず「がんばれ!もうちょっとだ!」と声援を送るのだった。
(*><)「はいなんです! がんばります!!」
それは、透明な球体をまんなかに、
4方向へ伸びたパーツがあかい花びらをイメージさせるような、
なんとも可愛らしく、まさに女の子、という感じの髪飾りだった。
( ><)「僕が発掘をつづけているのは、これの為なんです!」
そして、その中心にある球体こそ。彼がながいこと探しもとめた、
精霊石とよばれる特殊なものであるとビロードは言う。
26: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 : 2008/03/20(木) 22:43:05.18 ID:L92qaHDY0
(;^ω^)ドレドレ
よくみれば確かに、透明な内側はぐにゃりと揺らめき、
透明なのに向こう側をうつさないという不思議な物体だった。
(*´・ω・`)「……なんか綺麗」
ミ,,゚Д゚彡「それで、結局なんなんだ?」
( ><)「まず一言でいってしまえば、精霊を宿した石なんです」
(*゚∀゚)「……じゃあ、一言じゃなければ?」
(;><)「……元素とも言える大精霊たちが変化した、その結晶だと聞きます
そして、この石をもっていれば誰でも魔法がつかえるようになる、とも」
28: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 : 2008/03/20(木) 22:46:50.83 ID:L92qaHDY0
ここで、くわえてもう一つ説明しておこう。
魔法、つまり精霊をあやつる為にはいくつかのセンスを必要とされる。
視ること・触れること・意思疎通ができること、最低でもこれが必須条件だ。
そして、それは遠くの別大陸の人たちしか持ち得ないセンスであるという。
いわゆる、精霊の存在をよに知らしめた人達のことだ。
けれど、例外は何事にもそんざいするように。
極々まれに、それらが視えてしまう人も居るそうだが、
少なくとも僕等には該当しない。
話をもどすと。
つまり、その条件をまるごと覆してしまう。それが精霊石なの。
( ^ω^)「だ、そうだお」
ミ*゚Д゚彡「おおぅ、魔法! まじで!?」
(*><)「マジなんです! だから僕はそれを探してるんです」
29: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 : 2008/03/20(木) 22:49:05.02 ID:L92qaHDY0
なるほど、確かにふつうの人であるビロードが魔科学を学ぶためには、
絶対にひつようなものであると言うのがよくわかる。わかってほしい。
(*><)「すごいんです、羨ましいんです!!」
ミ*゚Д゚彡「へぇー」スゴイカラ
(*゚∀゚)「そうか…じゃあヒートは」
ミ;゚Д゚彡「……うん」
今回はめずらしく、ちゃんとフサも気付いたようだ。
つまり彼女のあれは、精霊憑依による魔法、という事になる。
僕らは早速、ビロードにその事を伝えてみたのだが。
( ><)「それはおかしいんです……精霊憑依というのは
人を対象にすることは不可能なはずなんです」
すぐに真っ向から否定されてしまった。
ミ;゚Д゚彡「なんで?」
(;><)「わかんないんです!」
ミ;゚д゚彡 エー
32: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 : 2008/03/20(木) 22:51:20.18 ID:L92qaHDY0
(;^ω^)「…ショボ、そうなのかお?」
(;´・ω・`)「え……ご、ごめん、魔法についてはちょっと…」
(;^ω^)「そうかお……」
どうやら、理由はだれも知らないらしい。
だがその割には、ビロードは確信をもって不可能といっていたように思える。
ミ,,゚Д゚彡「じゃあなんで、わかるんだ?」
だからそんな疑問はとうぜんだった。
するとビロードは「ちょっと待っててください」と言いのこして席を立ち。
どこからか一冊の本を持ってくると、僕らのまえに置いた。
(;^ω^)「おお……」
しかし、本というにはあまりにもでかい。
よこから厚さをみれば、ページがありすぎて形を保てず歪んだ四角形になっているほどだ。
33: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 : 2008/03/20(木) 22:53:05.41 ID:L92qaHDY0
赤茶色のかたそうな表紙には、タイトルなどは書かれておらず。
かわりに、白い羽のような物が埋め込まれている。
そして右下には小さく、なにか……名前のみたいなのが描かれている。
(;^ω^)(風……と、空……)
( ><)「これには、魔科学に関することが全て書かれています」
ミ;゚Д゚彡「全て……って、こりゃまた…すげぇ」
なんだろう、この喉にひっかかる感覚は。
なぜだろう、この胸がはやうつのは。
(;´・ω・`)「なるほど……これを見たから、そんなに詳しいんだね」
(*><)「ちなみにこれは、僕が尊敬する魔科学の研究者が書いたものなんです」
(*゚∀゚)「なるほどな、んでお前はその人に憧れて、って感じか?」
34: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 : 2008/03/20(木) 22:55:00.71 ID:L92qaHDY0
(*><)「はいなんです! この人はもう、物凄い人なんですよ!!!!
魔法使いでありながら、天才と称される工房士!!!
そして魔科学というのを生みだしたのもこの人なんです!!!!」
ミ;゚∀゚彡「すごいんだなぁ」スゴイ テンション
( ><)「ですが…ある節をさかいに行方不明になって、
今では生死もさだかじゃないんです……」
ミ;゚Д゚彡「へ?」
( ><)「噂では、禁忌の技術をあつかう者として追いやられた、と……」
ミ,,゚д゚彡「そう……なのか…」
くらくらしてきた。
35: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 : 2008/03/20(木) 22:56:18.74 ID:L92qaHDY0
.
「名前は?」
そして、誰かが訪ねた。
37: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 : 2008/03/20(木) 22:57:35.48 ID:L92qaHDY0
(; ω )「……クー」
何が思い浮かんだわけでもなく。
何を思い返したわけでもなく。
僕は、無意識につぶやいていた。
みんなの視線が一斉に僕へとそそがれる。
(;^ω^)「お……あれ?」
すると、途端に霧がかった頭が冴えていく。
自分の口からでた言葉と、みんなの驚きが混じった視線をうけて堪らずひるんだ。
(;><)「し、知ってるんですか!?」
少しの間をおいて、ビロードが掴みかからんとする勢いで僕へとせまる。
けど僕は、自分でも何故そんな事を口にしたのかさえわからなかった。
38: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 : 2008/03/20(木) 23:00:14.18 ID:L92qaHDY0
だからこそ、得たいの知れない不安がわきあがってきて。
背筋をつめたい何かが這いまわって、体が凍りつく。
(li^ω^)「…い、いや、実は山さんから聞いてたんだお!」
問いかけてくる言葉が怖くて、あまりにも怖くて。
気付けば、誤魔化すことばを必死にさがしていた。
(;><)「なんですか」
(li^ω^)「なんですお」
ミ;゚Д゚彡「いつのまに…」ズルイ カラ
(*゚∀゚)「……」
そして横目に見えた、つーちゃんの心配そうに僕をみる目が、ひどく痛かった。
41: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 : 2008/03/20(木) 23:02:48.52 ID:L92qaHDY0
.
∧∧
ミ*゚∀゚彡 < スナノ オヲヒキ
ミ,,,,,,,,,,ミ ソラヲ ナガレル モノハ?
紅季 4節
43: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 : 2008/03/20(木) 23:03:50.32 ID:L92qaHDY0
話しこんでいる間に、すっかり夜も更けてしまい。
そろそろ眠ろうと僕らは部屋へ案内された。
ちなみに、ヒートはあれからずっと眠り続けて、
フサはとても心配そうに傍らで腰をおろしていた。
今は寝ているだけとは言え、あんな気の失い方をされては無理もないだろう。
ミ,,。。彡「……」
それに、僕はフサのヒートにたいする気持ちに気付いている。
ここに来るまでもずっと一緒だったから、気付いてしまった。
あの大きな河で釣りをしていた時。
僕の背中に乗って、身を寄せ合っていた時。
そして、彼女が倒れたとき、必死になって抱きあげたときに確信した。
フサは間違いなく、彼女に……。
45: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 : 2008/03/20(木) 23:05:12.12 ID:L92qaHDY0
(*゚∀゚)「ずいぶん…気にかけてるじゃねえか」
(;^ω^)(お…)
つーちゃんは気付けば僕の隣にいて、壁をみつめながら言った。
誰にたいして言ったのか分かり辛くて、僕は答えられなかった。
そしてフサも黙ったまま、何も答えない。
(*゚∀゚)「……そんなに、ヒートが大事か?」
何処からか、リーンリーンと虫のなき声がきこえてくる。
そんな穏やかで、静かではない沈黙のなか。
ミ,,゚Д゚彡「………うん、心配なんだ………」
(*゚∀゚)「そうか」
異様なほど長い間をおいて、フサはそう答えた。
その先に、まだ続きがあるのはわかっていたが、
つーちゃんはそれを遮るように一言だけ口にした。
48: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 : 2008/03/20(木) 23:07:19.10 ID:L92qaHDY0
ミ*-Д-彡「だ、だってさ……ほら、なんか、あれじゃん」
けど、それに気付かないのか。
フサは少し照れながらも話をつづける。
(*゚∀゚)「じゃあ……この先は、ヒートと旅をつづけたらどうだ?」
つーちゃんは、今度は明らかに話をさえぎりながら、言った。
「俺は、どっかに消えてやるからさ」
ミ;゚Д゚彡「…………え?」
あまりに突然の言葉に、頭がこんがらがったのだろう。
フサは言葉をつまらせながら慌ててふりむいた。
50: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 : 2008/03/20(木) 23:09:02.26 ID:L92qaHDY0
(*゚∀゚)「ツィールには俺から言っておいてやるよ」
ミ;゚Д゚彡「え? え? ちょ、ちょっと?」
(*゚∀゚)「そうだな、さっそく朝になったら行くか……
代わりに俺がツィールについていくのもいいかもな」
ミ;゚Д゚彡「代わりに…って、な、なに言ってるの…?」
(*゚∀゚)「ハンターってのも、俺には合ってそうだ」
ミ;゚Д゚彡「ちょ、つーちゃん! いきなり何をってか、なんで!」
(*゚∀゚)「なんだよ、毛を刈られるからごめんだ、って最初から言ってたじゃねーか
俺が居ないほうが、おまえには都合がいいんだろ?」
ミli゚Д゚彡「そ、そんなこと……な、いや…ない…から」
(*゚∀゚)「ほんとか?」
そう言って、つーちゃんは懐から瞬時にとりだした包丁を投げつけた。
わずかな風切り音がひびいたその直後。壁に包丁がつきささり、毛が宙を舞った。
51: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 : 2008/03/20(木) 23:11:14.71 ID:L92qaHDY0
ミli゚Д゚)「ひぃ!? ななな、なんばしよると!?」
(*゚∀゚)「こんな事されても、それでも俺と旅をつづけたいのか?」
ミli゚Д゚)「え………」
その問いに、フサは床にちらばった自らの毛をみた。
瞬間、さきと同じように、タン、と包丁が壁に突きたった。
(li゚Д゚)「………」
ハラリと舞い落ちる毛をみながら、フサは固まっている。
あまりの恐怖に声をあげることすら忘れてしまったようだ。
(*゚∀゚)「どうなんだ?」
53: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 : 2008/03/20(木) 23:13:20.31 ID:L92qaHDY0
つーちゃんの冷たい言葉と同時に、ずっと聞こえていた虫の音が、とつぜん途絶えた。
息をのむ音だけがいちど響いて、それから完全な静寂がおとずれる。
そして、ドクンドクンと体の奥で鳴りつづける音が10回をこえる頃。
静かすぎた空間に、いつになく優しげなこえが響いた。
(*-∀-)「……やっぱりさ」
(*゚∀゚)「俺が居ないほうが、やっぱりお前にはいいだろ?
本当はずっと考えてたんだよな」
(li゚Д゚)「ぁ…ぃゃ……」
(*゚∀゚)「せっかく、こうやって広い世界にでられたってのに
俺がいたら……思い出しちまうだろ? 村での生活を……」
(li゚Д゚)「いや…そ、そうかもしれないけど、そうじゃなくて……」
54: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 : 2008/03/20(木) 23:16:21.11 ID:L92qaHDY0
(*゚∀゚)「だから、いい機会だし……ここでお別れだ」
そう言って、つーちゃんは音もなく背をむけた。
歩いていく先には扉がある。
(;゚Д゚)「ちょ」
(*゚∀゚)「じゃあな」
その一言と、扉が音をたてて閉ざされたのは、ほぼ同時だった。
未だに頭がうまく回らないのだろう、フサは呆然と扉をみつめている。
それから、どれくらいの時間が経ったのだろう。
(li-Д-)「お……俺の……馬鹿…」
うなだれたまま、フサが呟いた。
55: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 : 2008/03/20(木) 23:16:49.54 ID:L92qaHDY0
ノハ--) ……
気付けば、虫たちがまたやかましく鳴きはじめて。
たくさん混ざりあい過ぎたその音色は、すこしだけ耳障りだった。
ノパ -゚)「……」
そして、その夜。
ヒートが姿を消した。
其の三 → 其の四 につづく。
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