( ^ω^)が嫉妬するようです

107:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。あと26,090秒 :2008/01/10(木) 22:47:59.31 ID:ZNuSlLAs0
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週末。
文化祭の準備を終えると、今日も僕は一人で家路についた。

外の景色を望むと、町は紅く染まりつつあった。
だんだん日が暮れるのが早くなってきている。やはり季節は秋なのだなと思い知らされる。

明日からは待望の休日だ。
遅くまで眠っていても大丈夫だし、疲労した体をじっくりと休ませることができる。

何より、学校にいかないで済むということが大きい。
七人目を殺してから結構な日数が経つ。
そろそろ殺戮衝動が無尽蔵に湧いてくる頃だ。
そうなれば自制が効かなくなってしまうので、人前に出る必要がなくなるというのは、とてもありがたい。

しかし、そんな気分はすぐに消え失せてしまった。
教室を出て、玄関に続く混雑した廊下を歩いていると、この日も長岡があの女子生徒といるのを見かけた。
これで今週四度目だった。

一体、二人はどういった関係なのだろう。
僕は気になって仕方がなかった。


焦燥でどうしようもなくなった僕は、決意した。帰り道を変更して、二人の後を尾行しよう、と。



109:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。あと25,852秒 :2008/01/10(木) 22:50:03.12 ID:ZNuSlLAs0
二人は僕の家とは正反対の、まるで知らない道を進んでいく。

学校の正門を出ると、長岡たちはそのまま商店の立ち並ぶ方向へと歩を進め、
開けた国道沿いの歩道上を行っていた。
僕は彼らの背後で、決して二人に悟られないよう、物音一つ立てずにその様子を監視していた。


白状しよう。


長岡がともなっている女子生徒は、実は、僕が密かに淡い恋心を抱いていた相手なのだ。


だから、僕は長岡に激しく嫉妬している。
体全身を隅々まで循環する血流が、二人の隣り合って歩く姿を遠目に眺めると、
逆流しそうなほど猛烈に熱く煮えたぎってくる。

僕は長岡のことを羨ましいと感じるだけに留まれず、むしろ恨んでいた。

ちょうど、禁断症状を引き起こした中毒者みたいに、
僕の内側で殺人嗜好が急遽構成されているのも連鎖してか、一切理性が働かない。
体中が痒かった。呼吸は荒い。指先がわなわなと小刻みに震えている。


嫉妬は憎悪に変わり、憎悪は殺意に発展した。



112:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。あと25,852秒 :2008/01/10(木) 22:51:59.96 ID:ZNuSlLAs0
僕は、無意識に次のターゲットを決定していた。


初めての、殺したくて殺す人物だった。


ちょうどいい、彼は自分の正体にいずれ気づくであろう邪魔な存在だ。


自分の内に隠れていた、悪鬼のような陰湿性が顔を現す。


覗かせるは冷たい牙。


それまでひきつっていた僕の口元は、知らずのうちにほころんでいた。



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