( ^ω^)悪意のようです

32: ◆HGGslycgr6 :2008/01/19(土) 22:48:35.00 ID:ZgCYV95x0
1章



 国立美府大学、大講堂。
国立とはいえども、緊張感の無い講義がダラダラと開かれていた。
そして後列では講義中にもかかわらず、おしゃべりに余念のない生徒達が溢れている。

  (*゚ー゚)「あ、ツン、これだよ。このサイト」
ξ゚听)ξ「あーはいはい。相性診断とかもういいわよ」

 携帯を広げたまま話をする彼女らもまた、その内の一つである。

  (*゚ー゚)「でもさ、やっぱり気になるじゃん。ね?」
ξ゚听)ξ「そんなもんデタラメよ。ねえ、ブーン」
( ^ω^)「……」
ξ゚听)ξ「ブーン?」
( ^ω^)「……Zzz...」
ξ;゚听)ξ「……ちょっと、コイツ目開けたまま寝てるんだけど」
  (*;゚ー゚)「……なんか、平和だね」



34: ◆HGGslycgr6 :2008/01/19(土) 22:50:50.29 ID:ZgCYV95x0
( ^ω^)「……!」
ξ゚听)ξ「あ、起きた」
( ^ω^)「出席は!?」
ξ゚听)ξ「まだ」
( ´ω`)「起きて損したお……」
  (*゚ー゚)「内藤君、単位大丈夫なの?」
( ^ω^)「またツンにノート見せてもらうからいいお」
ξ゚听)ξ「アンタはまたそうやって……今回はもう見せないわよ」
(;^ω^)「え、ちょ! それは駄目だお。そんな事されたら僕留年決定だお!」
ξ゚听)ξ「駄目。前回ノート貸して酷い目にあったからもう貸さない」
(;^ω^)「あ、あれはその、CDとかのレンタルでも、つい返却期間を過ぎちゃったりとか、
      そんな感じのノリで、その……そんな感じのノリだお」
ξ゚听)ξ「はいはい、残念ね〜。社会では信用が第一なのよ」
(;^ω^)「マジかお……」



36: ◆HGGslycgr6 :2008/01/19(土) 22:52:04.79 ID:ZgCYV95x0
  (*゚ー゚)「あ、あのさ、内藤君」
( ^ω^)「?」
  (*゚ー゚)「その……ノートとってないの?」
( ^ω^)「ゴミを出さないというエコロジー的発想から、ノート自体ないお」
ξ゚听)ξ「アンタ自体すでにゴミクズね」
( ^ω^)「なんだと」

  (*゚ー゚)「えっとさ……えっと、私のノート見る?」
( ^ω^)「! ホントかお!?」
ξ゚听)ξ「しぃ、こいつに餌やったら死ぬまで追い掛け回されるわよ」
  (*゚ー゚)「だって、とってないものはもうどうしようもないし……」
( ^ω^)「じゃあテスト前になったら……」

  講師「と言うわけで、来週ここまでの範囲で小テストを行います」

  (*゚ー゚)「……」
( ^ω^)「……」
ξ゚听)ξ「……」
( ^ω^)「本日よろしいでしょうか?」
  (*゚ー゚)「ふふっ。いいよ」



40: ◆HGGslycgr6 :2008/01/19(土) 22:53:46.00 ID:ZgCYV95x0
 そうして笑いあうと、
彼らは配られた出席カードに手早く必要事項を記入して、ツンに渡した。

( ^ω^)「ツン、僕の人生預けたお」
  (*゚ー゚)「ごめんね、渡しておいて」
ξ゚听)ξ「あー、はいはい」

 足早に二人は大講堂から出て行った。
その姿を見送るとツンは両腕を机の上に置き、そのまま顔を伏せた。

ξ゚听)ξ「はぁ……疲れた。ガンバりなさいよー、しぃ」

 うわ言のように呟くと、ツンは自らの腕の中で再び溜息を吐いた。



41: ◆HGGslycgr6 :2008/01/19(土) 22:56:40.46 ID:ZgCYV95x0



 二人は唯一コピー機のある購買前に辿り着くと、
まだ誰も居ないことを確認して喜びあった。

( ^ω^)「早く出てきてよかったお」
  (*゚ー゚)「ホントだね。はい、ノート」
( ^ω^)「ありがたく頂戴いたしまする」

 ノートを受け取るとブーンは小銭を適当に投入し、ノートをコピー機にセットした。
するとその後ろ姿に、しぃがおずおずと話しかけた。

  (*゚ー゚)「あ、あのさ、内藤君」
( ^ω^)「なんだお?」

 名を呼ばれながらも振り向かずに設定画面と格闘するブーン。
やがてコピーが始まり、やかましい機械の駆動音が鳴る。



42: ◆HGGslycgr6 :2008/01/19(土) 22:57:52.92 ID:ZgCYV95x0
  (*゚ー゚)「内藤君って……その、今好きな人とかさ、居るの? なんて……」
( ^ω^)「ん〜……火曜と木曜に居る食堂のオバちゃんが、ご飯多めに持ってくれるから好きだお」
  (*゚ー゚)「……あ、そうなんだ。内藤君いっぱい食べるもんね」

( ^ω^)「逆に金曜のオバちゃんは少なめだから、金曜は麺類にするんだお」
  (*゚ー゚)「へえ〜。私はいつも小さいの頼むからわかんないなあ」

 バタバタと蓋を開けてはノートのページを変えて、コピーを進めるブーン。
次第に彼らの後ろには列が出来始め、しぃはそれを見ると口を開かなくなった。



46: ◆HGGslycgr6 :2008/01/19(土) 22:58:56.71 ID:ZgCYV95x0
( ^ω^)「ふう……とりあえず全部コピー完了、ありがとうだお」
  (*゚ー゚)「どういたしまして」
( ^ω^)「お礼になんかオゴるお」
  (*゚ー゚)「え、いいよ。別に私が勝手に言い出したことだし」
( ^ω^)「何言ってるんだお。
      ちょうど駅前の店のおっきいパフェを食べたいと思ってたところなんだお。
      一人じゃ入りづらいし、来てくれお」
  (*゚ー゚)「え、ホントに? あ、いや、その、別に嫌とかじゃなくてね、その、はい、行きます!」
( ^ω^)「オゴりくらいでしぃは慌てすぎだお」
  (*゚ー゚)「あはは、ホントだね、うん」

 そうして二人は街へと足を運んでいった。
それはまだ日差しの緩やかな陽春のこと。
甘い、甘い、桜の香りが彼らの頬をくすぐっていた。







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