( ^ω^)悪意のようです

102: ◆HGGslycgr6 :2008/01/19(土) 23:22:06.79 ID:ZgCYV95x0
4章



 あのノートの一件から数ヶ月。
今ではブーンとしぃは二人きりで出かけるまでの仲になっていた。

( ^ω^)「それで、仕方ないからそれ捨てちゃったんだお」
  (*゚ー゚)「えぇ〜勿体無い」
( ^ω^)「僕もそう思ったんだけど……」
  (*゚ー゚)「あれ? ごめん、内藤君ちょっと待ってて」
( ^ω^)「ん? わかったお」

 トトト、と軽やかに小走りでしぃが走っていくその姿を後ろから見ながら、
ブーンはしぃが靴を買い換えていたことに気が付いた。

戻ってきたら訊いてみようか、なんて考えながら視線を再び前に戻すと、
しぃは知り合いらしい小柄の男と会話をしていた。



106: ◆HGGslycgr6 :2008/01/19(土) 23:23:09.46 ID:ZgCYV95x0
(*゚ー゚)「ドクオ? ドクオだよね?」
 ('A`)「ん? あぁ、そうだけど」
(*゚ー゚)「久しぶりだね〜。元気?」
 ('A`)「まあ、そうだな。元気っちゃあ元気だ」
(*゚ー゚)「今何してるの?」
 ('A`)「コンビニでバイト。別にやりたい事もないし」
(*゚ー゚)「へえ〜、そうなんだ」

 思いのほか長く続く会話に、ブーンは手持ち無沙汰になってしまい、
携帯を開いたり閉じたりと、落ち着かない様子だった。

そんな様子に気付いたのか、ドクオはチラリと視線をブーンの方へ向けた

 ('A`)「あっちは?」
(*゚ー゚)「あ、大学の友達」
 ('A`)「……へえ、そう。じゃあ俺あっちだから、もう行くわ」
(*゚ー゚)「うん、またね」

 そう言って歩き出したドクオは、しぃに背を向けブーンの方へと歩く。
挨拶でもした方がいいのかと悩んだブーンは、せめて会釈だけでもと心の準備をした。



109: ◆HGGslycgr6 :2008/01/19(土) 23:24:26.52 ID:ZgCYV95x0
するとドクオはブーンの手前二メートル程で、しぃに背を向けたまま立ち止まった。

   ('A`)「……」
( ^ω^)「……」

 しかしドクオは無言で、ブーンも何を話したらいいものかと口を開けずに居た。
と、その時ドクオがポケットから手を抜こうとして、鍵を落としてしまった。

   ('A`)「あ」
( ^ω^)「あ」

 落ちた鍵を拾おうと、ブーンは一歩二歩と近づき、体を曲げた。
そしてワンテンポ遅れ、それに倣(なら)うようにして地面に手を伸ばすドクオ。
俄(にわか)に近づいたその距離で、ドクオが呟いた。



112: ◆HGGslycgr6 :2008/01/19(土) 23:25:43.73 ID:ZgCYV95x0
   ('A`)「しぃから離れろ。クズが」
( ^ω^)「……え?」

 鍵を拾い上げたドクオは、体を折り曲げたままのブーンを見ることなく歩いていき、
そして思い出したように振り向いて手を振った。

('A`)「またな。しぃ、ブーン」

 ようやくブーンが姿勢を戻した頃、しぃがブーンの元へと駆け寄ってきた。

 (*゚ー゚)「どうしたの? 早く行こうよ」
(;^ω^)「……し、しぃ」
 (*゚ー゚)「ん?」
(;^ω^)「えと……あの人は?」
 (*゚ー゚)「ドクオ。高校のとき、私とツンと同じ学校だったんだ」
(;^ω^)「僕の話をした事はあるのかお?」
 (*゚ー゚)「ないかなあ。結構久しぶりに会ったんだもん」
(;^ω^)「……」



118: ◆HGGslycgr6 :2008/01/19(土) 23:26:44.22 ID:ZgCYV95x0
 先程の心に突き刺さるようなドクオの言葉に混乱しながら、
ブーンはそれをしぃに言うかどうかを迷っていた。

 そしてその直後、順番待ちをしていたかのように遅れて耳の奥に届いた別れの言葉が、
更にブーンを戦慄させた。

 ならば何故、彼は自分の名前を知っているのだろうか、と。







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