( ´ω`)と('A`) が死にたいようです
- 68: ◆ozOtJW9BFA :2006/10/15(日) 01:51:40.61 ID:dyrwzmm10
通夜はささやかに行われた
初めて見るドクオの母親は美しく、ドクオにちっとも似ていなかった
ドクオの母親は棺にすがりつき、枯れた声で泣いていた
やがてがたいのいい男に肩をあずけ、斎場から出ていった
( ´ω`)(ドクオは愛されていなかったわけじゃないんだお)
ブーンは棺の窓を開けた
花に囲まれたドクオは、ムリヤリ目を閉じられたせいか半目で、頭が大きくへこんで傷だらけだった
顔も青白い
( ;ω;)(こんなの、ドクオじゃないお・・・・)
ブーンはお焼香を済ませると、火葬場には寄らずに走って家に帰った
- 71: ◆ozOtJW9BFA :2006/10/15(日) 01:53:06.89 ID:dyrwzmm10
- それから一ヶ月、ブーンは部屋にこもりっきりだった
ネットも付けず、必要最低限の時にしか外に出ることはなく、
いつもベッドにもぐっていた
( ω )(僕のせいだお)
( ω )(僕がもっと早く止めていれば)
( ω )(僕があの状態になる前に、ドクオを止めていれば)
( ω )(僕がネットにログインして、ドクオと話していれば)
( ω )(僕がもっと手を伸ばしていたら)
- 73: ◆ozOtJW9BFA :2006/10/15(日) 01:54:25.59 ID:dyrwzmm10
- ブーンはおもむろに部屋の電気をつけると、段ボールの中からバンダナを引っ張り出し、居間へ向かった
今日も誰もいない 父親も母親も仕事だ
ブーンはバンダナを物干しにくくりつけると、イスに上がり自分のくびをあてがった
ドクオ
一人で逝かせてごめんだお
僕も今逝くお
ブーンはイスを蹴り飛ばし、自分を宙に浮かせた
- 76: ◆ozOtJW9BFA :2006/10/15(日) 01:55:09.27 ID:dyrwzmm10
- だが
どすん!!
( ;ω;)「いたたた・・・・えええええ!?」
物干しがブーンの重みに耐えられず、折れてしまった
( ;ω;)(情けないお・・・)
ブーンはバンダナを床に投げつけた
( ´ω`)(ドクオ、もたついてゴメンだお。すぐ逝くから・・・)
ブーンは立ち上がり、ベランダの窓を開けた
- 79: ◆ozOtJW9BFA :2006/10/15(日) 01:56:23.73 ID:dyrwzmm10
- ベランダの手すりに足をかけ、空を見上げる
今日は曇っていて星も月もあまり見えなかった
( ´ω`)(あの隠れている星のどれかが、きっとドクオなんだお。僕もすぐにあれになるお)
ブーンは意を決し、手すりから身を乗り出した
- 81: ◆ozOtJW9BFA :2006/10/15(日) 01:57:01.62 ID:dyrwzmm10
- J( 'ー`)し「ただいまー」
仕事が終わった母親が帰宅した
J( 'ー`)し「ブーン、いるの?お土産もらってきわよ」
その時、母親は部屋の異変に気が付いた
鍵は空いているのに、どの部屋も真っ暗だった
J( 'ー`)し(ブーン、寝ちゃっているのかしら)
母親は居間に入り、電気をつけた
- 83: ◆ozOtJW9BFA :2006/10/15(日) 01:58:03.14 ID:dyrwzmm10
- 地面が思ったよりも遠かった
ブーンの家は五階 ドクオのマンションに比べたら低いが、死ぬには十分の高さだ
地面はコンクリートだ 落ちれば、間違いなく痛く、死ねるだろう
ブーンの目の前がふらっとぼやけた
風揺られ、体が傾いた
( ゚ω゚)(・・・・・・・・・・・)
(((;゚ω゚)))「いやだ・・・お、怖いお怖いお怖いおこわいおこわいこわいこわいこわいおおおお!」
ブーンはベランダに崩れ落ち、泣き叫んだ
( ;ω;)「死にたくないお!死ぬのは怖いお!いやだおおお!」
J( 'ー`)し「ブーン!?」
- 89: ◆ozOtJW9BFA :2006/10/15(日) 01:59:23.17 ID:dyrwzmm10
- 母親がブーンのそばにかけよった
( ;ω;)「かーちゃん・・・ブーンは悪い子だお!」
ブーンは母親に抱きついた
( ;ω;)「学校も行かないでご飯ばっかり食べていて、働きもしないで毎日ごろごろしているお!
かーちゃんに迷惑ばかりかけているお!こんなんだからドクオも助けられなかったんだお!
その上ドクオのそばに行ってやることも出来ないんだお・・・!
ドクオは一人で辛いはずなのに、一人で天国にいて寂しいはずなのに、僕は最低だおおお」
J( 'ー`)し「・・・・」
- 92: ◆ozOtJW9BFA :2006/10/15(日) 02:00:52.94 ID:dyrwzmm10
- J( 'ー`)し「何があったか分からないけど」
母親はブーンをしっかりと抱きしめた
J( 'ー`)し「ブーンは、ドクオ君って子が死んで悲しかったのよね。」
( ;ω;)「そうだお・・・」
J( 'ー`)し「かーちゃんも、お前が死んだら悲しいよ。だから死ぬなんて考えはやめて、ね」
J( 'ー`)し「とーちゃんもかーちゃんまだまだ大丈夫だから、お前一人ぐらい養ってあげれるんだから!
ブーンは何も心配しないで。他の子が自立しているからって焦らないで、ブーンはブーンのペースでやっていこう」
- 95: ◆ozOtJW9BFA :2006/10/15(日) 02:01:23.42 ID:dyrwzmm10
- ( ;ω;)「かーちゃん・・・!!」
ブーンは情けないほど泣いた
十六歳の男じゃないほど泣いた
母の手が温かくて、母の匂いが懐かしくて、余計に泣いた
- 102: ◆ozOtJW9BFA :2006/10/15(日) 02:02:18.45 ID:dyrwzmm10
- 三ヶ月後
ブーンはドクオの墓参りに来ていた
花とプチえびせんを買い、霊園の奥にあるドクオ一族の墓に行くと、すでに誰かが線香をあげていった後があった
ドクオの母であることは、言うまでもない
( ´ω`)(ドクオ、報告があるお)
ブーンは手を合わせ、心でドクオに呼びかけた
- 105: ◆ozOtJW9BFA :2006/10/15(日) 02:03:09.40 ID:dyrwzmm10
- ( ^ω^)(僕、学校に行き始めたお。勉強して、大学に行くお。いっぱい勉強して、ドクオや僕みたいに死にたいって思っている人たちを、なんとか死ぬ前に助けるお)
( ^ω^)(ドクオも喜んでくれるかお・・・?)
ドクオが応える変わりに、梅の花びらがブーンの掌に落ちてきた
完
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